探偵注文所‐アラカルト‐

八雲 銀次郎

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調査ファイル1:素行調査

#3

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 私はカウンター席に座り、肩に掛けていたバッグを隣の席に下ろした。その時、中に入っていた私用のスマホに通知が入っていることに気が付いた。
 スマホを取り出し、その通知の内容を確認した。珍しいことにも、秋山から
 『頼みたいことがある。これから会えないか』
 と、メッセージが入っていた。メッセージが入った時間は、今から1時間ほど前…。普段の彼なら、寝ている時間…。それなのに、メッセージしかも、私用の方のスマホにメッセージを送ってくるとなると、何かあったのでは…。
 「“これから会えないか”、一体、何の要件ですかね…。しかも、私用のスマホに…。」
 私が推測していると、宮間麦茶を置くついでに、が私のスマホを覗き見ていた。
 「覗かないで下さい…。といっても、何なんでしょうかね…。」
 「ひょっとして、デートの誘いとかですかね…。」
 さらに、後ろから現れた亮太にそう囁かれた。
 「リョータ君まで…女性の私物覗き込むなんて、あまり関心しないわよ…。」
 彼は紳士的な男だと思っていたが、少しがっかりだ…。
 「すみません。職業と役割柄、盗み見るのは癖になってましてね…。ミヤマさん、俺にも、何か冷たい物下さい。」
 そういうと、彼は私の隣に座り、自分のスマホを触りだした。
 「デートねぇ…。」
 デートと言われて、舞い上がるほどの年齢でもなくなった。とはいえ、秋山と、となると、気にしないわけはない。
 「電話して聞いてみよ。」
 「相変わらず、サバサバしてますね。」
 宮間がそう言いながら、亮太にも麦茶を出し、事務作業に戻った。


 次の日の早朝、本格的な調査が始まった。
 『こちら、クマカシチーム。対象の人物の自宅の前に到着しました。浅石京子、未だ外出する気配はなさそうです。そっちはどう?』
 イヤホン越しに、柏木の声が聞こえてきた。
 「こちらタケミカチーム。今リューさんの自宅前。こちらも、未だ動きなし。班長、何かあったら報告いたします。」
 一緒に張り込んでいた美歌がそう答えた。
 『了解。リンさんそっちは?』
 『通信機器のチャンネル確立いたしました。私たち5人以外は、聞くことも話すこともできません。
 それと、お二人のGPSの位置情報問題なし。二人ともそれぞれの自宅にいることは、間違いなしです。
 それにしても、珍しいこともあるんですね、ミカちゃんが、自分から現場に出るなって。』
 「たまには、外の空気でも吸うのも悪くないと思って…。」
 引きこもりの発言に近い気がするが黙っていることにした。
 『本当はもっと、別の理由があるんじゃない?』
 熊谷の声だ。
 「別の理由って?」
 俺は、直接美歌に聞いた。
 「他の理由なんてありません。それより集中してください。任務中ですよ。」
 後輩に、しかも調査任務中に集中しろと言われたのは、初めてだ…。
 「お、おう…。すまんな…。」
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