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第一章 私が逃げ出した理由 3
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それから、スイーティオは足繁く王都にある公爵家のタウンハウスに通ってレインとの絆を深めていった。
しかし、それをよく思わない令嬢たちがいた。令嬢たちは、スイーティオがレインを気にかけることが気に入らなかったようで、レインの悪い噂を流し始めのだ。
レインは、容姿を気にして屋敷から出ることは殆どなかった。
普段は家庭教師から勉強を教えてもらい、グレイスから魔術を学び、毎日を穏やかに過ごしていたのだ。
しかし、周囲は令嬢たちの流した噂を面白がってなのか、その悪い噂は物凄いスピード国中に広かっていった。
そう、屋敷から出ないレインの耳に入るくらいに。
レインはある日、屋敷に新しく入ったメイドの少女が、面白半分で他の先輩メイドにレインのことを聞いているところを偶然見てしまったのだ。
この屋敷にずっと勤めている使用人たちは、レインの呪いのことを知っていたし、レインが心の優しいいい子だということも知っていた。
だから、噂は聞こえていたが、取るに足らない嫉妬から立てられた噂だと気にもとめていなかった。
だから新人メイドからその話をされた先輩メイドは、キツイ口調でそれを窘めたのだ。
「ちょっと貴方!そんなありもしない噂話を口走るだなんて!!なんてことを言うの!!無駄口を言うくらい元気があるのなら、他の部屋の掃除でもやっていなさい。それと、この事は報告させてもらいますからね」
「そっ、そんな!!だって、みんな言っています!お嬢様はオークみたいに醜いのは顔だけじゃなくて心も醜悪だって!!王子を誑かしている悪い令嬢だからあんなに醜いんだって!!」
「あっ、貴方!!黙りなさい!!」
「どうして!!だってお嬢様が醜いのは事実でしょう!!」
「なんてことを言うの!!お嬢様はお優しくて素敵な方なのよ!!もう黙りなさい!!」
その新人メイドは、その後メイド長や侍従長、執事からも盛大に咎められた。
すると、その新人メイドは何を思ったのか、無関係のレインを巻き込んで「何もしていないのにお嬢様にキツく窘められて、ひどい仕置きを受けた」と、周囲に言い出したのだ。
その噂が広がった頃に、新人メイドは無断欠勤が続いたと思ったら、手紙だけ寄越して仕事をやめていた。
後々調べると、その新人メイドはとある貴族からの差金だということが分かったのだが、時既に遅くレインの醜聞は最悪な状態になっていた。
スイーティオは、レインを精一杯慰めるが、噂を知ってしまったレインからその悲しみが消えることはなかった。
ある日、レインはスイーティオに言った。
「このままでは、殿下まで私の醜聞のせいで悪く言われてしまいます。お願いですから婚約を解消して、他のご令嬢と婚約してください」
そう言ったレインの瞳には涙の膜が出来ていた。瞬きをしたら零れてしまい、仮面をしていても気が付かれてしまうと思ったレインは、それをぐっと堪えた。
レインの言葉を聞いたスイーティオは、悲しそうな表情をしながらも強い口調で言った。
「無理だ。君以外ありえない。俺は君以外いらない。君がいいんだ」
スイーティオの言葉を聞いてもレインはふるふると首を横に振り続けた。
「無理です。これ以上殿下にご迷惑を掛けてしまうことは、辛くて辛くて耐えられません」
そう言って、レインは耐えきれなくなりとうとう仮面の下で涙を溢れさせてしまった。
レインは、自分のせいでスイーティオまで悪し様に言われてしまう可能性があると考えると胸が痛くていたくて堪らなかった。我慢していたはずの涙が自然と溢れてしまうほどに。
しかしスイーティオには、レインのその行為が自分から逃げ出したいだけの言い訳にしか聞こえなかった。
