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1~10話
6d、お断りします
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「……お断りします」
「なんだと?」
私の返事が聞き取れなかったのか、グレニスが片眉を上げて聞き返す。
「鍛錬の付き添いをお休みするのを、お断りします」
しっかりきっぱり目を見て告げて、肩に置かれた手をよいしょと退かし、毅然とした態度でグレニスの腕に収まり直す。
束の間あって、言葉の意味を理解したグレニスが今一度私を剥がそうと肩を掴んだ。
「ちゃんと休みを取れ!」
「休みは取ります! でも、尋問は休みませんっ!!」
女相手なのでものすごーく手加減してくれているのだろうけれど、それでも力強い大きな手に押されるのに負けないよう、渾身の力でグレニスにしがみつく。
「休めと言うのに! ……このっ、なんて力だ……! おい、足まで使って巻きつくな! こら! いい加減離れろ……っ!!」
「いやぁぁぁぁっ!!」
「人聞きの悪い声を上げるな!」
そうして私は持てる体力のすべてと引き換えに、なんとか毎朝の尋問を勝ち取ったのだった。
その日のお休みは街へ出かける余力もなくぐったりとベッドに沈む羽目になったけれど、後悔はしていない。
「なんだと?」
私の返事が聞き取れなかったのか、グレニスが片眉を上げて聞き返す。
「鍛錬の付き添いをお休みするのを、お断りします」
しっかりきっぱり目を見て告げて、肩に置かれた手をよいしょと退かし、毅然とした態度でグレニスの腕に収まり直す。
束の間あって、言葉の意味を理解したグレニスが今一度私を剥がそうと肩を掴んだ。
「ちゃんと休みを取れ!」
「休みは取ります! でも、尋問は休みませんっ!!」
女相手なのでものすごーく手加減してくれているのだろうけれど、それでも力強い大きな手に押されるのに負けないよう、渾身の力でグレニスにしがみつく。
「休めと言うのに! ……このっ、なんて力だ……! おい、足まで使って巻きつくな! こら! いい加減離れろ……っ!!」
「いやぁぁぁぁっ!!」
「人聞きの悪い声を上げるな!」
そうして私は持てる体力のすべてと引き換えに、なんとか毎朝の尋問を勝ち取ったのだった。
その日のお休みは街へ出かける余力もなくぐったりとベッドに沈む羽目になったけれど、後悔はしていない。
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