異世界創造NOSYUYO トビラ

RHone

文字の大きさ
262 / 366
10~11章後推奨 番外編 ジムは逃げてくれた

◆BACK-BONE STORY『ジムは逃げていた』

しおりを挟む
◆BACK-BONE STORY『ジムは逃げていた』
 ※ オチです 読んでおきたい人はどうぞ ※



 さて。

 物語をものすごくシリアスで締めくくりたい貴方は、ここから先は読まない方がよいでしょう。

 でも、多分このままでは色々と腑に落ちない事があると思うわ。
 うん、大体察している人もいるかもしれないけれど、結局どうなのか。

 答えが欲しい貴方は、この先をずっとスクロールして……
 最後のオチをご確認しても良いでしょう。 



 あたしは……正直推奨しないけどね。



















「グリーン・モンスターは死んだんだからな?」

 あたしは間違いなく呆れて、そいつを見ていただろう。
 照れ笑いをして頭を掻いた、あれ、誰よ?
 え?
 ちょっとまって?

「だから、間違っても今後俺の事、ジムだなんて呼ぶんじゃないぞ?」

 なんかどっかで見た事ある顔してるけどあれって誰だっけー?

 あたしは途端に額を押さえた。
 多分、アベールイコの方も別の意味で頭痛がして額を押さえているだろう。
 まずった。
 あたし、活字嫌いなのよね。新聞の見出ししか見てなかった。

 どうしてちゃんと内容を読まなかったんだろう!?

「と言う訳で、いやぁ、始めまして~?」
 わざとらしくアイツは笑いながら手を差し伸べた。

 アイツは大大会優勝者として城に上がった訳なのね、だらしない格好は出来ないのよ。だから……。
 きっちりとした身なり格好に、あたしはちょっと目を白黒させて身を乗り出してしまっていた。

 あんなに切るのを嫌がったあのうざったい前髪をさっぱりさせて、あたしの前にいけしゃぁしゃぁと、現れた男、おかげで一瞬誰だかわからなかったが……おかげで別の誰かを思い出して、あたしは酷く合点しちゃった訳。

「という訳でアベル、この首輪外すために魔導都市に行くんだよな?」

 確かに、あたしはこれから何とかして魔導都市ランを目指すつもりだったわよ?
 昔お世話になった……メルア先生に会う為に。
 でもテリーがさ、一応大大会の結果を待ってからにしろとか言いながら、問答無用でセイラードにアタシを案内した訳よ。
 方向音痴で人の後ろを付いて行く事しかできないあたしには、ここがセイラードである事など着いてからも暫く分からなかった位だし、テリーがそういう方針なら従うしかない。
 テリーが待てというのなら、あたしはここで待つしかない。あたしには今、選択権が無いのは承知している。
 本当は殴って首絞めてさっさと東国に逃げるわよと言いたい所だけれど、テリー相手にそんな態度はちょっと、まだ完全に打ち解けてなかったので出来なかったのだ。あとまぁ、一応ジワジワと事態に向けての衝撃があって、色々と打ちのめされていたから呆然としている時間は貴重でもあった。

 まさか、テリー。
 あんたこの展開分かっててここにあたしを連れてきた?
 ようやくそれに気が付いたあたしだ。
 遅い、あたし、気が付くの遅い……ッ!
 自分が情けなくなって、そういう理由で泣きたくなってきた。

 緑がかった瞳を持った青年の差し出された手を、あたしはしかたなく握り返してやった。
 力いっぱい。
 そう、この赤い髪と赤い目に生まれた曰く持つあたしが力いっぱい。
「イダダダッ!お前、骨折れるッ!怪力で握るなッ!」
「握力足りてないのよ、自分の力不足をあたしの所為にするな!」
「なんだよ少しは驚けよお前!」
 顔を顰めた青年をあたしは睨む。
「驚いてるわよ!」
 強引に青年の手を振り払うようにして解き、あたしは指を差して叫んでいた。

 心の中で弾ける喜びを隠す為に。

「誰よあんた、さっさと名前名乗りなさいよ!」

 青年は握りこまれた右手を擦りながら目を細めた。
「うん、そうだな。俺達今、始めて会う……事になるわけだしな」
 軽薄に笑って青年は答える。
「俺の名前ね ……ヤトだ」



 そう、これが答え。

 大体分かってたでしょ?あたしも……途中からリコレクトしてて怪しいなぁとは思ってたけどさ。

 でも勘違いしないで欲しい。
 あたしとアイツはこの流れがあるから……色々と関係性はズタズタなのである。
 ズタズタよ?お互いにもう、気安く触れ合うことすら出来ない位に後ろめたくて堪らないの。

 あたしは無言で、近くに来いとジェスチャーする。青年、ヤトは何だろうと一歩あたしに近づいてきた。
「ちょっとさ、」
 と小さく囁いてからあたしは、思いっきり近づいた相手の左頬を平手打ち。
「ぐほぅッ!」
 ヤトは奇妙な呻き声を洩らしながら口と鼻から血を吹きつつ、張り倒れる。
 ああ、相変わらず貧弱な奴ッ!相変わらずとか思っちゃいけないのだろうけど、この思いはそう簡単には欺けない。
「……一発どつかせて」
「ど、どついてから言うなアホッ!このアホッ!」
 そんなあたし達の様子を……苦笑というか呆れ顔というか。

 楽しそうにテリーが、ちょっと離れた所から見ていたりした。



                                      終わり。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)

水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」  無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。  ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。  だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。 「———えぇ、いいわよ」 たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~

沢野 りお
ファンタジー
なんということもない普通の家族が「勇者召喚」で異世界に召喚されてしまった。 兄、橘葵二十八歳。一流商社のバリバリエリートのちメンタルに負担を受け退職後、一家の主夫として家事に精を出す独身。 姉、橘桜二十五歳。出版社に勤める美女。儚げで庇護欲をそそる美女。芸能人並みの美貌を持つオタク。あと家事が苦手で手料理は食べたら危険なレベル。 私、橘菊華二十一歳。どこにでいもいる普通の女子大生。趣味は手芸。 そして……最近、橘一家に加わった男の子、右近小次郎七歳。両親が事故に亡くなったあと、親戚をたらい回しにされ虐げられていた不憫な子。 我が家の末っ子として引き取った血の繋がらないこの子が、「勇者」らしい。 逃げました。 姉が「これはダメな勇者召喚」と断じたため、俗物丸出しのおっさん(国王)と吊り上がった細目のおばさん(王妃)の手から逃げ……られないよねぇ? お城の中で武器を持った騎士に追い詰められて万事休すの橘一家を助けたのは、この世界の神さまだった! 神さまは自分の落ち度で異世界召喚が行われたことは謝ってくれたけど、チート能力はくれなかった。ケチ。 兄には「生活魔法」が、姉には「治癒魔法」が、小次郎は「勇者」としてのチート能力が備わっているけど子どもだから鍛えないと使えない。 私には……「手芸創作」って、なにこれ? ダ神さまにもわからない能力をもらい、安住の地を求めて異世界を旅することになった橘一家。 兄の料理の腕におばさん軍団から優しくしてもらったり、姉の外見でおっさんたちから優遇してもらったり、小次郎がうっかりワイバーン討伐しちゃったり。 え? 私の「手芸創作」ってそんなことができちゃうの? そんな橘一家のドタバタ異世界道中記です。 ※更新は不定期です ※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています ※ゆるい設定でなんちゃって世界観で書いております。

処理中です...