【完結】前世、婚約目前で私を捨てた元カレそっくりな男に「妊娠しないと出られない部屋」への入居を迫ったら溺愛されました

福重ゆら

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05. 私が「妊娠しないと出られない部屋」で恋に落ちた理由※

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 雄ドラゴンの第一声で、愚かな希望を打ち砕かれた私だったが、最初のうちはどうしても元カレと重ねてしまっていた。
 しかし次第に、私は二人は別人であると認識することができた。

 その一番の要因は、スケスケワンピを見る、あの、エロい目である。
 元カレの顔でそんな目をされるのは、正直、違和感しかなかった。
 ……いや、着ていたのは私なので、エロい目を向けられたことに対しては何も言えないんですけど。
 むしろ私の目的を考えると、私なんかにエロい目を向けてくれたことに感謝しなきゃいけないんですけど。
 ……たぶん元カレだったら、真っ赤になって、こちらを見ないようにするんだろうなと思った。

 次に、違和感が大きかったのは、声だ。
 細めの癒やしボイスの元カレに対し、この雄ドラゴンは太くて重低音。
 声質は似ているかもしれないけど、聞いた時の印象が全く異なっていた。

 それ以外にも、表情も仕草も口調も性格も、何もかもが元カレと全然違う。
 寝顔から受けた印象通り、この雄ドラゴンの一挙一動はとにかくワイルドで豪胆だった。
 顔が似ていても、一挙一動が上品で繊細だった元カレと、この雄ドラゴンを重ねることはなくなった。

 だというのに、私の胸の高鳴りはどんどん加速していった。

 起きた直後の反応から、繁殖活動の打診なんて全く聞いてもらえないかもと思ったけど、俺様な態度なのに「聞くだけだぞ」と言って、真面目に聞いてくれたこと。
 勝手に連れてきたことに対して謝罪すると「お前は悪くないだろ」と言ってくれたこと。

 元カレとは別人だと認識した上で、この雄ドラゴンに惹かれていくのを感じた。

 だけど、雄ドラゴンが「自由になりたい」という言葉を発した時はドキッとした。
 元カレに振られた時に言われた言葉だったから。
 それに、自由を大事にしているなら、たとえ期間限定であっても、研究所の繁殖活動に協力することはないだろうなと思った。
 でも、私は、その時にはすっかり「もし繁殖活動するならこの雄ドラゴンがいい」と思ってしまっていて。「繁殖活動が終わったら解放する」という点を強調して、わずかな希望に縋り付いてしまった。

 その後も、「きっと断られるだろうな」と思いながら説明を続ける私に、雄ドラゴンはとても優しかった。

 研究所の意向による繁殖活動について「お前はいいのか?」と気遣ってくれたこと。
 「スレンダーな体型が好み」と言われた時は、元カレがスレンダーな後輩に乗り換えたことを思い出して心を抉られたけど、その後「ダイエットなどしなくていい」と言ってくれたこと。

 私の元カレへの恋心が、どんどんこの雄ドラゴンに塗り変えられていくのを感じた。

 お名前を伺うと、ユークリッド様だという。

 なんと、ユークリッド様は最終的に、私の繁殖活動に協力すると決めてくれた。
 「自由気ままに旅を続けていたい」と言っていたのに、私の繁殖活動に協力してくれるなんて。

 ワイルドで豪胆で俺様タイプ。なのに、めちゃくちゃ優しい。

 私の心を射抜くギャップ!
 しかも好みど真ん中の顔の持ち主である。
 もうそれだけで、私が恋に落ちない訳がないというのに。
 そこで、私が完全に恋の沼に落とされる出来事が起きた。

 私が自分のことを「魅力的ではない」と言ったあとの、ユークリッド様の言葉。

「いいや、魅力的だ。……俺にとっては」

 私のこと? 本当に? そう思ってくれるの?
 ……嘘かもしれない。雰囲気を盛り上げるためのリップサービスかもしれない。

 だけど。

 この瞬間、私は完全に、ユークリッド様への恋にハマり、抜け出せなくなったのを感じた。


 ◇


 恋を自覚した直後、ユークリッド様にキスをされ、ソファに押し倒された。
 繁殖活動を迫ったのは私なのに、脳内の処理が追いつかず、ガチガチに固まってしまった。

 しかしその時、ユークリッド様の「自由になりたい」という言葉が脳裏をよぎる。

 そうだ。ユークリッド様は『好きになってはいけない男』だ。
 正確に言うと『好きになったからといって束縛してはいけない男』である。
 元カレと違って、最初から「自由でいたい」とハッキリ言ってくれるから、わかりやすい分ありがたい。
 うっかり「私の番になって、ずっと一緒にいてほしい」と、ユークリッド様の自由を制限してしまうようなことは絶対にあってはならない。
 ……まあ、その辺りは、180年にも及ぶ片想いのプロの私である。
 ユークリッド様への恋心を胸に秘めておくことなど容易いことだろう。

 そこまで考えたところで、腹を括ることができた。
 ユークリッド様がここを去るまでの間、ユークリッド様への恋に、こっそりハマっていよう。

 腹が括り終わったところで、私の唇に与えられる快感がより激しくなったことに気付く。

「……ん……」

 あまりにもキスが気持ち良くて、私も唇をユークリッド様の唇に這わせてしまう。
 すると、ユークリッド様が私の唇の隙間から、舌を差し入れ私の歯列をなぞった。
 お腹の奥が切なくなる。

 瞳を開けると、ユークリッド様と目が合った。
 ユークリッド様の瞳がギラリと光る。
 ……ユークリッド様は今はヒト型なのに。その瞳の獰猛さはドラゴンのそれだった。

 ゾクゾクした私は、自然と口が開いてしまったようで、その隙間からユークリッド様の舌が侵入してきた。
 そのまま、私たちは舌を絡め合う。

「……ん……ふ……」

 一層激しく動くユークリッド様の舌に、私も夢中で舌を絡めてしまう。

 すると、ユークリッド様の手のひらが私の胸の愛撫を始めた。
 気持ち良い。……というか、何だかめちゃくちゃ変な気分になる。
 このとんでもなく薄い服と下着越しに触られると、胸に与えられる刺激が、すごくて……。

 まずい。ちょっと、いや、かなり、まずい。

 ユークリッド様の胸への愛撫が激しさを増す。

 だめ、だめ、だめ。

 ユークリッド様が胸の蕾を、指先でそっと撫でた瞬間。
 私に強い快感が走った。

「ぁぁっ……」

 ユークリッド様の唇が離れる。

「ユークリッド……様……」

 切ない。お腹の奥がキュンキュンする。欲しい。もっと欲しい。

 すると、ユークリッド様が私の耳元で囁いた。

「アイデシア、お前は可愛いな」

 重低音の、お腹の奥に響く声で、優しく耳元で囁くの、ダメです!しかも「可愛い」だなんて、反則ですよぅ……!

 するとユークリッド様はそのまま舌を私の耳に這わせた。
 みっ、みみ! ひゃあ!
 前世から弱い耳が、今世は更に弱くなってしまったようだ。私の奥がトロトロ蕩けていく。

 しかも、ユークリッド様は指で胸の蕾の愛撫を始めた。
 耳だけでも一杯一杯なのに! そこもですか?! うひゃあ!
 弱いところを同時に攻められ、私の蕩け具合は加速する。

 更にユークリッド様は、ブラの隙間から指を差し入れ、蕾を弄った。ワンピースを着たままなので、ユークリッド様の指の刺激に、スケスケのメッシュ素材の刺激がプラスされている状態だ。

 まってまってまって!!!

 快感が許容量を既にオーバーしている。
 ……私、最後までもつんだろうか?

「ぁっ……やぁっ……ぁんっ」

 お腹の奥はすっかり蕩けていて、脚と脚を擦り合わせてしまう。
 すると、ユークリッド様がワンピースの裾をたくし上げ、太ももへの愛撫を始めた。

 太いからあまり触らないでほしいと思う気持ちが湧いたけど、一瞬で、触って欲しくてたまらない気持ちに塗り替えられた。
 ああ、でも、もっと、もっと、気持ち良くしてほしい。

