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41~50話
48d、ご主人様は愛をわかっていなかった
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ひとたび想いを自覚してしまえば、メッキが剥がれ落ちるようにボロボロと取り澄ました外殻が崩れ、浅ましい欲望がゆらりと顔を覗かせる。
もう、目を逸らし続けることはできなかった。
欲望で汚したくなどないのに、どうしようもなくマヤが欲しい。
俺は一体何を考えている。
あれは愛でて癒しを得る存在であって、欲望を抱くなどあってはならない事なのに。
か弱いマヤを相手に、力ずくでその身を奪うことは容易だろう。
一言命令しさえすれば、首輪によって逆らうこともできまい。
だがそれをした瞬間、永久に心が手に入らなくなることだけはわかる。
今にも牙を剥きそうになる衝動を、必死に抑え込む。
守りたいのだ。マヤを。
何からも。己の欲望からさえも。
以前ウィルドが称揚していたのを思い出し、評判だという菓子を買って帰れば、マヤは瞳を輝かせて喜んだ。
大きな粒を一口で頬張り、ぷっくりと頬を膨らませている姿がたまらなく愛らしい。
咀嚼に合わせてもぐもぐと動く紅色の唇には、菓子の表面にかけられていたのだろう白い粉砂糖が付いてしまっている。
「んんーっ! っガル様! これ、とっても美味しいです!」
「そうか」
にこにこと喜ぶ様に目を細める。
マヤが気に入ったのならよかった。
紅色を白く染める砂糖が、唇が、なんとも甘そうだ。
もう、目を逸らし続けることはできなかった。
欲望で汚したくなどないのに、どうしようもなくマヤが欲しい。
俺は一体何を考えている。
あれは愛でて癒しを得る存在であって、欲望を抱くなどあってはならない事なのに。
か弱いマヤを相手に、力ずくでその身を奪うことは容易だろう。
一言命令しさえすれば、首輪によって逆らうこともできまい。
だがそれをした瞬間、永久に心が手に入らなくなることだけはわかる。
今にも牙を剥きそうになる衝動を、必死に抑え込む。
守りたいのだ。マヤを。
何からも。己の欲望からさえも。
以前ウィルドが称揚していたのを思い出し、評判だという菓子を買って帰れば、マヤは瞳を輝かせて喜んだ。
大きな粒を一口で頬張り、ぷっくりと頬を膨らませている姿がたまらなく愛らしい。
咀嚼に合わせてもぐもぐと動く紅色の唇には、菓子の表面にかけられていたのだろう白い粉砂糖が付いてしまっている。
「んんーっ! っガル様! これ、とっても美味しいです!」
「そうか」
にこにこと喜ぶ様に目を細める。
マヤが気に入ったのならよかった。
紅色を白く染める砂糖が、唇が、なんとも甘そうだ。
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