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31~40話
31a、普通のことなんですよね?
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抱えて運ぼうという提案は断り、親切にしてくれた店主にお礼を言って店を出る。
「倒れかけたばかりだ。念のため早く屋敷に戻って休んだ方がいいな」
馬車着き場へと足を向けるグレニスのマントを、きゅっと握りしめる。
「身体は大丈夫です。あの……、もう少し一緒に……」
せっかくのお出かけなのに。
もう二度とない機会かもしれないのに。
少しでも長くグレニスといたい。屋敷に帰ってしまえば、今日の出来事がすべてが夢に思えてしまいそうだから。
グレニスは私の腰を抱いて引き寄せると、人目も憚らずこめかみにちゅっと口付けた。
「!」
「……では、夕食だけ済ませて帰るとしよう。これから先何度だって一緒に出かけられるんだ、あまり無理はするなよ?」
「本当に……? また一緒に出かけてくれますか?」
「ああ、いくらでも」
確かな約束が欲しくて聞き返せば、至極当然といった調子でグレニスが首肯する。
きっと本当に、いくらでも付き合ってくれる心づもりでいるのだろう。
夢と消えそうな物寂しさは、次の機会への待ち遠しさに塗り替えられていった。
「倒れかけたばかりだ。念のため早く屋敷に戻って休んだ方がいいな」
馬車着き場へと足を向けるグレニスのマントを、きゅっと握りしめる。
「身体は大丈夫です。あの……、もう少し一緒に……」
せっかくのお出かけなのに。
もう二度とない機会かもしれないのに。
少しでも長くグレニスといたい。屋敷に帰ってしまえば、今日の出来事がすべてが夢に思えてしまいそうだから。
グレニスは私の腰を抱いて引き寄せると、人目も憚らずこめかみにちゅっと口付けた。
「!」
「……では、夕食だけ済ませて帰るとしよう。これから先何度だって一緒に出かけられるんだ、あまり無理はするなよ?」
「本当に……? また一緒に出かけてくれますか?」
「ああ、いくらでも」
確かな約束が欲しくて聞き返せば、至極当然といった調子でグレニスが首肯する。
きっと本当に、いくらでも付き合ってくれる心づもりでいるのだろう。
夢と消えそうな物寂しさは、次の機会への待ち遠しさに塗り替えられていった。
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