9 / 15
第三章 俺は彼女を心から愛しているんだ 1
しおりを挟む
スイーティオ・エレメントゥム・アメジシストは、王家の次男として生を受けた。
七人兄弟に生まれたが、兄弟仲は良いほうだとスイーティオは思っていた。
一番下の弟には、少し避けられているきらいはあったが、それでも良好だと思っていた。
7つ年下の婚約者との仲も良好だと信じていた。
婚約者である、公爵令嬢のレインは心の優しい子で、照れ屋で可愛らしい少女だった。
レインを初めてみたとき、スイーティオは雷に打たれたのかと錯覚するほどの衝撃があった。
ただ、仮面の乙女と呼ばれる公爵令嬢に興味があっただけだった。
セレンに用事があると言って、屋敷に押し掛けたことがあった。
その時に、セレンの目を盗んで屋敷を一人で見て回ったのだ。
そして、偶然庭の東屋でうたた寝をしているレインを見たのだ。
レインは、ピンクブロンドのサラサラの髪を風になびかせながら、こくりこくりと船を漕いでいた。
そして、小さな声で苦しそうに言ったのだ。
「私が醜いから、迷惑かけて。ごめんなさい」
そして、瞑っていた目尻からキラキラとした涙を流したのだ。
スイーティオは、その涙がとても神聖なものに見えた。
だからもっと近くでよく見たいと思ったのだ。
うたた寝をする少女に気が付かれないようにと、足音を消してゆっくりと近づいた。
近くで見た少女は、スイーティオの目にはとても歪に見えたのだ。肌は、土気色でガサガサとしていた。豚のような鼻にエラの張った顎、異様に分厚い唇。
お世辞にも美しい容姿ではなかったが、スイーティオにはその少女が運命の人なのだとすぐに分かったのだ。
これは、仮面で顔を隠したくなるはずだと思いながらも、その少女の容姿には不可解な歪みがあった様に感じた。
しかし、スイーティオはこれは恋のなせる業なのかと考えた。
(好いた相手がキラキラして見えるという、これが恋愛脳というやつなのか?)
少しだけ、斜め上な思考で少女を見つめていると、少女が目を覚ましそうになっていた。
このまま見ていたいような気もしたが、寝ている間に寝顔をジロジロ見る男など嫌われるに決まっていると考え直したスイーティオは、気が付かれないようにその場を即座に離れた。
そして、未だに決まっていなかった自分の婚約者に彼女を望んだんのだ。
婚約者となった後は、ウザがられない程度を見極めながらせっせとレインに会うために通った。
本当は、お忍びデートやピクニックなどもしてみたかったスイーティオだったが、レインが容姿を気にして屋敷から出たがらなかったため、それは叶わなかった。
そんなある日、スイーティオはレインに贈り物をしたいと考えた。
指輪を送るのは、時期尚早だと思ったが、腕輪や髪飾りも何か違うと感じた。
そこで、いつもレインに身に着けてもらえるものは何かと考えて仮面が頭に浮かんだ。
スイーティオは、直ぐに腕のいい職人に相談して、美しい仮面を用意した。
その仮面には、魔除けの効果のある素材を使い、レインの身を災厄から守れるようにと呪いも込めた会心の出来の贈り物だと意気揚々と、出来上がったプレゼントを持ってレインに会いに行った。
贈り物の仮面を見たレインは、喜んでいたようにスイーティオには見えた。
仮面でレインの表情は見えなかったが、微かに指が震えたのを見て、震えるほど喜んでくれたのだと、スイーティオは自分に「俺、グッジョブ!!」と自画自賛したのだった。
しかし、運命はそんなスイーティオに試練を与えたのだ。
何を言ってもスイーティオの言葉を信じずにいつまでも自分に自信のないレインにスイーティオは、つい言ってしまったのだ。
突き放すように、低く冷たい声音で「もういい」と。
気まずく思い、数日ほど会いに行くことが出来なかった。
そうしている間に、事態は悪化していたのだ。
いざ会いに行くと、なんだかんだと理由をつけて門前払いをされてしまったのだ。
最初は、王家の権力を振りかざしてでも会いたいと思ったが、そうすると嫌われてしまうことは確実だったため、それをぐっと堪えていた。
そんな事が、半年ほど続いたある日だった。
レイスハイトから、レインについて大事な話があると呼び出されたのだ。
執務室に向かうと、そこにはレイスハイトとカルテラル伯爵の姿があった。
執務室のソファーに座ったスイーティオにレイスハイトは、落ち着くように釘を差してから説明しだした。
「スイーティオよ。今からとても大切な事を話すが、絶対に取り乱してはならんぞ。これは父との絶対絶対の超重要な約束だぞ?」
