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61~最終話
61a、何を隠そう
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立ち上がって姿見に全身を映す。
視界一杯に広がるのは、春の日差しを思わせる淡いクリームイエローのドレス。
ふんわりとしたシフォン生地のスカートには所々摘まんだように緩やかなドレープが入り、その頂点をオレンジ色のバラが彩る。
幾重にも重なる生地は内側に行くほど色が薄まって、揺れるたびドレープの間から覗くアンダースカートの白が軽やかな印象を与えてくれる。
コルセットを締め上げぴったりとした上半身に、肩先だけを覆うレースの短袖。
大きく開いたネックラインには意匠を凝らしたペリドットのネックレスが輝き、揃いのイヤリングが耳元で揺れる。
髪型はボリュームを抑えめに。複雑な形に編み込んでまとめあげられた後ろ髪は、たくさんの小花と、植物をモチーフにした髪留めで飾られていた。
ゆっくりとつま先まで下ろした視線を上げて、鏡越しに後方のマニーを見る。
「どこもおかしくないかしら?」
「ばっちりよ! 世界一可憐な花嫁———でございます、リヴェリー様」
途中、メイド長の咳払いが聞こえたような。
コンコンコンコン
見計らったかのようなタイミングでノックの音が響き、グレニスの支度が完了したとの知らせが届いた。
もう一度くるりと全身を確認して、メイドたちを振り返る。
「みんな、素敵に仕上げてくれてありがとう! じゃあ行ってくるわね!」
「素晴らしいお式を迎えられますよう、使用人一同心よりお祈り申し上げます」
メイド長を筆頭に、着付けやメイクを担当してくれたメイドたちに見送られ、介添人を務めるマニーとともに部屋を出た。
視界一杯に広がるのは、春の日差しを思わせる淡いクリームイエローのドレス。
ふんわりとしたシフォン生地のスカートには所々摘まんだように緩やかなドレープが入り、その頂点をオレンジ色のバラが彩る。
幾重にも重なる生地は内側に行くほど色が薄まって、揺れるたびドレープの間から覗くアンダースカートの白が軽やかな印象を与えてくれる。
コルセットを締め上げぴったりとした上半身に、肩先だけを覆うレースの短袖。
大きく開いたネックラインには意匠を凝らしたペリドットのネックレスが輝き、揃いのイヤリングが耳元で揺れる。
髪型はボリュームを抑えめに。複雑な形に編み込んでまとめあげられた後ろ髪は、たくさんの小花と、植物をモチーフにした髪留めで飾られていた。
ゆっくりとつま先まで下ろした視線を上げて、鏡越しに後方のマニーを見る。
「どこもおかしくないかしら?」
「ばっちりよ! 世界一可憐な花嫁———でございます、リヴェリー様」
途中、メイド長の咳払いが聞こえたような。
コンコンコンコン
見計らったかのようなタイミングでノックの音が響き、グレニスの支度が完了したとの知らせが届いた。
もう一度くるりと全身を確認して、メイドたちを振り返る。
「みんな、素敵に仕上げてくれてありがとう! じゃあ行ってくるわね!」
「素晴らしいお式を迎えられますよう、使用人一同心よりお祈り申し上げます」
メイド長を筆頭に、着付けやメイクを担当してくれたメイドたちに見送られ、介添人を務めるマニーとともに部屋を出た。
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