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12章 望むが侭に 『果たして世界は誰の為』
冒険の書の確認 今まで事のまとめ
しおりを挟む冒険の書の確認 間幕復習⑩ まとめ
思えば長い冒険の書だったな。
でも、これリアルに換算するとたったの1ヶ月の経験だったりする。実質夢見た時間に換算したったの4日間、正しくは4度の夜の夢の中、夢を見ている約16時間の睡眠中の話。
なら、これからも引き続き色濃い冒険が続けられるだろって?
そうだな、それもありだ。
けど、残念ながら冒険の書はこの12章を持って一旦終わりだ。ぶっちゃけた理由を言えば……ええと、つまり。
俺達、新型ゲーム機のテストプレイヤー兼デバッカーとして雇われた仕事がこれで終わる。
一応これで節目だからな。
この物語はあくまでテストプレイヤー兼デバッカーである俺達の物語だから、さ。
だから、自他ともに認める重度のゲーマーである俺達が、トビラテストプレイヤー兼デバッカーという肩書きで挑む冒険は12章で終わるんである。ここは絶対変わらん、なぜって。冒険の書っていうのを観客的に見ているのは、夢を見終わって覚醒した後の事だからだ。
何?意味が分からん?……今回ばかりは解説しねぇぞ。
このシステム、仮称MFCにおける基本概念なんだから。
さて、今回少し長いぜ。今までの経緯をまとめてみよう。
まず、俺達は頭上に青い旗を立てている、この世界すなわち『八精霊大陸』において多分、居ては行けない部類の『異端』だ。
トビラを潜りゲームとして降り立った、そりゃーもぅこれってリアルじゃね?と脳味噌騙されてやってきました異世界『エイトエレメンタラティス』。そこには正体不明の黒い怪物および、それを使役する魔王八逆星って連中が跋扈していて大混乱になっていた。
俺達はゲームという側面において、これら魔王をやっつけるクエストを受理した訳だが……。
ところが、青旗の異端である俺達の存在が許されたこの世界には、本来世界に居ては行けないバグとも取れる『赤旗』立てた怪物が蔓延っていた。
それが、魔王八逆星とそれが使役する黒い怪物、魔王軍だった。
赤旗はこの世界をゲームとして用意した開発者の都合上あってはならないものだ。設定していない、正体不明のプログラムであることが判明。
すなわち……システム的に言い切ってしまえばバグだな。
存在する事を想定していないのなら、赤旗除去がクエストとして発生するはずがない。しかし、何故かそれが重なり合ってしまった形だ。プレイヤーがイベントとして辿るべきクエストが悪性変異した可能性も捨てきれないだろう。青い旗を立てた俺達プレイヤーも、イベントの目印として立てられている黄色や緑色の旗も実はすべてが、この世界においては一種の『バグ』だ。
本来在ってはならない、完全に世界の外から差しこまれた余計な概念である。
世界は赤い旗のバグに侵されいずれ破壊されてしまうだろう……。
白い旗を持って世界の守護者として存在する大陸座ってのも、そんな未来予言して魔王連中を倒そうと色々アプローチするも悉く失敗していた。
俺達が来たのは、事も在ろうかすでに失敗した後の世界だったのだ。
俺達がこの世界に降り立ったのは、偶然か必然なのかよくわからないが……悉く失敗した後というタイミングだったりしたワケである。
このゲームの特徴としてはな、発生するイベントに向けて目印をつける事は出来ても発生タイミングやら何やらは管理出来ないってのがあるな。原因となる人物や物を配置する事は出来る様だが、それによって発生するイベントそのものはゲーム作成者側が自由には出来ない。
では、テストプレイヤーである俺達に向けて開発者である高松さん達は何か、この世界に余計なものを設定したのかというと、特にして無い。設定せずとも遊べる『イベント』が独自に発展している事を察していたからだな。何も発生してなかったら何かしら設置しただろうが、そうする必要が無いほどに箱庭世界であるエイトエレメンタラティスは『完璧な異世界』としてプレイヤーを騙し得るクオリティに仕上がっていたのだ。
そのように仕上げたのは、開発者からすると『大陸座』と云う事になるのだが……
そも、大陸座連中がいるという事態も世界的には問題である事が解ってきちゃったりして。
大陸座の人格提供者であるトビラ開発者の指示もあり、蔓延る魔王八逆星を倒し赤旗を除去する事が俺達のデバッカーとしての仕事の一つになった。
その為にデバイスツールっつー……開発者権限を大陸座から奪い取って、彼らを全部世界から追いやるという作業を行う事になった。
ところがまー、その前に現状把握のためにヘタな事をしてしまった俺達は、実に様々なトラブルに見舞われる事になった。
レッドが裏切ってみたり、俺が魔王化しちゃったり、全員バラバラになったり、すったもんだやるわけですよ。
そこが長い。
そして、その中で俺達は最初から経験値を高く設定した為に背負わされた、重い過去設定に色々と振り回されている事を把握して行く事になる。
そうやって、少しずつこの異世界との付き合い方を理解して、それで。
ゆっくりこの世界の仕組みを把握していくんだ。
バグが在るから世界は壊れる。
そういう、なんかお約束として刷り込まれてる事情にまんまと振り回されてんだよな……。少なくとも俺は、最初ッからそういうお約束は破ってしかるべきだというスタンスの元にこのゲームをするつもり満々だったのにさ。
だから、最初の立て札も無視したのだ。
類い稀なる魔法の素質を、使えないモノとして背負った。
そこに、システムの都合でクソ重い背景がぶら下がる事になるとは露とも知らずにな。
バグを消去する為に、だからといって世界のリセットボタンは押さねぇぞ。
ここはまぁ基本的なトコだ。一番のお決まりだと言っても良い。それをやるって言ったら話はもう終わってるだろう。
非常に後味悪く……な。
俺達が良く知るゲームの仕様に例え、バグは存在しちゃいけないものだから消去しなくちゃダメだ。
それが世界の為だ、世界を守る事だ、なぁんてあくせくやった訳ですよ11章分も。
だがしかし!
あれ?でも……さ、世界はそれでも問題なく今ここにあるんだよな。
いずれ壊れるっていうけど、本当にこの世界は崩壊を始めるのだろうか?
世界の破滅とはどういう規模で、どういう意味なのか。
そんな、割と実感出来てない事を今更知っちゃったりするんだよ。そしてまたまた悩みだす俺。
そりゃ確かに赤い旗付けてる連中は桁外れに強いし、どう考えてもチートだ。連中が世界壊すと言ったら確かに物理的に壊れるかもしれない。
けど、魔王八逆星にはそういう意図が無かった。
実は魔王八逆星の方こそ世界を守ろうとしていた方だった。自分達がヘタすると世界を壊すという事を知っていて、大陸座も自分達と同じような存在って考えていて、自分達含めこの世界から消滅させる方法を考えていたりしたんだよ。
はたして世界を壊すのは誰だ。
ヘタをすれば俺達、トビラを潜って別世界から乱入してきてる方じゃないのか?
そんな風にも思った。
けど、な。
俺は思う。
それでも世界は全てを、俺達もふくめて全部全部、受止めて今ここにあるんだ。
つまり、全部……ここに在っても良いって事じゃねぇのかな。
魔王が現れたら勇者が現れるんだ。今『世界』はそうやって世界存続為に崩れかけたバランスを取っている。
辻褄を合わせ、必死に俺達の居場所を用意してくれているんじゃないかって……そう俺は思うんだ。
ならもしかすると、すでに存在の破綻した俺にもまだ居場所があるのかもしれない。
いや、正直在っても無くてもどーでもいーけどな。
在ったとしてもマトモなもんじゃねぇだろうし。そこまでして生きてなきゃいけないもんかな、というのが俺の……戦士ヤトの正直な気持ちだ。
でももし、俺にしかできない事がまだ残っているならそれは、ちゃんと引き受けようと思っている。
安易に死のう、だなんて言わない。いや、実際楽したいという気持ちは少し、ある。秘密だぞ、秘密だからな!
俺にとって大切なのは自分自身の『仕合せ』じゃねぇ。
俺を取り巻く環境が『幸せ』と言ってくれる事だ。
俺が居なくなって悲しいと言う奴がいると、どうにも世界を去りにくいって事だ。俺は誰かを泣かせたい訳じゃない。
出来れば……笑っていて欲しいと思ってる。
俺達が早速送り込まれた世界は、現実なのか仮想なのかを思わず取り違えそうになる程に『リアル』な『異世界』だった。
騙されろ、最期まで、騙されまくれ俺の脳。
最期の最期まで騙されて、騙されて、仮想の中に浸ってしまえ。
それが許されているんだ。完全に取り違えてもこの世界の中では絶対、ゲーム脳とかヒドい事を言われる事は無い。
いずれこの夢は醒める。
現実のターンが回ってくる。
仮想と比較してそれが、現実だって確認するのもどーかな、とか思ったりするけどな。でもそうやって何かと比較しないと人間、どれが正しいものか見分けつかねぇんだよ。
なら、思いっきり破天荒な夢を見よう。
あり得そうであり得ない、仮想世界の俺を演じてやろうじゃねぇか。
さて、最後に現状をちらっと。
一番最初に立ち塞がり、俺達を徹底的に叩きのめした存在、破壊魔王は実はラスボスじゃなかった!
……という展開はRPG的には割とお約束になりつつある。そんな序盤に出てくる壁なんて大抵中ボスですよ、最近だと寝返ってきて仲間になるとかいう流れでさえデフォルトですよ。
真のラスボスは影に控えているもんなんです。ええ、分かっておりましたとも。
しかし最終的に一度も勝てずに、奴に最強の座を渡したままというのも少々アレだ。まぁいい、破壊魔王ギルでさえ手が出なかったらしい大魔王ギガースをやっつける事で間接的に奴を超えた事にすればいいじゃないか俺!
それで我慢する方向に……なるかどうかは続きをどうぞ、になります。
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