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3章 トビラの夢 『ゲームオーバーにはまだ早い』
書の7後半 善なる王子 『萌えるわ、仲の悪い双子設定』
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■書の7後半■ 善なる王子 light and right
グリーンフラグが静かにイエローフラグに切り替わったのを俺達は見ている。
キリュウから預かってきたあの手紙をミスト王子に手渡して、彼が封を開けた瞬間だった。
手紙の内容はどうでもいいのかもしれない。
ただこうやって、俺達がミスト王子に会う瞬間を手引きした役割を終えた事を示す様に、手紙の上に立っていた緑色の旗の色が黄色に切り替わっている。
手紙を受け取るまで引き締めていたミスト王子の顔が、途端緩んだのも俺達は見てしまった。
ミン、アタリだぜ。これってやっぱり恋文だ。
しかし読み進めるうちにどうも、その幸せそうな顔が怪訝な顔になっていく。
「どう……か、されましたか?」
俺は遠慮がちに聞く。蝋燭の明かりが揺らめき、陰影のはっきりついた王子の顔は途端に苦笑を浮かべる。
「なんだか妙な事が書いてあるんだけど、ちょっと訊いても良いかい?」
部下だった蛇女リラーズに向けて、憤怒を露にした威厳ある風貌とは裏腹に王子は、人懐っこい笑顔が似合う気さくな人だ。レッド曰く、カルケードのルーンザード王族ってのはこういう人柄が多いんだと。なぜか無条件に悪い人には見えない。人徳だ、多分人徳が成せる技に違いない。
「この手紙、キリュウからのものだよね?」
「ええ、間違いなく」
レッドが頷く。ミスト王子は更に苦笑して読んで見るようにと、例の手紙を差し出した。レッドは失礼が無いように受け取って、静かに目線を動かす。
「……?あれ?」
レッドが素で混乱してます。
「一体何が書いてある……んです?」
アベルの怪訝な顔に、ミスト王子はあくまでも微笑んで答えた。
「キリュウが攫われたから助け出して欲しい、と書いてあるんだよ」
「……は?」
俺達は一斉に聞き返していた。
キリュウからの手紙に、キリュウが攫われたからどうかご助力願いたい……と、書いてあるってのはどういう事だ?ちょっと待てよ、肝心の攫われたはずのユーステルの名前はどこに行ったんでしょうかね?
当然俺は前に出て、王子に直訴していた。
「ユーステル女王が攫われたんだ、八逆星の……インティとか言う奴に。心当たりは無いんですか?」
「……ふむ?」
すると、王子は微笑んだ顔のまま若干小首をかしげる。
「……ユーステル、ね」
「あの……」
「確かに伯父貴なら、魔王八逆星あたりと渡りをつけていてもおかしくは無い。俺はインティとか言う奴に心当たりは無いけれど、間違いなく攫ったのは『彼ら』だろう」
「彼らって、貴方の王の兄?やっぱり、王様って入れ替わってるの?」
ミスト王子は控えているヒュンスにわずかに目をやった。視線を感じたのか、ヒュンスは更に平伏する。
「君は思った事を口に出しすぎる、だから危険な目に会うんだよ?くれぐれも他言しない様に警告したじゃないか」
「……面目ありません」
ミスト王子は足を組み、その上で手も組んで溜め息を漏らした。
「君たちはどうやら知っている様だから明かすが、その通り。我が国カルケードは魔王の手に落ちている」
俺達、他に赤旗が居ないかどうかを見回りに行ったテリーとアイン以外、をミスト王子はゆっくりと見回す。
「……ヒュンスさんの推測は?」
王様が入れ替わっているという推測、な。
「ほぼアタリだろう。だが、そうだと俺は返答出来ずにいた……魔王を敵とするなら周りは全て敵という状況だ、上手く動けない。どこまでが敵で味方なのか……情けない事に俺には上手く判別する自信が無かった」
とは言え、現在のカルケード王はアテムートではなく、入れ替わって兄のアイジャンがやってるって事は確定の事実か。しかもアテムートとアイジャンは双子という事で、一見では見分けがつかない良く似た容姿である……と。
けど、性格の違いは隠せるものではない様にも思う。だから近しい人達は、王が入れ替わってアイジャンになっている事を察したはずだ。王子もそうだし、特殊部隊隊長のヒュンスもそう。
「でも、ホントに全然身動き取れなかったんですか?」
俺はそれでも非難せずには居られない。だって今、南国は戦争なんてものをやらかそうとしてるんだぞ?
「……狡猾な男でね」
ミスト王子は遠慮なく舌打ちして呟いた。……よっぽど伯父さんが嫌いらしい。
「事の起こりである、魔王討伐隊が派遣されて1年程は俺も気がつかなかった位なんだ」
「入れ替わってたのに?」
「ああ……」
ミスト王子は口惜しそうに視線を床に落とした。
「2年目位からボロを出すようになった。でも、俺がそれを確信した時にはもう手遅れで……家臣達はすっかり丸め込まれている状態だった。ヘタに騒げない状況だったんだよ、伯父貴は父王と変わり無く、それなりに良い顔をして祭司達の権力を認め周りを固めた。もはや俺が騒ぎ立てても国を混乱させるだけだ。国民にとって、頂が誰であるかなんて関係ないだろう?要するに国という仕組みが、まともに機能していて平穏に暮らせるなら王が誰だって構いやしないんだ」
「……王子……」
隠す事なく、王子は悔しそうに唇を噛んでいた。
「俺がヘタに動けば揚げ足を取られるだけ。でもそれでも俺は、戦争を仕掛けるだなんてバカな真似だけは許せなかった」
王子は突然立ち上がり、窓の外を睨みつける。
「それで結局この通り、すっかり前線に投げ出されてしまったわけだがね」
「決起しましょう」
レッドは割とあっさりと提案した。
しかし、よしそうしようと、ミスト王子が二言目に返事する訳がない。相手がほぼ確定偽王とはいえ、国家への反逆だぞ?もうちょっと余裕を持たせて提案したらどうだよ。
「可能、だろうか?」
少し弱気な王子の言葉に、立ち上がったのはヒュンスだ。
「彼らと協力すればこそ!偽りの王をこのまま自国にのさばらせて置くなど、しかも魔王との繋がりがあるとすれば、放置して良い問題ではありませんぞ!」
「それはそうだが……あの光る石は間違いなく、魔王の手の者を探し出す事が出来るのか?」
「出来ます」
断言する。
本当は石なんて無くても良いんだが、俺達は『奴らの頭上に赤い旗が見える』という現象を彼らに説明できないからな。この光る石は、そんな俺達の為にナーイアストが授けてくれたアイテムに違いないのだ。考えてみるとこれ以上に有用なアイテムは無い。魔王討伐隊として、これで迷いなく奴が魔王だと指差す事ができるんだからな。
その根拠を、石が光で指し示してくれる。
しかしそれでも王子はなにやら迷っていた。レッドから戻された手紙を手に取ってから、心を決めたように聞いて来る。
「先のリラーズの様に、誰が魔王の手先なのかもはっきりしてしまうんだな?」
俺達は顔を見合わせる。
「はい、そうですけど」
まるでそれでは困るという風な言葉に聞こえたんだが、それって俺の気の所為か?
「ユーステル女王を攫うように命じたのは恐らく、俺の弟だろう」
「弟?」
なんか、嫌な予感がするぞ。
「ああ、……俺も双子なんだ」
どんぴしゃ、的中です。しかしレッドは怪訝な顔をして若干驚いた声を出す。
「双子?そんな話は聞いたことがありません、」
「ああ、そうだろう。俺も実に最近知った」
ミスト王子は苦笑して額に手を当てる。
「最近……って……」
「伯父貴は俺を見限り、弟の方を次期国王に据えたい様だな。居ない者として『匿われていた』弟とやらが突然現れたんだよ」
色々と傍迷惑な話だ、と俺は正直に思ったのだが……どうもミスト王子の顔を見ているとそうでは無いっぽい。
「あいつは俺を徹底的に嫌っているな……誰も彼も敵だと反発してばかりだよ。伯父の事もエラく嫌っている、今まで居なかった者として扱われたのに、突然王位を継がせようと言うんだ。あいつにとっては迷惑な話なのかもしれないな……」
言葉だけ聞いているとああそれはお気の毒に、と言いたくなるのだが……どうも、その困った弟君の事を話すミスト王子はなんだか嬉しそうなんだよ、何故だか。
「正直、何を考えているのか良く分からない奴だ。でも、あれが俺の弟だっていうのは事実。それだけはすごく分かる、間違いが無い」
ミストは微笑んで胸に手を当てた。
「嫌われてしまうのは仕方がない、ずっと親が誰なのか、兄弟が居るのかどうかも知らずに育てられた……そんな感じの奴でさ。だから、俺を嫌うのは仕方がない。仕方がないよな?」
魔王の横暴を許した甘さ、それは知らずに刻んでいた罪の意識なのか。
「俺はこれ以上弟を不幸にしたくない」
意図してそうした訳じゃないのに、自分の所為で誰かを不幸にしつづけたという事実。
ミスト王子はものすごく優しい人で……償いたいという気持ちが、弟を守りたいという方向性に向いている。
そうする事でしか報えない、報われないのだとミスト王子は信じているのだ。
そしてそれはきっと、間違っていないんだろうと思う。
ヒュンスもそんな王子の意図に気がついて頭を下げた。
ミスト王子が恐れる事実はただ一つ。
救いたい弟を、救えない状況だったらどうすればいいのか?