七人兄弟に生まれたが、兄弟仲は良いほうだとスイーティオは思っていた。
一番下の弟には、少し避けられているきらいはあったが、それでも良好だと思っていた。
7つ年下の婚約者との仲も良好だと信じていた。
婚約者である、公爵令嬢のレインは心の優しい子で、照れ屋で可愛らしい少女だった。
レインを初めてみたとき、スイーティオは雷に打たれたのかと錯覚するほどの衝撃があった。
ただ、仮面の乙女と呼ばれる公爵令嬢に興味があっただけだった。
セレンに用事があると言って、屋敷に押し掛けたことがあった。
その時に、セレンの目を盗んで屋敷を一人で見て回ったのだ。
そして、偶然庭の東屋でうたた寝をしているレインを見たのだ。
レインは、ピンクブロンドのサラサラの髪を風になびかせながら、こくりこくりと船を漕いでいた。
そして、小さな声で苦しそうに言ったのだ。
「私が醜いから、迷惑かけて。ごめんなさい」
そして、瞑っていた目尻からキラキラとした涙を流したのだ。
スイーティオは、その涙がとても神聖なものに見えた。
だからもっと近くでよく見たいと思ったのだ。
うたた寝をする少女に気が付かれないようにと、足音を消してゆっくりと近づいた。
近くで見た少女は、スイーティオの目にはとても歪に見えたのだ。肌は、土気色でガサガサとしていた。豚のような鼻にエラの張った顎、異様に分厚い唇。
お世辞にも美しい容姿ではなかったが、スイーティオにはその少女が運命の人なのだとすぐに分かったのだ。
これは、仮面で顔を隠したくなるはずだと思いながらも、その少女の容姿には不可解な歪みがあった様に感じた。
しかし、スイーティオはこれは恋のなせる業なのかと考えた。
(好いた相手がキラキラして見えるという、これが恋愛脳というやつなのか?)
少しだけ、斜め上な思考で少女を見つめていると、少女が目を覚ましそうになっていた。
このまま見ていたいような気もしたが、寝ている間に寝顔をジロジロ見る男など嫌われるに決まっていると考え直したスイーティオは、気が付かれないようにその場を即座に離れた。
そして、未だに決まっていなかった自分の婚約者に彼女を望んだんのだ。
婚約者となった後は、ウザがられない程度を見極めながらせっせとレインに会うために通った。
本当は、お忍びデートやピクニックなどもしてみたかったスイーティオだったが、レインが容姿を気にして屋敷から出たがらなかったため、それは叶わなかった。
そんなある日、スイーティオはレインに贈り物をしたいと考えた。
指輪を送るのは、時期尚早だと思ったが、腕輪や髪飾りも何か違うと感じた。
そこで、いつもレインに身に着けてもらえるものは何かと考えて仮面が頭に浮かんだ。
スイーティオは、直ぐに腕のいい職人に相談して、美しい仮面を用意した。
その仮面には、魔除けの効果のある素材を使い、レインの身を災厄から守れるようにと呪いも込めた会心の出来の贈り物だと意気揚々と、出来上がったプレゼントを持ってレインに会いに行った。
贈り物の仮面を見たレインは、喜んでいたようにスイーティオには見えた。
仮面でレインの表情は見えなかったが、微かに指が震えたのを見て、震えるほど喜んでくれたのだと、スイーティオは自分に「俺、グッジョブ!!」と自画自賛したのだった。
しかし、運命はそんなスイーティオに試練を与えたのだ。
何を言ってもスイーティオの言葉を信じずにいつまでも自分に自信のないレインにスイーティオは、つい言ってしまったのだ。
突き放すように、低く冷たい声音で「もういい」と。
気まずく思い、数日ほど会いに行くことが出来なかった。
そうしている間に、事態は悪化していたのだ。
いざ会いに行くと、なんだかんだと理由をつけて門前払いをされてしまったのだ。
最初は、王家の権力を振りかざしてでも会いたいと思ったが、そうすると嫌われてしまうことは確実だったため、それをぐっと堪えていた。
そんな事が、半年ほど続いたある日だった。
レイスハイトから、レインについて大事な話があると呼び出されたのだ。
執務室に向かうと、そこにはレイスハイトとカルテラル伯爵の姿があった。
執務室のソファーに座ったスイーティオにレイスハイトは、落ち着くように釘を差してから説明しだした。
「スイーティオよ。今からとても大切な事を話すが、絶対に取り乱してはならんぞ。これは父との絶対絶対の超重要な約束だぞ?」
22
あなたにおすすめの小説
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる