不能だと噂の騎士隊長が『可能』なことを私だけが知っている(※のぞきは犯罪です)

南田 此仁

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51~60話

幸せな夢のつづき【下】

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「ヨルグさん、わざわざ私の身体を拭いて着替えさせてくれたんですか?」

「あ、ああ……。あのままでは、とても寝られる状態ではなかったからな……」

 そう答えながらも、ヨルグがふいと目を逸らす。
 微妙に後ろめたそうな様子なのはなぜだろう?

「いろいろとありがとうございます。泊めてもらったのもとっても助かりました。今度お礼させてください。――じゃあ私、お店の準備があるのでそろそろ行きますね!」

「待ってくれ、俺も一緒に行く」




 自分の服に着替え直し、なぜか身につけていなかった下着も昨日の昼間に穿いていたドロワースを穿き直して、ひと気のない早朝の通りを突っ切り自宅へと至る。

 コンコンコンッ

「ただいまー! おじいちゃん、リゼットよ。開けてちょうだいー!」

 居間を、新聞を読んでいるおじいちゃんの姿がある。ノックして帰宅を告げると、間を置かずにドアが開いた。

「おう、おかえり」

「ただいま! メモは読んだ? 昨日はヨルグさんの家に泊めてもらったの」

「おはようございます、ガファスさん。朝早くにすみません」

「おう、リゼットが世話になったな。朝飯がまだなら食ってけ」

 たった一晩離れていただけだというのに、昨日の昼ぶりに足を踏み入れた我が家はどことなく懐かしさを感じる。

「そうだ、おじいちゃん! 私、ヨルグさんと結婚することにしたの!」

 一番大切なことを思い出し、玄関を施錠するおじいちゃんを振り返って満面の笑みで告げる。
 おじいちゃんは僅かに目を見開いたのち、ため息とともに一つ頷いた。

「一生のことだ、好きな気持ちだけじゃ乗り越えられねえもんもある。よくよく考えて、自分の意志で決めたんだな?」

「ええ。ヨルグさんとなら何があっても乗り越えてみせるわ!」

「そうか。――リゼット、さっさと着替えて支度してこい。開店準備に遅れるぞ」

「あっ、はーい!」

 もしかしたら飛び上がって驚くかもしれないと思っていたけれど、おじいちゃんはいつも通りの落ち着いた様子だ。
 ちょっと肩透かしを食らった気分になりつつも、おじいちゃんとヨルグを居間に残してパタパタと階段を駆け上がった。
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