大嫌いな幼馴染(バツイチ)と結婚することになりました

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
4 / 16

第四話 幼馴染に初めてを奪われてしまった

しおりを挟む
 アイザックからの援助で、一時は借金もなくなっていた。
 それでも、ことあるごとに金遣いの荒い父と兄が無駄な浪費を繰り返していた。
 そのことで、アイザックには途方もないくらいの金銭面での借りがある。
 それでも、シャロンはどうしてもアイザックの妻になるということだけは頷くことができなかったのだ。
 
 だからこそ、売り言葉に買い言葉と言う訳ではないが、自分でも考えていない言葉が口をついて出ていた。
 
「貴方と結婚するくらいなら、もうすぐ死んじゃいそうなおじいちゃんと結婚した方がましよ! お金だって、おじいちゃんに言って、貴方に返すわよ! それなら―――」

 シャロンが勢いに任せてそう口走った時だった。シャロンを見つめていたアイザックの漆黒の瞳が仄暗い光を孕んだのだ。
 そして、シャロンは、あっという間にベッドに押し倒されていたのだ。
 シャロンが逃げられないように、両手をベッドに縫い付けるようにしたアイザックは、上から見下ろすような体勢になっていた。
 両脚でシャロンを跨ぐようにして、その動きを完全に封じる。
 それでも逃げ出そうと藻掻くシャロンに、アイザックは低い声で言うのだ。
 
「君が俺以外と結婚するなんて許さない。君に触れていいのは俺だけだ」

 そんな身勝手なことを口にするアイザックに対して、シャロンは腹が立って仕方がなかった。
 
「あんたには関係ない! わたしが誰と結婚して、えっちして、子供が生まれたって―――」

 シャロンが激情に任せてそう口にすると、アイザックは、怒りに燃える瞳でシャロンを見つめて言うのだ。
 
「君は、俺の妻になるんだ。君が俺から逃げようとするなら、どんな手を使ってでもその相手を殺して、君を取り戻すからな。君が誰かと結ばれると言うのなら、その相手は無残な最期を遂げることになるだろうな。まぁ、君がそれを見たいというのなら好きにするがいい」

 アイザックの脅迫するようなその言葉の数々にシャロンも黙ってはいられなかった。
 
「嫌い嫌い、大っ嫌い! 大っ嫌いよ! あんたなんて、あんたなんて!!」

 シャロンの口から「大嫌い」という言葉を何度も聞くこととなったアイザックは、完全に頭に血が上ってしまっていた。だからこその暴挙に出ていたともいえる。

 これ以上、シャロンの口から「嫌い」という言葉を聞きたくなかったアイザックは、彼女の小さな唇を塞いでいた。 
 呼吸さえ奪うような激しい口づけにシャロンは、パニックに陥っていた。
 息苦しさに口を開けてしまったことで、アイザックの舌がシャロンの口内を蹂躙し始めたのだ。
 甘くシャロンの舌を吸ったり噛んだりしたと思えば、舌を擦り付けることを繰り返す。
 それだけでは飽き足らず、アイザックに舌の根を絡めるようにされると、不思議なことにお腹の奥の方がきゅんと痺れるような感覚に襲われて、シャロンは無意識に内腿をすり合わせる。
 歯列を割り、上顎を嬲るように舐めあげられ、溢れる唾液を口の中で混ぜられ、それをアイザックによって啜られるのだ。
 こんな恥ずかしいことなど生まれて一度でも経験したことなどないシャロンは、無意識にアイザックの服を掴んで助けを求めていた。
 
「あっ……。んぅ……、やぁ、はぁはぁ……。あっんん」

「ちゅっ。ん……。ちゅっ」

 思う存分シャロンの唇を味わったアイザックは、最後に彼女の小さな唇を甘く噛んで、強く吸ってからようやくシャロンを解放したのだ。
 
 生まれて初めてのキスがこんなにも欲情にまみれた深いものになるなど思っても見なかったシャロンは、肩で息をしながら慌ててごしごしと乱暴に唇を拭う。
 
 キスで赤くなっていた唇は、乱暴にシャロンの服の袖で拭われて、さらに赤みを帯びる。
 しかし、その行動はアイザックによってすぐに止められていた。
 アイザックは、欲情にまみれた瞳を熱に潤ませてシャロンを甘く見つめて言うのだ。
 
「シャロン……。すまない」
 
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

花言葉は「私のものになって」

岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。) そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。 その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。 美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。 青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです

ララ
恋愛
大好きな幼馴染で恋人のアレン。 彼は5年ほど前に神託によって勇者に選ばれた。 先日、ようやく魔王討伐を終えて帰ってきた。 帰還を祝うパーティーで見た彼は以前よりもさらにかっこよく、魅力的になっていた。 ずっと待ってた。 帰ってくるって言った言葉を信じて。 あの日のプロポーズを信じて。 でも帰ってきた彼からはなんの連絡もない。 それどころか街中勇者と王女の密やかな恋の話で大盛り上がり。 なんで‥‥どうして?

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。

山葵
恋愛
私の愛する旦那様。私は貴方と結婚して幸せでした。 姉は「協力するよ!」と言いながら友達や私の好きな人に近づき「彼、私の事を好きだって!私も話しているうちに好きになっちゃったかも♡」と言うのです。 そんな姉が離縁され実家に戻ってきました。

処理中です...