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番外編 EX EDITION

■番外編EX『戦いを捧げろ!』#9/10

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N&SinMFC シリーズ番外編『戦いを捧げろ!』#9/10

※同世界設定同士の物語登場人物による、
 俗に言うパラレルの様なそうでもないような番外編です やや長め


 さて、すべての予選がこれで終わり、頂上を決めるべき二人が出そろった形となる。

 ようやく決勝戦である。
 なんでこんなに手間ヒマと余計な行間と文字量になっちゃったんだろう。お遊び仕様のくせに。


「ほら、あいつすげぇ強いんだってば。俺が初戦負けちまったのはしょうがないんだって」
「お前のその諦めの良すぎるトコが俺は、気に入らねぇんだが」
「そうよ、あっちでもこっちでも逃げてばっかり!」
「うるせいやい、負けたもんは負けたんだからしょーがねーだろ!」

 まぁ某勇者さんは極めて弱体化しているという都合もあるんですけどねッ。

「明らかにお前、全盛期よりも劣ってるもんな。特に緊張感とか」
「あと、持久力。主に粘り強さ」
「ガッツ値下がったんじゃね?」
「発動する為の確率が落ちたのかしら」
「お前ら、ど こ の 話 を し て い る ッ!」

 ※解説※
 どうにもどっかのコンピュータゲームRPG仕様で語られている

「全くだ、よくわかんねぇ話だ」
 好き勝手言う悪友に反撃をしたらなぜか合の手が入ってきた。
 弱体化勇者事ヤト、一時置いて隣を振り返って驚いて壁際に神速で避難。
「な、なんだ!ちょ、待て!誰だこいつを……どっから持ってきやがった!?」
 いつの間にか隣に立っていた前髪が異常に長くて表情のうかがえない男の、口元だけがにやりと笑った。
「お前が情けないってんで、仕方がないから来てやったんだろう。ありがたく思え」
「ば……っか待てよ、これアリか?」
 現れた男が何であるのか、分かっている悪友。テリーとアベルは一瞬顔を見合わせた後言葉を合わせた。
「ありだろ、」
「いんじゃないの?なんでもありみたいだし」
「うええええええ!」

 というわけでここにオマケのフラグが立った事をお知らせしよう。
 じゃぁ逆の路線を突き進んだ場合でダァクと戦ったらどうなるのか、とか……ね。

 何はともあれ、決勝戦は先の戦いで勝ち進んだダァクと……第3回目、おかしな結果をはじき出したアベルとブレイズの対戦の後に行われた第6回戦の勝者、テリーの戦いで〆られる事となった訳だが。

 ただいまカメラは舞台裏をお送りしている。
 次の試合の舞台が整うまで、このお遊び世界に集った者達が奔放な会話を繰り広げている様子をお届けしよう。

 お届けするのだが、そこに一人のイレギュラーが現れているという具合だ。
 しかし、突然現れた前髪の長い男は怪しい含み笑いを浮かべて一旦部屋を出て行った。

 ……初戦トーナメントはもう終わっている、なのに何故いまさらあいつが……?

 そういう疑問はあるものの、考えたくない事はとことん考えないヤト、とりあえず無かった事にしてテリーの右腕を見やる。

 幸い、あの男が舞台裏に現れたのを多くが目撃しているわけではないようだ。

「で、結局お前怪我治ってねぇけど。ダイジョブなのか?」
 怪我を負いつつもちゃんと実力で勝ち上がったテリーと、なんだかよくわからないうちに勝ってしまったクリスの戦いは……経験の差的な問題でほぼテリー圧勝で終わっている。
 圧勝だったはずだ。それなのに、テリーはあえてそこで一つのリスクを背負う事を選んだ。
 再び石膏で固められた右手をやや掲げ、テリーは苦笑い。
「さぁな、出来る限りやるだけだ」
 テリーはクリスと勝敗をつけるに……治りかけの右手を再び壊すという結果を選んだのだ。
 無傷でも勝てただろう。だというのにそういう、一般には分かりにくい行動をするが為に……戦いバカと評されている人物である。
 ちなみに初戦ダァクからありえない(観客席から見る限りは)負け方をしたヤトも同じ穴の狢とされている。

 時に余計な縁を背負う。
 そしてその余計な縁が、さっきの謎の男を呼び込む事になっている事など……彼が知る訳がない。
 知らないからそういうバカな事をしてしまい、バカと呼ばれるのである。
 ご愁傷様。

 とにかく、あいつは今回俺には関係ねぇもんな。

 一方的にそのようにきめつけてヤト、苦笑いのテリーに話を続ける。
「珍しく消極的じゃねぇか、ちゃんと俺の仇とって来いよ」
「ま、そりゃいいけど。そうなったらアレだぜ?……お前よりやっぱり俺の方が強いって事になるわけだが」
「はぁ?違うだろ、お前が奴に勝ってよーやくイーブンだろうが」
 アベルはこの戦いバカ達の勝敗を数えてみる。
「んー?数え間違えしてない?あんたら4回しか戦ってないじゃないの」
「そりゃエズ時代での話だろ」
 テリーとヤト、二人とも実際今戦場となっている闘技の町エズで剣(拳)闘士をやっていた事があるのだ。
 対戦相手を殺してもいいという公式ルールである上に、二人はライバル関係に当たりそれぞれに違う闘技場に所属して4回、公式戦で当たって戦った記録が残っている。
 基本的に一度当たれば永久的な勝敗がつく事が多いので2回目の対戦カードが巡ってくる事は珍しい。そこの所この二人、3回目の奇跡的タイトルマッチが実現しているのだが……更に4回目もあったとなるともはや、腐れ縁だ。
 2勝2敗という結果をお互い残している訳だが……実績的にはヤトの方が上という評価をされる事が多い。
 なぜなら、4回目の対戦となった試合が『大大会』という規模の極めて大きなモノで、ヤトはテリーを破って最終的にはここで優勝しているからである。
 更にテリーはこの大会でヤトに敗れたために上位入賞も出来ていなかったりする。
 その後、この二人はエズを出た。
 闘士業を辞め、事実上無職の冒険者という肩書になりちょっとおバカな旅道中を始める事になるのである。……このアベルお嬢様の供として。
「お前が知らんところであれこれ勝負してるんだよ俺達は」
「……そうなの?」
 不審なアベルの言葉にテリーは色々数えてみてから……顔をあげる。
「いや、それカウントするなら俺の方が圧倒的に勝ってるだろ。おまえの顔したアレを何匹ぶっ飛ばしてると思って」

 ※解説※
 ちなみに本編に語られているとは限りませんあしからず。

「ばっか、それはナシだ!あれは俺じゃねぇ!」
 何やらくだらない言い争いに発展している二人を眺めてダァクは苦笑いをこぼしている。
「元気なもんだねぇ」
 同じくよく分からない口論の外にいるアベルも腰に手をやってため息を漏らし、ダァクの方を振り返る。
「貴方だってずいぶん落ち着いてるじゃない、やっぱり戦いの前って緊張するものだと思うけど」
「そこの二人は終始あんなんでしょ」
 舞台裏で常にこの通り、対戦前でも緊張という気配のかけらもないのだ。
 アベルは肩をすくめた。
「あいつらはここの仕様に慣れてるだけだわ、元々本業だったわけだしさ。……ううん、奴らは例外なんだと思う」
 アベルは首を振り言い直した。
「あたしはもともと闘技場オーナーの家なのは言ったわよね。それで、昔から色々な剣闘士を見て来たけど……大抵は儀式前、緊張してたと思う。その緊張の仕方は人それぞれだわ」
 あいつら昔っから落ち着きないのよとため息を漏らすアベルに、ダァクは椅子にふんぞり返って笑った。
「ちなみに俺、別に緊張はしてないけどねぇ」
 極めてリラックスしてますよとアピール。
 外見歳行ってそうに見えるが実は、ヤトとほぼ同年代のダァクである。もちろん『強がりたい』お年頃だ。
「……あら、そうなの?」
「静かなのが好きって訳じゃないけど、俺は一人も全然OKな人だから」
 その間もまだテリーとヤトがまだ何やらよく訳の分からない言い争いをしているのに……ダァクが呆れて声を掛けた。
「お前さん達、元気なのはいいけど女の子放っておくのはよくないんじゃない?」
 もっともそれはダァクの『女性至上主義』的な感性によるものだが。
 即座ヤトが振り返って断言。
「何言ってる、そいつ女の子じゃなゴボァ!」
 そして遠慮なくアベルに殴られるヤト。
 さっき会場挟んで言い争ってその果てに一方的に殴られて終わったというのにまだ懲りてない……いや、懲りるって言葉は彼の辞書にはないのかもしれない。
 ……あるいは故意に殴られたいだけか?……ドM?
 その可能性無きにしも非ず……と、その悲しき性は理解できなくもないと同情の念を送ってしまったりもするダァクである。
 どうにもアベルに関するその手の話には条件反射レベルで反応し、ツッコミを入れてしまう体質らしい。もう少し後先考えてツッコミむべき言葉を選ぶ事を学んだ方がいいわよ……と言った所で理解してくれるかどうか。
 ぶん殴られて吹っ飛ばされた所起き上がりつつヤト、復活。
 耐久性が低い?そうか?十分に撃たれ強いんじゃないのかとも思うが……ようするにこうやって通常戦闘以外の要因で肝心な時に耐久性が落ちている事が多いのかもしれない、などと怪訝な想像をしてしまったりもする。
「何しやがるお前!女がグーで殴るな!」
「うっさいわね!殴られるような事言う奴が悪いんでしょ!」

「……すごいな」
 そんな状況を見やり、明らかに彼女に『関心』して……いや、正確には恐れと畏怖を込めてクリスがつぶやいた。
「……聞いてなかったみたいだからいいけど……クリス、それ彼女に言うとこっちにもとばっちりくるから気をつけなさいよ」
 ダァクの忠告にクリスは慌てて首を横に振り、すくみあがった。
 いたしかたない、ここまで強烈な女性にクリスはまだ遭遇したことが無いのだ。

 俺、彼女と一切トーナメント当たらなくて良かった。

 そのように心の底から安堵のため息を漏らしているだろう。
 ちなみに女性が生理的に嫌いで恐怖対象となっている性癖を持つ『ダーク』の方はアベルが控え室に入って来た時点で……もちろん無言で退出……もとい、逃げて行った。

 今にも殴り合いになりそうな剣幕の二人に、テリーは頭を左手で掻きつつ深いため息。
「もうこうなっちまうと止めるのも一苦労でよ、まったく……毎度毎度仲介させられる俺の身にもなれっつの」
「分かりやすくていいじゃない、」
 ダァクはニヤニヤ笑いながらそのように返すも、テリーはどうだかなぁと目をそらした。
 何が、という事はもちろんテリーに向けては通っている。
 いちいち言葉にして、説明するもヤボな事だと二人には分かっている。
 と、そこへ無粋な乱入者。
「俺はこういう元気な女は割と好みだ」
 突然ダァクが座っている椅子の背後から声がかかり、背もたれに腕をついて話に入って来たのは……初戦敗退なバンクルドである。
 実はブレイズを破ったダァク、バンクルドの機嫌がますます悪くなっているんじゃないかと思って戦々恐々だったが……どうにも逆だ。機嫌はすこぶるよさそうである。
 とりあえず、その点は突っ込まず相手の話に合わせる事にしたダァクだ。
「いつからそういう話になったのよ」
「違うのかよ?おまえもじゃじゃ馬大好きっ子だろーが」
 間違ってはいない、図星ながら……なんでかちょっと恥ずかしい事に気がついてダァクは目をそらしてしまった。

 俺ってそれに動揺するキャラだっけっか?などと思いつつ……反論。

「そりゃうちのお嬢(ティナ)は紛う事なきじゃじゃ馬だけどね、俺は性格関係なく女の子みんな大好きなんですけど」
「それ嬢ちゃんに言えるのか?」
 ……言えないかもしれない。
 ダァク、バンクルドに向けてこれ以上反論できずに口が歪む。
 言ってはいけないと思いつつたまにそんなニュアンスの事を言ってしまって……このナンパ男!と怒られている事を思い出し……思わず額を抑え反省。

 ごめんヤト、俺お前の性癖についてとやかく言う資格は無かった。

「……俺は、おしとやかなのがいいがな」
 テリーはごく小さく好みについてつぶやいたつもりだったが。
「うるさいわね、どーせあたしはおしとやかとは無縁よ!」
 即座アベルが反応してこっちを向いたので肩をすくめて身を引いた。
「……加えて地獄耳か」
「くっくっく、こりゃおっかねぇ」
 しかしなお、バンクルドのターゲッティングはアベルから外れていない模様で可笑しそうに笑っている。
「いいねぇお転婆、たまんねぇじゃねぇか」
「……てゆーか、あんたそういう趣味だったんだ」
「初耳か?」
「初耳だな」
 割と聞き捨てならない事である……ダァクにとっては。
 どうしてそのようにダァクがこだわってくるのか、もちろんバンクルドは心得ている。
「安心しな、お前んとこの嬢ちゃんには手ぇださねぇよ」
 ああ、そこに集約される訳だ。わかりやすい、とテリー思わずうなずいた。
「とかいって、すでに一度出しかけた事をよもや俺が見ていなかったとでも思っているのか?」
「おっと、見られてたのかよ、ちゃっかりしてんじゃねぇか。トリスが止めてなきゃお前が止めに入ってたって訳だ」
「………」
 さてはて、どうにも一人、割とおてんばな『お嬢さん』をめぐって何やら色恋沙汰があるらしい。
 テリーは……こういう話割と嫌いではない。
 何しろヤトに『おしゃべりスピーカー男』となじられる通り噂話への精通度が高く……大抵の話は好んで聴く傾向にあったりする。……リアルでの癖はバーチャルでも同じく、だ。
 それにしたってバンクルドの機嫌がいい。
 まさかの初戦敗退を期したというのにどういう事なのだろう。ようやくダァクその点を追及する覚悟がついた。
「……なんか楽しい事でもあったのか?」
「ああ?」
「いや、なんかご機嫌だから……トリスあたりから何か言いくるめられたとか」
 バンクルド、わかっちゃねーなと苦笑いを浮かべてダァクの背中を強打。
「お前が勝ち進んでるのを素直に喜んでんだよ、」
「……あんたに喜ばれてもね……」
 正直、おっかないだけである。
「しっかり頂点極めてきな、最強なお前と戦えるのを楽しみにしてるんだよ」
「そりゃー全然嬉しくない」
 ああやっぱり、そんな事じゃぁなかろうかと思っていたとダァク。まだこのお兄さん俺のストーカーするつもりなんだとがっくり肩を下ろした。
 強い奴は基本的に大好きだからよ、と紛う事なき戦いバカのバンクルドは笑った後……ふっと真面目な顔になって呟いた。
「……トリスが上でくっちゃべってるだろーからここでこっそり言っておくが」
「……ここで言われても全く本編には影響がでないんだけどね」
 …………その通りなのだが。
 その都合を完全に無視してバンクルドは真面目な顔で言った。
「……あいつにゃ気を付けとけよ」
 あいつと言われた人物が誰なのか、ダァクは分かっている。どういう意味で気をつけろと言っているのか。……あれこれとダァクには心当たりがあり過ぎる。
「分かってるわよ、そんな事」
 とりあえずダァクはまじめに、そのように応対した。
 バンクルドに注意を促されるまでもなく、トリスに向けて気を許すことはまず……ない。
 本編において何回か殺されかけているダァク、方位神眷属にむけては全体的に気を許していない。とりわけ青魔導師には細心の注意を払っているといえる。
 剣で語れるバンクルドの方がまだ心が許せる所があった。

 遠くでざわめいていた声が……少し盛り上がったような気配に3人は顔を上げる。

 舞台袖から観客席を窺っていたブレイズが振り返る。
「そろそろ出てきてくれないか、だってさ」

 ダァク、テリーはお互い顔を見合せ……少し笑って肩を並べた。

 決勝戦、これが終われば……この物語も閉じる。
 ここであった事などもちろん思い出すこともなく……それぞれの世界へと戻っていくのだ。

 たとえ記憶に残らなくても……どこかで、誰かが覚えていてくれるかもしれない。
 例えばこの非常にふざけた番外編だとか?

「せいぜい戦いを楽しもうぜ、」
 長くは無い連絡通路を並んで歩くに、テリーから言われてダァクは小さく笑い、言葉を返す。
「楽しくね、戦いをその域まで持って行くのに……俺は憧れてたのかもしれない」
 なんだそりゃ?
 そんな問いかけを含めこちらに振り返ったテリーにダァクは続ける。
「今は楽しんでるよ、でも楽しんでいるなんて言うと怒る子がいるもんでね」
「例のお嬢ちゃんって奴か?」
 そんなトコよ、とダァクは目を閉じ……舞台入口前で足を止めた。
「なんで戦うのよって言われて、理由を探すと今は、途方にくれたりする」
「理由探しは墓穴掘るのと似てるぜ。理由の為に戦うと……いつの間にやらそいつに落っこちて出てこれなくなりやがる」
 テリーは一体誰に向けてそう言っているのか、自分に向けてか……あるいは。
 自分によく似た近しい誰かか。
 どちらなのかダァクは量り損ねる。
「知ってるよ」
 ダァクは軽く息を吹き出し、リラックスして肩を落として……閉じていた目を開けた。
 舞台の先にあるまぶしい光に目を慣らすように遠くを見つめる。
「伊達に暗闇の名前を名乗っちゃいない、一度落ち込んで……なんとか這い出てこの通り」
「アンタも色々あったってわけだ」
「まあね」

 空気の幕を破るように舞台へと進み出た。

 押し寄せてくる津波のような歓声は、衝撃を持って吹きつけ確実に空気をも震わせている。
 多くはこの舞台そのものに気遅れするか飲まれるという。

 関係ない、
 二人は周りに飲み込まれる事のない『自分』を確立し……地に足をつけ立っていた。


 その二人を確認し、視点は再び……解説席へ。


「ようやく選手が出て来たようだな」
 紅茶による一服を終え、トリスはティーカップを皿に戻す。
「ええ、決勝戦がこれより始まるわけですが……ま、たまには僕らではなく舞台裏なんかの視点にしてみたらしいですけど……」
「僕らの際限なくて関係のないボケ倒した話ばっかりじゃ飽きるだろうしね」
 毒舌吐くに割と容赦ないの特別ゲストハイドロウ。
 解説席にカメラ(?)が回ってきたのを確認して司会役のレッドは……極めてシリアスに言う。
「全く、何マジメな話とかやってるんですかね。ギャグにしないでどーするんです」
 それをシリアスに言うな、と深くため息を漏らす人がこの解説席にたった一人だけいる。
「……いや、この話そういう趣旨じゃねーから」
 ツッコミ役ルインだ。彼がきっちりと仕事をこなす。

 お遊び仕様だが全部ギャグで落とす必要性は無い番外編である。
 とりあえず、戦闘シーンくらいガチでやらせてほしい。

「行数増やしてるのって大抵君じゃないのか?」
 ハイドロウ、司会役に冷めた視線を送るも、
「増やしちゃいけないとは聞いてませんので」
 いけしゃぁしゃぁと言われてじゃぁ、勝手に増やせばいいじゃないかとハイドロウ、行数制限について一切の匙を投げてしまった。

 ……今だから言いますがこの第4回、半分一度あぼーんして上の人魂抜けてたりしたのですよ。
 ※解説※
 あぼーん とは某所で使われていた(過去形)言葉で『消去』的な意味があります

 何が悪いって、一気にこんな行数タイムアウトがあるブログでやらかすから悪いんです。

 ※解説※
 流石に書き出すに時間がかかり過ぎ、ログインし直しでデータが消え、保存し忘れて以下略

 ばーかばーか 涙。

 というわけで……気を取り直してまいりましょう。

 *** *** ***

 揃って出てきた二人の選手は……中央で別れ、一定の距離を置いた。
 改めてお互いを確認するに……テリー、準備運動に肩を回しながら尋ねる。

「そんで、お前最初っから全力で戦ってくれるんだろうな?」
 そう問われるに致し方ない理由はダァクも分かっている。
 嘘を言ってもいいのだ、舞台に上がって嘘をついてはいけないというルールは無い。
 嘘を見抜かれるのが怖いという事もない。ダァクは嘘をつくのがヘタなわけでもない。むしろかなり嘘つきな方といえる。
 しかし、素直にテリーの問いに答える事にしてダァクは……剣を構えながら答えた。
「相手に見合う、相当の力で戦う……それが俺の主義って奴なのよ」

 ダァクが構えたのは黒剣、両手剣程の大きさがありながらやけに細見の黒い剣である。

 ようするに……ディフレクトを舞台に持ってきていないのだ。
 テリーは複雑骨折中の為石膏で固められている自分の右手を見やる。

 おそらくこれの所為だろうと思うが……もしかすれば右手が使えたとしても同じ装備でやってきた可能性がある。
 こういうハンディキャップと見られる事をテリーもしない訳ではない。
 そもそも拳一つに拘るのはテリーにとってすでに相手に向けたハンディキャップである。

 はたしてそれを見抜かれているのか、ナメられたという怒りもあるがそれだけではない、複雑な感情にやや口の端を引き上げて鼻で笑った。

「戦いを楽しむなら、同じ高さの土俵に上がるべきでしょ」
「……言ってくれるな」
 ふいと気配を感じテリーは、やや伏せていた顔をあげる。

 降り注ぐ歓声と共に、鋭い音を立てて目の前の地面に剣が刺さりこんでいた。

 見憶えがある……ヤトが愛用している剣だ。特に名前はないようだが鍛冶先が有名であるために工房名、『サガラの剣』と呼ばれているものである。
 舞台袖を振り返るに……鞘から引き抜いた剣を投げ入れたヤトが遠慮なくファックポーズを決めながらこちらに怒鳴るのが聞こえてくる。

「んな闘技作法を嘗め腐った奴にてめーの美学貫いたって、キレイじゃねーぞ!」

 ……ようるすに、正々堂々ハンディキャップ無しで戦いを捧げるべきだからお前も一切手を抜くな、拳一つの『美学』など捨てて本気で戦えと言っている。
 ……ならそう言え。

 思わず苦笑いをしたのはその難解な言葉の意味を察した、ダァクも同じくだ。

 *** 続く ***
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