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最終話 幸せの在りか
その後ユーステスは、バルバロス王国の兵士や騎士たちを殺して回ったのだ。
そのため、兵力を失ったバルバロス王国は、いつ隣国に攻め滅ぼされてもおかしくない状況に追いやられていた。
しかし、不思議なことに隣国が攻め込んでくることはなかった。
結局、ユーステスと魔女と呼ばれる白髪の少女が王宮に攻めて来ることもなかった。
ジルトールは、日々ユーステスと魔女……、いやシエルの影に怯えて生きていた。
そんな中、国王はジルトールの廃嫡を真剣に考えていた。
ジルトールは、王太子の果たすべき役割も満足にこなせず、日に何度もお漏らしを繰り返したのだ。
そんな者を次期国王になど出来るはずもなかった。
しかし、ジルトールは、国王にとってたった一人の子供だったのだ。
王家の血を継ぐために、何としてでも子を生さなければならなかった国王は、焦って次々と貴族の未婚の令嬢を閨に呼んだのだ。
その結果、数十人の令嬢が同時期に子を孕んだのだった。
ジルトールは、子が出来たと国王が知った瞬間、即座に廃嫡された。
民衆には、心の病のため王位継承権をはく奪したと知らせが出された。
そんなジルトールは、王宮の地下深くに幽閉されることとなった。
しかし、小便だけではなく、糞も所かまわず漏らすような、元王子の世話をしたがる者など誰一人いなかった。
そのため、不衛生な地下の一室で最低限の世話のみで生きるジルトールの下半身は、日々のお漏らしの後始末もされず、糞尿でまみれた不衛生な姿で過ごすようになっていた。
そして、いつしか人々から忘れ去られたジルトールは、人知れず惨めに死んでいったのだ。
それを、遠くの地からこっそり覗き見していたシエルは、心底楽しそうに笑ったのだ。
「はぁ、今回のあいつは本当にしぶといかったわ。あんなになっても死ぬのにこんなに時間がかかるだなんて……。でも、今回も十分あいつを苦しめることが出来て私は満足だわ。ねぇ、ユーステス様もそう思うでしょ?」
そう言って、シエルは腕の中で眠る愛しい人に微笑みかけたのだ。
今回の世界でも、ユーステスを殺したジルトールを苦しめた上で死に追いやり、内乱の種を蒔くことに成功したのだ。
今はまだ生まれていない、王子たちが王位を争い、国が乱れる未来を想像したシエルは、心の底から楽しそうに笑ったのだ。
シエルは、自分の腕の中でピクリとも動かないユーステスの冷たい唇に唇を合わせて、一度目の世界と三度目の世界で奪った命をユーステスの体の中に流し込んだのだ。
すると、ユーステスは、薄らと目を開けた。
「ごめんなさい。なんだか疲れちゃった……。もう数えきれないほど生きてるユーステス様を探したけど、どうしても見つけられなかった……」
何も映さない虚ろな瞳のユーステスにシエルは、優しく微笑みかけた。
「ユーステス様。私、十分頑張りましたよね? これ以上は……。ねぇ、ユーステス様、この二人きりの空間で、永遠に私と幸せに暮らしましょう? いいですよね?」
いつからだろうか、シエルの心が完全に壊れたしまったのは。
だから、屍となった愛する人に疑似的な命を吹き込み、偽りの生を与えても、もう何も感じなくなってしまっていた。
大切に抱きしめているユーステスの体からは、既に魂は失われていた。
しかし、操り人形のようになってしまった愛しい人であっても、心が壊れてしまったシエルには、十分だった。
ただシエルの傍に居てくれるだけで、十分だったのだのだ。
『聖女の復讐~私、本当にいいのか確認しましたよね?こうなったのは全て、王太子殿下の自業自得ですよ?~』 おわり
そのため、兵力を失ったバルバロス王国は、いつ隣国に攻め滅ぼされてもおかしくない状況に追いやられていた。
しかし、不思議なことに隣国が攻め込んでくることはなかった。
結局、ユーステスと魔女と呼ばれる白髪の少女が王宮に攻めて来ることもなかった。
ジルトールは、日々ユーステスと魔女……、いやシエルの影に怯えて生きていた。
そんな中、国王はジルトールの廃嫡を真剣に考えていた。
ジルトールは、王太子の果たすべき役割も満足にこなせず、日に何度もお漏らしを繰り返したのだ。
そんな者を次期国王になど出来るはずもなかった。
しかし、ジルトールは、国王にとってたった一人の子供だったのだ。
王家の血を継ぐために、何としてでも子を生さなければならなかった国王は、焦って次々と貴族の未婚の令嬢を閨に呼んだのだ。
その結果、数十人の令嬢が同時期に子を孕んだのだった。
ジルトールは、子が出来たと国王が知った瞬間、即座に廃嫡された。
民衆には、心の病のため王位継承権をはく奪したと知らせが出された。
そんなジルトールは、王宮の地下深くに幽閉されることとなった。
しかし、小便だけではなく、糞も所かまわず漏らすような、元王子の世話をしたがる者など誰一人いなかった。
そのため、不衛生な地下の一室で最低限の世話のみで生きるジルトールの下半身は、日々のお漏らしの後始末もされず、糞尿でまみれた不衛生な姿で過ごすようになっていた。
そして、いつしか人々から忘れ去られたジルトールは、人知れず惨めに死んでいったのだ。
それを、遠くの地からこっそり覗き見していたシエルは、心底楽しそうに笑ったのだ。
「はぁ、今回のあいつは本当にしぶといかったわ。あんなになっても死ぬのにこんなに時間がかかるだなんて……。でも、今回も十分あいつを苦しめることが出来て私は満足だわ。ねぇ、ユーステス様もそう思うでしょ?」
そう言って、シエルは腕の中で眠る愛しい人に微笑みかけたのだ。
今回の世界でも、ユーステスを殺したジルトールを苦しめた上で死に追いやり、内乱の種を蒔くことに成功したのだ。
今はまだ生まれていない、王子たちが王位を争い、国が乱れる未来を想像したシエルは、心の底から楽しそうに笑ったのだ。
シエルは、自分の腕の中でピクリとも動かないユーステスの冷たい唇に唇を合わせて、一度目の世界と三度目の世界で奪った命をユーステスの体の中に流し込んだのだ。
すると、ユーステスは、薄らと目を開けた。
「ごめんなさい。なんだか疲れちゃった……。もう数えきれないほど生きてるユーステス様を探したけど、どうしても見つけられなかった……」
何も映さない虚ろな瞳のユーステスにシエルは、優しく微笑みかけた。
「ユーステス様。私、十分頑張りましたよね? これ以上は……。ねぇ、ユーステス様、この二人きりの空間で、永遠に私と幸せに暮らしましょう? いいですよね?」
いつからだろうか、シエルの心が完全に壊れたしまったのは。
だから、屍となった愛する人に疑似的な命を吹き込み、偽りの生を与えても、もう何も感じなくなってしまっていた。
大切に抱きしめているユーステスの体からは、既に魂は失われていた。
しかし、操り人形のようになってしまった愛しい人であっても、心が壊れてしまったシエルには、十分だった。
ただシエルの傍に居てくれるだけで、十分だったのだのだ。
『聖女の復讐~私、本当にいいのか確認しましたよね?こうなったのは全て、王太子殿下の自業自得ですよ?~』 おわり
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