5 / 72
顔無人形
#2
しおりを挟む
二本目の橋の丁度中間地点の辺りで、案の定、ぽつぽつと雨が降り始めた。急いで橋を渡り切り、直ぐ近くの林状になっている小道に逸れた。この道でも、目的地の運動公園まで行けるのだが、少し遠回りになってしまうが、生い茂る木々が傘の様になっており、小雨程度なら、濡れずに済む。
しかし、雨の勢いは増し、バケツを引っ繰り返した様な、土砂降りになってしまった。
流石に、まずいと思い丁度近くにあった、神社で雨宿りをする事にした。
社の軒先を間借りし、汗拭き用に持ってきていたタオルで服や髪をある程度拭き、あとは自然乾燥に任せた。
改めて、この神社に目を向けた。
社自体はしばらく手入れをされていないのか、所々に蜘蛛の巣が張っていたり、枯れ枝が落ちていたりと、少々荒れていた。
境内には、社務所の様な建物もなく、我々以外の人影すらない。
あるのは、苔だらけの狛犬一対と、石灯篭が一つ。それと、少し離れたところに、庚申塔の様な物が、三つ並べられている。
薄気味悪い場所だが、田舎の神社は、大体こんなものだ。
私は、賽銭箱に10円を一枚放り投げた。雨が止むまでの間、お世話になるのだから、宿賃代わりのつもりだった。
社の階段に座り、ウトウトしていた時だった。社の周りを見回っていたシンが、私たちを呼ぶ声がした。
何事かと思い、軒伝いに彼が居る、社の裏に向かった。裏の方は少し狭くなっており、人ひとり通るのがやっとのくらいだ。
その少し先のくぼんだ叢に、小さな古民家の様な建物が建っている。
古民家の周りは蔦や草木で覆われ一目見ただけでは、建物と認識するのは困難だ。
だが、不自然だった。
外壁は蔦で覆われ、柱や壁は所々朽ちていることから、ここもこの神社と同じで暫く手入れをされていないことが分かる。
それなのに、その建物に向かう一本の道があった。
しかも、ただの道ではない。土の道だった。特別、飛び石があるわけでも、砂利が敷き詰められているわけでもない。
そこだけ、草が生えておらず、建物に向かって伸びている。まるで、毎日そこを通って、あの建物に出入りしている人が居る。そんな感じだった。
私たちは、意を決し、その建物に向かって、歩を進めた。
シンを先頭に、ナナ、アヤ、私の順にその道を通った。境内から5メートルほどの距離だが、少し長く感じた。
道の先には、出入り口用の硝子戸があった。ガラスも所々割れていて、触るのが怖いくらいだった。
しかし、そこにも違和感を覚えさせられた。割れた筈の硝子は、外側に散らばっていた。
しかし、雨の勢いは増し、バケツを引っ繰り返した様な、土砂降りになってしまった。
流石に、まずいと思い丁度近くにあった、神社で雨宿りをする事にした。
社の軒先を間借りし、汗拭き用に持ってきていたタオルで服や髪をある程度拭き、あとは自然乾燥に任せた。
改めて、この神社に目を向けた。
社自体はしばらく手入れをされていないのか、所々に蜘蛛の巣が張っていたり、枯れ枝が落ちていたりと、少々荒れていた。
境内には、社務所の様な建物もなく、我々以外の人影すらない。
あるのは、苔だらけの狛犬一対と、石灯篭が一つ。それと、少し離れたところに、庚申塔の様な物が、三つ並べられている。
薄気味悪い場所だが、田舎の神社は、大体こんなものだ。
私は、賽銭箱に10円を一枚放り投げた。雨が止むまでの間、お世話になるのだから、宿賃代わりのつもりだった。
社の階段に座り、ウトウトしていた時だった。社の周りを見回っていたシンが、私たちを呼ぶ声がした。
何事かと思い、軒伝いに彼が居る、社の裏に向かった。裏の方は少し狭くなっており、人ひとり通るのがやっとのくらいだ。
その少し先のくぼんだ叢に、小さな古民家の様な建物が建っている。
古民家の周りは蔦や草木で覆われ一目見ただけでは、建物と認識するのは困難だ。
だが、不自然だった。
外壁は蔦で覆われ、柱や壁は所々朽ちていることから、ここもこの神社と同じで暫く手入れをされていないことが分かる。
それなのに、その建物に向かう一本の道があった。
しかも、ただの道ではない。土の道だった。特別、飛び石があるわけでも、砂利が敷き詰められているわけでもない。
そこだけ、草が生えておらず、建物に向かって伸びている。まるで、毎日そこを通って、あの建物に出入りしている人が居る。そんな感じだった。
私たちは、意を決し、その建物に向かって、歩を進めた。
シンを先頭に、ナナ、アヤ、私の順にその道を通った。境内から5メートルほどの距離だが、少し長く感じた。
道の先には、出入り口用の硝子戸があった。ガラスも所々割れていて、触るのが怖いくらいだった。
しかし、そこにも違和感を覚えさせられた。割れた筈の硝子は、外側に散らばっていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる