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出会い
ドカ食い大好き望月くん!
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この世界は腐りきっている。暴力や戦争が支配している。それでも、子供の頃はまだ夢を見ることができていた。きらきら輝いていた。それらがすべて、まったくの錯覚だなんて信じたくはなかった。でも、残念ながらそれが現実だった。
***
「望月道長です。趣味は料理、特技はドカ食いでーす! 口癖は『全マシマシ』です。よろしくお願いしまーす!」
嫌われてはならないので、人好きのする笑みを浮かべた。ランドセルの肩ひもを握る手にじんわり汗をかく。教室中から落胆したような視線が刺さった。
――デブは、せめて明るくなければならない。今までの経験からよくわかっていた。十年も生きていれば、それくらいのことは理解できる。
転校は初めてじゃなかった。引越しも。母親の彼氏に殴られるのも、邪魔者扱いされるのも。ごくありふれた話だった。
「望月くんは、あそこの席ね」
「はーい」
明るく返事をした。学校が変わる度に呼ばれる苗字も変わる。まだ自分じゃないような気がする。それでも特に問題はなかった。
席に座れば、誰もいちいちおれのことなんて気にしない。転校生も、すぐに日常の背景に溶け込んで、いなくなっても気づかない。その程度の存在なんだ。
***
「望月道長です。趣味は料理、特技はドカ食いでーす! 口癖は『全マシマシ』です。よろしくお願いしまーす!」
嫌われてはならないので、人好きのする笑みを浮かべた。ランドセルの肩ひもを握る手にじんわり汗をかく。教室中から落胆したような視線が刺さった。
――デブは、せめて明るくなければならない。今までの経験からよくわかっていた。十年も生きていれば、それくらいのことは理解できる。
転校は初めてじゃなかった。引越しも。母親の彼氏に殴られるのも、邪魔者扱いされるのも。ごくありふれた話だった。
「望月くんは、あそこの席ね」
「はーい」
明るく返事をした。学校が変わる度に呼ばれる苗字も変わる。まだ自分じゃないような気がする。それでも特に問題はなかった。
席に座れば、誰もいちいちおれのことなんて気にしない。転校生も、すぐに日常の背景に溶け込んで、いなくなっても気づかない。その程度の存在なんだ。
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