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9章 隔たる轍 『世界の成り立つ理』
書の1前半 迷わない『選んだら後悔しないで生きる事』
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■書の1前半■ 迷わない Don't lose one way
剣が突き刺さっている。
余りにも抵抗無く俺の胸に突き刺さったその剣は、まるで生えていたみたいに……何っていうか。
あんまり綺麗に刺さりすぎて痛みを感じるシグナルの到達が遅れているっていうか。
もしかして、蜘蛛の毒はまだ抜けきっていないのだろうか?
俺の神経はまだ毒によって痺れていて、正常に動いていないのだろうか?
何時間……って事はないよな。ここは旧ドリュアート跡だと言うし、いくら足の速い大蜘蛛でもシエンタから数日は必要だと思う。
いや、ナドゥのおっさんが一緒だったな。奴が転移門魔法でも使っていたら移動は、一瞬か?
どうなんだ?ずっと寝ていたらしい俺には時間の感覚が欠落していて今が『何時』なのか分からない。
……というか今はそんな事を考えている場合じゃないのに。
非現実的な事を目の前にして、逃避するように……すっかり余計な事を考えている。
息を吸い込む。
息を吸って吐く事なんて当然普段は意識していないのに気が付く。
たった一瞬の下らない思考の後、吸い込んだ息に違和感を感じ慌てて吐き出した途端……吐息と一緒に赤い血が泡となって口から吐き出されていた。
あー……これは、やばいな。
肺を貫通している剣が、ほんの僅かな横隔膜の動きに俺の体を抉り穴を開け体液を零す。ぞっとする背筋を凍らせるような鈍い痛みが胸に広がった。事実を受け入れた俺の脳が状況の危機を煽るべく嫌な連想を勝手にリコレクトする。
生きていて欲しいとかなんとか貴様は言わなかったか?
それなのになんだ、なんでこんな事をしやがる。
まるであの時、あの時というのはタトラメルツでの事な……あそこでレッドと対峙した時の……レッドの理不尽な訴えをもう一度受けている気持ちになるのは。
勝手に俺の脳が嫌な出来事を連鎖的に思い出すからだ。
本当に分からんぞ、貴様らは本当の所……何がしたいんだよ?
「……だいぶ、押さえられるようになったのか」
「押さえ込んで欲しいんじゃねぇのかよ?」
空気を半分しか吸い込めない肺、呼吸の都度血泡を吐きながら俺はなんとかそのように言い返した。おかげで傷口がさらに広がった気がするな。自分で喋った僅かな振動が痛みを増産する。
ナドゥはモノクルを弄りながら言った。
「私は君に抵抗力があるとは考えていない」
どういう意味だそれは。俺は、目を閉じて……ならどうにでもなれとため息を漏らしてしまった。
気を緩める、死を受け入れようとして緊張を解き、刺さり込んでいる剣を締め付けている筋肉を緩める。
途端に、俺の中にいる俺ではない何かが目を覚ました。
とはいっても、これは単なるイメージだ。明確に俺の中にいるものの姿を意識出来ている訳じゃない。得体が知れないからこそ不気味で、制御がきかないのだろうと思う。
ともかく、制御できない訳の分からないモノが俺の中で動き出した……イメージ的にはそんなんで伝わると思う。
裂けている俺の体の隙間から、恐る恐るとはい出てくる蔦を見て我ながら気持ちが悪いと嫌悪する。
ずるずると草が、枝が、その手を伸ばし突き刺さっている剣に絡みつく。
それが痛みひいては『死』に繋がるの原因だってか?
違う、それが今、確かに俺の命を脅かしている訳だが……攻撃すべきはそれじゃなくて、目の前に立っているだろう人物だ。
そんな風に俺はボンヤリ思うんだが……俺の意思なんてお構いなく、無意味に蔦みたいなものが俺の体の上をのたうち廻っている。
「……君の現状については誰も、説明しなかったのかね?」
何の事だと俺はのろのろと頭を上げる。
「大切なサンプルだ、出来れば手の届く所に置いておきたかった。だが幸いにも……君を取り巻く環境は君を失いたくは無いようだ。人の縁とは、時にそのように残酷な結論を下すものだという事は知っているが、ね。しかし、君が何も知らされていないというのはどういう意味なのだろう」
そんなの俺が知ってる訳ねぇだろうが。
何か知らないけど……何も知らされていないんだからな。
俺は詳しく話してくれ、みたいに物乞な顔をしていたのだろうか?それとも今ナドゥのおっさんが俺の前に静かに立ち、言葉ももはや喋れない、喋る気力が無い俺に語られる物事は……単なる嫌がらせなのか。
口を聞くエネルギーが俺にまだ残されているなら、なんでそんな事を俺に話すんだと聞いていただろう。しかし今の俺には精神的にも肉体的にもエネルギーが枯渇していた。
もはやカウントダウンは開始されていて、何も出来ずにゲームオーバーを待つ。まさしく戦闘不能状態だ。
そんな俺に何やかんやと話す意味は何なのか、単にこのおっさん極度のSで、それを聞かせてギリギリまで俺を苦しめたいだけなのか。……そういう趣味は無いとか言ってた様な気がするんだけどな。
いや……でもいいか。
俺マジで限界みたいだし。
死ぬ駄賃に、知らなかった事を知って安らかに死ぬってのも……いいかもな。
いや?知ったらこりゃ死ねない、死んでる場合か!という事実である場合もあるかもしれないけど。
とにかくどうでもいい、耳を塞ごうにも手は届かない。動かない。
聞きたくない訳でもないし……どうでもいい。
そんくらい現在肉体的、精神的に俺、脱力中。
疲れたよ少し眠る、などと死亡フラグなセリフ吐いていい?喋る気力も無いけど。
「君は一度死んでいるんだが、その話は……ちゃんと聞いているのか?」
ちゃんと聞いているのかって……誰からだよ?確かに俺には死んだよなぁという自覚があるけど……でも、死んだら生き返れないんだろう?
そういうしっかりとした約束がある以上、今生きているなら結局死んでいないっていう事じゃないのかよ。
レッドがずっと嘘ついているのかもしれない。
ナッツも、事情を知っていて黙っているのかも知れない。
だけど魔導都市ランで、第三者であろうアダモスさんからも『見た感じおかしな所は何一つ見受けられない』って俺は言われたんだよな。
つまり俺は、何も問題なく生きている……って事だ。
魔物化という逸脱に足は突っ込んでいるようだが、それは死という条件を必要とする事じゃない。魔物化という現象はあくまで生きている生物に適応される事だ。
あのアベノ・アダモスさんもレッドと共謀して俺に嘘を付いているようには思えない。いくら俺が鈍感だからって、そこまで徹底的に俺は世界から騙されているのだろうか?
俺はちゃんと今、生きている。
……もはや墓穴に足突っ込んでる状態だけど。
生きてはいるが俺は、バグと俺達が呼んでいる赤い旗に感染している。……さらにそれとは別に暗黒比混種という『魔物化』を進めそうになっている訳で……。
あれ……何だろう。何か今致命的な事を掠った気配がするぞ。整理しよう。
俺は……一回死んでいる。
死んだ者は絶対に生き返らない。この世界には、死んだ者を復活させる魔法や方法は存在しない。
死霊という、存在として一つ足りない不完全なものとしての呼び出しは可能だがそれは、最早生きているとは言えない。
それから暗黒比混種、すなわちダークミクストというのは後天的な『魔物化』の事なんだが基本的に早期に発症するものであって、今更的に発動するものじゃない、と言われる。まぁ、絶対無いって訳じゃぁないみたいだけどな。
魔物化という現象は何でもアリだ。
生きる術と道を自由に約束するという法則、とかいうのだったはず。
暗黒比混種も含め魔物化というものは、この世界すなわちエイトエレメンタラティス的には何も間違った事じゃなく、いかなるものも辿る事が出来る自由なる逸脱の道だ。理に叶った生物であることを辞め、ヘタをすればバケモノとも呼ばれるような経歴を背負う事でもある。
だが何でもアリである魔物化でも、死んだ者が生き返るのは無い。
魔物化は自由に可能性が開けているが、それでも生死の轍は越えられない。
今俺に晒されている事実の中で、余計な事といったらどれになる?
赤旗……この世界では基本的に認識されない、違った階層に存在するレッドフラグというバグが俺には余計だ。
まさか……それか?そいつの所為という事か。
俺は赤旗に感染しているから今、生きているのか。
だとするなら、俺が赤旗を克服……即ち取り払ってしまったらどうなると予測出来る?
簡単じゃね?俺、死ぬって事じゃねぇ?それが『正規』なんじゃねぇのかもしかして?
……つまりだな……ええと……このエネルギーの足りない頭で考えるのはしんどいのだが。
フラグの存在を認識できない『この世界』の全てにとっては、赤旗がもたらす異常な状況を、正常と見なしてしまうのではないだろうか?
原因が別の階層にあって見えない、触れ得ない。
だからこそ、起っている出来事が理解出来ずに首をかしげる。
成る程な……レッドが黙り込んだ訳だ。
あの野郎は俺が、確実に一度死んだ事を『肯定』した。あえてそこは否定しなかったはずだ。
しかしそれでいて、その事実がもたらす出来事を俺に正しく伝えようとしていない。ナッツも含めて全員、再び俺にだんまりしてやがる。いや……多分、レッドとナッツが全員に黙っている状況に違いない。少なくともアベルとテリーには教えていないんだろう。奴ら、黙っているのヘタだし。
赤旗を何によって取り除く事が出来るのか、それは分かりませんでした。
……などと、いけしゃぁしゃぁと奴は俺に言った訳だが……事実は違うって事だろう。
取り除いたら、赤旗立ててた奴は死ぬんだ。
そして、それがこの世界において『正常』である。最悪死を免れたとすれば……あれかな、南国の王妃みたいにブラックフラグが灯るだろう。ブラックは『壊れている』確定状況をお知らせする旗だ。
なら、むしろ黒い旗が灯る事の方がこの世界の理論的には正常で、俺の頭上には黒い旗が在るべきなのだ。
でもそうは成らなかった、それは……俺が、青い旗を持つプレイヤーキャラクターである所為だろうか?
赤い旗の問題が解消されればバグっている状況が正常に戻る。即ち死ぬ、俺の場合キャラクターロストする。だから……連中は俺の問題を後回しにしやがった。
……そういう事じゃないのだろうか?
うん、我ながらすげぇしっくり来る。がっちり型にはまる。
回らない頭で考えた割に恐ろしいくらいにはまりやがる。
俺の赤旗問題は、根本である魔王、九人目の大陸座バルトアンデルトの問題を片づけてからにしようともくろんでいたに違いない。
そうすれば多少は状況が変わるのではないかと思っているのかもしれない。
それが多分今、後手に回ってるんじゃねぇのか?
俺の問題を先に片づけていれば……今、俺はこんな事にはなっていないんじゃないのか。というかその場合俺はヤトっていうこっちのキャラクターを失うんだけどな。そんで、俺はキャラクター作り直しで出直す事になっちゃうんだけど。
というか、そもそもナドゥは今、俺に何をさせようとしているのかもよく分からんよな……。
うぅ、もうギブアップだ。少なくとも今の俺にはそれをあれこれ考える要領が無い。
「君は、我々の仲間となるはずだった。最もその意思が無ければ無理なのだろうが……正当に説得するつもりはあったのだがね。無理矢理ではなく、誤解している事もあるだろうと思う。話せば君も理解はしてくれるものだと思っていたのだ」
よく言う、この現状この仕打ちに何を、この男は今更言い訳するみたいに言いやがる。
「所が君は我々の言葉には一切耳を貸さず、果てに全てを破壊する事を唱えた」
…………。
エルドロウに宣言した事を思い出し、俺の反抗の意識は途切れる。
「そうやって、君は無差別の殺戮を選んだ。その結果があのタトラメルツの惨状だ」
痛い、その話は痛いから止めてくれと心の奥底で唱えてしまう。
正直それは今、一番認識したくない事実だ。
「失敗だった……君がそこまで我々を拒絶するとは『私』も流石に予測出来ていなかった」
ぼんやりとする視界の中、ナドゥが笑ったのが見える。
今、笑う所か?そんな疑問も浮かぶがすぐにどうでも良い事として泡のように消えていく。
「結果として、君の暴走を止めたのが誰なのか君は知らんだろう」
知らないけど大体の予測はついているぞ。
俺は……タトラメルツで魔王八逆星に向かって反抗したんであって、実際タトラメルツの町まで壊したかった訳じゃない。
ましてや、その反抗の裏側で俺は仲間達を守りたいとも望んでいた。
俺の暴走を止めたのはレッドだろう。方法やシチュやらはさっぱり見えないけれど……奴しかいないだろうなと思っている。だから、あいつは色々俺の事情を先に理解していたんだ。
おっさんの悠長な語りの間も、俺の血はだくだくと流出を続けている。白くてなんだかふわふわしていた足下に、血が染みこんでいくのを感じる。
感じる?
不思議な感覚だ……意識が消えていくはずだろうに、まるで視界が拡散するみたいに不思議と自分が……拡張したような変な気分になってきた。
心臓が脈打つ度に痛みを訴える体。しかし、体の芯とは別の所がぎしりと軋んだような感覚に、俺は体を引きつらせる。
ぎしり、骨を引っ張られるような鈍い痛みが体中のあっちこっちから聞こえてくる。
何だ?何なんだ?
痛みには相当慣れたはずなのだが、想定外の見知らぬ感覚に危険を感じる。
感じた事がない痛み、まぁそれはあの……血液製剤ぶち込まれた時も全部そうだったけど。それとも違う不気味な感覚に喉から悲鳴が漏れる。気持ちが悪い、視界がグラグラ揺れ出す。
頭を何度もぶん殴られているような衝撃、激しい痛み、続けて襲いかかる嘔吐感……!
「いかなる結果であろうとも、あの男は君を生かしたいらしい。結果として君を預けた形になったが……やはり、殺しはしなかった。案外私の目的を上手く理解出来なかったのかも知れない、だから君を安易に放置したのだろう。私の目的がいかなるものか、それを知りたかったのかもしれない」
俺が苦痛にのたうち回っているのも無視して、ナドゥのおっさんが無遠慮に勝手に喋っているのが耳に入ってくるのだが……ダメ、今の俺には……おっさんの言葉を考えている思考容量が無い!
痛い、苦しい、何なんだ?何が起っている!
「君を殺そうとするものは、君にとっては敵であるようだ。だが恐らく君の中にある『種』を取り出せば君は死ぬ、だから抵抗をされる。……ならば君を死なないようにすればいいだろう。安心したまえ、どんなに苦しくても君は死なない」
ナドゥが笑っている。
「私は君に、生きていて欲しい」
今起っている状況を俺が『理解する』のに思考領域を確保できるようになったのはそれから数十分立ってからだ。
散々俺を苦しめた痛みというか……どっちかていうと苦しみかな。それが少しずつ和らぎ、閉じていた目を開けて景色を見回す余裕が俺に、出来るようになる。
失いかけていた意識を取り戻すのに掛かった時間は、間違いなくそれ程長くはない。数分であったはずだ。
だが……違う、見えるはずの景色が全く違うものになっている。
しかも……今も変化し続けている?
「ドリュアートの木は他の植物と競合性が無く、共生能力も無い。あまりにも古代から今に取り残された存在だ、今後も生きているつもりならば……生きる努力即ち……魔物化を進めなければ行けない。もしかするとこれからそういう努力をするのかもしれないがね」
「……何の話だ」
……しゃべれる。
不思議と……気持ちが穏やかになってきた。あれだけ水が飲みたいと思っていた激しい乾きが解消されている。
「この木は、森の中では育たないと言っているのだ」
そう言いながらナドゥは……今足下にあるごつごつとした枝を指さした。
天へと驚異的な速度で伸び続けるこの木に、俺とナドゥはどんどん上の方へ押し上げられている……みたいだな。
今まで見えていなかった、白い何もないと思っていた景色に、鮮やかな緑色の森が見下ろせる。その前に、広大な湿地帯が辺り一面広がっているのが理解出来る。
視界と、感覚が一気に広がった気配。
「この『世界の真ん中にあった木』の伝承が正しければ遥か過去、旧人類と呼ばれたものが世界に存在した時代から変わらない姿をしている。……それが今と比べ何千年過去の話だと思うかね?魔物化という変化が容認されているこの世界で、変わらずにあるという事の難しさを君は、理解出来るか?」
……知るか、そんなの。
「この木は一般的に育成する事が出来ない。難しいのではなく、出来ない事が魔導師どもの研究ではっきりと結論が出ている。現状、この地でしか育たない。南方大陸にも同じ縁を持つ木があるが、残念ながら隔たって久しい所為かすっかり違う特徴を持つに至っている……当然だ。異なる環境で生きなければ成らなかったのだからな、南方大陸の大樹は魔物化し環境に適応した。そうしなければ生きられなかったはずだ」
ナドゥは、枝をどんどん伸ばしていき巨大に膨れあがる不格好な木の枝先に視線を向けた。
「……だが、コウリーリスの大樹は魔物化対応をせず枯れた……即ち死んだ。理由はさまざま囁かれているようだが。しかし各説については明らかにされているのだから誰かしら、知っているだろう。君は聞いているか?」
「……何を、だよ」
「この古代の木が、今現在の森に適応しない理由だ」
痛みが完全に消える。
逆に今、酷くリラックスしてしまっている俺が居て……不思議な気分だ。
ナドゥは振り返ってなんだかギラギラした目を俺に向ける。
「必要とする養分が違うのだよ」
「……何だ?人間でも食うってのか?」
そーいう神聖な木ってのもどっかに……あったような?人の魂を食らうとか?
いや……そもそも魂ってのは何だよ。
この世界に置ける幽体みたいなものだろうか?幽体というのは見えない、触れ得ない、だが間違いなくあると言われる概念の事だが。
「そうではない、この地にあって他には無いものだ。知らんのか、知らされていないだけか?この地に湧き出す希少物質……同じく古い世界からあるものだ。恐らくそれが育成の条件となっているらしい、という説くらいは君の仲間達は知っているはずだが」
そんな話は聞いていないが……それと、今の俺の現状がどう関係があるのかさっぱりわからん!
いや、何か言われてたっけか?
ちょっと不安になったのでここは冷静にリコレクトしてみましょうかね。
コウリーリスの深い森、淵、戻れない、毒の蔓延する……毒。ミストレアル。
魔法が上手く使えなくなる、常態は気体で無毒化させるには結晶化させる事が必要で……。
……なんだか……嫌な予感がしてきましたよ。
ええと、その……結晶化させる方法が失伝していて現在結晶化しているものは非常にレアな金属として取引されるという……ソレの事ですけど。
結局、俺……それってもしかして黄緑色の金属?ってのを確認しなかったんだよな。
でもバカな俺が、そんな余計な事実を聞こうとした意図くらいは理解出来るだろう?
そう、俺……なんだか説明されたその金属の特徴にとっても、心当たりがあったのだ。黄緑色をしたの、魔力に対する相性のよい非常にレアな金属というのにものすごく、聞き憶えがあったんである。
しかし、だ。
その金属の所為でだな。
俺はアベルに付き合って魔導都市を訪れた時、散々な目に会う事となった。だからあんまりその件を突っ込まれて聞かれたく無かったし、話したくなかったのだ。聞くには笑い話だろうが、話す方は笑い事じゃない出来事というのも往々にしてあるもんだぜ。
「ミストレアル……」
俺は呆然と呟いた。
ようするに、ナドゥがこの木の育成に必要な希少物質とやらがそれなのだと理解する。
ようやく、事態を理解出来つつあってそれが……俺を愕然とさせている。
「当然、ミストレアルは現代人にとっては毒だ。一般的には存在しない、あるとするならこの辺りの地下にあるという大地の裂け目……現地人の言う所『淵』と呼ばれる奥底くらいだろう。ドリュアートが大樹であった頃は恐らく、地下深くからミストレアルを吸い上げる事が出来たはずだ。だが……恐らくこの一帯のミストレアルは吸い尽くしたのだろうな。だから大樹は枯れた」
ナドゥは再びポケットに両手を突っ込んで俺を見下ろしている。
「ミストレアルの結晶化方法は失伝しているが、恐らく古代の技法においても媒体として木を必要としたのではないかと私は考た。ミストレアルを吸い上げる媒体が無いと、ミストレアル結晶は生成出来ないのだろう。これは余計な事実だが、ドリュアートは第七期世界で枯れたのではなく実際には第六期に生命活動を終えていた、という研究結果もある」
ナドゥはじっとこちらを見下ろして、淡々と俺にとっては割とどうでも良い事を語り続ける。
「だから、失伝している。ミストレアルを吸い上げる生命の存在が遥か昔に失われているのだから当然だ。六期後半の天変地異前に力尽きたものだと私は見ている。その後、この地の淵にミストレアルが戻って来るのがもう少し早ければ……今も枯れずに生きていたかも知れん」
一歩俺の前に踏み出して、ナドゥは笑った。
「そろそろ、仕組みが分かってきたかね?」
ああ。おバカな俺にもこのおっさんが何を言いたいのか、それは大体把握出来た。
「恐らく……旧世界、旧人類が多く居た頃にはこの木も多くあったのだろう。だからミストレアルの結晶化方法は存在し、実際出来たのだろう。今はその残骸を我々が奪い合っているに過ぎない……数多くが消費され、失われている。再び世界に等しく拡散している訳だ」
何がおかしいのか。
不気味なくらいに微笑んでいるおっさんを俺は、すっかり木の幹の中に取り込まれてしまって動けない状況で凝視している。そういう状況になっているのは何故か分かっていた。
こいつはそもそも、ナドゥなのか?
そんな疑問が再び俺の脳裏をよぎる。
あー、すっかり俺、復活してますね。
相変わらず動けませんけど。
俺の胸の、やや高い部分に剣が突き刺さっているままで……今ようやく揺るやかに成長を止めつつある木の中に巻き込まれてしまっている。それにすっぱりとはまり込んで動けない状況だな。大体、剣刺さったままで少し息苦しい。
いや、少しってのも妙な話だ。
本当はもっと痛くても良いと思います。
「で……俺の中のミストレアルとやらをこの木は、搾取してこんなに立派に成長したってか」
「そう言う事だな」
え?どういう事かって?
いやまぁ……色々な事情があってだなぁ。
俺ぁそのレアなミストレアルって物質?そいつを体内に持っていたりしたんだよ。その処置をしてくれやがった魔導師曰く、俺の場合はそれで無害化出来るからって話で……なんか良くわからんがムカつく事に、そういう事になっちまったんだ。
確かに体の不調は無かった、変わった事は何もなかった。
突然動物の話し声が聞こえてきたり、手を触れなくてもモノが動かせたり、人には見えないモノが見えたりとかそーいう異能力に目覚める訳でもないし。能力値の底上げ現象が起こった訳でもない。傷の治りが早くなったとか、風邪をひかなくなったとかいう様な恩恵も得られなかった。
現在魔導技術で取り出せる訳でもなく、俺の無駄に高いという潜在魔力の所為で無毒化して体の中に取り込まれてしまったレアメタルは、ステータス的にはプラスにもマイナスにもならないものだった。それ故にリコレクトされる俺の過去の記録の中に、ただの経験としてあるだけのステースタスである。
色々な手違いと陰謀の果てに、俺の経歴にはそういう余計な傷がある。
要するに、全体的な経験値の上昇に伴う、重くなった背景に付随する余計な足枷の一つだ。
俺にレア金属混ぜ込みやがった魔導師曰く、俺の中にミストレアルが混じっている事は、血のサンプルを取れば分かる人には分かる事だと言っていた。
と云う事は、レッドらは当然知っているだろうな。俺の中にレアメタル、ミストレアルが混じってる事は。
知っていて何も言わないという事は、それはつまり全体的にあまり関係がないという事なのだろうと思う。
具体的に言えば赤旗を元に戻す要因ではない、という事だ。勿論、俺がバグった要因でも無い。
ミストレアルを混ぜた魔導師が言っていた通り、俺の中のレアメタルは完全に無効化無力化しているから無毒無害プラマイゼロである。
ミストレアルは結晶化した場合完全に無毒らしいとも聞いたな。その無毒化した金属結晶は魔法伝達相性が良いという特徴があるらしいが……俺の場合その、最初から備わる無駄に高い魔力?
ミストレアル結晶がその魔力と完全に結合しているらしくて取り出し不可能になっている……とか言い訳をされてた憶えがある。
俺にレア金属混ぜ込んだあげく、取り出せないと言い出しやがった魔導師、最低な野郎だったな。正直今でも腹いせにぶっ殺しておけば良かったと思う事がある。そして今まさにそうだ。
いやまぁ、フルボッコにはしてやりましたけど。
当然この前魔導都市に行った時に挨拶なんかしてねぇぞ……。二度と顔を見せるな、見せたらぶっ殺す!とか、アベルおよびテリーと一緒にファックポーズ決めておいたからな……その、当時。
でも、それじゃぁこの状況、釣り合わねぇ。
今、俺は当時味わった腸が煮え返る程の怒りをもう一度思い出して気分が悪くなってきた。ようやくまったりと弛緩していた脳みそにエンジンがかかって来た感じである。
……とにかくだ。
無毒化、無効化しているミストレアルという物質が体の中にある事は……俺、知っているな。
というか、それがミストレアルという物質だって事を俺はずっと忘れていた訳だが。
淵の話をした時にレッドから説明を受けてああミストレアル。もしかして忌まわしいあの黄緑色の金属!?とリコレクトしたわけで。
よもやそれが、この木の異常成長を引き起こしている要因になっちまうとは。
剣が突き刺さっている。
余りにも抵抗無く俺の胸に突き刺さったその剣は、まるで生えていたみたいに……何っていうか。
あんまり綺麗に刺さりすぎて痛みを感じるシグナルの到達が遅れているっていうか。
もしかして、蜘蛛の毒はまだ抜けきっていないのだろうか?
俺の神経はまだ毒によって痺れていて、正常に動いていないのだろうか?
何時間……って事はないよな。ここは旧ドリュアート跡だと言うし、いくら足の速い大蜘蛛でもシエンタから数日は必要だと思う。
いや、ナドゥのおっさんが一緒だったな。奴が転移門魔法でも使っていたら移動は、一瞬か?
どうなんだ?ずっと寝ていたらしい俺には時間の感覚が欠落していて今が『何時』なのか分からない。
……というか今はそんな事を考えている場合じゃないのに。
非現実的な事を目の前にして、逃避するように……すっかり余計な事を考えている。
息を吸い込む。
息を吸って吐く事なんて当然普段は意識していないのに気が付く。
たった一瞬の下らない思考の後、吸い込んだ息に違和感を感じ慌てて吐き出した途端……吐息と一緒に赤い血が泡となって口から吐き出されていた。
あー……これは、やばいな。
肺を貫通している剣が、ほんの僅かな横隔膜の動きに俺の体を抉り穴を開け体液を零す。ぞっとする背筋を凍らせるような鈍い痛みが胸に広がった。事実を受け入れた俺の脳が状況の危機を煽るべく嫌な連想を勝手にリコレクトする。
生きていて欲しいとかなんとか貴様は言わなかったか?
それなのになんだ、なんでこんな事をしやがる。
まるであの時、あの時というのはタトラメルツでの事な……あそこでレッドと対峙した時の……レッドの理不尽な訴えをもう一度受けている気持ちになるのは。
勝手に俺の脳が嫌な出来事を連鎖的に思い出すからだ。
本当に分からんぞ、貴様らは本当の所……何がしたいんだよ?
「……だいぶ、押さえられるようになったのか」
「押さえ込んで欲しいんじゃねぇのかよ?」
空気を半分しか吸い込めない肺、呼吸の都度血泡を吐きながら俺はなんとかそのように言い返した。おかげで傷口がさらに広がった気がするな。自分で喋った僅かな振動が痛みを増産する。
ナドゥはモノクルを弄りながら言った。
「私は君に抵抗力があるとは考えていない」
どういう意味だそれは。俺は、目を閉じて……ならどうにでもなれとため息を漏らしてしまった。
気を緩める、死を受け入れようとして緊張を解き、刺さり込んでいる剣を締め付けている筋肉を緩める。
途端に、俺の中にいる俺ではない何かが目を覚ました。
とはいっても、これは単なるイメージだ。明確に俺の中にいるものの姿を意識出来ている訳じゃない。得体が知れないからこそ不気味で、制御がきかないのだろうと思う。
ともかく、制御できない訳の分からないモノが俺の中で動き出した……イメージ的にはそんなんで伝わると思う。
裂けている俺の体の隙間から、恐る恐るとはい出てくる蔦を見て我ながら気持ちが悪いと嫌悪する。
ずるずると草が、枝が、その手を伸ばし突き刺さっている剣に絡みつく。
それが痛みひいては『死』に繋がるの原因だってか?
違う、それが今、確かに俺の命を脅かしている訳だが……攻撃すべきはそれじゃなくて、目の前に立っているだろう人物だ。
そんな風に俺はボンヤリ思うんだが……俺の意思なんてお構いなく、無意味に蔦みたいなものが俺の体の上をのたうち廻っている。
「……君の現状については誰も、説明しなかったのかね?」
何の事だと俺はのろのろと頭を上げる。
「大切なサンプルだ、出来れば手の届く所に置いておきたかった。だが幸いにも……君を取り巻く環境は君を失いたくは無いようだ。人の縁とは、時にそのように残酷な結論を下すものだという事は知っているが、ね。しかし、君が何も知らされていないというのはどういう意味なのだろう」
そんなの俺が知ってる訳ねぇだろうが。
何か知らないけど……何も知らされていないんだからな。
俺は詳しく話してくれ、みたいに物乞な顔をしていたのだろうか?それとも今ナドゥのおっさんが俺の前に静かに立ち、言葉ももはや喋れない、喋る気力が無い俺に語られる物事は……単なる嫌がらせなのか。
口を聞くエネルギーが俺にまだ残されているなら、なんでそんな事を俺に話すんだと聞いていただろう。しかし今の俺には精神的にも肉体的にもエネルギーが枯渇していた。
もはやカウントダウンは開始されていて、何も出来ずにゲームオーバーを待つ。まさしく戦闘不能状態だ。
そんな俺に何やかんやと話す意味は何なのか、単にこのおっさん極度のSで、それを聞かせてギリギリまで俺を苦しめたいだけなのか。……そういう趣味は無いとか言ってた様な気がするんだけどな。
いや……でもいいか。
俺マジで限界みたいだし。
死ぬ駄賃に、知らなかった事を知って安らかに死ぬってのも……いいかもな。
いや?知ったらこりゃ死ねない、死んでる場合か!という事実である場合もあるかもしれないけど。
とにかくどうでもいい、耳を塞ごうにも手は届かない。動かない。
聞きたくない訳でもないし……どうでもいい。
そんくらい現在肉体的、精神的に俺、脱力中。
疲れたよ少し眠る、などと死亡フラグなセリフ吐いていい?喋る気力も無いけど。
「君は一度死んでいるんだが、その話は……ちゃんと聞いているのか?」
ちゃんと聞いているのかって……誰からだよ?確かに俺には死んだよなぁという自覚があるけど……でも、死んだら生き返れないんだろう?
そういうしっかりとした約束がある以上、今生きているなら結局死んでいないっていう事じゃないのかよ。
レッドがずっと嘘ついているのかもしれない。
ナッツも、事情を知っていて黙っているのかも知れない。
だけど魔導都市ランで、第三者であろうアダモスさんからも『見た感じおかしな所は何一つ見受けられない』って俺は言われたんだよな。
つまり俺は、何も問題なく生きている……って事だ。
魔物化という逸脱に足は突っ込んでいるようだが、それは死という条件を必要とする事じゃない。魔物化という現象はあくまで生きている生物に適応される事だ。
あのアベノ・アダモスさんもレッドと共謀して俺に嘘を付いているようには思えない。いくら俺が鈍感だからって、そこまで徹底的に俺は世界から騙されているのだろうか?
