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三章
チェスター・クラウンの醜聞
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「もう最悪!」
オリヴィアは広いリビングの、黒いソファに寝そべっていた。スマホの画面を親指でぽちぽち操作している。夜なのでカーテンは閉められていた。
元プロゲーマーの熱愛報道はすぐに沈静化された。妹だと説明すれば、彼の奇行を知る視聴者はすぐに納得した。
オリヴィアはそれでも不満を募らせていた。曰く「勘違いとはいえ、あんなやつと恋人だと思われるのが屈辱」だそうだ。
「ねぇ」
オリヴィアはホットドッグをもさもさ食べるダミアンに手を伸ばした。働く必要も、家賃や公共料金に心配をする必要もない生活をダミアンは気に入っていたが、他人との共同生活にはまだ慣れない。オリヴィアのような美女はなおさらだ。母親の影響で、特に女性には苦手意識がある。
「なんですか」
「よりにもよってエリーとか。私可哀想じゃない?」
オリヴィアは夕食をほとんど食べない。サラダとか、ヨーグルトとか、酵素ドリンクなんてものしか口にしない。美しさのためだと言うが、ダミアンには外見に固執する考えは理解できなかった。
人前に出る仕事などしたいとも思わない。どんな方法で稼いだとしても一ドルの価値が変わることはないと本気で思っていた。ホットドッグを飲み込み、素っ気なく返事をする。
「そうですね」
「あなたのがマシかも」
上目遣いでダミアンを見つめてくる。潤んだ青い瞳に吸い込まれそうになる。柔らかい、明るい金髪が腕に当たった。
「やめてください」
ダミアンは手を引っこめて居住まいを正した。女は苦手だ。幼い頃、母親に罵倒され続けたせいだろうか。まだ真面目に学校に通っていた頃、貧乏人は臭いとジュースをぶっかけられたときかもしれない。とにかく、女性に良い思い出はなかった。
「ヤダ、まさか浮気がダメなんてつまんない倫理観持ってないよね?」
「俺は男しかイけないんだよ」
それに、近親者と恋愛する趣味もない。保守的なキリスト教徒には殴られるだろうし、堕落したと罵声を浴びせられるだろう。地獄に落ちるだとか、死んだあとのことをあれこれ考えるほうが非合理的だ。
「試してみたら? 意外と大丈夫かも! 私もそれで、女の子もウェルカム、になったし!」
オリヴィアを見ていると自分の信念が揺らぐような気がした。明るい髪の色や、整った顔立ちは母親を彷彿とさせたが、金持ち特有の余裕を常に漂わせている。口は悪いが、ダミアンに対して暴言を吐くことはあまりなかった。
「まぁ、それはたしかに……一理あるけど」
目を逸らした瞬間、不意打ちのようにキスされた。あまりにも突然の出来事でびっくりすることも、嫌悪感を抱く暇だってなかった。
「マスタードつけすぎじゃない?」
くすくす笑った。リビングのドアが開き、エリオットが顔を出した。目の下のクマはより濃くなっていて病的だ。猫背で、髪はボサボサだった。黒く染めていた部分はまだら模様になり、本来のホワイトブロンドを隠しきれていない。
「おい、なにしてんだ」
「なにしてるように見える?」
「……」
落ち着いた様子のオリヴィアとは反対にそわそわと爪を噛む。目を細め、未知の生命体を見るような視線をダミアンに向けた。
「お兄ちゃんってば察しわるーい。そんなんだからモテないんだよ」
「……弱者男性は悪口だぞ」
ぼそりと、聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。机に足をぶつける大きな音が鳴り響いた。動揺しているのが丸わかりだった。
「ただいま~。なんだよまた喧嘩?」
音もなくコンラッドが帰宅した。夜の、こんなに早い時間に帰ってくるのは久しぶりだった。ネクタイを緩めながら、面倒臭そうにダミアンのことを見る。
「兄さん、なんとかしても。こいつら、こいつら……」
エリオットが左手を伸ばした。兄のスーツの袖を掴んだ。ソファに腰掛けるダミアンたちのほうを指差した。奥歯をギリギリ噛み締めている。
「ちょっとキスしただけじゃない? 挨拶よ、挨拶」
オリヴィアはやれやれと首を振った。キスをしたときの不思議な魅力は、もうどこにもなかった。夢を見ていただけなのかもしれない。ダミアンは何度も瞬きを繰り返した。
「こんな女とキスとか、正気かよ。梅毒になるぞ」
コンラッドの呆れた声が鼓膜を揺らす。ダミアンは小さく舌打ちをした。百年前でもあるまいし。性病ごとき、医療費さえ払えればどうとでもなる。オリヴィアも不服そうに鼻に皺を寄せていた。自身の長い髪を後ろに払う。
「地下鉄の五条悟のパネルにキスするほうがずっと危険。汚すぎる。エイズになりたいです、って言ってるようなものよ」
呆れ果てたような、淡々とした口調だった。短いスカートから伸びる白い、すらりとした足を組む。「ま、お兄ちゃんはそういう女ともキスしてるかもしれないけど」、と続けた。
「おれの顧客は二十五歳以上だからそんなバカいねーよ。……だいたい売上にもならねーのにセックスするかっつーの」
引っ付いているエリオットから距離を取り、コンラッドはイライラした様子でジャケットを脱いだ。仕事のストレスからか、アルコールの摂取量が増えていることをダミアンは知っている。
「あらぁ、この前は受付嬢最高! とか言ってたじゃない」
オリヴィアは鋭い視線をコンラッドに向けた。仕事終わりのコンラッドは疲弊した様子で、妹の言葉を本気で受け取ろうとしない。ふらふらとキッチンへ向かった。
「あれは……たまたま〝当たり〟だったんだよ」
「ほら、キモーい」
冷蔵庫からビールの缶を取り出すコンラッドへ悪態をつく。エリオットはいつの間にか、部屋の隅で体育座りをしていた。爪を噛む代わりに、チュッパチャプスを口に咥えている。オリヴィアはそんな兄たちを交互に眺め、大きくため息をついた。
「アンタも整形すればマシな顔になるんじゃないの?」
その一言で、だれていた空気が変わる。コンラッドはハッと小さく息を飲んだ。ビールをイッキに傾け、ごくごく飲み干した。
「……もういいだろ、その話は」
もごもご、呻くように呟いた。エリオットも俯いたまま、チュッパチャプスを舐めることだけに専念している。
ダミアンは首を傾げた。この異様な雰囲気に呑まれてしまいそうになる。オリヴィアがふんと鼻を鳴らしながら口を開いた。
「お兄ちゃんたちのお母さん、普通の顔してるからそれが遺伝しちゃったの」
コンラッドがビールの缶を潰す音がした。顔が赤いのは、アルコールのせいだけではないだろう。ダミアンの視線に気づいても、にこりとも笑わなかった。
「オリヴィアは二人目の母親の子供だから……」
「あの、交通事故で亡くなったっていう?」
そういえば、チェスター・クラウンには二人の妻がいた。一人目は学生時代からの恋人。二人目は女優を目指す若い女、ネットの記事にはそう書かれていた。
「すごくいい人だった。死ぬべきじゃなかった」
コンラッドはリビングに背を向け、冷蔵庫から二本目のビールを取り出した。その声色は、どこか悲しんでいるようでもあった。オリヴィアもエリオットも黙り込んでいる。ダミアンには彼らの反応が不思議だった。まるで普通の人間のようだった。
「そういう感情あったんですね?」
「んだそれ、どういう意味だよ」
コンラッドは声を荒らげた。プシュ、という間抜けな音がしてビールの缶が空く。オリヴィアも余裕そうな表情を保てていない。よほど母親の死を引きずっているのだろう。
「別に……ただ〝お父さん〟のときは、そんな風に悲しんだりしなかったから」
ダミアンには死者を悼む感情が欠落していた。いつだって気楽な、上辺だけの人間関係を作ってきた。実の親とも、たいした情緒的繋がりを形成してこなかったのだ。
俯いていたエリオットが顔を上げる。冷たいアイスグレーの瞳を細めた。綺麗に舐め終えたチュッパチャプスの棒を口から出してイライラと舌打ちをする。
「他人のことより、自分のことを心配しろよ。お前の彼氏? 人殺しだろ」
「え?」
想定外の言葉にダミアンの頭は混乱した。彼氏、というのはオースティンのことだろうか。人殺し? そんな話は聞いたこともない。そんな大それたことをできるような人間にも思えなかった。
「あーもう、やめて! 陰湿すぎ」
オリヴィアが声を上げ、エリオットにクッションをを投げつけた。立ち上がって長い髪を耳に掛ける。ダミアンのほうをちらりと振り返った。
「弱者男性の言うことなんて気にしなくていいから」
そう言い残し、ドタドタ大袈裟に音を立てリビングから出ていった。気まずい空気が流れる。エリオットは再び俯いた体育座りのまま微動だにしない。コンラッドも酒を飲むばかりで言葉を発することはなかった。
「うーん。一つ訂正するなら、〝彼氏〟じゃなくて〝友達〟です」
ダミアンは困ったように笑った。謎は深まるばかりだった。ただ一つわかったことといえば、クラウン家の人間は、世間で言われているほど冷酷無慈悲な人びとではなかったということだ。