 すると、ユークリッド様は私の恥骨に指を置き、耳元で囁いた。

「アイデシア、こっちも触れて欲しいか?」

 私は頷いた。

「はい……ユークリッドさま……」

 もう、触れて欲しくてしょうがない。そんな気持ちでユークリッド様を見てしまう。
 すると、ユークリッド様がキスをしながら秘部の愛撫をしてくれた。

 気持ち良い。気持ち良さに蕩けていたら。
 ユークリッド様がクロッチの隙間から指を差し入れ、秘部に触れた。

「んああぁっーーー」

 あまりの快感にのけぞってしまう。
 その瞬間、ブラがずり下がって、胸が露わになってしまった。

 恥ずかしくてブラを直そうかと思ったら、その前に、ユークリッド様の唇が胸の蕾に落とされた。

「ぁああっ」

 ワンピのメッシュ越しに、唇と舌が、私にとんでもない刺激を与える。

 まって。むり。むり。それは、はんそく。反則ですよぅ。

 とっくに許容量をオーバーした快感が、一層高まっていくのを感じる。
 なのに、ユークリッド様は更に、指で秘部の蕾をクルクルと愛撫し始めた。

「あぁん、ふわっ、ぁああっ」

 ユークリッド様はどんどん愛撫を加速させていく。

「ぁっ、ああっ、ああん、……ダメ、ゆ、ゆー、くりっど、さま、ダメぇっ……ぁあああああああっ」

 私の頭の中に白い爆発が起き、ビクビクと震えた。

「はぁ……はぁ……」

 呼吸しかできないでいる私の耳元で、ユークリッド様が囁く。

「アイデシア、上手にイけたようだな」

 私はこくんと頷いた。
 私、前世はなかなかイけなくて悩んでいたのに。
 ……ユークリッド様にかかればすぐだった。

「いい子だ。じゃあ……指を挿れるぞ」

 私はまた、こくんと頷いた。

 ユークリッド様が指で、私のナカを優しく時間をかけて解してくれた。
 ユークリッド様の豪胆そうな見た目から、初めては痛いんだろうなと思っていたんだけど。
 私が痛くないように、私の体をものすごく気遣ってくれているのがわかった。

 ユークリッド様が指を引き抜き、言った。

「アイデシア、いいか?」

「はい。ユークリッド様、お願いします」

 ユークリッド様が少しずつ私のナカに挿入ってくる。
 恋する相手と結ばれる。
 幸せ。……幸せだ。
 長い間、二度と会えない人を想っていたから。

「……全部挿入ったが……アイデシア、大丈夫か?」

 私はこくんと頷いた。
 ユークリッド様は私を気遣うように、頬を撫でてくれた。
 優しくしてもらえて幸せで、私はユークリッド様の手に自分の両手を重ねた。
 今は、こうやって、恋する相手に、手だって重ねられるんだ。
 私が幸せを噛み締めていると、ユークリッド様も、心底幸せそうな笑顔を浮かべた。

 ーーーああ、私、ユークリッド様のこと。
 まだ出会ったばかりなのに、すっかり愛しい気持ちが芽生えている。
 だから、この愛しい人を絶対に束縛してはいけない。

 私の胸に甘く切ない痛みが走る。

 すると、ユークリッド様は私に深く口付けた。
 舌を動かす余裕がない私の口腔内を、ユークリッド様は余す所なく舌で愛撫してくれる。

「んんっ、んんんっ、んぁあっ」

 口内に与えられる快感に夢中になっているうちに、ユークリッド様のモノが私のナカに与える刺激に、徐々に快感を感じるようになってきた。
 すると、ユークリッド様が私の耳元で囁いた。

「……動くが、痛むなら言え」

「はい、ユークリッドさま……」

 ユークリッド様がゆっくりと抽送を開始した。

「ああっ、はぁあっ」

 私はもう、ユークリッド様に与えられる快感でいっぱいだった。
 思考は溶け、ユークリッド様に溺れている感覚になる。

「ああんっ、ひゃあんっ、ゆー、くりっど、さまぁっ」

「ーーーアイデシアっ」

 ユークリッド様がひときわ強く腰を打ちつけた。
 そして、ユークリッド様が私のナカでドクドクと脈打つのを感じた。

 ……ああ、幸せだ。
 そんな想いでユークリッド様を見つめたら、強く抱きしめてくれた。
 私はもっと幸せになった。


 ◇


 ユークリッド様の腕の中、幸せに浸りながら、私は考えた。
 この後はどうしよう? ユークリッド様はご飯かな? 私はお風呂に入ろうかな?

 ……なんて考えていたら、ユークリッド様が私の服を脱がせた。
 脱がせなかったのは、てっきり、私の体が魅力的じゃないからだと思っていたのに、「エロかったから」と言われてものすごく驚いた。

 それだけでも驚きだったのに。
 ユークリッド様は私を抱きしめながら、……なんと私を持ち上げたのだ。
 私たちは繋がったまま……である。

「えっ……?! ユークリッド様……?!」

「続きはベッドでするぞ」

「えっ……?! このままベッドに?! それに、……続き、ですか?!」

「ああ。何しろ『妊娠しないと出られない部屋』だからな。お前も繁殖成功率が低いと言っていた通り、1日1回だけじゃ、なかなかデキないだろう。毎日たっぷり子種を注いでやるから安心しろ」