俺はちゃんと今、生きている。
……もはや墓穴に足突っ込んでる状態だけど。
生きてはいるが俺は、バグと俺達が呼んでいる赤い旗に感染している。……さらにそれとは別に暗黒比混種という『魔物化』を進めそうになっている訳で……。
あれ……何だろう。何か今致命的な事を掠った気配がするぞ。整理しよう。
俺は……一回死んでいる。
死んだ者は絶対に生き返らない。この世界には、死んだ者を復活させる魔法や方法は存在しない。
死霊という、存在として一つ足りない不完全なものとしての呼び出しは可能だがそれは、最早生きているとは言えない。
それから暗黒比混種、すなわちダークミクストというのは後天的な『魔物化』の事なんだが基本的に早期に発症するものであって、今更的に発動するものじゃない、と言われる。まぁ、絶対無いって訳じゃぁないみたいだけどな。
魔物化という現象は何でもアリだ。
生きる術と道を自由に約束するという法則、とかいうのだったはず。
暗黒比混種も含め魔物化というものは、この世界すなわちエイトエレメンタラティス的には何も間違った事じゃなく、いかなるものも辿る事が出来る自由なる逸脱の道だ。理に叶った生物であることを辞め、ヘタをすればバケモノとも呼ばれるような経歴を背負う事でもある。
だが何でもアリである魔物化でも、死んだ者が生き返るのは無い。
魔物化は自由に可能性が開けているが、それでも生死の轍は越えられない。
今俺に晒されている事実の中で、余計な事といったらどれになる?
赤旗……この世界では基本的に認識されない、違った階層に存在するレッドフラグというバグが俺には余計だ。
まさか……それか?そいつの所為という事か。
俺は赤旗に感染しているから今、生きているのか。
だとするなら、俺が赤旗を克服……即ち取り払ってしまったらどうなると予測出来る?
簡単じゃね?俺、死ぬって事じゃねぇ?それが『正規』なんじゃねぇのかもしかして?
……つまりだな……ええと……このエネルギーの足りない頭で考えるのはしんどいのだが。
フラグの存在を認識できない『この世界』の全てにとっては、赤旗がもたらす異常な状況を、正常と見なしてしまうのではないだろうか?
原因が別の階層にあって見えない、触れ得ない。
だからこそ、起っている出来事が理解出来ずに首をかしげる。
成る程な……レッドが黙り込んだ訳だ。
あの野郎は俺が、確実に一度死んだ事を『肯定』した。あえてそこは否定しなかったはずだ。
しかしそれでいて、その事実がもたらす出来事を俺に正しく伝えようとしていない。ナッツも含めて全員、再び俺にだんまりしてやがる。いや……多分、レッドとナッツが全員に黙っている状況に違いない。少なくともアベルとテリーには教えていないんだろう。奴ら、黙っているのヘタだし。
赤旗を何によって取り除く事が出来るのか、それは分かりませんでした。
……などと、いけしゃぁしゃぁと奴は俺に言った訳だが……事実は違うって事だろう。
取り除いたら、赤旗立ててた奴は死ぬんだ。
そして、それがこの世界において『正常』である。最悪死を免れたとすれば……あれかな、南国の王妃みたいにブラックフラグが灯るだろう。ブラックは『壊れている』確定状況をお知らせする旗だ。
なら、むしろ黒い旗が灯る事の方がこの世界の理論的には正常で、俺の頭上には黒い旗が在るべきなのだ。
でもそうは成らなかった、それは……俺が、青い旗を持つプレイヤーキャラクターである所為だろうか?
赤い旗の問題が解消されればバグっている状況が正常に戻る。即ち死ぬ、俺の場合キャラクターロストする。だから……連中は俺の問題を後回しにしやがった。
……そういう事じゃないのだろうか?
うん、我ながらすげぇしっくり来る。がっちり型にはまる。
回らない頭で考えた割に恐ろしいくらいにはまりやがる。
俺の赤旗問題は、根本である魔王、九人目の大陸座バルトアンデルトの問題を片づけてからにしようともくろんでいたに違いない。
そうすれば多少は状況が変わるのではないかと思っているのかもしれない。
それが多分今、後手に回ってるんじゃねぇのか?
俺の問題を先に片づけていれば……今、俺はこんな事にはなっていないんじゃないのか。というかその場合俺はヤトっていうこっちのキャラクターを失うんだけどな。そんで、俺はキャラクター作り直しで出直す事になっちゃうんだけど。
というか、そもそもナドゥは今、俺に何をさせようとしているのかもよく分からんよな……。
うぅ、もうギブアップだ。少なくとも今の俺にはそれをあれこれ考える要領が無い。
「君は、我々の仲間となるはずだった。最もその意思が無ければ無理なのだろうが……正当に説得するつもりはあったのだがね。無理矢理ではなく、誤解している事もあるだろうと思う。話せば君も理解はしてくれるものだと思っていたのだ」
よく言う、この現状この仕打ちに何を、この男は今更言い訳するみたいに言いやがる。
「所が君は我々の言葉には一切耳を貸さず、果てに全てを破壊する事を唱えた」
…………。
エルドロウに宣言した事を思い出し、俺の反抗の意識は途切れる。
「そうやって、君は無差別の殺戮を選んだ。その結果があのタトラメルツの惨状だ」
痛い、その話は痛いから止めてくれと心の奥底で唱えてしまう。
正直それは今、一番認識したくない事実だ。
「失敗だった……君がそこまで我々を拒絶するとは『私』も流石に予測出来ていなかった」
ぼんやりとする視界の中、ナドゥが笑ったのが見える。
今、笑う所か?そんな疑問も浮かぶがすぐにどうでも良い事として泡のように消えていく。
「結果として、君の暴走を止めたのが誰なのか君は知らんだろう」
知らないけど大体の予測はついているぞ。
俺は……タトラメルツで魔王八逆星に向かって反抗したんであって、実際タトラメルツの町まで壊したかった訳じゃない。
ましてや、その反抗の裏側で俺は仲間達を守りたいとも望んでいた。
俺の暴走を止めたのはレッドだろう。方法やシチュやらはさっぱり見えないけれど……奴しかいないだろうなと思っている。だから、あいつは色々俺の事情を先に理解していたんだ。
おっさんの悠長な語りの間も、俺の血はだくだくと流出を続けている。白くてなんだかふわふわしていた足下に、血が染みこんでいくのを感じる。
感じる?
