ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ~皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます!~

南田 此仁@書籍発売中

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21~30話

28c、番外編 ご主人様の追憶

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隣国との小競り合いが小規模な戦に発展したのを、半ば八つ当たりのように圧倒的な武力をもって黙らせる。

強さの意味はわからない。
ならば自分と自分の周囲を害する可能性のあるものを、すべて消し去ればいい。
戦うことを職とした以上、強さは正義たりえるはずなのだから。

有り余る膨大な魔力と幼い頃から父に鍛えられた剣術で、目に映るものを端から屠っていく。
一人でも取り逃がせばまたいつこちらを害そうとするかわからない。
一人も逃さず、何もかも全てを。

友人に止められようやく周囲を見渡せば、野原だったはずのそこは、あちこちで黒い物体が燻り嫌な臭いの充満する、草葉一つない荒野になり果てていた。



戦の武功で部隊長に昇格するも、訪れた平穏な日々の中では、自分の存在意義が周囲の空気に溶けて霧散していくような気がした。

俺を厳しく鍛えてくれた父はいない。
俺に怯え俺の存在を心から消した母もいない。
隣国との仲も、ここまで打ちのめせば向こう数年は手出しする気力すら湧かないだろう。

毎日ただ己を鍛錬し、仕事をこなしていれば、月日は流れるように過ぎてゆく。

そんな機械人形のような日々を見かねた友人が、ある日愛玩動物の飼育を勧めてきた。

戯言と聞き流していれば、ついには自分でも愛玩動物を飼い始め、毎日その魅力について説いてくる。

甘えてくる姿が可愛い。
仕事の疲れも癒される。
生き物と一緒に暮らすべきだ。
自分を必要としてくれる存在が、今のお前には必要だ。

毎日仕事へ行くたび何百、何千と暗示のように繰り返され、ついに根負けした俺は友人の勧め通り愛玩動物を飼うことにした。
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