「そ、そんな毎日なんて! 無理なさる必要はないですよ?!」

「無理じゃない。俺がしたいんだから気にするな」

「き、気にしますよぅ!」

 ユークリッド様は昼寝中に連れ去られ、私の事情に巻き込まれただけなのに。
 私のためにそこまでする必要なんてないのに。
 なんて優しいヒト……いや、優しいドラゴンなんだ。

 しかしそこで、私は自分の体重を思い出し、ハッとする。

「それに、私、重いので自分で歩きます!」

「抜いたらせっかく注いだ子種が出ちゃうだろ。全然重くないから安心して掴まってろ」

 絶対重いはずなのに。
 ユークリッド様のがっしりとした腕は、私が重いと思っていることなんて微塵も感じさせない。

 それに、子種のことまで気にしてくれるなんて。
 私の繁殖活動のことを真剣に考えてくれていることがわかり、私の恋心がまた加速する。

 私を抱き上げる逞しい体にドキドキしながら、私はユークリッド様の首に腕をまわした。

「……うん、いい子だ」

「ユークリッド様……」

 ユークリッド様は、重低音の声で私の耳元で囁く。

 ああ、もう、そんな良い声で『いい子だ』なんて言われたら、どんな女でも落ちますよぅ。
 ユークリッド様、絶対! 絶対モテる!
 旅の途中、行く先々で、可愛い女の子たちを、落としまくってたんだろうなぁ。
 ……そんなことを考えていたら、少し切ない気持ちになった。

 そして、そんな気持ちのまま、ユークリッド様を見つめていたら……頬に口付けされた。

 もー!!! そういうところですよ! そういうところが女の子の心をガッチリ掴んじゃうんですよ! ユークリッド様!!!

 私の頭の中が今世初の新しい恋で沸き立っている間に、寝室にたどり着いた。

 ユークリッド様は繋がったままの私をベッドに横たえ、私の上に覆い被さる。

 また、ユークリッド様の瞳がギラリと光る。
 お腹の奥がキュンキュンする。

「じゃあ、アイデシア、動くぞ?」

「……はい、ユークリッド様」

 ユークリッド様が私をぎゅうっと抱きしめ、ゆっくり抽送を開始した。

 私も、もっとユークリッド様にくっつきたくて、その背に腕を回す。

 先ほどはワンピース越しだったユークリッド様の体温。
 その優しい温もりを感じながら抱かれるのは、本当に幸せだった。

 この幸福感が私をどんどん高めていく。

「あっ、ああんっ、はぁんっ」

 私が高まっていくのと同時に、ユークリッド様の動きがより一層激しさを増す。
 そしてユークリッド様が私の最奥を突いた時、痺れるような強い快感が私を襲った。

「ぁっああっぁああああっ」

 激しい快感に、全身が痺れるようだった。
 私は堪らずユークリッド様を見上げると、ユークリッド様が意地悪な笑みを浮かべた。

「ん?アイデシア、ココがイイのか?」

 そしてグリグリと私の奥を攻め始める。

「んああっはああんっいやあぁっ」

 とんでもない快感が私を襲う。

 知らない! こんなの知らない!
 初めて味わう激しい快感に、頭の中が、もうどうにかなってしまいそうだった。
 自然と涙が出てしまう。

「あぁあんっ、むりっ、もおっ、むりぃっ、やああぁっ」

「っーーー」

 ユークリッド様も何かに耐えるような顔をして、一度動きを止めた。

 2人ではぁはぁと息を整える。

 すると、ユークリッド様は私の両脚を肩にかけ、足を抱えた。
 瞳をギラリと光らせて、言う。

「いくぞ」

「はい、ユークリッドさま……」

 ユークリッド様が私に覆い被さるように腰を打ちつける。

「ーーー!!!」

 瞬間、私の頭の中が真っ白になった。

「ああんっ、おくっ、おくにっ、ああっ、だめぇっ」

 ユークリッド様が、先程よりも、ずっと奥を突くのがわかる。
 さっきのでも一杯一杯だったのに、もっとだなんて!
 ユークリッド様の腰が私の腰に当たるたび、私の中に真っ白な爆発が起こる。

「あああん、もうっ、だめぇっ、ゆーくりっど、さまぁあっ」

 ユークリッド様が一際強く腰を打ち付けた瞬間、真っ白な大爆発が私を襲った。

「ぁあああああああっーーーーー」

 その瞬間、思考が飛んでしまった私の中に満たされる想い。

 ーーー離れないで。
 行かないで。
 捨てないで。
 私を一人にしないで。
 もう一人は嫌。嫌なの。

 叶うはずのない願いが、快感の中に溶けていった。

 そして、私はそのまま意識を手放した。
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