という事に、違いない。
休息セーブ前の全体会議。なんだか恒例の行事になりつつある。
「仲の悪い双子設定なのね!」
経緯を見廻りで居なかったテリーとアインに説明したら、やけにテンションの高くなった彼女。
「萌えるのか?」
「いやんヤト、モエとか言わないでよッ」
アインから頭をひっきりなしにつつかれる俺。
そろそろ俺は彼女の特性が分かって来たぞ……もしかして、もしかして彼女は俗に言う『腐女子』って奴なのか?俺はアベルに事実を確認すべく目配せ。
するとアベルは肩を竦めた。つまりその仕草は……その通りよ、という返答なわけでして。あーそーデスか。
彼女、腐女子でいらっしゃいましたか。
その実態の良く分からない俺は、彼女らについてまことしやかに語られる、顕著な特徴を思い浮かべてみる。美形に目がなく、猛者だと美形とかは関係無く、とにかく男と男に設定を据えてくっつけてイチャイチャさせるのが大好物。フィルター越しに見れば全ての男同士の友情は愛情表現に様変わり……。
ひやりと、俺の背中に冷や汗が流れた。
今までの出来事をフラッシュバック。
「どうした、顔色悪いぞ」
「テリー、頼む。今日から一切話し掛けないでくれ」
「あん?」
「無駄よヤト、諦めなさい」
アベルの非情な声。
アイン、恐ろしい……恐ろしい子!
……ま、アインの俗な属性はとりあえず置いておいてだな。
全体会議の時に手短に、メージンから説明された事を整理しよう。って言っても例によって一方的なメージンの報告があっただけで俺達の質問には答えられない様だ。
まず第一に、設置予定でまだ配置されていなかったと言う『管理者デバイスツール』が完成したとの事。近い内に配置されるらしく、イベントが一区切りついたらそれらを取りに行って欲しい、という事を言われた。タイミングに関してはまた連絡するとの事だ。
てっきり俺はこの、ナーイアストがくれた透明な結晶体がまさしく、そういうツールなんだろうと思っていたが……MFC開発者がこっちの世界に送り込もうとしているものは別か?
詳しい話は、例えばどんな形状だとか、何処に取りに行くだとか、そういうのは残念ながら訊けなかった。メージンからのコメントはここの所一方通行が常だ。質問の受け答えはバックアップオペレーターシステムの負荷以外の何ものでも無いらしいからまぁ、仕方が無い。
しかしその投入されるツールで、バグプログラム正常化が可能になるかもしれないんだ。
はっきりとした効果は走らせて見ないと分からない、とか云う代物らしいが、上手く行けばレッドフラグ除去が出来るという知らせは俺達にとって朗報だ。
今、俺達がバグプログラムである『赤旗』に向けて出来るコマンドは『破壊』しかない。
感染しているオブジェクトを、世界から抹殺する方向でしかバグを正せないんだ。
それでいいじゃないかと思うか?いいや、それじゃぁ駄目だ。
殺す事でしか正常化できないなんて、救いが無いシナリオばっかじゃ腑に落ちない。救えるはずの人を救えない現状は、苦痛以外の何ものでもないだろ?
化け物だからと殺して良い訳じゃない。
確かに今まで俺達は、赤旗印の怪物に対して容赦ないジェノサイドで対応して来た訳だけどな……。
最初に遭遇した、あの不幸な黒亀の例もある。人を襲うはずの無いおとなしい魔物が凶暴化する現状を、何とか元の状態に戻してやれればいい……。
俺達がこの世界に齎すべき救いは、そうであるべきだろう。
さて、メージンから齎された情報はもう一つある。
それは例の蛇女の一件の通り……赤旗宿主(レッドフラグ:ホスト)の存在だな。一撃で俺達を吹き飛ばしかつ、致命的な傷を俺に与えた『ギル』から、マツナギの弓矢の一撃で沈黙する弱っちい『雑魚』まで。
残念ながらこれらには等しく同じ赤旗(レッドフラグ)が付いている。
相手がどれ位のパラメーターを持っているのかは、戦ってみなきゃ分からない。分かるとすれば、バックアップオペレーターをしているメージン位だろう。
一見で相手の実力なんかが分かるのは一般的なゲーム仕様だ。この世界は『一般的では無い』ゲームである事は間違いない。……いずれコンシューマーに発売されるにしたって、少なくともこの『トビラ』というソフトは、今までの一般論を覆すゲームであろう。まさに革命的な物になる。
見える景色がリアルに広がっているから、当然見た目では相手がどんな奴なのか正確に把握する術が無い。そういうのを判別する真面目な職業なり知識なり、ギミックが必要になるんだろうな。
旗が見えるってのが唯一、エラく不自然な現象な位で。
それ以外にパラメーターが頭上に表示されるわけではないんだ。
そこの所、見える様にしてくれとは思わない。
分かってしまったら面白くない、という俺の意見はゲーマーとしてのものだろうか?あまり面白いかどうかという視点で世界に身を置くのもどうかと思うが……ええと。
そうだ、それじゃぁリアリティが無い。そういう事だ。
相手のパラメーターが見えてしまうんじゃぁ一気に現実味が失せるから、そんな仕様はこの『ゲーム』には必要じゃない。そういう事だ。
どうやら『現実的』を通り越して『現実』って奴を突きつけるゲームみたいだからなぁコレ。大雑把な強敵か雑魚かの判断は幸い、戦士としての勘って奴でなんとか判別できる。今の所、それだけあれば十分だろう。
……ちょっと脱線しちまったが、つまり俺が言いたいのはこういう事な。
ホストと呼ばれる、レッドフラグを増殖させるレッドフラグというのが居るっつーのがメージンからのコメントな訳。しかし赤旗は等しくバグに表示される為に、どれがホストでどれがエンドユーザーなのかは判別つけられない訳よ。
辛うじてこれもオペレーターのメージンなら分かるみたいだが、今回みたいに必ずコメント貰えるとは限らない。
そういう訳で現時点俺達の方向性としては、赤旗は見かけたら抹殺というので一致している。
誰がホストか分からない状況ならば尚更、拡散を防ぐ為に徹底的に蟻一匹逃がさず破壊というのが合理的だろう、って訳だよ。
しかし大体にして合理的な手段と謂うものには、感情という側面で理論に傷が付くものでして。
次の日の朝、例によってスキップで飛ばされて俺は気が付けばミスト王子が開いた会議の席に居た。
「昨日はすまなかった」
早々頭を軽く下げるミスト王子に、俺は理解が及ばずに惚けそうになった。
いかん、相手は王子様なんだからいい加減な態度を取ったら失礼だ。慌てて状況を『思い出す』。あれだな、弟が魔王関係者かそうじゃないのか、それがナーイアストの石ではっきりわかってしまうのが実は、辛いっていう正直な告白の事だな。
でもやっぱりエラい人が遜るのを、どうやって防げばいいのか俺には分からない。それでついうろたえて、言葉が上手く続かない。王子はまだ全員が場に集まらないざわついた部屋で、俺に向けて自嘲気味に笑う。
「俺は曲がりなりにも王子だ、一身上の都合や感情で国民を不幸にするわけにはいかない」
「……それは……」
「決めた、決起する」
濃い翡翠色の瞳は強く、その意思を俺に示していた。
「魔王討伐を命とする君達に協力せずに、世界を破壊せんとする者を庇うと云うのもどうかしていた。この会議はその為のものなんだ」
ああ、メージン。
今すぐその管理者権限デバイスツールとやらを、こっちに投げてよこす事は出来ないのだろうか?
待っても、待っても降りてこない声。遅いよ、今から近いうちに配置じゃ遅いんだよ。
今、まさにそれが必要な時に違いないのに。
グリーンフラグが静かにイエローフラグに切り替わったのを俺達は見ている。
キリュウから預かってきたあの手紙をミスト王子に手渡して、彼が封を開けた瞬間だった。
手紙の内容はどうでもいいのかもしれない。
ただこうやって、俺達がミスト王子に会う瞬間を手引きした役割を終えた事を示す様に、手紙の上に立っていた緑色の旗の色が黄色に切り替わっている。
手紙を受け取るまで引き締めていたミスト王子の顔が、途端緩んだのも俺達は見てしまった。
ミン、アタリだぜ。これってやっぱり恋文だ。
しかし読み進めるうちにどうも、その幸せそうな顔が怪訝な顔になっていく。
「どう……か、されましたか?」
俺は遠慮がちに聞く。蝋燭の明かりが揺らめき、陰影のはっきりついた王子の顔は途端に苦笑を浮かべる。
「なんだか妙な事が書いてあるんだけど、ちょっと訊いても良いかい?」
部下だった蛇女リラーズに向けて、憤怒を露にした威厳ある風貌とは裏腹に王子は、人懐っこい笑顔が似合う気さくな人だ。レッド曰く、カルケードのルーンザード王族ってのはこういう人柄が多いんだと。なぜか無条件に悪い人には見えない。人徳だ、多分人徳が成せる技に違いない。
「この手紙、キリュウからのものだよね?」
「ええ、間違いなく」
レッドが頷く。ミスト王子は更に苦笑して読んで見るようにと、例の手紙を差し出した。レッドは失礼が無いように受け取って、静かに目線を動かす。
「……?あれ?」
レッドが素で混乱してます。
「一体何が書いてある……んです?」
アベルの怪訝な顔に、ミスト王子はあくまでも微笑んで答えた。
「キリュウが攫われたから助け出して欲しい、と書いてあるんだよ」
「……は?」
俺達は一斉に聞き返していた。
キリュウからの手紙に、キリュウが攫われたからどうかご助力願いたい……と、書いてあるってのはどういう事だ?ちょっと待てよ、肝心の攫われたはずのユーステルの名前はどこに行ったんでしょうかね?
当然俺は前に出て、王子に直訴していた。
「ユーステル女王が攫われたんだ、八逆星の……インティとか言う奴に。心当たりは無いんですか?」
「……ふむ?」
すると、王子は微笑んだ顔のまま若干小首をかしげる。
「……ユーステル、ね」
「あの……」
「確かに伯父貴なら、魔王八逆星あたりと渡りをつけていてもおかしくは無い。俺はインティとか言う奴に心当たりは無いけれど、間違いなく攫ったのは『彼ら』だろう」
「彼らって、貴方の王の兄?やっぱり、王様って入れ替わってるの?」
ミスト王子は控えているヒュンスにわずかに目をやった。視線を感じたのか、ヒュンスは更に平伏する。
「君は思った事を口に出しすぎる、だから危険な目に会うんだよ?くれぐれも他言しない様に警告したじゃないか」
「……面目ありません」
ミスト王子は足を組み、その上で手も組んで溜め息を漏らした。
「君たちはどうやら知っている様だから明かすが、その通り。我が国カルケードは魔王の手に落ちている」
俺達、他に赤旗が居ないかどうかを見回りに行ったテリーとアイン以外、をミスト王子はゆっくりと見回す。
「……ヒュンスさんの推測は?」
王様が入れ替わっているという推測、な。
「ほぼアタリだろう。だが、そうだと俺は返答出来ずにいた……魔王を敵とするなら周りは全て敵という状況だ、上手く動けない。どこまでが敵で味方なのか……情けない事に俺には上手く判別する自信が無かった」
とは言え、現在のカルケード王はアテムートではなく、入れ替わって兄のアイジャンがやってるって事は確定の事実か。しかもアテムートとアイジャンは双子という事で、一見では見分けがつかない良く似た容姿である……と。
けど、性格の違いは隠せるものではない様にも思う。だから近しい人達は、王が入れ替わってアイジャンになっている事を察したはずだ。王子もそうだし、特殊部隊隊長のヒュンスもそう。
「でも、ホントに全然身動き取れなかったんですか?」
俺はそれでも非難せずには居られない。だって今、南国は戦争なんてものをやらかそうとしてるんだぞ?
「……狡猾な男でね」
ミスト王子は遠慮なく舌打ちして呟いた。……よっぽど伯父さんが嫌いらしい。
「事の起こりである、魔王討伐隊が派遣されて1年程は俺も気がつかなかった位なんだ」
「入れ替わってたのに?」
「ああ……」
ミスト王子は口惜しそうに視線を床に落とした。
「2年目位からボロを出すようになった。でも、俺がそれを確信した時にはもう手遅れで……家臣達はすっかり丸め込まれている状態だった。ヘタに騒げない状況だったんだよ、伯父貴は父王と変わり無く、それなりに良い顔をして祭司達の権力を認め周りを固めた。もはや俺が騒ぎ立てても国を混乱させるだけだ。国民にとって、頂が誰であるかなんて関係ないだろう?要するに国という仕組みが、まともに機能していて平穏に暮らせるなら王が誰だって構いやしないんだ」
「……王子……」
隠す事なく、王子は悔しそうに唇を噛んでいた。
「俺がヘタに動けば揚げ足を取られるだけ。でもそれでも俺は、戦争を仕掛けるだなんてバカな真似だけは許せなかった」
王子は突然立ち上がり、窓の外を睨みつける。
「それで結局この通り、すっかり前線に投げ出されてしまったわけだがね」
「決起しましょう」
レッドは割とあっさりと提案した。
しかし、よしそうしようと、ミスト王子が二言目に返事する訳がない。相手がほぼ確定偽王とはいえ、国家への反逆だぞ?もうちょっと余裕を持たせて提案したらどうだよ。
「可能、だろうか?」
少し弱気な王子の言葉に、立ち上がったのはヒュンスだ。
「彼らと協力すればこそ!偽りの王をこのまま自国にのさばらせて置くなど、しかも魔王との繋がりがあるとすれば、放置して良い問題ではありませんぞ!」
「それはそうだが……あの光る石は間違いなく、魔王の手の者を探し出す事が出来るのか?」
「出来ます」
断言する。
本当は石なんて無くても良いんだが、俺達は『奴らの頭上に赤い旗が見える』という現象を彼らに説明できないからな。この光る石は、そんな俺達の為にナーイアストが授けてくれたアイテムに違いないのだ。考えてみるとこれ以上に有用なアイテムは無い。魔王討伐隊として、これで迷いなく奴が魔王だと指差す事ができるんだからな。
その根拠を、石が光で指し示してくれる。
しかしそれでも王子はなにやら迷っていた。レッドから戻された手紙を手に取ってから、心を決めたように聞いて来る。
「先のリラーズの様に、誰が魔王の手先なのかもはっきりしてしまうんだな?」
俺達は顔を見合わせる。
「はい、そうですけど」
まるでそれでは困るという風な言葉に聞こえたんだが、それって俺の気の所為か?
「ユーステル女王を攫うように命じたのは恐らく、俺の弟だろう」
「弟?」
なんか、嫌な予感がするぞ。
「ああ、……俺も双子なんだ」
どんぴしゃ、的中です。しかしレッドは怪訝な顔をして若干驚いた声を出す。
「双子?そんな話は聞いたことがありません、」
「ああ、そうだろう。俺も実に最近知った」
ミスト王子は苦笑して額に手を当てる。
「最近……って……」
「伯父貴は俺を見限り、弟の方を次期国王に据えたい様だな。居ない者として『匿われていた』弟とやらが突然現れたんだよ」
色々と傍迷惑な話だ、と俺は正直に思ったのだが……どうもミスト王子の顔を見ているとそうでは無いっぽい。
「あいつは俺を徹底的に嫌っているな……誰も彼も敵だと反発してばかりだよ。伯父の事もエラく嫌っている、今まで居なかった者として扱われたのに、突然王位を継がせようと言うんだ。あいつにとっては迷惑な話なのかもしれないな……」
言葉だけ聞いているとああそれはお気の毒に、と言いたくなるのだが……どうも、その困った弟君の事を話すミスト王子はなんだか嬉しそうなんだよ、何故だか。
「正直、何を考えているのか良く分からない奴だ。でも、あれが俺の弟だっていうのは事実。それだけはすごく分かる、間違いが無い」
ミストは微笑んで胸に手を当てた。
「嫌われてしまうのは仕方がない、ずっと親が誰なのか、兄弟が居るのかどうかも知らずに育てられた……そんな感じの奴でさ。だから、俺を嫌うのは仕方がない。仕方がないよな?」
魔王の横暴を許した甘さ、それは知らずに刻んでいた罪の意識なのか。
「俺はこれ以上弟を不幸にしたくない」
意図してそうした訳じゃないのに、自分の所為で誰かを不幸にしつづけたという事実。
ミスト王子はものすごく優しい人で……償いたいという気持ちが、弟を守りたいという方向性に向いている。
そうする事でしか報えない、報われないのだとミスト王子は信じているのだ。
そしてそれはきっと、間違っていないんだろうと思う。
ヒュンスもそんな王子の意図に気がついて頭を下げた。
ミスト王子が恐れる事実はただ一つ。
救いたい弟を、救えない状況だったらどうすればいいのか?
という事に、違いない。
休息セーブ前の全体会議。なんだか恒例の行事になりつつある。
「仲の悪い双子設定なのね!」
経緯を見廻りで居なかったテリーとアインに説明したら、やけにテンションの高くなった彼女。
「萌えるのか?」
「いやんヤト、モエとか言わないでよッ」
アインから頭をひっきりなしにつつかれる俺。
そろそろ俺は彼女の特性が分かって来たぞ……もしかして、もしかして彼女は俗に言う『腐女子』って奴なのか?俺はアベルに事実を確認すべく目配せ。
するとアベルは肩を竦めた。つまりその仕草は……その通りよ、という返答なわけでして。あーそーデスか。
彼女、腐女子でいらっしゃいましたか。
その実態の良く分からない俺は、彼女らについてまことしやかに語られる、顕著な特徴を思い浮かべてみる。美形に目がなく、猛者だと美形とかは関係無く、とにかく男と男に設定を据えてくっつけてイチャイチャさせるのが大好物。フィルター越しに見れば全ての男同士の友情は愛情表現に様変わり……。
ひやりと、俺の背中に冷や汗が流れた。
今までの出来事をフラッシュバック。
「どうした、顔色悪いぞ」
「テリー、頼む。今日から一切話し掛けないでくれ」
「あん?」
「無駄よヤト、諦めなさい」
アベルの非情な声。
アイン、恐ろしい……恐ろしい子!
……ま、アインの俗な属性はとりあえず置いておいてだな。
全体会議の時に手短に、メージンから説明された事を整理しよう。って言っても例によって一方的なメージンの報告があっただけで俺達の質問には答えられない様だ。
まず第一に、設置予定でまだ配置されていなかったと言う『管理者デバイスツール』が完成したとの事。近い内に配置されるらしく、イベントが一区切りついたらそれらを取りに行って欲しい、という事を言われた。タイミングに関してはまた連絡するとの事だ。
てっきり俺はこの、ナーイアストがくれた透明な結晶体がまさしく、そういうツールなんだろうと思っていたが……MFC開発者がこっちの世界に送り込もうとしているものは別か?
詳しい話は、例えばどんな形状だとか、何処に取りに行くだとか、そういうのは残念ながら訊けなかった。メージンからのコメントはここの所一方通行が常だ。質問の受け答えはバックアップオペレーターシステムの負荷以外の何ものでも無いらしいからまぁ、仕方が無い。
しかしその投入されるツールで、バグプログラム正常化が可能になるかもしれないんだ。
はっきりとした効果は走らせて見ないと分からない、とか云う代物らしいが、上手く行けばレッドフラグ除去が出来るという知らせは俺達にとって朗報だ。
今、俺達がバグプログラムである『赤旗』に向けて出来るコマンドは『破壊』しかない。
感染しているオブジェクトを、世界から抹殺する方向でしかバグを正せないんだ。
それでいいじゃないかと思うか?いいや、それじゃぁ駄目だ。
殺す事でしか正常化できないなんて、救いが無いシナリオばっかじゃ腑に落ちない。救えるはずの人を救えない現状は、苦痛以外の何ものでもないだろ?
化け物だからと殺して良い訳じゃない。
確かに今まで俺達は、赤旗印の怪物に対して容赦ないジェノサイドで対応して来た訳だけどな……。
最初に遭遇した、あの不幸な黒亀の例もある。人を襲うはずの無いおとなしい魔物が凶暴化する現状を、何とか元の状態に戻してやれればいい……。
俺達がこの世界に齎すべき救いは、そうであるべきだろう。
さて、メージンから齎された情報はもう一つある。
それは例の蛇女の一件の通り……赤旗宿主(レッドフラグ:ホスト)の存在だな。一撃で俺達を吹き飛ばしかつ、致命的な傷を俺に与えた『ギル』から、マツナギの弓矢の一撃で沈黙する弱っちい『雑魚』まで。
残念ながらこれらには等しく同じ赤旗(レッドフラグ)が付いている。
相手がどれ位のパラメーターを持っているのかは、戦ってみなきゃ分からない。分かるとすれば、バックアップオペレーターをしているメージン位だろう。
一見で相手の実力なんかが分かるのは一般的なゲーム仕様だ。この世界は『一般的では無い』ゲームである事は間違いない。……いずれコンシューマーに発売されるにしたって、少なくともこの『トビラ』というソフトは、今までの一般論を覆すゲームであろう。まさに革命的な物になる。
見える景色がリアルに広がっているから、当然見た目では相手がどんな奴なのか正確に把握する術が無い。そういうのを判別する真面目な職業なり知識なり、ギミックが必要になるんだろうな。
旗が見えるってのが唯一、エラく不自然な現象な位で。
それ以外にパラメーターが頭上に表示されるわけではないんだ。
そこの所、見える様にしてくれとは思わない。
分かってしまったら面白くない、という俺の意見はゲーマーとしてのものだろうか?あまり面白いかどうかという視点で世界に身を置くのもどうかと思うが……ええと。
そうだ、それじゃぁリアリティが無い。そういう事だ。
相手のパラメーターが見えてしまうんじゃぁ一気に現実味が失せるから、そんな仕様はこの『ゲーム』には必要じゃない。そういう事だ。
どうやら『現実的』を通り越して『現実』って奴を突きつけるゲームみたいだからなぁコレ。大雑把な強敵か雑魚かの判断は幸い、戦士としての勘って奴でなんとか判別できる。今の所、それだけあれば十分だろう。
……ちょっと脱線しちまったが、つまり俺が言いたいのはこういう事な。
ホストと呼ばれる、レッドフラグを増殖させるレッドフラグというのが居るっつーのがメージンからのコメントな訳。しかし赤旗は等しくバグに表示される為に、どれがホストでどれがエンドユーザーなのかは判別つけられない訳よ。
辛うじてこれもオペレーターのメージンなら分かるみたいだが、今回みたいに必ずコメント貰えるとは限らない。
そういう訳で現時点俺達の方向性としては、赤旗は見かけたら抹殺というので一致している。
誰がホストか分からない状況ならば尚更、拡散を防ぐ為に徹底的に蟻一匹逃がさず破壊というのが合理的だろう、って訳だよ。
しかし大体にして合理的な手段と謂うものには、感情という側面で理論に傷が付くものでして。
次の日の朝、例によってスキップで飛ばされて俺は気が付けばミスト王子が開いた会議の席に居た。
「昨日はすまなかった」
早々頭を軽く下げるミスト王子に、俺は理解が及ばずに惚けそうになった。
いかん、相手は王子様なんだからいい加減な態度を取ったら失礼だ。慌てて状況を『思い出す』。あれだな、弟が魔王関係者かそうじゃないのか、それがナーイアストの石ではっきりわかってしまうのが実は、辛いっていう正直な告白の事だな。
でもやっぱりエラい人が遜るのを、どうやって防げばいいのか俺には分からない。それでついうろたえて、言葉が上手く続かない。王子はまだ全員が場に集まらないざわついた部屋で、俺に向けて自嘲気味に笑う。
「俺は曲がりなりにも王子だ、一身上の都合や感情で国民を不幸にするわけにはいかない」
「……それは……」
「決めた、決起する」
濃い翡翠色の瞳は強く、その意思を俺に示していた。
「魔王討伐を命とする君達に協力せずに、世界を破壊せんとする者を庇うと云うのもどうかしていた。この会議はその為のものなんだ」
ああ、メージン。
今すぐその管理者権限デバイスツールとやらを、こっちに投げてよこす事は出来ないのだろうか?
待っても、待っても降りてこない声。遅いよ、今から近いうちに配置じゃ遅いんだよ。
今、まさにそれが必要な時に違いないのに。
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