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第三十四筆 まりあ様からのオファー!
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あなた、この間の配送員さんでしょう?
この言葉は、龍に非常に激しくも恐るべきお知らせだった。
まるぐりっとが、鬼丸まりあが自分を『特定』したからである。
無論、龍はしらばっくれるメッセージを送る。
ギアドラゴン:私はただのWeb小説家です。
テンプレ的な否定文。
普通ならこれにて終了であるが、あの『まるぐりっと』だ。
このメッセージだけで「はい、そうですか」というわけがない。
まるぐりっと:つらら女。
ギクッ!
龍はそのメッセージを見て、まるで電気ショックを流されたかのように体が動いた。
つらら女、まるぐりっと即ち鬼丸と初めて出会ったときの第一印象をご本人様が述べたのだ。
全身の穴という穴から汗が流れ出る気分となる龍。
心臓の高鳴りを感じながらも、DMのメッセージを打ち込む。
ギアドラゴン:私はただのWeb小説家です。
龍はRPGの村人のように同じ返答する。
誤魔化せ、誤魔化せ、このまま誤魔化せばなんとかなる。
最後まで知らぬ存ぜぬの態度を押し通せばいいと甘く考えたときだ。
「はうわっ!」
龍は目を見開いた。
まるぐりっとから過去のポストを送り付けられたのだ。
読者諸君はこのポストを覚えているだろうか?
ギアドラゴン:🚚❄️今日の仕事中に信じられない出来事が❄️🚚 俺は今日という日に『とんでもない女』に出会ったことを報告する! あれだ! つらら女だ! 灰色のワンピースを着た『現代のつらら女』に会ったんだ! 俺はホラー映画をリアルで体験したんだぜ!
初対面の人間に誠に失礼なポスト、それに相手はお客様である。
彼女や妻の悪口を本人がいないところで言ってたが、実は盗聴器などにより録音をとられ証拠として突きつけられたような感じだ。
君達もSNSでは本人にわかりそうな悪口を言ってはいけないよ。
それはきっと特定されていて、後で面倒くさいことになる可能性があるからだ。
まるぐりっと:あなたよね、ヤマネコ運輸の配送員さん。
まるぐりっと:この間は箱を開けてくれてありがとう。
まるぐりっと:阿久津川さん。
まるぐりっとからの通知は止まらない。
それはまさしく『鬼女』からのメッセージ。
とうとう、阿久津川という龍の本名まで出されてしまった。
※鬼女:昔話などに伝わる女性の鬼のことではない。某匿名掲示板における既婚女性(匿名なので本当にそうなのかは疑わしいが)を差す言葉。恐怖のリサーチ力により、一つの情報から相手を特定する能力を持っているとされる。
「ひっ!」
龍は顔面蒼白となった。
まるで女吸血鬼に生き血を全て吸われたような気分だ。
まるぐりっと、いや鬼丸は自分の名前をしっかりと覚えていた。
ただの配送員なのに何故?
おそらく作業服の胸につけていた名札を見たに違いない。
「お、おのれ! 名札め!」
鬼丸が龍のことを覚えているのも仕方がないことかもしれない。
まず、初対面が最悪の接客サービスだった。
例え相手が物の怪に見えようとも(失礼)お客様には変わりない。
真心込めた配送サービスが必要だった。
それに仕事のことをSNSで呟いてはいけない。
世界中に情報を公開している状態、意外とみんな忘れがちなことだ。
一人で呟いているようで、実は見ている人の中に指摘するご本人様がいる可能性だってある。
「う、ううっ……」
龍は目を瞑り歯軋りしながら大後悔。
何故あんな接客をしたのか、何故不特定多数が見るSNSで呟いたのか。
しかし、これらは所詮トリガーだ。
一番の原因は『印象』という名のクリティカルヒット。
二回目の配送時に『書籍化作家まるぐりっとのリアルな姿』を知ってしまったのが原因だろう。
まるぐりっと:マスターカラテ迅……そのアイコン『霧島迅』みたいね。
まるぐりっと:過去のポストを掘り返して調べは済んでるわ。執筆以外でも仕事のことを呟いてるわよね?。
まるぐりっと:「荷物は運ぶことで体力つける」や「数分遅れたくらいでクレーム入れるなんて」とかさ。配送員の仕事やってるのバレバレだよ?
名探偵まるぐりっとの推理が龍を追い詰める。
龍は『マスターカラテ迅』を例に挙げながら鬼丸に説教した。
過去のポストとその説教がヒントとなり、ギアドラゴンは『配送員の阿久津川』であると仮定付けたようだ。
ただ、この推理にも穴がある――。
ギアドラゴン:私はただのWeb小説家です。
しらばっくれたらよいのだ。
第三者の目からすれば、所詮は鬼丸の妄想を話しているにしか過ぎない。
決定的な証拠を突きつけなければバレることはない。
まるぐりっと:いつまでも同じことをいうの。
ところがどっこいです。
まるぐりっと:配送エリアからヤマネコ運輸のH支店。
そうはいきません。
まるぐりっと:お客様サービスセンターは「〇〇〇〇-334-△△△」だよね。
この鬼丸は――。
まるぐりっと:「阿久津川って配送員に勝手に家に入られた」っていうクレームを入れるわ。
とんでもない人だった!
「な、なんでや! ヤマネコ運輸は関係ないやろっ!」(エセ関西弁)
無敵の人。
社会的に何も失うものがなく、犯罪を起こしても躊躇しない人を意味するインターネットスラングである。
この鬼丸も『無敵の人』なのか、龍の職場に電凸するというのだ。
しかも、相手に冤罪をかけても構わないという『黒い決意』を感じさせるメッセージ。
流石の龍もこれには参った。
「ど、どうすればええんや……」
まさに何やっても上手くいかない状態。
連敗し続けるチームを率いる監督のような気分だろう。
このまま鬼丸に電凸されてしまってはたまらない。
まるぐりっと:3分以内に返答を求めるわ。
まるぐりっと:同じメッセージをするのもよし。
まるぐりっと:もしくは素直に認めるのもよし。
まるぐりっと:いい答えを待っています。
どうする龍よ?
ギアドラゴン:私はただの――。
ただの?
ギアドラゴン:ヤマネコ運輸の配送員です。
み、認めちまったアアアアアアアアアアッ!
「ち、ちくしょう……」
龍は数々の事件の真犯人のように膝から崩れ落ちた。
視線は下を向き、目からは不思議と涙がこぼれ落ちる。
かなり脅迫と誘導尋問であるが正解は正解。
自分がヤマネコ運輸の配送員であることをとうとう白状した。
さて、ここで二時間ドラマの探偵や刑事なら犯人に一言あるはずだ。
慰めか、戒めか、怒りか――。
鬼丸の返答は如何に?
まるぐりっと:阿久津川さん、今度会いましょう。
「な!」
まるぐりっと:空いてる時間を教えて下さい。なるべくなら日曜日がいいです。
な、なんと!
鬼丸より『会いたい』というオファーが舞い込んだ!
「お前は無職! 毎日が日曜日だろうが!」
龍よ、そこはツッコミどころではない。
お前は鬼丸まりあと三度のご対面をするのだ。
太古の昔より「仏の顔も三度まで」という諺がある。
怒りか、冷血か、笑いか。
鬼丸が見せる顔は果たして――。
この言葉は、龍に非常に激しくも恐るべきお知らせだった。
まるぐりっとが、鬼丸まりあが自分を『特定』したからである。
無論、龍はしらばっくれるメッセージを送る。
ギアドラゴン:私はただのWeb小説家です。
テンプレ的な否定文。
普通ならこれにて終了であるが、あの『まるぐりっと』だ。
このメッセージだけで「はい、そうですか」というわけがない。
まるぐりっと:つらら女。
ギクッ!
龍はそのメッセージを見て、まるで電気ショックを流されたかのように体が動いた。
つらら女、まるぐりっと即ち鬼丸と初めて出会ったときの第一印象をご本人様が述べたのだ。
全身の穴という穴から汗が流れ出る気分となる龍。
心臓の高鳴りを感じながらも、DMのメッセージを打ち込む。
ギアドラゴン:私はただのWeb小説家です。
龍はRPGの村人のように同じ返答する。
誤魔化せ、誤魔化せ、このまま誤魔化せばなんとかなる。
最後まで知らぬ存ぜぬの態度を押し通せばいいと甘く考えたときだ。
「はうわっ!」
龍は目を見開いた。
まるぐりっとから過去のポストを送り付けられたのだ。
読者諸君はこのポストを覚えているだろうか?
ギアドラゴン:🚚❄️今日の仕事中に信じられない出来事が❄️🚚 俺は今日という日に『とんでもない女』に出会ったことを報告する! あれだ! つらら女だ! 灰色のワンピースを着た『現代のつらら女』に会ったんだ! 俺はホラー映画をリアルで体験したんだぜ!
初対面の人間に誠に失礼なポスト、それに相手はお客様である。
彼女や妻の悪口を本人がいないところで言ってたが、実は盗聴器などにより録音をとられ証拠として突きつけられたような感じだ。
君達もSNSでは本人にわかりそうな悪口を言ってはいけないよ。
それはきっと特定されていて、後で面倒くさいことになる可能性があるからだ。
まるぐりっと:あなたよね、ヤマネコ運輸の配送員さん。
まるぐりっと:この間は箱を開けてくれてありがとう。
まるぐりっと:阿久津川さん。
まるぐりっとからの通知は止まらない。
それはまさしく『鬼女』からのメッセージ。
とうとう、阿久津川という龍の本名まで出されてしまった。
※鬼女:昔話などに伝わる女性の鬼のことではない。某匿名掲示板における既婚女性(匿名なので本当にそうなのかは疑わしいが)を差す言葉。恐怖のリサーチ力により、一つの情報から相手を特定する能力を持っているとされる。
「ひっ!」
龍は顔面蒼白となった。
まるで女吸血鬼に生き血を全て吸われたような気分だ。
まるぐりっと、いや鬼丸は自分の名前をしっかりと覚えていた。
ただの配送員なのに何故?
