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5章 際会と再会と再開 『破壊された世界へ』
書の3前半 眠りたい症候群『どんな辛い事があっても、俺達は行くぜ?』
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■書の3前半■ 眠りたい症候群 want to sleep syndrome
『ピンチ!:@扉全員』『マジでテストプレイが延期しそう!高松さんからのメール来たぞ!データ壊れてるってマジかよ?!読め~!そして抗議の声を上げるべし!』
ピンチだ。
結局それは俺にとって、ピンチである。
結局の所、この現実から逃げたいと願ってしまっている俺は……どんなに否定しても『金曜日の夕方』が来るのを待ち望んでいるのだ。
それは新型ゲームのテストプレイの日。明日、である。
バイトが終わって昼になり、携帯端末に届いていたメールを読んで俺は、やや急いで家に帰って来ていた。
MFC開発の連絡先に登録しているPCメールを読む為にパソコンを起動させる。そろそろ端末と同期させとかないとだな……メンドクサイという理由でその辺り、ちゃんと調整してなかった。
それを待つ間、ようやく冷静に事を考えてみた。
確かに高松さん、先週のテストプレイ明けに言ってたよな。
レッドフラグバグ取りがどう足掻いても一週間では終わらない、とか。しかもヘタするとセーブデータログの続きが出来ない状況になるかもしれない……などと、ゲーマーにとって最も悲しい呪わしい言葉を聞かせてくれた。
当然だが俺達はその場で、それは嫌だと猛抗議しました。
仕方が無いと簡単に諦められる話じゃない。朧気に覚えている夢の記憶で、必死にバグ取りやってセーブデータを残したのに!という感情がまだあの時は、強く残っていたのかもしれない。
トビラの見せる夢から覚めたばかりの、あの時は。
今はどうかというと……どうなんだろうな。
俺は取り合えずアッチに行きたいという願望はある。だがぶっちゃけて、続きじゃなくてもいいんじゃない?という気持ちが少なからずあったりするのだ。
何故かって?そりゃ……続きがとんでもないからだよ。
冷静にログを確認して反芻してみて愕然とした。
俺。無茶しすぎ。
だから、この際データーロードからのコンティニューじゃなくて、はじめっからやり直しでもいいんじゃないかとぶっちゃけ、思っている。でも他の連中はそうじゃないみたいで……俺はそういう流れを察してぶっちゃけた意見は言えない状況にあったりするのだ。
俺はコッチの世界、リアルだとチキンだからな。弱虫で常に逃げ腰だ。そんな俺の特性をよく分かっているナッツあたりはどうやら、俺がどう思っているのかは分かっている様だ。先日それで軽く説教されました。
たとえ良くない展開が待っていようとも、その困難を乗り越えるのがゲームの醍醐味だろ?とか。
まぁな、確かにそうだ。ゲームというのはマジ有り得ない困難をなんとか乗り越える……的なシナリオであるのが大半である。
でもな、今アッチ……すなわち『トビラ』の中で待ってる続きはそんなぼやけた問題じゃないんだぞ?
事もあろうかラスボス達(複数形)に多分、とっ捕まってんだぞ俺?
はぁ……。マジでため息が出るよ。
ナッツは言う、確かに困難な続きかもしれないけど、安易にリセットボタンを押してやり直すようなプレイは『トビラ』では許されていない、と。俺達はたまたまバグの存在があってリセットを押せる立場にあるが、実装開始されたら許されない行為だ。そもそも、困難な事態を引き起こした自分たちの行動が招いた結果なのだから最後まで責任を持って、今後は慎重にイベントを進めるべきだろ……云々。
ううう、確かに……気に入らない世界になっちまったからリセットっていうのは傲慢だな。
結局俺は面倒だからと逃げてるだけか。努力しないで、楽な展開を安易に願っているだけか。
そんな風に納得させられ、俺は無事続き再開キボン派としてなんとか立ち直った。正直、ナッツの説得が無かったら一人テンション低く足引っ張ってたに違いない。
幸い、俺がヘタレなのは現実での話だ。仮想であれば偽装するのはお手の物で……どんな気持ちを抱いているにせよ、無事『トビラ』の続きをするぞ!という一同の意気込みに同意するのはたやすい。
しっかし、データが壊れているって……。
俺の脳裏にデータセーブがぶっ壊れた時に聞かされる、竜探索の呪い音楽が自動再生されていた。
致命的だよなぁ、それは……続き、大丈夫なんだろうか?
そんなこんな考えているウチにPCが立ち上がり、メール受信が始まった。
高松さんは……俺達が反発するのは当然分かっていたみたいで……なるべく善処する事を約束してくれた。致命的なバグを残したままテストプレイを開始させてしまった自分達に非があると言っていた。
バグありのままでゲーム続行もアリで行く、という方向性を約束してくれたという事だ。
でも……ゲーム開発にはバグなんて日常茶飯事だろうに。いくら不明バグとはいえ、ちょっと神経質になりすぎじゃないのか?とも実はこっそり思う。
俺達が置かれている立場はちょっとだけ、特殊なんだな。
高松さん達は俺達に、新型ハード『MFC』というものを独自路線で市場公開してもらおうと考えていたらしい。ゲームも特殊ならマーケティングも特殊に、という考え方だ。
よって、俺達テストプレイヤー8人の意見をぞんざいには扱えない。仮定してみればわかる話だと思う。
俺達8人は、市場に出る前の例えて『一般市場』に値するのだ。
ユーザーの大切なデータをバグでしたと言って消されたらそりゃ、ユーザーは怒ってヒドいバグゲームだ!という評価をMFCに対しつけるだろう。
俺達はそういう評価をしても構わない、といわれている状況にある。開発について口止めされないとは即ち、そういう意味になるのだ。
もし現状レッドフラグバグがあるまま、俺達8人ではなく『市場』に流通して多くのユーザーが同時にゲームをしていたらどうだろう?開発者は安易に、致命的なバグがある事の発覚したゲームの事を『不良品でした』と言えるか?そして回収して発売しなおす事が出来るか?実際そういう悲惨なベータテスト版が行われた実例もあったりするが、その後正規版を出した時の対応によっては評価がどうなるのかは、想像に難しくないよな?
答えは否だ。物流に乗ってしまった不良ゲームの回収、販売し直しは極めて難しい。それに近しい完全構築し直しが行われたゲームも過去、無いわけでは無いが……リスクが高すぎる。今オンラインゲームは毎週と云うほどに不具合修正プログラムが入ったりして洗練されていくものだが、出来る限りバグなんてものは無いのがベターだ。
致命的なバグがあった、なんて後付けに分かってしまったら利益を生む生まない所の話では無いしデベロッパーもパブリッシャーも双方手痛い傷を負うだろう。
ダメゲームを作った、売ったという傷がつく。
割かしそういう不良なゲームや製品ってのは……ままある世の中だったりもする。
そうやって失敗した作品の『伝説』や『逸話』を俺はいくつも知っているが……知っているから現状、テストプレイの段階でよかったよなぁと胸をなでおろしていたり。
でも……レッドフラグはまだマトモな方だ。バグとしては、ゲーム作品としてはさほど致命的ではないだろうとも思う。だから余計に必死にデバックするのかが疑問だ。別の意図があるんじゃないかと疑ってしまうくらいに。
仮想である『トビラ』が壊れるか壊れないかという不安が残るだけで、バグがあってもゲームは一応できるわけだし……。
それはそれである意味、ゲームという域を越えたアツい戦いが期待できるかもしれないしな。
むしろ売り手は開き直ってそういう販売戦略を仕掛けるかもしれない。とすると……コミックな展開になる訳だが。……それがもしかすると流行るかもしれない……。ホントの本気で世界がぶっ壊れてしまう危険性のあるゲームを『立ち直らせる』ゲームとして。
むぅそういや……このMFC開発パブリッシャーはそういうのやらない『お堅い』所だったな。
……そんなんは絶対やらんだろう。むしろMFCが『市場』に出て、他のサードパーティーがそういうのを開発するかも。
レッドフラグのお陰で予定していたフラグシステムが上手く機能しないんじゃぁやっぱり、作品としてはダメって事か。バグ取りに一生懸命になるのもいいが、それはプレイヤーにやらせる事じゃないだろう、という手厳しい批判を貰うのが痛いよな。何しろ第一作目に為る訳だし……。
とするときっと安易に『データを初期化します』とは、高松さんは俺達に向かっていえない訳だよ。
俺達は仮想『市場』として選ばれてテストプレイしている。一応バグが無いかの最終チェックデバッカーという役目を負っているとはいえ……高松さん達は俺達にそんな事をさせたい訳じゃぁないのだ。
あくまで公開目前の新型ゲームの、感想文を書いてもらう為に俺達8人を集めたはずだ。
ちょっとしたバグがあったら報告してね、くらいのノリでデバッカーを頼んできていたはずだ。
それが……こんな、とんでもない事態になってしまって何より開発者が驚いている。
つまりそれは、レッドフラグというバグは本当にバグという意味でもある。
わざと発生させたものでは無く、発生する可能性すら開発者は予測できなかった。
正真正銘マジメにバグだったという事だ。
俺達8人のテストプレイヤーは、バグの存在やそれを対処する開発者達の苦悩を含めて、全体的にMFCという新型ゲームについて評価する事ができる。評価するまでが多分、俺達の仕事になるんだと思う。
決断の日。その日は否が応にもやって来る。
金曜日の午後、俺達テストプレイヤーは水曜日以降、全員が再び会社に集められ、リアルの顔を付き合わせた形となった。
それぞれがそれぞれに、決意を胸にして。
「驚いたよ、結局まだ誰もMFCについて情報を流していないのかい?」
始めに何を聞かれるのかと思ったら。俺達は思わず顔を見合わせた。ミーティングルームで、高松さんはやや困った顔で笑っている。
「バグがあった事は君達の責任じゃないんだから、別に隠しておく必要は無いんだよ?」
「というか、むしろ暴露してもらいたかったんですか?」
と、ナッツがやや苦笑ぎみに頭を掻いている。
「君ん所で聞かれなかった?」
「はぁ、でもきっと企業秘密にされてるんだと思ってるみたいであえて誰も聞いてこないんですよ」
ナッツは……一応ここのメーカーとは違うゲーム会社に勤めてる。デベロッパーじゃない、ナッツの勤めてる会社はデベロッパーでもありパブリッシャーも兼ねてる……俗に言えばライバル会社だったりする。
「ボクらの責任じゃぁなくても、出来れば良い事を伝えたいと思っているのだと思いますよ」
レッドの言葉にアインは同調して頷いた。
「ええ、バグがあった事は残念だけど、でもソレを差し引いても素晴らしいゲームだと思います。まだ一回目だし……もう一度入って見てからでも感想は良いかなと思って」
「誰も知らないからさ、話し辛くない?」
とはマツナギの談。
なる程、話題にしても確かに『夢の中でゲームする』だなんて情報はまだ全然外に流れてないから、きっとそんなバカな話があるかと……マトモに取り合ってくれないってのは在るかもしれない。今まで見たいに映像とかあるわけじゃないしな……すべての情報は脳味噌の中でしか展開出来ない訳だし。
「続きをさせてください」
と、改まったのはテリーだった。
「そうしたら、これから自分達でMFCについての開発日記でもなんでも徒党を組んでやりますから」
……こいつ、敬語も喋れたんだな……。いや、当たり前か……。社会人として当然のスキルか。
「そうですね……一人で動くよりボクらでそういうページを運営した方が世間向けには説得力はあるかもしれません」
「俺はそういう知識は無ぇが……」
「アタシ達で作るわ」
アインがテリーの目配せに任せてと頷いた。
「アタシも協力する。ヤト、あんたも当然オッケーよね?」
「ああ」
俺は頷いて……高松さんを振り返る。
「例の件、問題無しです俺達」
「……そうか」
問題がある。高松さんのメールは告げていた。
問題は、ログが一部壊れて修復不可能だという事だ。
強制終了しているからある程度ログが壊れているのは仕方が無い事らしいが……それにしては想定外な位、壊れたファイルがサルベージ出来ない状況で放置されているのだという。
リセットボタンを押すのだけは絶対にやらないと、念を押すような言葉から高松さんのメールは始まっていた。
それから、ログ解析とデバックの状況とログ破壊についての具体的な説明。そして、最後に『リセット』がもたらす事態の意味について。
データの前初期化とはすなわち、アッチの世界である『トビラ』という世界を全消去するという事だ。分かるか?あの余りにもリアルにあった世界が消失するのだ。マジで、言葉通りどこにも存在しなくなるのだ。俺達の脳の中にもだ。夢の内容は余りにも脆くてすぐに消えていく。全初期化とは当然、世界という情報に依存しているログだって例外なく消えてしまう。
もう記憶に留めて置くとかいうロマンティックな展開もナシ、なのだ。
というかまさか、リアルに『世界』とやらををフォーマット出来る立場に立って、それが無くなると言う意味をマジメに考えるハメになるとは思わなんだ。
正直、俺はちょっと軽く考えすぎていたかもしれないな。
きっとナッツやレッド、それに他の連中はその事実を悟っていたのだろうか?高松さんからリセットという言葉の意味を説明された時、ぶっちゃけ前のデータは破棄でいいんじゃねぇのと思った俺の気持ちは吹き飛んだ。
それがこんなに胸糞が悪くなる事だったなんて……想像も出来てなかった。
赤旗バグは、それくらいに致命的だったって事だよ。世界構築を一からやり直さない事には現状、外からだと除去できない。
俺はそのメールを読み終わった頃には、いつしか本気であの世界を救いたいと思ってしまっていた。
前言超撤回。やり直しで良い?おお、俺何バカな事言ってたんだろ。
少なくとも異世界に逃避したい、俺は……たった一度訪れただけの世界でも、やっぱりそれを都合で壊すというのは受け入れたくない。
俺達が精力的に『トビラ』の中のバグを取る動きをしているのを、開発者の人達は十二分に理解してくれた。今後その動きを全面バックアップして、中からバグを対処する方向性で動いてくれているらしい。中から。そう、外からがダメなら中からピンポイントでバグを攻撃してみたらどうか?という事だ。
……その決定事項が昨日のメールで届いたという訳である。
しかしどうしてもキャラクターの終了時ログが不安定で、この不安定を克服出来ないというのだ。
これを修復できない状態のままログインして、キャラクターに致命的なバグを発症しないという保証が無い、と懸念している旨がメールには書いてあった。
バグ取りをするキャラクターにバグがついてたら洒落にならない、という事だな。
俺達がバグってたらそりゃ、バグ取りどころじゃァ無いよなぁ。
この問題点について、急遽昨日の夜にアイン主催のトビラ非公開チャットが催されたりしました。
リアルで顔を会わせるのは水曜日以来だが、実際俺達はアインが構築した『トビラ非公開チャット』なるもので毎夜意見を交わしていたりする。
何しろ、俺達このバーチャルリアリティであるネットの顔がある意味本性に近い訳だし。
別段ネタバレしても高松さんらには怒られないんだけど、バグの問題が片付くまではメディアには露出させないっていうのを俺達8人で相談し打ち合わせた結果、ワールドワイドウェブ経由なのでネタバレ禁を徹底したこのチャットで……事前にメールで発言禁止用語が定義されて厳重に運営中……明日のテストプレイをどうするかというのを話し合って俺達は今、ここに居るのだ。
「キャラクターを失いたく無いんです」
ナッツが苦笑して言う。
「リセットされないにしろ、折角蓄積したログを台無しにするような事はしたくないしそれに、例えバグがついていたとしても俺達それを中から修復する事が可能なんですよね?」
「……一応は、ブルーフラグ権限であれば一時的に開発者ツールを使う事を可能にしてある」
高松さんはナッツの言葉に頷いた。
「だったら行くわ、例えどんな続きになっていても」
「外側から修復するよりは、中から問題点を直してしまった方が手っ取り早いんだろ?」
とは、データ収納理論からレッドとメージンが指摘した事だ。
「なんだ。君達……先に相談して来たね?」
ようやく高松さんは俺達がすでに、共通の意思をもってここに居る事を悟り、笑った。
「結構、ならば私たちはもう何も言うまい。延期の話はなしだ。すぐに『トビラ』の用意をしよう」
『ピンチ!:@扉全員』『マジでテストプレイが延期しそう!高松さんからのメール来たぞ!データ壊れてるってマジかよ?!読め~!そして抗議の声を上げるべし!』
ピンチだ。
結局それは俺にとって、ピンチである。
結局の所、この現実から逃げたいと願ってしまっている俺は……どんなに否定しても『金曜日の夕方』が来るのを待ち望んでいるのだ。
それは新型ゲームのテストプレイの日。明日、である。
バイトが終わって昼になり、携帯端末に届いていたメールを読んで俺は、やや急いで家に帰って来ていた。
MFC開発の連絡先に登録しているPCメールを読む為にパソコンを起動させる。そろそろ端末と同期させとかないとだな……メンドクサイという理由でその辺り、ちゃんと調整してなかった。
それを待つ間、ようやく冷静に事を考えてみた。
確かに高松さん、先週のテストプレイ明けに言ってたよな。
レッドフラグバグ取りがどう足掻いても一週間では終わらない、とか。しかもヘタするとセーブデータログの続きが出来ない状況になるかもしれない……などと、ゲーマーにとって最も悲しい呪わしい言葉を聞かせてくれた。
当然だが俺達はその場で、それは嫌だと猛抗議しました。
仕方が無いと簡単に諦められる話じゃない。朧気に覚えている夢の記憶で、必死にバグ取りやってセーブデータを残したのに!という感情がまだあの時は、強く残っていたのかもしれない。
トビラの見せる夢から覚めたばかりの、あの時は。
今はどうかというと……どうなんだろうな。
俺は取り合えずアッチに行きたいという願望はある。だがぶっちゃけて、続きじゃなくてもいいんじゃない?という気持ちが少なからずあったりするのだ。
何故かって?そりゃ……続きがとんでもないからだよ。
冷静にログを確認して反芻してみて愕然とした。
俺。無茶しすぎ。
だから、この際データーロードからのコンティニューじゃなくて、はじめっからやり直しでもいいんじゃないかとぶっちゃけ、思っている。でも他の連中はそうじゃないみたいで……俺はそういう流れを察してぶっちゃけた意見は言えない状況にあったりするのだ。
俺はコッチの世界、リアルだとチキンだからな。弱虫で常に逃げ腰だ。そんな俺の特性をよく分かっているナッツあたりはどうやら、俺がどう思っているのかは分かっている様だ。先日それで軽く説教されました。
たとえ良くない展開が待っていようとも、その困難を乗り越えるのがゲームの醍醐味だろ?とか。
まぁな、確かにそうだ。ゲームというのはマジ有り得ない困難をなんとか乗り越える……的なシナリオであるのが大半である。
でもな、今アッチ……すなわち『トビラ』の中で待ってる続きはそんなぼやけた問題じゃないんだぞ?
事もあろうかラスボス達(複数形)に多分、とっ捕まってんだぞ俺?
はぁ……。マジでため息が出るよ。
ナッツは言う、確かに困難な続きかもしれないけど、安易にリセットボタンを押してやり直すようなプレイは『トビラ』では許されていない、と。俺達はたまたまバグの存在があってリセットを押せる立場にあるが、実装開始されたら許されない行為だ。そもそも、困難な事態を引き起こした自分たちの行動が招いた結果なのだから最後まで責任を持って、今後は慎重にイベントを進めるべきだろ……云々。
ううう、確かに……気に入らない世界になっちまったからリセットっていうのは傲慢だな。
結局俺は面倒だからと逃げてるだけか。努力しないで、楽な展開を安易に願っているだけか。
そんな風に納得させられ、俺は無事続き再開キボン派としてなんとか立ち直った。正直、ナッツの説得が無かったら一人テンション低く足引っ張ってたに違いない。
幸い、俺がヘタレなのは現実での話だ。仮想であれば偽装するのはお手の物で……どんな気持ちを抱いているにせよ、無事『トビラ』の続きをするぞ!という一同の意気込みに同意するのはたやすい。
しっかし、データが壊れているって……。
俺の脳裏にデータセーブがぶっ壊れた時に聞かされる、竜探索の呪い音楽が自動再生されていた。
致命的だよなぁ、それは……続き、大丈夫なんだろうか?
そんなこんな考えているウチにPCが立ち上がり、メール受信が始まった。
高松さんは……俺達が反発するのは当然分かっていたみたいで……なるべく善処する事を約束してくれた。致命的なバグを残したままテストプレイを開始させてしまった自分達に非があると言っていた。
バグありのままでゲーム続行もアリで行く、という方向性を約束してくれたという事だ。
でも……ゲーム開発にはバグなんて日常茶飯事だろうに。いくら不明バグとはいえ、ちょっと神経質になりすぎじゃないのか?とも実はこっそり思う。
俺達が置かれている立場はちょっとだけ、特殊なんだな。
高松さん達は俺達に、新型ハード『MFC』というものを独自路線で市場公開してもらおうと考えていたらしい。ゲームも特殊ならマーケティングも特殊に、という考え方だ。
よって、俺達テストプレイヤー8人の意見をぞんざいには扱えない。仮定してみればわかる話だと思う。
俺達8人は、市場に出る前の例えて『一般市場』に値するのだ。
ユーザーの大切なデータをバグでしたと言って消されたらそりゃ、ユーザーは怒ってヒドいバグゲームだ!という評価をMFCに対しつけるだろう。
俺達はそういう評価をしても構わない、といわれている状況にある。開発について口止めされないとは即ち、そういう意味になるのだ。
もし現状レッドフラグバグがあるまま、俺達8人ではなく『市場』に流通して多くのユーザーが同時にゲームをしていたらどうだろう?開発者は安易に、致命的なバグがある事の発覚したゲームの事を『不良品でした』と言えるか?そして回収して発売しなおす事が出来るか?実際そういう悲惨なベータテスト版が行われた実例もあったりするが、その後正規版を出した時の対応によっては評価がどうなるのかは、想像に難しくないよな?
答えは否だ。物流に乗ってしまった不良ゲームの回収、販売し直しは極めて難しい。それに近しい完全構築し直しが行われたゲームも過去、無いわけでは無いが……リスクが高すぎる。今オンラインゲームは毎週と云うほどに不具合修正プログラムが入ったりして洗練されていくものだが、出来る限りバグなんてものは無いのがベターだ。
致命的なバグがあった、なんて後付けに分かってしまったら利益を生む生まない所の話では無いしデベロッパーもパブリッシャーも双方手痛い傷を負うだろう。
ダメゲームを作った、売ったという傷がつく。
割かしそういう不良なゲームや製品ってのは……ままある世の中だったりもする。
そうやって失敗した作品の『伝説』や『逸話』を俺はいくつも知っているが……知っているから現状、テストプレイの段階でよかったよなぁと胸をなでおろしていたり。
でも……レッドフラグはまだマトモな方だ。バグとしては、ゲーム作品としてはさほど致命的ではないだろうとも思う。だから余計に必死にデバックするのかが疑問だ。別の意図があるんじゃないかと疑ってしまうくらいに。
仮想である『トビラ』が壊れるか壊れないかという不安が残るだけで、バグがあってもゲームは一応できるわけだし……。
それはそれである意味、ゲームという域を越えたアツい戦いが期待できるかもしれないしな。
むしろ売り手は開き直ってそういう販売戦略を仕掛けるかもしれない。とすると……コミックな展開になる訳だが。……それがもしかすると流行るかもしれない……。ホントの本気で世界がぶっ壊れてしまう危険性のあるゲームを『立ち直らせる』ゲームとして。
むぅそういや……このMFC開発パブリッシャーはそういうのやらない『お堅い』所だったな。
……そんなんは絶対やらんだろう。むしろMFCが『市場』に出て、他のサードパーティーがそういうのを開発するかも。
レッドフラグのお陰で予定していたフラグシステムが上手く機能しないんじゃぁやっぱり、作品としてはダメって事か。バグ取りに一生懸命になるのもいいが、それはプレイヤーにやらせる事じゃないだろう、という手厳しい批判を貰うのが痛いよな。何しろ第一作目に為る訳だし……。
とするときっと安易に『データを初期化します』とは、高松さんは俺達に向かっていえない訳だよ。
俺達は仮想『市場』として選ばれてテストプレイしている。一応バグが無いかの最終チェックデバッカーという役目を負っているとはいえ……高松さん達は俺達にそんな事をさせたい訳じゃぁないのだ。
あくまで公開目前の新型ゲームの、感想文を書いてもらう為に俺達8人を集めたはずだ。
ちょっとしたバグがあったら報告してね、くらいのノリでデバッカーを頼んできていたはずだ。
それが……こんな、とんでもない事態になってしまって何より開発者が驚いている。
つまりそれは、レッドフラグというバグは本当にバグという意味でもある。
わざと発生させたものでは無く、発生する可能性すら開発者は予測できなかった。
正真正銘マジメにバグだったという事だ。
俺達8人のテストプレイヤーは、バグの存在やそれを対処する開発者達の苦悩を含めて、全体的にMFCという新型ゲームについて評価する事ができる。評価するまでが多分、俺達の仕事になるんだと思う。
決断の日。その日は否が応にもやって来る。
金曜日の午後、俺達テストプレイヤーは水曜日以降、全員が再び会社に集められ、リアルの顔を付き合わせた形となった。
それぞれがそれぞれに、決意を胸にして。
「驚いたよ、結局まだ誰もMFCについて情報を流していないのかい?」
始めに何を聞かれるのかと思ったら。俺達は思わず顔を見合わせた。ミーティングルームで、高松さんはやや困った顔で笑っている。
「バグがあった事は君達の責任じゃないんだから、別に隠しておく必要は無いんだよ?」
「というか、むしろ暴露してもらいたかったんですか?」
と、ナッツがやや苦笑ぎみに頭を掻いている。
「君ん所で聞かれなかった?」
「はぁ、でもきっと企業秘密にされてるんだと思ってるみたいであえて誰も聞いてこないんですよ」
ナッツは……一応ここのメーカーとは違うゲーム会社に勤めてる。デベロッパーじゃない、ナッツの勤めてる会社はデベロッパーでもありパブリッシャーも兼ねてる……俗に言えばライバル会社だったりする。
「ボクらの責任じゃぁなくても、出来れば良い事を伝えたいと思っているのだと思いますよ」
レッドの言葉にアインは同調して頷いた。
「ええ、バグがあった事は残念だけど、でもソレを差し引いても素晴らしいゲームだと思います。まだ一回目だし……もう一度入って見てからでも感想は良いかなと思って」
「誰も知らないからさ、話し辛くない?」
とはマツナギの談。
なる程、話題にしても確かに『夢の中でゲームする』だなんて情報はまだ全然外に流れてないから、きっとそんなバカな話があるかと……マトモに取り合ってくれないってのは在るかもしれない。今まで見たいに映像とかあるわけじゃないしな……すべての情報は脳味噌の中でしか展開出来ない訳だし。
「続きをさせてください」
と、改まったのはテリーだった。
「そうしたら、これから自分達でMFCについての開発日記でもなんでも徒党を組んでやりますから」
……こいつ、敬語も喋れたんだな……。いや、当たり前か……。社会人として当然のスキルか。
「そうですね……一人で動くよりボクらでそういうページを運営した方が世間向けには説得力はあるかもしれません」
「俺はそういう知識は無ぇが……」
「アタシ達で作るわ」
アインがテリーの目配せに任せてと頷いた。
「アタシも協力する。ヤト、あんたも当然オッケーよね?」
「ああ」
俺は頷いて……高松さんを振り返る。
「例の件、問題無しです俺達」
「……そうか」
問題がある。高松さんのメールは告げていた。
問題は、ログが一部壊れて修復不可能だという事だ。
強制終了しているからある程度ログが壊れているのは仕方が無い事らしいが……それにしては想定外な位、壊れたファイルがサルベージ出来ない状況で放置されているのだという。
リセットボタンを押すのだけは絶対にやらないと、念を押すような言葉から高松さんのメールは始まっていた。
それから、ログ解析とデバックの状況とログ破壊についての具体的な説明。そして、最後に『リセット』がもたらす事態の意味について。
データの前初期化とはすなわち、アッチの世界である『トビラ』という世界を全消去するという事だ。分かるか?あの余りにもリアルにあった世界が消失するのだ。マジで、言葉通りどこにも存在しなくなるのだ。俺達の脳の中にもだ。夢の内容は余りにも脆くてすぐに消えていく。全初期化とは当然、世界という情報に依存しているログだって例外なく消えてしまう。
もう記憶に留めて置くとかいうロマンティックな展開もナシ、なのだ。
というかまさか、リアルに『世界』とやらををフォーマット出来る立場に立って、それが無くなると言う意味をマジメに考えるハメになるとは思わなんだ。
正直、俺はちょっと軽く考えすぎていたかもしれないな。
きっとナッツやレッド、それに他の連中はその事実を悟っていたのだろうか?高松さんからリセットという言葉の意味を説明された時、ぶっちゃけ前のデータは破棄でいいんじゃねぇのと思った俺の気持ちは吹き飛んだ。
それがこんなに胸糞が悪くなる事だったなんて……想像も出来てなかった。
赤旗バグは、それくらいに致命的だったって事だよ。世界構築を一からやり直さない事には現状、外からだと除去できない。
俺はそのメールを読み終わった頃には、いつしか本気であの世界を救いたいと思ってしまっていた。
前言超撤回。やり直しで良い?おお、俺何バカな事言ってたんだろ。
少なくとも異世界に逃避したい、俺は……たった一度訪れただけの世界でも、やっぱりそれを都合で壊すというのは受け入れたくない。
俺達が精力的に『トビラ』の中のバグを取る動きをしているのを、開発者の人達は十二分に理解してくれた。今後その動きを全面バックアップして、中からバグを対処する方向性で動いてくれているらしい。中から。そう、外からがダメなら中からピンポイントでバグを攻撃してみたらどうか?という事だ。
……その決定事項が昨日のメールで届いたという訳である。
しかしどうしてもキャラクターの終了時ログが不安定で、この不安定を克服出来ないというのだ。
これを修復できない状態のままログインして、キャラクターに致命的なバグを発症しないという保証が無い、と懸念している旨がメールには書いてあった。
バグ取りをするキャラクターにバグがついてたら洒落にならない、という事だな。
俺達がバグってたらそりゃ、バグ取りどころじゃァ無いよなぁ。
この問題点について、急遽昨日の夜にアイン主催のトビラ非公開チャットが催されたりしました。
リアルで顔を会わせるのは水曜日以来だが、実際俺達はアインが構築した『トビラ非公開チャット』なるもので毎夜意見を交わしていたりする。
何しろ、俺達このバーチャルリアリティであるネットの顔がある意味本性に近い訳だし。
別段ネタバレしても高松さんらには怒られないんだけど、バグの問題が片付くまではメディアには露出させないっていうのを俺達8人で相談し打ち合わせた結果、ワールドワイドウェブ経由なのでネタバレ禁を徹底したこのチャットで……事前にメールで発言禁止用語が定義されて厳重に運営中……明日のテストプレイをどうするかというのを話し合って俺達は今、ここに居るのだ。
「キャラクターを失いたく無いんです」
ナッツが苦笑して言う。
「リセットされないにしろ、折角蓄積したログを台無しにするような事はしたくないしそれに、例えバグがついていたとしても俺達それを中から修復する事が可能なんですよね?」
「……一応は、ブルーフラグ権限であれば一時的に開発者ツールを使う事を可能にしてある」
高松さんはナッツの言葉に頷いた。
「だったら行くわ、例えどんな続きになっていても」
「外側から修復するよりは、中から問題点を直してしまった方が手っ取り早いんだろ?」
とは、データ収納理論からレッドとメージンが指摘した事だ。
「なんだ。君達……先に相談して来たね?」
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「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、俺は必死についていった。
だけど、自分には何もできないと思っていた。
それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。
だけどある日、彼らは言った。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。
俺も分かっていた。
だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。
「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」
そう思っていた。そのはずだった。
――だけど。
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そんな橘一家のドタバタ異世界道中記です。
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