【完結】乗っ取られた俺の体が、勝手に幼馴染と×××しようとしてるんだが?!

福重ゆら

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エピローグ 両想いなのに下半身の暴走を我慢しちゃう幼馴染と私の恋の末路(※)

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 私と徹は服を着ないまま、ベッドの上で横たわり、見つめ合っていた。
 徹の両親は共働きで、今日も帰りが遅いみたいだ。私の門限まで一緒にいたいとお願いしたら、徹は聞き入れてくれた。

「……ねぇ、徹。もう一つお願いがあるんだけど」

「何だ?」

「腕枕、して?」

 徹は少し固まった後、いいぞ、と言って、右腕を私の頭の下に差し入れてくれた。

「えへへ、嬉しい! 徹に腕枕してもらうの、ずっと夢だったの」

「そうか」

 徹は私が笑うのを見て、幸せそうに笑った。

 そして、ふいに徹が口を開く。

「……俺、実は昔から、那奈の笑顔が一番大事だってずっと思ってたんだ」

「え! えええっ……! 徹、そんな風に思ってくれてたの?!」

 まさか!嬉しすぎる!
 だけど徹は、ちょっと顔を赤くして、気まずそうに続けた。

「でも、那奈が……可愛すぎるせいで、ここ数年、那奈の顔を直視できなくて、すっかり忘れてて。今日久しぶりに那奈の笑顔を見て、やっと思い出した」

 なんと! 目を合わせてもらえなくなったのは、そんな理由だったのか!
 そんな理由で直視できなくなっちゃう徹も可愛いし、何より……。

「そんな、徹に可愛いなんて言われたら、照れちゃうよ……」

 自然と頬に熱が集まってしまう。

「……いや、もう、そういう顔が……! あーくそっ今も直視できねー」

 赤くなった徹は左腕で両目を覆い、天井の方を向いてしまった。

 そんな可愛いことをされると、私のイタズラ心がくすぐられるのだけど。
 徹の左腕を持ち上げて、無理やり顔を至近距離に近付けたい気持ちがムクムクと湧いてくる。

 でも、徹がそのまま話を続けたので、私はイタズラするのを我慢した。

「……俺さ。中学に上がった頃ぐらいからかな。俺は那奈に釣り合わないって思い始めて。だから目を合わせたら、那奈に報われない想いを抱いてしまいそうで。那奈と、目、合わせらんなくなった。それで自分の一番大事なもの忘れるなんて、俺は本当にバカだよな」

「……そう、だったんだ」

 こんなに優しくて、めちゃくちゃカッコ良くて、ものすごく可愛い徹が、まさかそんな劣等感を抱いていたなんて! そんな必要全然無いのに!

「今思うと、それって、那奈に報われない想いを抱いて、自分が傷付くのを恐れてたからなんだよな。今日やっと、那奈への想いを自覚して、俺の中で変に拗れてた部分がなくなってスッキリしたんだけどさ。その代わりに、『報われない片想いの辛さ』を痛感して。俺が無意識のうちに避けてたのは、これだったのかって思った」

「……あんな顔、させちゃったもんね……」

 初めての時の、徹の切なそうな顔を思い出す。

「いや、いいんだ。あの時は……、那奈はあんなに俺が好きだって態度で示してくれてたのに……あれで気付かない俺が悪い」

「……ううん……ふふっ」

 徹があまりにもバツが悪そうに言うので、思わず笑ってしまった。
 徹は更に眉を下げて言った。

「いや、あの時だけじゃないよな。那奈はずっと前から、俺に想いを伝え続けてくれてたんだよな。俺が冗談だと勘違いして気付かなかった間も、ずっと」

「……うん」

 私が答えると、徹は泣きそうな笑顔になって、私の頭をくしゃっと撫でてくれた。

「……那奈、あんなにも長い間、報われない片想いを続けるのは……辛かったよな」

「……っ!」

 まさかそんな……!
 そんなことを言われてしまったら。

 涙が込み上げてしまう。

「俺、自分が片想いだと思ってたのってたった1時間ぐらいだったけど、かなりキツかった。那奈と結ばれてめちゃくちゃ幸せなのに、那奈は俺のこと好きじゃないって思うとめちゃくちゃ悲しくて辛くて切なくて。いっそ諦めてしまえば楽なのかなと思ったけど、そんなこと到底出来なさそうで」

 徹は、眉を下げながら、私の涙を指で拭って、言った。

「那奈、……ずっと気付いてやれなくて、本当にごめんな」

「……ううん、徹、ううん……!」

 涙がどんどん溢れてしまう。
 止めなきゃと思うのに。
 徹は私の瞳を見て、私の涙腺を決壊させる一言を言った。

「那奈、ずっとさ、俺を好きでいてくれて、俺を諦めないでいてくれて、ありがとう」

 ーーー徹が、私の長い長い片想いを、何度も絶望しかけた過去の私を、救ってくれたような気持ちになった。

「……うん! ……徹! ……ありがとう」

 こんなに優しくて愛しい人と結ばれることができたなんて。
 喜びと幸せで胸がいっぱいになる。

 徹をずっと好きでいて、徹をずっと諦めないでいて、……本当によかった!

「徹……! 大好き……愛してる!」

「うん。那奈、俺も大好き。愛してるよ」

「……徹、来世も結ばれよう?」

「えっ……今世やっと結ばれたばっかなのに?! 早すぎねーか?!」

「えへへ」

「……まぁいいか。……うん。俺も、那奈と来世も結ばれたい」

「えへへ、徹! 嬉しい!!!」

 私は徹に抱きついた。その勢いで仰向けになった徹に、覆い被さるようにして私はしがみつく。
 しかし、その瞬間。

「うわああああ! 那奈っ! ダメだ! 離れろ!」

 徹に肩を掴まれ制止された。
 ……すると、私の足の付け根辺りでムクムクと大きくなるものが。

 徹は真っ赤になって、私から目を逸らした。

「……ねぇ、徹」

「……」 

 ムク。

「せっかく来世の約束もしたんだしさ。ここは、来世まで続く愛を誓い合うところじゃないかな?」

「……」

 ムクムク。

「私、もう全然痛くなかったよ?」

「……」

 ムクムクムク。

「だからさ、さっき言ってた『次』、してみない?」

「……」

 ムクムクムクムク。

 私が言葉を発する度、徹はどんどん赤くなり、徹の固いものはすっかり私のお腹辺りまで大きくなっていた。

 なのに、徹は必死で我慢している様子で、私のことを全然見てくれない。
 その時ふと、今まで徹が私を見てくれなかった、もう一つの理由に思い至った。

「……徹さ、さっき私の顔を見れなかった理由は『自分が傷付きたくなかったから』だって言ってたけど。もしかして、その……欲情を暴走させて、私を傷付けたくないって思いも大きかったんじゃない? ……今みたいに」

「……っ!」

 徹が息を呑んだ。

「今はせっかく両想いになって来世も誓い合ったんだし、……私もしたいし、これからは……徹に我慢、してほしくないな……」

 私がそう言うと、徹は眉を下げながら口を開いた。

「……確かに、今まで、我慢しようとしてたのも……あったかも」

「そっか……やっぱりそうだったんだね。徹は優しいから、きっと私のために我慢してくれてたんだよね。……でもね、私、徹に……したいって思ってもらえるのも、すごく嬉しいよ?」

「……!」

 徹が目を見開いた。
 私は徹の瞳を見つめて、続けた。

「……だからお願い、徹。我慢しないで?」

 すると、徹は泣きそうな顔になりながら言った。

「……うん。……ありがとう、那奈」

「えへへ」

 そして徹は、私の瞳をまっすぐに見て言った。

「……那奈、俺……したい!」

「えへへ、やったー! 嬉しい! しよう!!!」

 私は徹に抱きついた。今度は徹も抱き締め返してくれた。

 2人で見つめ合い、そして、私は口を開いた。

「……じゃあ、今度は私が付ける番ね!」

「おっ、おい! 待て! 待つんだ、那奈!!! ……うわぁっ」


 ーーーこうして私たちは、門限までの時間、来世まで続く愛をたっぷりと誓い合ったのだった。



 ◇◇◇◇◇



 ーーーそして、かなり遠くの未来。

 愛し愛され、幸せな今世を終えた私と徹は、改めて「来世も結ばれたい」と願ったのだけど。
 それを叶えるため、私たちの魂を運んでいた神様が、またもやうっかり落としてしまい……。

 ……私たちが落ちた先で、ナンナさんとトールさんに再会するのは、また別のお話。



 おわり
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