探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルⅤ:探し物

#11

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 相沢が戻って来たのは、それから間もなくの頃だった。
 どうやら、盗聴器の基盤を見た時点で、犯人が二人いることに気が付いたらしい。そのうちの一人が、隣の部屋に居たことも…。
 ただ、確証がなかったらしい。調べ上げるまでは、予測では私を動かせない…。だから、亮太と岡本をこちらに差し向けた。そしたら案の定。
 更に、もしもの時に備え、盗聴器を元に戻した時に、細工を施したらしい。
 川村が悲鳴を上げたのは、それが作動し、大音量の不快音が発せられたから。

 二人は、一年程前に東京で知り合った。お互いの弱みを握り、二人で協力して、今回の様な犯行を起こしたらしい。
 盗聴や観察は川村が。機材や手紙の作成、偽装工作などは、杉本が行っていた。
 また、杉本は大麻の所持でも立件されるらしい。

 「クドーさんも大変ですね…。今日、お休みだったんでしょ?」
 「電話してきたのは、柏木さんじゃないですか!折角今日は何事もなく、終われそうだったのに…。」
 悔しそうに覆面パトカーの屋根をバンバンと叩いた。
 本当に申し訳なく思っている…。
 「要するに暇だったんじゃないですか。」
 「班長…本音と建前、逆です。」
 おっと、気が付かなかった。私の心の声を聞き取るとは、亮太、腕を上げたな?
 「まぁ、あとは所轄に任せて、私は帰るんですけど…。」
 「そう言えば、クドーさんって、休日何やってるんですか?」
 便乗してきた岡本が質問してきた。
 「それは…。撮り貯めたドラマ見たり、都合が合えば友だちと出かけたり…。
 何で私が取り調べされてるんですか!」
 何故か不機嫌そうなので、このくらいで辞めてやろう…。
 『もう帰ります』とだけ言い残し、パトカーを走らせた。

 現場検証はもう少し続きそうだが、私たちはお役御免らしいので、事務所に戻ることにした。
 痛めた足ではアクセルを踏むことは難しく、亮太に運転を頼み、亮太のバイクは、後ほど、宮間が回収してくれる事になった。
 「ごめんね、ドジばっかで…。
 「それだけ身体張ってるって事ですよ…。」
 なるべく平常心を装っていたが、一度覚悟を決めると、今でも心臓がバクバクと胸を打っていた。
 窓を開け、昼の暑さが残る空気を吸っていた。
 「下手くそですね…。」
 「うん…。」
 真っ暗で分からないが、サイドミラー越しに、亮太と目が合った気がした。
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