オリヴィアは広いリビングの、黒いソファに寝そべっていた。スマホの画面を親指でぽちぽち操作している。夜なのでカーテンは閉められていた。
元プロゲーマーの熱愛報道はすぐに沈静化された。妹だと説明すれば、彼の奇行を知る視聴者はすぐに納得した。
オリヴィアはそれでも不満を募らせていた。曰く「勘違いとはいえ、あんなやつと恋人だと思われるのが屈辱」だそうだ。
「ねぇ」
オリヴィアはホットドッグをもさもさ食べるダミアンに手を伸ばした。働く必要も、家賃や公共料金に心配をする必要もない生活をダミアンは気に入っていたが、他人との共同生活にはまだ慣れない。オリヴィアのような美女はなおさらだ。母親の影響で、特に女性には苦手意識がある。
「なんですか」
「よりにもよってエリーとか。私可哀想じゃない?」
オリヴィアは夕食をほとんど食べない。サラダとか、ヨーグルトとか、酵素ドリンクなんてものしか口にしない。美しさのためだと言うが、ダミアンには外見に固執する考えは理解できなかった。
人前に出る仕事などしたいとも思わない。どんな方法で稼いだとしても一ドルの価値が変わることはないと本気で思っていた。ホットドッグを飲み込み、素っ気なく返事をする。
「そうですね」
「あなたのがマシかも」
上目遣いでダミアンを見つめてくる。潤んだ青い瞳に吸い込まれそうになる。柔らかい、明るい金髪が腕に当たった。
「やめてください」
ダミアンは手を引っこめて居住まいを正した。女は苦手だ。幼い頃、母親に罵倒され続けたせいだろうか。まだ真面目に学校に通っていた頃、貧乏人は臭いとジュースをぶっかけられたときかもしれない。とにかく、女性に良い思い出はなかった。
「ヤダ、まさか浮気がダメなんてつまんない倫理観持ってないよね?」
「俺は男しかイけないんだよ」
それに、近親者と恋愛する趣味もない。保守的なキリスト教徒には殴られるだろうし、堕落したと罵声を浴びせられるだろう。地獄に落ちるだとか、死んだあとのことをあれこれ考えるほうが非合理的だ。
「試してみたら? 意外と大丈夫かも! 私もそれで、女の子もウェルカム、になったし!」
オリヴィアを見ていると自分の信念が揺らぐような気がした。明るい髪の色や、整った顔立ちは母親を彷彿とさせたが、金持ち特有の余裕を常に漂わせている。口は悪いが、ダミアンに対して暴言を吐くことはあまりなかった。
「まぁ、それはたしかに……一理あるけど」
目を逸らした瞬間、不意打ちのようにキスされた。あまりにも突然の出来事でびっくりすることも、嫌悪感を抱く暇だってなかった。
「マスタードつけすぎじゃない?」
くすくす笑った。リビングのドアが開き、エリオットが顔を出した。目の下のクマはより濃くなっていて病的だ。猫背で、髪はボサボサだった。黒く染めていた部分はまだら模様になり、本来のホワイトブロンドを隠しきれていない。
「おい、なにしてんだ」
「なにしてるように見える?」
「……」
落ち着いた様子のオリヴィアとは反対にそわそわと爪を噛む。目を細め、未知の生命体を見るような視線をダミアンに向けた。
「お兄ちゃんってば察しわるーい。そんなんだからモテないんだよ」
「……弱者男性は悪口だぞ」
ぼそりと、聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。机に足をぶつける大きな音が鳴り響いた。動揺しているのが丸わかりだった。
「ただいま~。なんだよまた喧嘩?」
音もなくコンラッドが帰宅した。夜の、こんなに早い時間に帰ってくるのは久しぶりだった。ネクタイを緩めながら、面倒臭そうにダミアンのことを見る。
「兄さん、なんとかしても。こいつら、こいつら……」
エリオットが左手を伸ばした。兄のスーツの袖を掴んだ。ソファに腰掛けるダミアンたちのほうを指差した。奥歯をギリギリ噛み締めている。
「ちょっとキスしただけじゃない? 挨拶よ、挨拶」
オリヴィアはやれやれと首を振った。キスをしたときの不思議な魅力は、もうどこにもなかった。夢を見ていただけなのかもしれない。ダミアンは何度も瞬きを繰り返した。
「こんな女とキスとか、正気かよ。梅毒になるぞ」
コンラッドの呆れた声が鼓膜を揺らす。ダミアンは小さく舌打ちをした。百年前でもあるまいし。性病ごとき、医療費さえ払えればどうとでもなる。オリヴィアも不服そうに鼻に皺を寄せていた。自身の長い髪を後ろに払う。
