179 / 277
41~50話
43c、悪女になったの
しおりを挟むドアノブに手をかけ、そこではたと重大な問題に気付く。
「私、寝衣だわ……」
身につけているのはネグリジェ一枚。
グレニスが登城する時間、すでに使用人たちも出勤してきている。
運よく部屋から出る瞬間を目撃されずに済んだとして、そこから誰にも見つからずに使用人棟に戻るのは難しい。
もし寝衣姿でうろついているところを見つかれば、不審がられ理由を追及されることは必至。
「ど、どうしよう……」
サーッと血の気が引いていく。
青ざめる私の目の前で、ドアがノックの音を立てた。
コンコンコンコンッ
「!!」
部屋の掃除は遅らせると言っていたのに!
咄嗟にドアノブから手を離し隠れる場所を探そうと振り返った瞬間、よく知った声がひそひそと呼びかけた。
「リヴっ! リヴ、そこにいる!?」
「マニー!?」
勢いよくドアに飛びつく。
恐る恐る薄くドアを開ければ、お仕着せ姿のマニーが洗濯かごを抱えて立っていた。
「物置小屋にも厩にもいなかったから、ここかと思って! 会えてよかったわ! 着替えを持ってきたの、早く着替えて!」
ドアの隙間からぐいぐいと押し付けられるお仕着せ一式を受け取る。
自分のお仕着せはすでに返却してしまったので、これはマニーの予備だろう。
「ありがとう! どうしようかと思ってたの!!」
「いいから早く早くっ!」
さっさと着替えろとばかりに、ぱたんとドアが閉められた。
応援ありがとうございます!
23
お気に入りに追加
1,243
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる