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6章 アイとユウキは……『世界を救う、はずだ』
書の6後半 暴の付く勇者達『呼びたければ呼べばいい、何とでも』
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■書の6後半■ 暴の付く勇者達 unreasonable brave
と言う訳で、ちょっと過去に遡って……。
引き上げる事の出来なかった記憶をリコレクトするとしよう。
ここの部分は恐らく、レッドから弄られていた部分になる。なぜレッドがこの展開を思い出せないように弄ったのか。
俺は理解できる。
全ての根底を覆す、それは。
間違いなく想定外の出来事だからだ。
「ほらよ」
投げ渡された鎧のパーツを受け取る事が出来ず、俺はそれに押しつぶされた。
拘束されてから何時間たったのか、俺は上手く数える事が出来ていない。気を持ち直す間も無く怪しい薬を入れられてラリってたし……気を失ってた時間がどれだけあるのか分かるはずがねぇ。
しかし相当長い間無理な姿勢をしていたのは間違い無かった。
手にはめられていた鎖を外してもらっても手が、動かない。
痺れているなんてレベルじゃねぇ……う、動かない……。壊死してんじゃねぇだろうなぁッ?
後ろ手を回す格好で柱に括りつけられていた俺はゆっくり、激痛とはまた違った感覚に怯えながらゆっくり慎重に腕を前に戻した。なんとか……動かしてどす黒い色に変色した自分の腕を見て気持ち悪くなってきた。
血の通っていない指が痺れている、上手く握り込めずに痺れを我慢していた所に、ギルが問答無用で俺の鎧をこっちに投げて寄越しやがった訳だ。
で、鎖帷子を頭で受け取って俺は倒れてしまったと。
「何やってんだ」
「動けねぇんだよ!無茶な体制で何時間ッ!」
「僕が着せてあげようか」
と、俺の痺れた手をこのやろう、わざと握りやがったな!
何時の間にやら隣に現れていたインティに痺れた腕を握り込まれて俺は、悶絶。
ある意味これも虐めだよな!?
しかし連中、どうやら急いでいるらしい。俺の痺れて動けないという主張はことごとく無視され、インティは脱がされていたアンダースーツを強引に装着させてくれやがった。さらに鎖帷子をやや強引に被せられ、案の定髪の毛引っかかって痛いし。
俺はもう文句を言う体力、というよりは気力があんまり無かったので……しまいには大人しく、連中の指示通り自分の鎧を着込んで……槍でもある篭手を手渡された。
「よし、ついて来い」
逃げ出そうと思えば逃げ出せる体制が整っていた。
鎧良し、武器良し、拘束無し。
だが……それが出来無い事を俺はすでに嫌って程理解している。奴らを一人残らずここで殺しでもしない限り俺は、自由ではない。
……拘束されるのには比較的慣れているんだ。隷属剣闘士をやってた時期が長い訳だしな。
抵抗したってどーせ無駄だ。それに、嫌なもん見せ付けられしまって俺は、逃げ出せない。多くの人が地下に囚われて怪物にされるのを待っているんだと思ったら……やっぱここは、逃げられないよなぁ俺。
俺は黙ってギルの後に続く事にした。
大体、蹴り一発で致命傷だぞ?……相手が丸腰でも勝てる気がしねぇ。
……でも、正直怖くは無い。
勝てそうには無いとは思うが俺はまだ、こいつが怖いとは思っていなかった。
まぁ、それは魔王全体に向けて言える事なんだがな。
こういう物怖じしないというのが俺の、戦士ヤトというキャラクターな訳で。
フル装備させられて、連れてこられたのは広間だった。
窓が無い、階段も経由していないから地下だろうと俺は察する。それにしても広い……。
「何だ、ここ」
高い天井から伸びる柱は広間に円を描くように8つ。明らかに後から付け足された装飾品だ。床には……溝が掘られて魔方陣みたいなものがごく簡素に張られている。
そしてその真ん中に、だな。
変なモノが置いてあるのだ。
「手ぇ出せ」
ギルから言われて俺は、素直に右手を差し出した。
素手の相手は俺の右手に……小さな鍵を落とす。
「……何させようってんだよ」
「まぁ分かっているだろうが。……その鍵であれの『扉』が開くようになる。あれを開けろ」
「……何で俺がやるんだよ」
ギルは親指で後ろを指差している。背後に視線を投げると……なぜだか、全部で8本ある柱それぞれに例の魔王八逆星が近くに控えているのだが……全員明らかに中央の物から背を向けているのだ。
「連中は恐れていやがってな」
「……何を?」
「あれの中身を」
ギルは苦笑して頭を掻いた。
「とりあえず、中身を覗けばいい。見たらすぐ閉じろ」
「ますます意味が分からんが……何が入ってるんだ?」
「……黙って言われた通りにすりゃぁいいんだよ」
突然乱暴に突き飛ばされ、俺は中央に置かれた奇妙なオブジェクトの前に弾き飛ばされる。
見上げれば、そこに開けろと言われた『扉』があった。
「ったく、お前捕虜の癖にグチグチ煩ぇぞ。もっと懲りて大人しくしたらどうなんだ」
へいへい、悪かったよ。
どうやらギルから鬱陶しがられた様である。散々甚振られたのに『恐れ』を抱かない。抱こうとしない。
それが、俺が乱暴な勇気を振りかざす事の出来る『勇者』って称号を、笑いながら名乗れる所以なんだがなぁ。
苦笑しながらも、抵抗しようが無いので大人しく言われた通りにしてやるか。
これは、籠だ。
鉄格子で出来た縦に細長い卵型の……鳥篭みたいなものが目の前にある。人が一人中に入れるか、入れないかという位の大きさだ。
中身も何も……鉄格子から覗ける『中』には何も無い、けど。
「ったく、突然自由にしたら今度は、何させようって……」
俺はぶつくさ言って、まぁこの場合迷ってたってしょうがない。もう色々と開き直っていたし、どうにでもなれという気持ちだった。
説明も無しに突然こんな所に連れてこられ、鍵を渡され『扉』を開けろだなんて言われたって、アタマの悪い俺に何が理解できるっていうんだ。かといって、何だと聞けば口答えするな、だろ?
どうせ俺はサンプルで、今は囚われの身だよ。
しかし……フル装備させた意味は何だ?
そんな疑問を脳裏にちらつかせつつ……。
俺は、数段高くなっている台座に置かれた籠に近付き、鉄格子で出来た扉の前に立った。
籠なのにドアノブだ。
その下にある鍵穴に、俺は迷う意味が無くギルから渡された鍵を差し込む。さび付きも無くするりと入り込む鍵、左に回して動かない、右には滑らかにターンが回って……カチリと何かが嵌まる音がする。
今更になって俺はちょっと、びびって来た。
今恐らく、鍵は開いた。
突然扉が開いたら……と思ったが……ドアノブを回さない限り勝手に開く事はなさそうである。
俺は一瞬背後を振り返る。
予想に反して、ギルは比較的すぐ後ろに立っていて顎でさっさと開けろと言っていた。
視界を遠くに合わせると……インティやナドゥ、ストア、アービスそれから馬面の……エルドロゥっていうらしい奴とか、あと謎の仮面の男とかがそれぞれ、別々の柱の後ろに……まるで隠れるようにしてこちらを窺っている。
「……何だってんだよ」
「だから、近付きたくないんだよ。出来ればな」
「お前はどうなんだ」
「てめぇがしくじった場合、誰が『扉』を閉めるんだ。俺はそういう係なのさ」
ギルはそう言っておどけて肩をすくめて見せるが……
……意味が分からない。
だが……この『扉』を開ければ答えは分かるのだろう。
俺はドアノブに手を掛けた。
そして、それを開けて。
そいつと目が合った。
「え?」
空の籠の中、扉の向こうには見慣れない男が椅子に腰掛けて座っていたのだ。しかしそれに驚く間も無かった。それが、何かを言ったからだ。その声が、声ではない方法で俺に刻み込まれる。
「あ、え?ちょっと待て?……何?」
唐突に伸ばされた手に驚いて俺は身をひいた、その分、奴の手が伸びて籠の中から突き出してくる。
「何してる!」
ギルの叱責の声に俺は、さっさと扉を閉めろと言われているのだと理解出来た。出来たのだが……身を引いた所為で手がドアノブから離れていた。
頭をがっちりと捕まえられ引き寄せられ、余りにも近い所で目を合わせて……俺は、その視線から送られてくる『言葉』から目を?何だ?え?
逸らせない?
唐突に流れ込んでくる何かの感覚が、俺の血を逆流させる。
見覚えのある……違う。身覚えのある痛みが再び俺を襲い、心はともかく身体がその痛みに拒絶反応を起こした。
俺は間違いなくその時、情けない悲鳴をあげていただろう。
痛みと、流れ込んでくる感情に飲み込まれて必死に逃げようともがいた。少なくとも俺はもがいたつもりだった。
『待っていた、』
声が刺さり込む。言葉ではない、音ではない、意識が俺の中に刺さり込んでくる。
『懐かしい、匂いがする』
やべぇ、助けて。
逃げなきゃ、全部投げ出して逃げ出さないとやべぇよこれ!
『○△%&‥!□≠?』
ああ、その言葉だけはどうしても思い出せない。
たった一言、その一言が奴の全てを語るはずなのに。
思い出せ、思い出すな、思い出せ、思い出したくない!
「あれは一体何なんだ!?」
ギルが強引に扉を閉めたのを俺は、まるで遠くから眺めているように見ていた。
俺は……乖離している、追い出された。
そしてアイツが俺を乗っ取った、でも俺は。
怖くて、怖くて、情けない事に逃げ出したい気持ちで一杯一杯で、
使えないはずのエントランスに逃げ込んだんだ。
必死に……必死だった。
必死に逃げた事を俺は都合良く忘れてしまった。
それが多分、あまりにもリアルでの自分を思い出させたから。
「あれは一体何なんだ?」
俺は今一度問う。一人では答えを出せないが、きっとレッドなら分かるように説明してくれるだろう。
「とりあえず、アレが八逆星にとって倒すべきモノだってのは分かる……分かるが、何なのか俺には理解出来ない」
「高松さん達は解析できているのでしょうかね」
俺の記憶障害、つまり破損したログはソイツの記録までサルベージ出来た事は間違いない。今、俺が思い出せるんだからデータとして高松さんらもソイツの記録を手にしたはずだ。
レッドは眼鏡を押し上げてから呟いた。
「メージンに聞いているのかい?」
「……そうですね、出来れば『分かっている』のかどうかはお聞きしておきたい所です」
すると、しばらくしてメージンのコメントが降りてきた。
『分かっていなかったそうです……』
短いコメントだった。どこか疲れを感じられるメージンの呟きに俺は、眉をひそめる。
それを聞いてレッドは一つ頷いて唐突に、白い砂の上に正方形を描き出した。
四角を二つ、ずらして重ねた図形。……8つの頂を持つ星、すなわち八精霊を現す図形の一つだな。
「これがどうしたのか?」
「別に図形に意味はありません……が、この『トビラ』の世界の名前が八精霊大陸(エイトエレメンタラティス)というのは勿論、皆さんリコレクトでご存知ですね?」
俺達は頷いた。
「では、世界の成り立ちについては何処らへんまで思い出す事が出来ますか?」
「成り立ち?……って言うとつまり、この八精霊大陸が出来た神話の話の事?八つの精霊が大陸を作ったから八精霊大陸云々って奴?」
「実際、大地を創作したのは八精霊のうちの一つであるオレイアデントです。どうやら、詳しい説明が必要のようですね」
アベルと俺は頭を掻いて項垂れました。
すいません、是非詳しくお願いします。
「八精霊というのは、世界を作った原初基礎のものとしてこの世界では認識されている『理』の事です。八つの精霊がこの『世界』に物質を作った。しかし実際に世界を世界として働かせたらしめたのは……八精霊に数えない慣わしになっている時間の精霊、バルトアンデルトです」
レッドはそう言いながら8精霊を現す図形の中央に円を描く。
「……ヤト、貴方が目の当たりにしたのは恐らくバルトアンデルトの大陸座」
「バルトアンデルト……?時間の大陸座……っても、そんなんどこに居るもんだよ?」
「中央大陸でしょうね、まぁ……普通に考えて消去法で行けばそうなるでしょう」
中央大陸ね……リコレクト。
何人も辿りつく事の出来ない幻の大陸、セントラルオーシャンと呼ばれる海の中央にあるという。
実際、あるかどうかは分からない。
たどり着いて、戻ってきた人間は存在しないのだからな。
そこに行っちまったと言われる奴らは大量に存在する。中央海では陸地を見失ったが最後、二度と八精霊大陸には戻って来れずに行方知れずになる。
そういう恐ろしい海の果てに『ある』と言われている、大陸だな。
「僕らに紹介されている『トビラ』開発者チームは総勢8人だ。高松さん達は一番最初にこの世界に白い旗をつけてトビラを潜った……なのに、9人目って」
『居たそうです。9人目が……過去形ですけど』
メージンのコメントに俺達は思わず、空を見上げていた。
『想定外です、……おかげでレッドフラグの出所がはっきりしたと高松さんが言っています』
「そいつが元凶って事かッ!」
テリーが拳を掌に叩き付ける。
顔を上げた。俺は今、全てを思い出している。
「そう、だ。八逆星に囚われて封印されてる『それ』を滅ぼす方法を奴らは探してるんだ。ギガース、レッドフラグの発生元の、正真正銘の魔王だ!」
「それと、ヤトは顔をあわせたって事なの?」
アインの問いに俺は無言で頷いた。
「あっという間に乗っ取られたよ……魔王連中の『予定』では、ギガースからなら俺は魔王に……つまり、赤旗に感染するだろうと踏んだようだな。それでも抵抗があるなら俺は、魔王じゃない。それならそれで『それ』を滅ぼせる存在として認識されるはずだった訳だ」
「……いや待て、その魔王連中ってのは結局、赤旗の元凶であるギガースを倒すつもりで……何で自分らも赤旗になってんだよ?」
「奴らには旗が見えてないんだって」
俺の言葉に一同……レッド含む、驚いた様だ。
「でも、インティが」
「それはほら、俺達つい奴らの頭上を見てるだろ?あいつは成りはガキだが頭は相当にキレるぜ、どうも俺達が変な所を見ながら正体を見抜いているってのに気が付いてるだけだ」
「じゃぁ、最初にギルがあたし達を指差したのは何なの?」
アベルの言葉に俺は、一瞬口を噤む。
「……あーと、あれは……俺を指差したんだろ?」
「なんで?」
「何でって、……いやほら……」
唐突に連中は納得した。
リコレクトして気が付いたって所だろう。確かに……色々切羽詰まっててそんな所に突っ込みを入れている場合では無かった。
「あんた、天涯孤独じゃなかったの?」
「いや、間違いなく孤独ですが?」
「じゃぁなんでアンタと同じ顔してんのよアイツ」
……アイツ、というのは……黒い鎧のアービスな。
そう、目や髪の色こそ違えど……わりと、俺とアービスは似た顔をしていたりした。
俺は……実は、最初すげぇびっくりしたんだが、なんで自分は驚いてるのか理解できなかったんだよな。何故って、あいつ黒髪だろ?目は青だけど……俺は今東方人特有の天然茶髪なのだが、リアル-サトウハヤトは黒髪黒目の日本人だからな。
アービスは一見、外見がすんげぇリアルの俺に近い訳よ。とはいえ、兜かぶってたから剣を交えて顔を近づけてみて、俺はそれに気が付いた訳だが。
……いや、体格とかは圧倒的に劣ってますけど……俺が。
「しかも俺達ギルの頭上の赤旗に目が釘漬けだっただろ?ナドゥのおっさんも気付いてたんだろうな。何か俺達が違うものを見ている、って事に」
「じゃぁ、八逆星の人達って自分達がバグなのは当然、分かって無いんだ」
「よく考えりゃ当たり前の話だよなぁ、こっちの世界の人はフラグシステムについては理解しませんって、メージンがコメントしてたわけだし」
俺の言葉に一同、納得したように頷いてしまっている。
「にしたって、何で『魔王化』とやらが必要なんだよ?……魔王ってのはそう呼ばれているだけとはいえ……」
「旗が見えてないんだ。レッドフラグに感染してるっていう意識は無い訳だけど、規格外の力を持てる事は連中にとって有意義だろ?」
「毒をもって毒を制すって事か……」
つまり、規格外の存在である魔王ギガースを滅ぼすために、自らその強大な力を取り込んで……対抗しようってのが魔王八逆星という連中なのだ。
そういう事。
「ああ、嫌らしい手段だよな」
と言う訳で。
俺は更にもう一つ余計な事を思い出している。
「さて、ここまではいいかお前ら」
俺は尻を叩きながら立ち上がった。
「大体把握はしたが……まだ何かあるのか?」
「あるぜ、俺はそっからの記憶がマトモに存在しない。何しろ、ログアウトしてんだからな。……その間の出来事についての詳細はレッドが知っているはずだ」
俺が軽く指で指すと、レッドは小さく頷いた。
「だから、なんでレッドが裏切ったかってのはまぁ、これからボチボチレッドが語るとしてだな」
レッドはばつが悪そうにしているが……俺がここまではっきり事情説明したんだから黙っている訳にはいかんだろう。
次はお前のターンだぜ。
だがその前に。一つ言っておきたい事がある。
「次、悪いけど……シーミリオン国でいいか?」
「え?行き先って事?」
「シーミリオン国の大陸座からデバイスはもう、貰っているじゃない」
「いや、その件じゃねぇんだ」
俺は腕を組む。左腕にある水竜のような形を模している篭手に視線を落とした。
「どうしても急ぎ、ユーステルとキリュウに言わないといけない事があってな」
「……まさか」
レッドが早速気が付いたようだな。まぁ、俺とお前が一番事情を理解しているんだから、その可能性にもさっさと気が付く事だろう。
俺は笑いながら溜め息を漏らした。
「どうやら彼女らの探しもの、見つけちまったっぽいんだわ」
と言う訳で、ちょっと過去に遡って……。
引き上げる事の出来なかった記憶をリコレクトするとしよう。
ここの部分は恐らく、レッドから弄られていた部分になる。なぜレッドがこの展開を思い出せないように弄ったのか。
俺は理解できる。
全ての根底を覆す、それは。
間違いなく想定外の出来事だからだ。
「ほらよ」
投げ渡された鎧のパーツを受け取る事が出来ず、俺はそれに押しつぶされた。
拘束されてから何時間たったのか、俺は上手く数える事が出来ていない。気を持ち直す間も無く怪しい薬を入れられてラリってたし……気を失ってた時間がどれだけあるのか分かるはずがねぇ。
しかし相当長い間無理な姿勢をしていたのは間違い無かった。
手にはめられていた鎖を外してもらっても手が、動かない。
痺れているなんてレベルじゃねぇ……う、動かない……。壊死してんじゃねぇだろうなぁッ?
後ろ手を回す格好で柱に括りつけられていた俺はゆっくり、激痛とはまた違った感覚に怯えながらゆっくり慎重に腕を前に戻した。なんとか……動かしてどす黒い色に変色した自分の腕を見て気持ち悪くなってきた。
血の通っていない指が痺れている、上手く握り込めずに痺れを我慢していた所に、ギルが問答無用で俺の鎧をこっちに投げて寄越しやがった訳だ。
で、鎖帷子を頭で受け取って俺は倒れてしまったと。
「何やってんだ」
「動けねぇんだよ!無茶な体制で何時間ッ!」
「僕が着せてあげようか」
と、俺の痺れた手をこのやろう、わざと握りやがったな!
何時の間にやら隣に現れていたインティに痺れた腕を握り込まれて俺は、悶絶。
ある意味これも虐めだよな!?
しかし連中、どうやら急いでいるらしい。俺の痺れて動けないという主張はことごとく無視され、インティは脱がされていたアンダースーツを強引に装着させてくれやがった。さらに鎖帷子をやや強引に被せられ、案の定髪の毛引っかかって痛いし。
俺はもう文句を言う体力、というよりは気力があんまり無かったので……しまいには大人しく、連中の指示通り自分の鎧を着込んで……槍でもある篭手を手渡された。
「よし、ついて来い」
逃げ出そうと思えば逃げ出せる体制が整っていた。
鎧良し、武器良し、拘束無し。
だが……それが出来無い事を俺はすでに嫌って程理解している。奴らを一人残らずここで殺しでもしない限り俺は、自由ではない。
……拘束されるのには比較的慣れているんだ。隷属剣闘士をやってた時期が長い訳だしな。
抵抗したってどーせ無駄だ。それに、嫌なもん見せ付けられしまって俺は、逃げ出せない。多くの人が地下に囚われて怪物にされるのを待っているんだと思ったら……やっぱここは、逃げられないよなぁ俺。
俺は黙ってギルの後に続く事にした。
大体、蹴り一発で致命傷だぞ?……相手が丸腰でも勝てる気がしねぇ。
……でも、正直怖くは無い。
勝てそうには無いとは思うが俺はまだ、こいつが怖いとは思っていなかった。
まぁ、それは魔王全体に向けて言える事なんだがな。
こういう物怖じしないというのが俺の、戦士ヤトというキャラクターな訳で。
フル装備させられて、連れてこられたのは広間だった。
窓が無い、階段も経由していないから地下だろうと俺は察する。それにしても広い……。
「何だ、ここ」
高い天井から伸びる柱は広間に円を描くように8つ。明らかに後から付け足された装飾品だ。床には……溝が掘られて魔方陣みたいなものがごく簡素に張られている。
そしてその真ん中に、だな。
変なモノが置いてあるのだ。
「手ぇ出せ」
ギルから言われて俺は、素直に右手を差し出した。
素手の相手は俺の右手に……小さな鍵を落とす。
「……何させようってんだよ」
「まぁ分かっているだろうが。……その鍵であれの『扉』が開くようになる。あれを開けろ」
「……何で俺がやるんだよ」
ギルは親指で後ろを指差している。背後に視線を投げると……なぜだか、全部で8本ある柱それぞれに例の魔王八逆星が近くに控えているのだが……全員明らかに中央の物から背を向けているのだ。
「連中は恐れていやがってな」
「……何を?」
「あれの中身を」
ギルは苦笑して頭を掻いた。
「とりあえず、中身を覗けばいい。見たらすぐ閉じろ」
「ますます意味が分からんが……何が入ってるんだ?」
「……黙って言われた通りにすりゃぁいいんだよ」
突然乱暴に突き飛ばされ、俺は中央に置かれた奇妙なオブジェクトの前に弾き飛ばされる。
見上げれば、そこに開けろと言われた『扉』があった。
「ったく、お前捕虜の癖にグチグチ煩ぇぞ。もっと懲りて大人しくしたらどうなんだ」
へいへい、悪かったよ。
どうやらギルから鬱陶しがられた様である。散々甚振られたのに『恐れ』を抱かない。抱こうとしない。
それが、俺が乱暴な勇気を振りかざす事の出来る『勇者』って称号を、笑いながら名乗れる所以なんだがなぁ。
苦笑しながらも、抵抗しようが無いので大人しく言われた通りにしてやるか。
これは、籠だ。
鉄格子で出来た縦に細長い卵型の……鳥篭みたいなものが目の前にある。人が一人中に入れるか、入れないかという位の大きさだ。
中身も何も……鉄格子から覗ける『中』には何も無い、けど。
「ったく、突然自由にしたら今度は、何させようって……」
俺はぶつくさ言って、まぁこの場合迷ってたってしょうがない。もう色々と開き直っていたし、どうにでもなれという気持ちだった。
説明も無しに突然こんな所に連れてこられ、鍵を渡され『扉』を開けろだなんて言われたって、アタマの悪い俺に何が理解できるっていうんだ。かといって、何だと聞けば口答えするな、だろ?
どうせ俺はサンプルで、今は囚われの身だよ。
しかし……フル装備させた意味は何だ?
そんな疑問を脳裏にちらつかせつつ……。
俺は、数段高くなっている台座に置かれた籠に近付き、鉄格子で出来た扉の前に立った。
籠なのにドアノブだ。
その下にある鍵穴に、俺は迷う意味が無くギルから渡された鍵を差し込む。さび付きも無くするりと入り込む鍵、左に回して動かない、右には滑らかにターンが回って……カチリと何かが嵌まる音がする。
今更になって俺はちょっと、びびって来た。
今恐らく、鍵は開いた。
突然扉が開いたら……と思ったが……ドアノブを回さない限り勝手に開く事はなさそうである。
俺は一瞬背後を振り返る。
予想に反して、ギルは比較的すぐ後ろに立っていて顎でさっさと開けろと言っていた。
視界を遠くに合わせると……インティやナドゥ、ストア、アービスそれから馬面の……エルドロゥっていうらしい奴とか、あと謎の仮面の男とかがそれぞれ、別々の柱の後ろに……まるで隠れるようにしてこちらを窺っている。
「……何だってんだよ」
「だから、近付きたくないんだよ。出来ればな」
「お前はどうなんだ」
「てめぇがしくじった場合、誰が『扉』を閉めるんだ。俺はそういう係なのさ」
ギルはそう言っておどけて肩をすくめて見せるが……
……意味が分からない。
だが……この『扉』を開ければ答えは分かるのだろう。
俺はドアノブに手を掛けた。
そして、それを開けて。
そいつと目が合った。
「え?」
空の籠の中、扉の向こうには見慣れない男が椅子に腰掛けて座っていたのだ。しかしそれに驚く間も無かった。それが、何かを言ったからだ。その声が、声ではない方法で俺に刻み込まれる。
「あ、え?ちょっと待て?……何?」
唐突に伸ばされた手に驚いて俺は身をひいた、その分、奴の手が伸びて籠の中から突き出してくる。
「何してる!」
ギルの叱責の声に俺は、さっさと扉を閉めろと言われているのだと理解出来た。出来たのだが……身を引いた所為で手がドアノブから離れていた。
頭をがっちりと捕まえられ引き寄せられ、余りにも近い所で目を合わせて……俺は、その視線から送られてくる『言葉』から目を?何だ?え?
逸らせない?
唐突に流れ込んでくる何かの感覚が、俺の血を逆流させる。
見覚えのある……違う。身覚えのある痛みが再び俺を襲い、心はともかく身体がその痛みに拒絶反応を起こした。
俺は間違いなくその時、情けない悲鳴をあげていただろう。
痛みと、流れ込んでくる感情に飲み込まれて必死に逃げようともがいた。少なくとも俺はもがいたつもりだった。
『待っていた、』
声が刺さり込む。言葉ではない、音ではない、意識が俺の中に刺さり込んでくる。
『懐かしい、匂いがする』
やべぇ、助けて。
逃げなきゃ、全部投げ出して逃げ出さないとやべぇよこれ!
『○△%&‥!□≠?』
ああ、その言葉だけはどうしても思い出せない。
たった一言、その一言が奴の全てを語るはずなのに。
思い出せ、思い出すな、思い出せ、思い出したくない!
「あれは一体何なんだ!?」
ギルが強引に扉を閉めたのを俺は、まるで遠くから眺めているように見ていた。
俺は……乖離している、追い出された。
そしてアイツが俺を乗っ取った、でも俺は。
怖くて、怖くて、情けない事に逃げ出したい気持ちで一杯一杯で、
使えないはずのエントランスに逃げ込んだんだ。
必死に……必死だった。
必死に逃げた事を俺は都合良く忘れてしまった。
それが多分、あまりにもリアルでの自分を思い出させたから。
「あれは一体何なんだ?」
俺は今一度問う。一人では答えを出せないが、きっとレッドなら分かるように説明してくれるだろう。
「とりあえず、アレが八逆星にとって倒すべきモノだってのは分かる……分かるが、何なのか俺には理解出来ない」
「高松さん達は解析できているのでしょうかね」
俺の記憶障害、つまり破損したログはソイツの記録までサルベージ出来た事は間違いない。今、俺が思い出せるんだからデータとして高松さんらもソイツの記録を手にしたはずだ。
レッドは眼鏡を押し上げてから呟いた。
「メージンに聞いているのかい?」
「……そうですね、出来れば『分かっている』のかどうかはお聞きしておきたい所です」
すると、しばらくしてメージンのコメントが降りてきた。
『分かっていなかったそうです……』
短いコメントだった。どこか疲れを感じられるメージンの呟きに俺は、眉をひそめる。
それを聞いてレッドは一つ頷いて唐突に、白い砂の上に正方形を描き出した。
四角を二つ、ずらして重ねた図形。……8つの頂を持つ星、すなわち八精霊を現す図形の一つだな。
「これがどうしたのか?」
「別に図形に意味はありません……が、この『トビラ』の世界の名前が八精霊大陸(エイトエレメンタラティス)というのは勿論、皆さんリコレクトでご存知ですね?」
俺達は頷いた。
「では、世界の成り立ちについては何処らへんまで思い出す事が出来ますか?」
「成り立ち?……って言うとつまり、この八精霊大陸が出来た神話の話の事?八つの精霊が大陸を作ったから八精霊大陸云々って奴?」
「実際、大地を創作したのは八精霊のうちの一つであるオレイアデントです。どうやら、詳しい説明が必要のようですね」
アベルと俺は頭を掻いて項垂れました。
すいません、是非詳しくお願いします。
「八精霊というのは、世界を作った原初基礎のものとしてこの世界では認識されている『理』の事です。八つの精霊がこの『世界』に物質を作った。しかし実際に世界を世界として働かせたらしめたのは……八精霊に数えない慣わしになっている時間の精霊、バルトアンデルトです」
レッドはそう言いながら8精霊を現す図形の中央に円を描く。
「……ヤト、貴方が目の当たりにしたのは恐らくバルトアンデルトの大陸座」
「バルトアンデルト……?時間の大陸座……っても、そんなんどこに居るもんだよ?」
「中央大陸でしょうね、まぁ……普通に考えて消去法で行けばそうなるでしょう」
中央大陸ね……リコレクト。
何人も辿りつく事の出来ない幻の大陸、セントラルオーシャンと呼ばれる海の中央にあるという。
実際、あるかどうかは分からない。
たどり着いて、戻ってきた人間は存在しないのだからな。
そこに行っちまったと言われる奴らは大量に存在する。中央海では陸地を見失ったが最後、二度と八精霊大陸には戻って来れずに行方知れずになる。
そういう恐ろしい海の果てに『ある』と言われている、大陸だな。
「僕らに紹介されている『トビラ』開発者チームは総勢8人だ。高松さん達は一番最初にこの世界に白い旗をつけてトビラを潜った……なのに、9人目って」
『居たそうです。9人目が……過去形ですけど』
メージンのコメントに俺達は思わず、空を見上げていた。
『想定外です、……おかげでレッドフラグの出所がはっきりしたと高松さんが言っています』
「そいつが元凶って事かッ!」
テリーが拳を掌に叩き付ける。
顔を上げた。俺は今、全てを思い出している。
「そう、だ。八逆星に囚われて封印されてる『それ』を滅ぼす方法を奴らは探してるんだ。ギガース、レッドフラグの発生元の、正真正銘の魔王だ!」
「それと、ヤトは顔をあわせたって事なの?」
アインの問いに俺は無言で頷いた。
「あっという間に乗っ取られたよ……魔王連中の『予定』では、ギガースからなら俺は魔王に……つまり、赤旗に感染するだろうと踏んだようだな。それでも抵抗があるなら俺は、魔王じゃない。それならそれで『それ』を滅ぼせる存在として認識されるはずだった訳だ」
「……いや待て、その魔王連中ってのは結局、赤旗の元凶であるギガースを倒すつもりで……何で自分らも赤旗になってんだよ?」
「奴らには旗が見えてないんだって」
俺の言葉に一同……レッド含む、驚いた様だ。
「でも、インティが」
「それはほら、俺達つい奴らの頭上を見てるだろ?あいつは成りはガキだが頭は相当にキレるぜ、どうも俺達が変な所を見ながら正体を見抜いているってのに気が付いてるだけだ」
「じゃぁ、最初にギルがあたし達を指差したのは何なの?」
アベルの言葉に俺は、一瞬口を噤む。
「……あーと、あれは……俺を指差したんだろ?」
「なんで?」
「何でって、……いやほら……」
唐突に連中は納得した。
リコレクトして気が付いたって所だろう。確かに……色々切羽詰まっててそんな所に突っ込みを入れている場合では無かった。
「あんた、天涯孤独じゃなかったの?」
「いや、間違いなく孤独ですが?」
「じゃぁなんでアンタと同じ顔してんのよアイツ」
……アイツ、というのは……黒い鎧のアービスな。
そう、目や髪の色こそ違えど……わりと、俺とアービスは似た顔をしていたりした。
俺は……実は、最初すげぇびっくりしたんだが、なんで自分は驚いてるのか理解できなかったんだよな。何故って、あいつ黒髪だろ?目は青だけど……俺は今東方人特有の天然茶髪なのだが、リアル-サトウハヤトは黒髪黒目の日本人だからな。
アービスは一見、外見がすんげぇリアルの俺に近い訳よ。とはいえ、兜かぶってたから剣を交えて顔を近づけてみて、俺はそれに気が付いた訳だが。
……いや、体格とかは圧倒的に劣ってますけど……俺が。
「しかも俺達ギルの頭上の赤旗に目が釘漬けだっただろ?ナドゥのおっさんも気付いてたんだろうな。何か俺達が違うものを見ている、って事に」
「じゃぁ、八逆星の人達って自分達がバグなのは当然、分かって無いんだ」
「よく考えりゃ当たり前の話だよなぁ、こっちの世界の人はフラグシステムについては理解しませんって、メージンがコメントしてたわけだし」
俺の言葉に一同、納得したように頷いてしまっている。
「にしたって、何で『魔王化』とやらが必要なんだよ?……魔王ってのはそう呼ばれているだけとはいえ……」
「旗が見えてないんだ。レッドフラグに感染してるっていう意識は無い訳だけど、規格外の力を持てる事は連中にとって有意義だろ?」
「毒をもって毒を制すって事か……」
つまり、規格外の存在である魔王ギガースを滅ぼすために、自らその強大な力を取り込んで……対抗しようってのが魔王八逆星という連中なのだ。
そういう事。
「ああ、嫌らしい手段だよな」
と言う訳で。
俺は更にもう一つ余計な事を思い出している。
「さて、ここまではいいかお前ら」
俺は尻を叩きながら立ち上がった。
「大体把握はしたが……まだ何かあるのか?」
「あるぜ、俺はそっからの記憶がマトモに存在しない。何しろ、ログアウトしてんだからな。……その間の出来事についての詳細はレッドが知っているはずだ」
俺が軽く指で指すと、レッドは小さく頷いた。
「だから、なんでレッドが裏切ったかってのはまぁ、これからボチボチレッドが語るとしてだな」
レッドはばつが悪そうにしているが……俺がここまではっきり事情説明したんだから黙っている訳にはいかんだろう。
次はお前のターンだぜ。
だがその前に。一つ言っておきたい事がある。
「次、悪いけど……シーミリオン国でいいか?」
「え?行き先って事?」
「シーミリオン国の大陸座からデバイスはもう、貰っているじゃない」
「いや、その件じゃねぇんだ」
俺は腕を組む。左腕にある水竜のような形を模している篭手に視線を落とした。
「どうしても急ぎ、ユーステルとキリュウに言わないといけない事があってな」
「……まさか」
レッドが早速気が付いたようだな。まぁ、俺とお前が一番事情を理解しているんだから、その可能性にもさっさと気が付く事だろう。
俺は笑いながら溜め息を漏らした。
「どうやら彼女らの探しもの、見つけちまったっぽいんだわ」
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