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第2章【伊吹side】
しおりを挟む「えっと·····確かここを曲がって··········、あ!あった!あそこっ!!」
「え?まじ??」
優羽ちゃんが指差す先には、俺が小さい頃から良くしてもらっている近所の田村ばあちゃんの家だった。
じいちゃんの死後もこの街が好きだからと言い残ったばあちゃんは今は一人暮らし。
お節介な俺は用もないのに何かとよく顔を出している。
「·····優羽ちゃん!?それに伊吹!」
丁度外に出てて花に水をやっていたばあちゃんはすぐに俺たちの存在に気付いた。
「あらあら、よくこんな田舎まで··········、すっかり大きくなって·····、こんなに綺麗になっちゃって·····ますます優香ちゃんに似てきたねぇ」
·····優香?
「もーおばあちゃんったら!お姉ちゃんに比べたら私なんか·····、あっ!それより久しぶりに来たしおじいちゃんにお線香あげていい?」
困ったように笑う優羽ちゃん。
優羽ちゃんはすぐ感情が顔に出るタイプ。
「もちろん!·····て、優羽ちゃんも伊吹もびしょ濡れじゃない!先にお風呂入っちゃいなさい!」
「いや、俺は·····」
「今更遠慮なんてしないで!今日から優羽ちゃんが来るってもんだから張り切ってご飯作りすぎちゃったのよ~」
「じゃあ優羽ちゃん先にお風呂入ってきて?」
「あ、うん。ありがとう」
そう言って優羽ちゃんは家の中に入って行った。
「·····で、なんで2人とも濡れてるの?」
いつも笑顔なおばあちゃんが真顔でそう聞いてきた。
「優羽ちゃんがずっと海を眺めてて·····そっから成り行きで海で遊んでたの!ごめんね遅くなっちゃって」
「そ、そう·····それなら良いんだけど·····」
こんなおばあちゃんは初めてだ。
「伊吹、優羽ちゃんのこと一つお願いできないかしら」
「え、お願いって·····」
「あの子、姉が死んだのが相当ショックだったのか東京に居た時死のうとしたらしいのよ·····」
「え·····」
まさか、ホントに死のうとしてた?
「その時はたまたま救助が早く来てくれて助かったみたいなんだけど·····、姉と暮らした東京じゃあ思い出がありすぎて頭の中整理できないだろうって事になって今日から私の家で優羽ちゃん預かることになったのよ」
俺は今日あった事が悟られないようにニッコリ笑って
「もちろん!優羽ちゃん可愛いし良いよ!」
「まぁ伊吹ったら·····!優羽ちゃん伊吹と同い年だから宜しく頼むわね」
優羽ちゃん俺と同い年なのか·····それにしては大人びている。
「さっ、風邪引くし家の中に入りましょっ!」
そう言っておばあちゃんは自分の着ていた俺にカーディガンを被せてくれた。
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