初めて「君がいい」と、告白してから3年。その間もずっと「君がいい」と言ってきたのに、一向に信じてくれない頑ななレインに流石に頭にきたスイーティオはいつもはどんなにレインがが拒んでも諦めなかったが、この日だけは違った。
つい、周りを気にして自分の言葉を受け入れないレインに頭にきて言ってしまったのだ。
「わかった。もういい」
いつもよりも低く冷たい声音に自分でも驚いたが、いまさら言葉を引っ込めることも出来ず、後ろも振り向かずにスイーティオはその場を去った。
もし、この時後ろを振り向いていたら運命は変わっていたかもしれない。
その時レインは、蹲って泣いていたのだ。先程までのただ涙を流していた時とは違って、スイーティオから初めて突き放すように言われた言葉に溢れる涙を止めることが出来ず、その場に座り込み蹲ってしまったのだ。
それから、レインは涙が枯れるまで泣いた。
その日からレインは自室に引きこもった。
レインが自室に引き込もるようになって数日。アールスとグレイスは、とある相談を繰り返しある結論に至った。
そしてグレイスは、そのための行動をするため、自分の持ちうる魔術の知識と、呪いについて調べる過程で集めた書物を駆使してある魔術を完成させた。
アールスは、そのための行動を起こすために、様々な手続きを進めた。
レインがスイーティオと喧嘩別れした日から半年が経っていた。
半年の間スイーティオは、何度も屋敷を訪れたが、何だかんだと理由をつけられてレインに会わせてもらうことが出来なかった。
一時は、王族の権力を使ってとも考えたが、自分からレインを傷つけた自覚のあるスイーティオは門前払いを甘んじて受け入れていた。
その日も、自室にこもっていたレインだったが、アールスから大事な話があると言われて、久しぶりに家族の前に姿を現した。
レインは、もともと線が細いところはあったが更に細くなったその姿に家族は涙した。
そして、アールスは家族全員を見回して言った。
「呪いのせいでこの子が傷つくのはもう耐えられない。だから、ここではない世界。異世界に移住しようと思う。準備は既に整っている」
こうして、イグニシス公爵は弟夫婦に公爵家を任せて、レインのために家族揃って自分たちの住んでいた世界を捨てて、世界を渡った。
しかし、それをよく思わない令嬢たちがいた。令嬢たちは、スイーティオがレインを気にかけることが気に入らなかったようで、レインの悪い噂を流し始めのだ。
レインは、容姿を気にして屋敷から出ることは殆どなかった。
普段は家庭教師から勉強を教えてもらい、グレイスから魔術を学び、毎日を穏やかに過ごしていたのだ。
しかし、周囲は令嬢たちの流した噂を面白がってなのか、その悪い噂は物凄いスピード国中に広かっていった。
そう、屋敷から出ないレインの耳に入るくらいに。
レインはある日、屋敷に新しく入ったメイドの少女が、面白半分で他の先輩メイドにレインのことを聞いているところを偶然見てしまったのだ。
この屋敷にずっと勤めている使用人たちは、レインの呪いのことを知っていたし、レインが心の優しいいい子だということも知っていた。
だから、噂は聞こえていたが、取るに足らない嫉妬から立てられた噂だと気にもとめていなかった。
だから新人メイドからその話をされた先輩メイドは、キツイ口調でそれを窘めたのだ。
「ちょっと貴方!そんなありもしない噂話を口走るだなんて!!なんてことを言うの!!無駄口を言うくらい元気があるのなら、他の部屋の掃除でもやっていなさい。それと、この事は報告させてもらいますからね」
「そっ、そんな!!だって、みんな言っています!お嬢様はオークみたいに醜いのは顔だけじゃなくて心も醜悪だって!!王子を誑かしている悪い令嬢だからあんなに醜いんだって!!」
「あっ、貴方!!黙りなさい!!」
「どうして!!だってお嬢様が醜いのは事実でしょう!!」
「なんてことを言うの!!お嬢様はお優しくて素敵な方なのよ!!もう黙りなさい!!」
その新人メイドは、その後メイド長や侍従長、執事からも盛大に咎められた。
