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第二話
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私の名前はファイ。
若いころに懐に入った金で余生を暮らす隠遁者だ。
寿命の残りをこの地で静かに暮らすべく、現在は庭いじりに精を出していた。
土を掘り、種を蒔き、水をやり、花を楽しむ。
髪を肌を血で汚すことはない、この生活を私は満喫していた。
喉の渇きを常に感じてはいたが、耐えられないほどの物ではなかったからな。
趣味に没頭していれば一時的ではあるが忘れられる程度の物だ。
そう、私は喉の渇きを誤魔化すために沢山の趣味を持った男だ。
体を鍛えることも、読書をすることも、家事も料理も庭いじりだって、趣味の範囲を超えるほどの領域に達してはいたがな。
「ああぁ、いい天気だ」
一人での暮らしが長い所為か、独り言つが多くなっていたが、私は気にせずに空を仰ぎ見た。
頭上に広がる青空に白い鳥が二羽、仲良さそうに飛んでいくのが見える。
二羽の鳥が見えなくなるまで見送った私は、今までに感じたことのない喉の渇きに首を傾げる。
いつものことだと唾を飲み込んだ私だったが、その間違いにすぐに気が付く。
体を動かしても、本を読んでも、刺繍をしても……。
喉の渇きは増す一方だった。
最終手段として、自作の睡眠薬を服用して無理やり眠った私は目が覚めた時に確信したのだ。
「生まれてしまったのか……。私の番……」
そう呟いた私はベッドの中で頭を抱えてしまう。
「ああ、どうして。あと二十五年……。もうすぐ寿命で死ねたというのに……」
喉に爪を立てた私は、これからのことを考えなければならないというのに……。
「番に会いたい……。喉が渇いた……。喰いたい……。会いたい……喰いつくしてしまいたい……っ!!」
だんだんと頭の中が見たことも無い番の血の味を想像することに埋め尽くされていくことに私は恐ろしくなっていくが、どうしてもその味を考えずにはいられなかった。
何度も何度も唾を飲み込む私は、頭を抱えた。
「喰いたい……喰いたい……喰いたい……喰いたい……喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい」
唇の端から涎がだらだらと零れるのも気に出来ないくらい、頭の中が血の味でいっぱいになる。
「喰いたい……喰いたい…………だめだ……、守らないと、私から、私の番を守らなくては……」
鈍る頭で必死に考えた答えは…………。
「番のために……私の番のために……私が死ななくては……」
出来もしないことだった。
バイパーの寿命は、何もしなければ百年。
きっちり百年。その時まで、バイパーは死ねない。
だから私は、自分の死を望んでもそれを叶えることは出来ない。
だが、出来ることはある。
ノイズ塗れの頭をフル回転させ、頭の中に蓄積させた知識を呼び起こす。
死に関する記述以外で私は希望を見出す。
「ふぅ……いん……。封印!! これだ! これしかない」
記憶の中にある封印に関する記述をかき回して、新しい封印魔術を構築させる。
ふら付く足でベッドに横たわり、ぎゅっと目を閉じる。
頭の中が真っ赤に染まっていたが、何とか封印魔術を発動させた。しかし、どうにも違和感があった。
だが、それをどうこうできる余裕がなかった私は、祈るしかなかった。
私が死ぬまであと二十五年ほど。それまで持てばいい話だと。
だが、その考えを悔いることになるなんて、思いもしなかったんだ。
それは、本当に瞬きの間の出来事だったように思う。
唇に触れる甘い感触に目を覚ました私は、目の前の光を認識した瞬間、後悔と喜びと申し訳なさと愛おしさで……、唾を飲み込み喉を鳴らしたのだった。
若いころに懐に入った金で余生を暮らす隠遁者だ。
寿命の残りをこの地で静かに暮らすべく、現在は庭いじりに精を出していた。
土を掘り、種を蒔き、水をやり、花を楽しむ。
髪を肌を血で汚すことはない、この生活を私は満喫していた。
喉の渇きを常に感じてはいたが、耐えられないほどの物ではなかったからな。
趣味に没頭していれば一時的ではあるが忘れられる程度の物だ。
そう、私は喉の渇きを誤魔化すために沢山の趣味を持った男だ。
体を鍛えることも、読書をすることも、家事も料理も庭いじりだって、趣味の範囲を超えるほどの領域に達してはいたがな。
「ああぁ、いい天気だ」
一人での暮らしが長い所為か、独り言つが多くなっていたが、私は気にせずに空を仰ぎ見た。
頭上に広がる青空に白い鳥が二羽、仲良さそうに飛んでいくのが見える。
二羽の鳥が見えなくなるまで見送った私は、今までに感じたことのない喉の渇きに首を傾げる。
いつものことだと唾を飲み込んだ私だったが、その間違いにすぐに気が付く。
体を動かしても、本を読んでも、刺繍をしても……。
喉の渇きは増す一方だった。
最終手段として、自作の睡眠薬を服用して無理やり眠った私は目が覚めた時に確信したのだ。
「生まれてしまったのか……。私の番……」
そう呟いた私はベッドの中で頭を抱えてしまう。
「ああ、どうして。あと二十五年……。もうすぐ寿命で死ねたというのに……」
喉に爪を立てた私は、これからのことを考えなければならないというのに……。
「番に会いたい……。喉が渇いた……。喰いたい……。会いたい……喰いつくしてしまいたい……っ!!」
だんだんと頭の中が見たことも無い番の血の味を想像することに埋め尽くされていくことに私は恐ろしくなっていくが、どうしてもその味を考えずにはいられなかった。
何度も何度も唾を飲み込む私は、頭を抱えた。
「喰いたい……喰いたい……喰いたい……喰いたい……喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい」
唇の端から涎がだらだらと零れるのも気に出来ないくらい、頭の中が血の味でいっぱいになる。
「喰いたい……喰いたい…………だめだ……、守らないと、私から、私の番を守らなくては……」
鈍る頭で必死に考えた答えは…………。
「番のために……私の番のために……私が死ななくては……」
出来もしないことだった。
バイパーの寿命は、何もしなければ百年。
きっちり百年。その時まで、バイパーは死ねない。
だから私は、自分の死を望んでもそれを叶えることは出来ない。
だが、出来ることはある。
ノイズ塗れの頭をフル回転させ、頭の中に蓄積させた知識を呼び起こす。
死に関する記述以外で私は希望を見出す。
「ふぅ……いん……。封印!! これだ! これしかない」
記憶の中にある封印に関する記述をかき回して、新しい封印魔術を構築させる。
ふら付く足でベッドに横たわり、ぎゅっと目を閉じる。
頭の中が真っ赤に染まっていたが、何とか封印魔術を発動させた。しかし、どうにも違和感があった。
だが、それをどうこうできる余裕がなかった私は、祈るしかなかった。
私が死ぬまであと二十五年ほど。それまで持てばいい話だと。
だが、その考えを悔いることになるなんて、思いもしなかったんだ。
それは、本当に瞬きの間の出来事だったように思う。
唇に触れる甘い感触に目を覚ました私は、目の前の光を認識した瞬間、後悔と喜びと申し訳なさと愛おしさで……、唾を飲み込み喉を鳴らしたのだった。
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