春の日

無邪気な棘

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溜まったモノを吐き出す。

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アパートのベランダから見える月は、冷たく光輝いた。殺るには丁度良い夜だ。

春の風がそっと耳元で囁いた。「さぁ、行こ。」と。

月明りに照らされた薄紅色の桜達が俺を勇気付けた。

俺は毎日、工場で汗と涙を流しながら働いてきた。非正規の底辺労働者。

だが、それ以上に俺を苦しめたのは、あいつだった。

中学時代、俺を執拗にイジメた山田翔太。あいつは笑いながら俺を殴り、仲間と一緒に俺の服を剥ぎ、トイレに頭を突っ込んだ。

あの屈辱の日々は、俺の心に消えない傷を刻んだ。

今、あいつは正社員としてデスクでふんぞり返り、幸せな家庭を築いてる。

SNSで見た。妻と10歳の息子と、第二子を妊娠中の幸せそうな写真。

俺は震えた。

俺はあいつの家を特定した。

郊外の静かな住宅街。新築の一軒家。

家族三人、プラス腹の中のガキ。

俺は工具箱に金属バットとナイフ、ワイヤー、硫酸の入ったボトルを詰めた。復讐は完璧でなきゃいけない。

あいつが俺にしたように、俺はあいつの全てを奪う。あいつの家族を壊す。

あいつの幸せを血で塗り潰す。

夜11時。

俺はあいつの家の裏口をピッキングで開けた。

リビングでは、山田翔太がソファでビールを飲んでる。妻はキッチンで皿を洗い、10歳の息子は二階で寝てるはずだ。

俺はまず翔太に近づき、金属バットをフルスイングで頭に叩き込んだ。鈍い音と血しぶき。奴は即死だった。

生温かい鮮血が白い壁に散り、美しい紅の華を咲かせた。

妻が悲鳴を上げて駆け寄ってきたが、俺はナイフでその腹を切り裂いた。

妊娠8ヶ月の膨らんだ腹から血と羊水が溢れ、胎児が滑り落ちる。

まだ動いてるその小さな塊を、俺は足で踏み潰した。

妻は絶叫しながら這うが、俺は彼女を押さえつけ、首にワイヤーを巻いて絞めた。

そのまま、欲望のままに彼女を犯した。

息絶える瞬間、彼女の目が俺を睨んだが、そんなもの気にもならなかった。

忌々しい瞳。

俺は素手で両方の眼球を抉り出した。

次は二階。息子の部屋に忍び込む。

寝顔は無垢で穏やかだった。俺は金属バットを振り上げ、頭を何度も叩いた。

一撃で済ませるつもりだったが、怒りが止まらず、頭蓋が砕けるまで殴り続けた。血と脳漿がシーツを赤く染めた。

それは、うっとりとする光景だった。

死体をバラバラにするのは簡単だった。ナイフで腕と脚を切り離し、胴体を裂いた。

風呂場に運んで、用意した硫酸をかける。肉が溶ける音と白い煙が上がる中、俺は冷静だった。

溶けた残骸は排水溝に流し、証拠を消した。家を出る前に、血のついた床に「報い」とだけ書いておいた。

翌朝、ニュースが騒ぎ始めた。「一家惨殺事件」とか「猟奇的犯行」とか。

俺はアパートでビールを飲みながら見てた。

ふと、窓の外、空を眺めた。

雲一つ無い青空だった。俺はにっこりと微笑んだ。

太陽が俺を讃えた。

(終)
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