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1~10話
7a、スターシュ伯爵?
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グレニスが非番の今日は珍しく来客があった。
普段は仕事で屋敷を空けている時間の方が長いので、そうそう来客はない。
しかしお茶汲みなど客前に立つ仕事を任されない下っ端の自分にとっては、誰が訪れようとあまり関係のない話だ。
「スターシュ伯爵?」
「そうそう。リヴはまだお会いしたことなかったっけ? 大旦那様の歳の離れた弟君で、旦那様の叔父にあたる方よ。王都に住んでいらっしゃるから、領地で隠居なさってる大旦那様たちに代わって時々様子を見にいらっしゃるの」
「へぇー、面倒見がいいのね」
マニーが構えたちりとりへと集めた枝葉を掃き入れながら、適当な相槌を打つ。
「お人柄がいいだけじゃないのよ! 物腰も優雅で渋くって、とっても素敵な方なんだから! 若い頃はさぞかしおモテになったでしょうね~。ああ、せめてあと二十年早く出逢っていれば……」
「その頃マニーは一歳じゃないの」
「一歳じゃさすがに結婚できないか……!」
一つ歳上の同僚と軽口を叩いて、けたけたと笑い合う。
ちりとりの中身を麻袋へと移し終えると、積み上がった袋の山を前に、マニーが腰に手を当ててため息をついた。
「ふぅ……、今日は大漁ね」
「昨日は風雨が強かったものね……。ね、掃除用具は一旦ここに置いといて、二人で一気に運んじゃわない?」
「そうね。二人で両手に抱えればなんとか一度に行けるでしょ!」
そうと決まれば早速掃除用具を置いて、口紐を縛った麻袋を両手に抱え込む。
湿った枝葉の詰まった袋はずっしりと重く、二人してえっちらおっちらとごみ焼却場へ向かった。
普段は仕事で屋敷を空けている時間の方が長いので、そうそう来客はない。
しかしお茶汲みなど客前に立つ仕事を任されない下っ端の自分にとっては、誰が訪れようとあまり関係のない話だ。
「スターシュ伯爵?」
「そうそう。リヴはまだお会いしたことなかったっけ? 大旦那様の歳の離れた弟君で、旦那様の叔父にあたる方よ。王都に住んでいらっしゃるから、領地で隠居なさってる大旦那様たちに代わって時々様子を見にいらっしゃるの」
「へぇー、面倒見がいいのね」
マニーが構えたちりとりへと集めた枝葉を掃き入れながら、適当な相槌を打つ。
「お人柄がいいだけじゃないのよ! 物腰も優雅で渋くって、とっても素敵な方なんだから! 若い頃はさぞかしおモテになったでしょうね~。ああ、せめてあと二十年早く出逢っていれば……」
「その頃マニーは一歳じゃないの」
「一歳じゃさすがに結婚できないか……!」
一つ歳上の同僚と軽口を叩いて、けたけたと笑い合う。
ちりとりの中身を麻袋へと移し終えると、積み上がった袋の山を前に、マニーが腰に手を当ててため息をついた。
「ふぅ……、今日は大漁ね」
「昨日は風雨が強かったものね……。ね、掃除用具は一旦ここに置いといて、二人で一気に運んじゃわない?」
「そうね。二人で両手に抱えればなんとか一度に行けるでしょ!」
そうと決まれば早速掃除用具を置いて、口紐を縛った麻袋を両手に抱え込む。
湿った枝葉の詰まった袋はずっしりと重く、二人してえっちらおっちらとごみ焼却場へ向かった。
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