不思議な感覚だ……意識が消えていくはずだろうに、まるで視界が拡散するみたいに不思議と自分が……拡張したような変な気分になってきた。
心臓が脈打つ度に痛みを訴える体。しかし、体の芯とは別の所がぎしりと軋んだような感覚に、俺は体を引きつらせる。
ぎしり、骨を引っ張られるような鈍い痛みが体中のあっちこっちから聞こえてくる。
何だ?何なんだ?
痛みには相当慣れたはずなのだが、想定外の見知らぬ感覚に危険を感じる。
感じた事がない痛み、まぁそれはあの……血液製剤ぶち込まれた時も全部そうだったけど。それとも違う不気味な感覚に喉から悲鳴が漏れる。気持ちが悪い、視界がグラグラ揺れ出す。
頭を何度もぶん殴られているような衝撃、激しい痛み、続けて襲いかかる嘔吐感……!
「いかなる結果であろうとも、あの男は君を生かしたいらしい。結果として君を預けた形になったが……やはり、殺しはしなかった。案外私の目的を上手く理解出来なかったのかも知れない、だから君を安易に放置したのだろう。私の目的がいかなるものか、それを知りたかったのかもしれない」
俺が苦痛にのたうち回っているのも無視して、ナドゥのおっさんが無遠慮に勝手に喋っているのが耳に入ってくるのだが……ダメ、今の俺には……おっさんの言葉を考えている思考容量が無い!
痛い、苦しい、何なんだ?何が起っている!
「君を殺そうとするものは、君にとっては敵であるようだ。だが恐らく君の中にある『種』を取り出せば君は死ぬ、だから抵抗をされる。……ならば君を死なないようにすればいいだろう。安心したまえ、どんなに苦しくても君は死なない」
ナドゥが笑っている。
「私は君に、生きていて欲しい」
今起っている状況を俺が『理解する』のに思考領域を確保できるようになったのはそれから数十分立ってからだ。
散々俺を苦しめた痛みというか……どっちかていうと苦しみかな。それが少しずつ和らぎ、閉じていた目を開けて景色を見回す余裕が俺に、出来るようになる。
失いかけていた意識を取り戻すのに掛かった時間は、間違いなくそれ程長くはない。数分であったはずだ。
だが……違う、見えるはずの景色が全く違うものになっている。
しかも……今も変化し続けている?
「ドリュアートの木は他の植物と競合性が無く、共生能力も無い。あまりにも古代から今に取り残された存在だ、今後も生きているつもりならば……生きる努力即ち……魔物化を進めなければ行けない。もしかするとこれからそういう努力をするのかもしれないがね」
「……何の話だ」
……しゃべれる。
不思議と……気持ちが穏やかになってきた。あれだけ水が飲みたいと思っていた激しい乾きが解消されている。
「この木は、森の中では育たないと言っているのだ」
そう言いながらナドゥは……今足下にあるごつごつとした枝を指さした。
天へと驚異的な速度で伸び続けるこの木に、俺とナドゥはどんどん上の方へ押し上げられている……みたいだな。
今まで見えていなかった、白い何もないと思っていた景色に、鮮やかな緑色の森が見下ろせる。その前に、広大な湿地帯が辺り一面広がっているのが理解出来る。
視界と、感覚が一気に広がった気配。
「この『世界の真ん中にあった木』の伝承が正しければ遥か過去、旧人類と呼ばれたものが世界に存在した時代から変わらない姿をしている。……それが今と比べ何千年過去の話だと思うかね?魔物化という変化が容認されているこの世界で、変わらずにあるという事の難しさを君は、理解出来るか?」
……知るか、そんなの。
「この木は一般的に育成する事が出来ない。難しいのではなく、出来ない事が魔導師どもの研究ではっきりと結論が出ている。現状、この地でしか育たない。南方大陸にも同じ縁を持つ木があるが、残念ながら隔たって久しい所為かすっかり違う特徴を持つに至っている……当然だ。異なる環境で生きなければ成らなかったのだからな、南方大陸の大樹は魔物化し環境に適応した。そうしなければ生きられなかったはずだ」
ナドゥは、枝をどんどん伸ばしていき巨大に膨れあがる不格好な木の枝先に視線を向けた。
「……だが、コウリーリスの大樹は魔物化対応をせず枯れた……即ち死んだ。理由はさまざま囁かれているようだが。しかし各説については明らかにされているのだから誰かしら、知っているだろう。君は聞いているか?」
「……何を、だよ」
「この古代の木が、今現在の森に適応しない理由だ」
痛みが完全に消える。
逆に今、酷くリラックスしてしまっている俺が居て……不思議な気分だ。
ナドゥは振り返ってなんだかギラギラした目を俺に向ける。
「必要とする養分が違うのだよ」
「……何だ?人間でも食うってのか?」
そーいう神聖な木ってのもどっかに……あったような?人の魂を食らうとか?
いや……そもそも魂ってのは何だよ。
この世界に置ける幽体みたいなものだろうか?幽体というのは見えない、触れ得ない、だが間違いなくあると言われる概念の事だが。
「そうではない、この地にあって他には無いものだ。知らんのか、知らされていないだけか?この地に湧き出す希少物質……同じく古い世界からあるものだ。恐らくそれが育成の条件となっているらしい、という説くらいは君の仲間達は知っているはずだが」
そんな話は聞いていないが……それと、今の俺の現状がどう関係があるのかさっぱりわからん!
いや、何か言われてたっけか?
ちょっと不安になったのでここは冷静にリコレクトしてみましょうかね。
コウリーリスの深い森、淵、戻れない、毒の蔓延する……毒。ミストレアル。
魔法が上手く使えなくなる、常態は気体で無毒化させるには結晶化させる事が必要で……。
……なんだか……嫌な予感がしてきましたよ。
ええと、その……結晶化させる方法が失伝していて現在結晶化しているものは非常にレアな金属として取引されるという……ソレの事ですけど。
結局、俺……それってもしかして黄緑色の金属?ってのを確認しなかったんだよな。
でもバカな俺が、そんな余計な事実を聞こうとした意図くらいは理解出来るだろう?
そう、俺……なんだか説明されたその金属の特徴にとっても、心当たりがあったのだ。黄緑色をしたの、魔力に対する相性のよい非常にレアな金属というのにものすごく、聞き憶えがあったんである。
しかし、だ。
その金属の所為でだな。
俺はアベルに付き合って魔導都市を訪れた時、散々な目に会う事となった。だからあんまりその件を突っ込まれて聞かれたく無かったし、話したくなかったのだ。聞くには笑い話だろうが、話す方は笑い事じゃない出来事というのも往々にしてあるもんだぜ。
「ミストレアル……」
俺は呆然と呟いた。
ようするに、ナドゥがこの木の育成に必要な希少物質とやらがそれなのだと理解する。
ようやく、事態を理解出来つつあってそれが……俺を愕然とさせている。
「当然、ミストレアルは現代人にとっては毒だ。一般的には存在しない、あるとするならこの辺りの地下にあるという大地の裂け目……現地人の言う所『淵』と呼ばれる奥底くらいだろう。ドリュアートが大樹であった頃は恐らく、地下深くからミストレアルを吸い上げる事が出来たはずだ。だが……恐らくこの一帯のミストレアルは吸い尽くしたのだろうな。だから大樹は枯れた」
ナドゥは再びポケットに両手を突っ込んで俺を見下ろしている。
「ミストレアルの結晶化方法は失伝しているが、恐らく古代の技法においても媒体として木を必要としたのではないかと私は考た。ミストレアルを吸い上げる媒体が無いと、ミストレアル結晶は生成出来ないのだろう。これは余計な事実だが、ドリュアートは第七期世界で枯れたのではなく実際には第六期に生命活動を終えていた、という研究結果もある」
ナドゥはじっとこちらを見下ろして、淡々と俺にとっては割とどうでも良い事を語り続ける。
「だから、失伝している。ミストレアルを吸い上げる生命の存在が遥か昔に失われているのだから当然だ。六期後半の天変地異前に力尽きたものだと私は見ている。その後、この地の淵にミストレアルが戻って来るのがもう少し早ければ……今も枯れずに生きていたかも知れん」
一歩俺の前に踏み出して、ナドゥは笑った。
「そろそろ、仕組みが分かってきたかね?」
ああ。おバカな俺にもこのおっさんが何を言いたいのか、それは大体把握出来た。
「恐らく……旧世界、旧人類が多く居た頃にはこの木も多くあったのだろう。だからミストレアルの結晶化方法は存在し、実際出来たのだろう。今はその残骸を我々が奪い合っているに過ぎない……数多くが消費され、失われている。再び世界に等しく拡散している訳だ」
何がおかしいのか。
不気味なくらいに微笑んでいるおっさんを俺は、すっかり木の幹の中に取り込まれてしまって動けない状況で凝視している。そういう状況になっているのは何故か分かっていた。
こいつはそもそも、ナドゥなのか?
そんな疑問が再び俺の脳裏をよぎる。
あー、すっかり俺、復活してますね。
相変わらず動けませんけど。
俺の胸の、やや高い部分に剣が突き刺さっているままで……今ようやく揺るやかに成長を止めつつある木の中に巻き込まれてしまっている。それにすっぱりとはまり込んで動けない状況だな。大体、剣刺さったままで少し息苦しい。
いや、少しってのも妙な話だ。
本当はもっと痛くても良いと思います。
「で……俺の中のミストレアルとやらをこの木は、搾取してこんなに立派に成長したってか」
「そう言う事だな」
え?どういう事かって?
いやまぁ……色々な事情があってだなぁ。
俺ぁそのレアなミストレアルって物質?そいつを体内に持っていたりしたんだよ。その処置をしてくれやがった魔導師曰く、俺の場合はそれで無害化出来るからって話で……なんか良くわからんがムカつく事に、そういう事になっちまったんだ。
確かに体の不調は無かった、変わった事は何もなかった。
突然動物の話し声が聞こえてきたり、手を触れなくてもモノが動かせたり、人には見えないモノが見えたりとかそーいう異能力に目覚める訳でもないし。能力値の底上げ現象が起こった訳でもない。傷の治りが早くなったとか、風邪をひかなくなったとかいう様な恩恵も得られなかった。
現在魔導技術で取り出せる訳でもなく、俺の無駄に高いという潜在魔力の所為で無毒化して体の中に取り込まれてしまったレアメタルは、ステータス的にはプラスにもマイナスにもならないものだった。それ故にリコレクトされる俺の過去の記録の中に、ただの経験としてあるだけのステースタスである。
色々な手違いと陰謀の果てに、俺の経歴にはそういう余計な傷がある。
要するに、全体的な経験値の上昇に伴う、重くなった背景に付随する余計な足枷の一つだ。
俺にレア金属混ぜ込みやがった魔導師曰く、俺の中にミストレアルが混じっている事は、血のサンプルを取れば分かる人には分かる事だと言っていた。
と云う事は、レッドらは当然知っているだろうな。俺の中にレアメタル、ミストレアルが混じってる事は。
知っていて何も言わないという事は、それはつまり全体的にあまり関係がないという事なのだろうと思う。
具体的に言えば赤旗を元に戻す要因ではない、という事だ。勿論、俺がバグった要因でも無い。
ミストレアルを混ぜた魔導師が言っていた通り、俺の中のレアメタルは完全に無効化無力化しているから無毒無害プラマイゼロである。
ミストレアルは結晶化した場合完全に無毒らしいとも聞いたな。その無毒化した金属結晶は魔法伝達相性が良いという特徴があるらしいが……俺の場合その、最初から備わる無駄に高い魔力?
ミストレアル結晶がその魔力と完全に結合しているらしくて取り出し不可能になっている……とか言い訳をされてた憶えがある。
俺にレア金属混ぜ込んだあげく、取り出せないと言い出しやがった魔導師、最低な野郎だったな。正直今でも腹いせにぶっ殺しておけば良かったと思う事がある。そして今まさにそうだ。
いやまぁ、フルボッコにはしてやりましたけど。
当然この前魔導都市に行った時に挨拶なんかしてねぇぞ……。二度と顔を見せるな、見せたらぶっ殺す!とか、アベルおよびテリーと一緒にファックポーズ決めておいたからな……その、当時。
でも、それじゃぁこの状況、釣り合わねぇ。
今、俺は当時味わった腸が煮え返る程の怒りをもう一度思い出して気分が悪くなってきた。ようやくまったりと弛緩していた脳みそにエンジンがかかって来た感じである。
……とにかくだ。
無毒化、無効化しているミストレアルという物質が体の中にある事は……俺、知っているな。
というか、それがミストレアルという物質だって事を俺はずっと忘れていた訳だが。
淵の話をした時にレッドから説明を受けてああミストレアル。もしかして忌まわしいあの黄緑色の金属!?とリコレクトしたわけで。
よもやそれが、この木の異常成長を引き起こしている要因になっちまうとは。
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