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おまけ

没 祓い

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マコが襲われた後、鏡を一度割り
免色を一度退けるターンに考えていた別案。
祈先輩と飯島家に行きます。没になったので途中まで。

別作の「拝み屋一家の飯島さん」に少しだけ関連。

ーーーーー




祈先輩は今まで見たこともない様な
鋭い眼光で言い放った。


「免色貞夫を祓う」


「え…?」


私は素っ頓狂な声を出した。
そんな事が出来るんだろうか?


「ど…どうやってですか?
そんなことできるんですか?


「昨日の夜、飯島の本家に行った時
雅さんがいた。
彼女は霊能一家の当主だぜ!

彼女に祓ってもらえばなんとかなると思う。昨日…君も連れて行けばよかったな…」


「そんなことしたら、免色くんが怒りますよ…!先輩も私も…もっと酷い目に…」


「放っておいたって酷い目に
遭うさ。俺はあいつに死ぬ程嫌われてるし、泉は死ぬ程、好かれてる。」


先輩は大きな溜息をついて
髪を結び直す。


「本当にごめんな…泉、
俺が肝試しなんかに巻き込んだから…」


「…先輩…
こんなことになるなんて誰もわかりませんよ。気に病まないでください!

とにかく…やれることをやらなきゃ…」


「ああ。そうだな…
でも…本当にすまない…」


祈先輩は毛布に隠された
私の噛み跡だらけの体を悲しそうに見て言った。
 

「さ、服着たらすぐに行こう。
部屋の外で待ってる。」


「…ありがとうございます」


その後、できる限り肌の隠れる服を着て
祈先輩と山奥にある
飯島本家へと向かった。


屋敷に着くと能面?みたいなのを
被った着物の女性が奥へと案内してくれた。

どうやら、祈先輩の言っていた
霊能者の家系というのは本当の事だったらしい。


「凄く広いですね…」

「そうなんだよ。
親戚の集まりの時とか良く迷子になってさ。暗いわ怖いわキツかったなぁ」


私達はなんとなくヒソヒソと話しながら
前を歩く能面の女性についていった。


廊下は豪華な造りをしているが
全体的に薄暗い。
欄間に彫られた龍がこちらを睨む。


「祈様、泉様、
こちらでみやび様がお待ちです。くれぐれも失礼のない様にお気をつけ下さいませ。」


能面の人がしゃがみ込み
横の襖を開けた。

襖の奥には黒い着物を着て鼻から首元を薄いベールで隠した女性が座っていた。

髪は美しく纏め上げられ、
着物には紫のグラデーションと共に
上品な蝶の刺繍が入っている。


「祈、また面倒事を引き起こしましたね。

毎回、毎回…
手を焼かせないで欲しいものね。」


女性の声は重厚で威圧感のあるものだった。ついつい祈先輩の袖を掴む。

祈先輩は私が少し怯えているのを感じたのか私の手をとってくれた。


「すみません。雅叔母様。
でも、今回は俺が後輩を巻き込んでしまって…」


背後で襖が閉じられ、
香のような匂いが部屋に充満する。

部屋の中は薄暗く、行灯が照らすだけで
まるで時代劇に出てくる遊郭みたいだ。

その奥でため息を吐く美しい彼女はまるで花魁みたいに見える。


「…はぁ…全く。霊を見る力すら無いくせに首を突っ込むからそうなるのです。

どうせ、霊視眼を試す為に
肝試しでも行ったんでしょう。
祈は馬鹿ね。」


「はい…面目ないです…」


れいしがん…?なんの話??
私がキョトンとしていると雅さんは
指をチョイチョイと動かして私を呼んだ。


「おいで、お嬢さん。
祈は馬鹿でも、貴女に罪はないわ。
祓ってあげる。座って。」


「は、はい!」


ドギマギしながらも
私は彼女の前に座る。

雅さんは私の顔を両手で包むと
目じっと見つめた。


「…物凄く邪悪なモノが憑いてる。
これは…血塗れの…男子学生…ね…

一人の悪霊が沢山の霊魂と融合して…
祟り神にも近い…

コレは凄く貴女に執着してる…
かなり厄介ね。」


血塗れの男子学生…免色くんだ…


「女の子なのに噛み跡だらけにされて…可哀想に…すぐ消えるわ。」


雅さんは懐からキセルを取り出し
キセルに何かを詰め火をつけた。

噛み跡…見えないようにしてるのに…

そんなことを考えていると
雅さんはふぅっと煙を私に吹きかけた。


「霊視眼はね、祈のしている眼鏡の事、
霊が見えるようになるの。

それを試したかったみたい、
あの馬鹿な甥はね。

でも、許してあげて。
反省はしてる。」


雅さんはちょっとだけ笑った。


「許すも何も、
昨日、祈先輩は私を助けてくれたんです。
怒ってなんていません。」


「そう。それは良かった。
一族が増えるのは私も嬉しい。」


「??そうなんですか…?」




















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