おそらく作業服の胸につけていた名札を見たに違いない。
「お、おのれ! 名札め!」
鬼丸が龍のことを覚えているのも仕方がないことかもしれない。
まず、初対面が最悪の接客サービスだった。
例え相手が物の怪に見えようとも(失礼)お客様には変わりない。
真心込めた配送サービスが必要だった。
それに仕事のことをSNSで呟いてはいけない。
世界中に情報を公開している状態、意外とみんな忘れがちなことだ。
一人で呟いているようで、実は見ている人の中に指摘するご本人様がいる可能性だってある。
「う、ううっ……」
龍は目を瞑り歯軋りしながら大後悔。
何故あんな接客をしたのか、何故不特定多数が見るSNSで呟いたのか。
しかし、これらは所詮トリガーだ。
一番の原因は『印象』という名のクリティカルヒット。
二回目の配送時に『書籍化作家まるぐりっとのリアルな姿』を知ってしまったのが原因だろう。
まるぐりっと:マスターカラテ迅……そのアイコン『霧島迅』みたいね。
まるぐりっと:過去のポストを掘り返して調べは済んでるわ。執筆以外でも仕事のことを呟いてるわよね?。
まるぐりっと:「荷物は運ぶことで体力つける」や「数分遅れたくらいでクレーム入れるなんて」とかさ。配送員の仕事やってるのバレバレだよ?
名探偵まるぐりっとの推理が龍を追い詰める。
龍は『マスターカラテ迅』を例に挙げながら鬼丸に説教した。
過去のポストとその説教がヒントとなり、ギアドラゴンは『配送員の阿久津川』であると仮定付けたようだ。
ただ、この推理にも穴がある――。
ギアドラゴン:私はただのWeb小説家です。
しらばっくれたらよいのだ。
第三者の目からすれば、所詮は鬼丸の妄想を話しているにしか過ぎない。
決定的な証拠を突きつけなければバレることはない。
まるぐりっと:いつまでも同じことをいうの。
ところがどっこいです。
まるぐりっと:配送エリアからヤマネコ運輸のH支店。
そうはいきません。
まるぐりっと:お客様サービスセンターは「〇〇〇〇-334-△△△」だよね。
この鬼丸は――。
まるぐりっと:「阿久津川って配送員に勝手に家に入られた」っていうクレームを入れるわ。
とんでもない人だった!
「な、なんでや! ヤマネコ運輸は関係ないやろっ!」(エセ関西弁)
無敵の人。
社会的に何も失うものがなく、犯罪を起こしても躊躇しない人を意味するインターネットスラングである。
この鬼丸も『無敵の人』なのか、龍の職場に電凸するというのだ。
しかも、相手に冤罪をかけても構わないという『黒い決意』を感じさせるメッセージ。
流石の龍もこれには参った。
「ど、どうすればええんや……」
まさに何やっても上手くいかない状態。
連敗し続けるチームを率いる監督のような気分だろう。
このまま鬼丸に電凸されてしまってはたまらない。
まるぐりっと:3分以内に返答を求めるわ。
まるぐりっと:同じメッセージをするのもよし。
まるぐりっと:もしくは素直に認めるのもよし。
まるぐりっと:いい答えを待っています。
どうする龍よ?
ギアドラゴン:私はただの――。
ただの?
ギアドラゴン:ヤマネコ運輸の配送員です。
み、認めちまったアアアアアアアアアアッ!
「ち、ちくしょう……」
龍は数々の事件の真犯人のように膝から崩れ落ちた。
視線は下を向き、目からは不思議と涙がこぼれ落ちる。
かなり脅迫と誘導尋問であるが正解は正解。
自分がヤマネコ運輸の配送員であることをとうとう白状した。
さて、ここで二時間ドラマの探偵や刑事なら犯人に一言あるはずだ。
慰めか、戒めか、怒りか――。
鬼丸の返答は如何に?
まるぐりっと:阿久津川さん、今度会いましょう。
「な!」
まるぐりっと:空いてる時間を教えて下さい。なるべくなら日曜日がいいです。
な、なんと!
鬼丸より『会いたい』というオファーが舞い込んだ!
「お前は無職! 毎日が日曜日だろうが!」
龍よ、そこはツッコミどころではない。
お前は鬼丸まりあと三度のご対面をするのだ。
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