すると、その新人メイドは何を思ったのか、無関係のレインを巻き込んで「何もしていないのにお嬢様にキツく窘められて、ひどい仕置きを受けた」と、周囲に言い出したのだ。
その噂が広がった頃に、新人メイドは無断欠勤が続いたと思ったら、手紙だけ寄越して仕事をやめていた。
後々調べると、その新人メイドはとある貴族からの差金だということが分かったのだが、時既に遅くレインの醜聞は最悪な状態になっていた。
スイーティオは、レインを精一杯慰めるが、噂を知ってしまったレインからその悲しみが消えることはなかった。
ある日、レインはスイーティオに言った。
「このままでは、殿下まで私の醜聞のせいで悪く言われてしまいます。お願いですから婚約を解消して、他のご令嬢と婚約してください」
そう言ったレインの瞳には涙の膜が出来ていた。瞬きをしたら零れてしまい、仮面をしていても気が付かれてしまうと思ったレインは、それをぐっと堪えた。
レインの言葉を聞いたスイーティオは、悲しそうな表情をしながらも強い口調で言った。
「無理だ。君以外ありえない。俺は君以外いらない。君がいいんだ」
スイーティオの言葉を聞いてもレインはふるふると首を横に振り続けた。
「無理です。これ以上殿下にご迷惑を掛けてしまうことは、辛くて辛くて耐えられません」
そう言って、レインは耐えきれなくなりとうとう仮面の下で涙を溢れさせてしまった。
レインは、自分のせいでスイーティオまで悪し様に言われてしまう可能性があると考えると胸が痛くていたくて堪らなかった。我慢していたはずの涙が自然と溢れてしまうほどに。
しかしスイーティオには、レインのその行為が自分から逃げ出したいだけの言い訳にしか聞こえなかった。
初めて「君がいい」と、告白してから3年。その間もずっと「君がいい」と言ってきたのに、一向に信じてくれない頑ななレインに流石に頭にきたスイーティオはいつもはどんなにレインがが拒んでも諦めなかったが、この日だけは違った。
つい、周りを気にして自分の言葉を受け入れないレインに頭にきて言ってしまったのだ。
「わかった。もういい」
いつもよりも低く冷たい声音に自分でも驚いたが、いまさら言葉を引っ込めることも出来ず、後ろも振り向かずにスイーティオはその場を去った。
もし、この時後ろを振り向いていたら運命は変わっていたかもしれない。
その時レインは、蹲って泣いていたのだ。先程までのただ涙を流していた時とは違って、スイーティオから初めて突き放すように言われた言葉に溢れる涙を止めることが出来ず、その場に座り込み蹲ってしまったのだ。
それから、レインは涙が枯れるまで泣いた。
その日からレインは自室に引きこもった。
レインが自室に引き込もるようになって数日。アールスとグレイスは、とある相談を繰り返しある結論に至った。
そしてグレイスは、そのための行動をするため、自分の持ちうる魔術の知識と、呪いについて調べる過程で集めた書物を駆使してある魔術を完成させた。
アールスは、そのための行動を起こすために、様々な手続きを進めた。
レインがスイーティオと喧嘩別れした日から半年が経っていた。
半年の間スイーティオは、何度も屋敷を訪れたが、何だかんだと理由をつけられてレインに会わせてもらうことが出来なかった。
一時は、王族の権力を使ってとも考えたが、自分からレインを傷つけた自覚のあるスイーティオは門前払いを甘んじて受け入れていた。
その日も、自室にこもっていたレインだったが、アールスから大事な話があると言われて、久しぶりに家族の前に姿を現した。
レインは、もともと線が細いところはあったが更に細くなったその姿に家族は涙した。
そして、アールスは家族全員を見回して言った。
「呪いのせいでこの子が傷つくのはもう耐えられない。だから、ここではない世界。異世界に移住しようと思う。準備は既に整っている」
こうして、イグニシス公爵は弟夫婦に公爵家を任せて、レインのために家族揃って自分たちの住んでいた世界を捨てて、世界を渡った。
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