「地下鉄の五条悟のパネルにキスするほうがずっと危険。汚すぎる。エイズになりたいです、って言ってるようなものよ」
呆れ果てたような、淡々とした口調だった。短いスカートから伸びる白い、すらりとした足を組む。「ま、お兄ちゃんはそういう女ともキスしてるかもしれないけど」、と続けた。
「おれの顧客は二十五歳以上だからそんなバカいねーよ。……だいたい売上にもならねーのにセックスするかっつーの」
引っ付いているエリオットから距離を取り、コンラッドはイライラした様子でジャケットを脱いだ。仕事のストレスからか、アルコールの摂取量が増えていることをダミアンは知っている。
「あらぁ、この前は受付嬢最高! とか言ってたじゃない」
オリヴィアは鋭い視線をコンラッドに向けた。仕事終わりのコンラッドは疲弊した様子で、妹の言葉を本気で受け取ろうとしない。ふらふらとキッチンへ向かった。
「あれは……たまたま〝当たり〟だったんだよ」
「ほら、キモーい」
冷蔵庫からビールの缶を取り出すコンラッドへ悪態をつく。エリオットはいつの間にか、部屋の隅で体育座りをしていた。爪を噛む代わりに、チュッパチャプスを口に咥えている。オリヴィアはそんな兄たちを交互に眺め、大きくため息をついた。
「アンタも整形すればマシな顔になるんじゃないの?」
その一言で、だれていた空気が変わる。コンラッドはハッと小さく息を飲んだ。ビールをイッキに傾け、ごくごく飲み干した。
「……もういいだろ、その話は」
もごもご、呻くように呟いた。エリオットも俯いたまま、チュッパチャプスを舐めることだけに専念している。
ダミアンは首を傾げた。この異様な雰囲気に呑まれてしまいそうになる。オリヴィアがふんと鼻を鳴らしながら口を開いた。
「お兄ちゃんたちのお母さん、普通の顔してるからそれが遺伝しちゃったの」
コンラッドがビールの缶を潰す音がした。顔が赤いのは、アルコールのせいだけではないだろう。ダミアンの視線に気づいても、にこりとも笑わなかった。
「オリヴィアは二人目の母親の子供だから……」
「あの、交通事故で亡くなったっていう?」
そういえば、チェスター・クラウンには二人の妻がいた。一人目は学生時代からの恋人。二人目は女優を目指す若い女、ネットの記事にはそう書かれていた。
「すごくいい人だった。死ぬべきじゃなかった」
コンラッドはリビングに背を向け、冷蔵庫から二本目のビールを取り出した。その声色は、どこか悲しんでいるようでもあった。オリヴィアもエリオットも黙り込んでいる。ダミアンには彼らの反応が不思議だった。まるで普通の人間のようだった。
「そういう感情あったんですね?」
「んだそれ、どういう意味だよ」
コンラッドは声を荒らげた。プシュ、という間抜けな音がしてビールの缶が空く。オリヴィアも余裕そうな表情を保てていない。よほど母親の死を引きずっているのだろう。
「別に……ただ〝お父さん〟のときは、そんな風に悲しんだりしなかったから」
ダミアンには死者を悼む感情が欠落していた。いつだって気楽な、上辺だけの人間関係を作ってきた。実の親とも、たいした情緒的繋がりを形成してこなかったのだ。
俯いていたエリオットが顔を上げる。冷たいアイスグレーの瞳を細めた。綺麗に舐め終えたチュッパチャプスの棒を口から出してイライラと舌打ちをする。
「他人のことより、自分のことを心配しろよ。お前の彼氏? 人殺しだろ」
「え?」
想定外の言葉にダミアンの頭は混乱した。彼氏、というのはオースティンのことだろうか。人殺し? そんな話は聞いたこともない。そんな大それたことをできるような人間にも思えなかった。
「あーもう、やめて! 陰湿すぎ」
オリヴィアが声を上げ、エリオットにクッションをを投げつけた。立ち上がって長い髪を耳に掛ける。ダミアンのほうをちらりと振り返った。
「弱者男性の言うことなんて気にしなくていいから」
そう言い残し、ドタドタ大袈裟に音を立てリビングから出ていった。気まずい空気が流れる。エリオットは再び俯いた体育座りのまま微動だにしない。コンラッドも酒を飲むばかりで言葉を発することはなかった。
「うーん。一つ訂正するなら、〝彼氏〟じゃなくて〝友達〟です」
ダミアンは困ったように笑った。謎は深まるばかりだった。ただ一つわかったことといえば、クラウン家の人間は、世間で言われているほど冷酷無慈悲な人びとではなかったということだ。
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