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四章『トマト編』
第334話 克服
しおりを挟む「よし、これで理論上、勇者様は学校に入ることができるようになっているはずだ!」
「あとは実戦ですね!」
・・・・・・精神的にげっそりとした俺は力なく頷くのみだ。
だが達成感はここ最近では一番なものとなっている。
「私が協力できるのはここまでだ、この一週間で溜まった仕事をこなさなければならない」
「ああ、すまない。王国魔導師は大変な職務だろうに」
「べつに愚痴ったわけではない、協力したのは私の勝手だよ。さ、無駄話も必要あるまい、行った行った」
クレアは手をヒラヒラと振る。俺たちは礼をしてラボをあとにする。
「さぁ! バーガー様! 学校前まで来ましたよ!」
「おっしゃ! 入るぞ!」
「はい!」
「あ、ゆっくりお願いね・・・・・・」
アイナはゆっくりと歩を進める。肩に乗る俺も運ばれる。
一週間前の俺とは違う。トレーニングでトラウマは乗り越えられる! はずだ。
正門をくぐる。・・・・・・ぐ。嫌悪感は和らいでいる。卒倒するほどではない。
「ど、どうですか?」
「あ、ああ・・・・・・大丈夫だ。このまま進んでくれ」
俺は不快な気分を努めて無視する。気晴らしに周りに目をやる。しかし若い子たちが同じ制服に身を包み楽しそうに談笑しているのを目撃してしまう。
その光景を見ただけで俺の頭は思考を拒否する。ぐぅ、こ、この程度・・・・・・ぬうぅうううん!!
「バ、バーガー様、硬いです」
「あ、ああ、す、すまん、つい力んでしまった。痛かったか?」
「大丈夫です。このまま進んでもいいですか?」
「問題ない。俺は勇者だ! ・・・・・・うぅ」
案内人に事情を説明して校長室に案内してもらう。
ドアをノックする。返事が聞こえたので中に入る。
「よく来てくださいました、私はこの学校の長を務めさせていただいております。シェルフと申します」
この人が校長先生か。かなりのご高齢のようだ、杖を持つ腕が細い。しかし、その目は穏やかで初対面だがどこかホッとするような安心感を放っている。
「俺は勇者、バーガー・グリルガードだ。こっちは『パートナー』のアイナ・フォルシウス」
「パートナーだなんてそんな」
「ええ、お話はかねがね。私たちはあなた方を歓迎致します」
シェルフ校長との話は小一時間ほどで終わった。
アイナの希望で、さっそく明日から学校に通えるようになった。
そして帰り道。
正門から出る。気分が一気に晴れる。
学校に対する拒否反応は完全には消えなかった。
だが考えてもみてほしい、この一週間、そうたった一週間で、生前のトラウマをこうも攻略したのだ。
確かにここは異世界で、当時の生徒が全くいないということもある。が、それでも現代で、15年ものあいだ悩んでいたことがこうも進展するとは・・・・・・。
「アイナ。ありがとう」
「えへへ。どういたしまして」
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