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ファイルⅥ:詐欺捜査
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人間に限らず、社会には当然信頼が大事だ。
仕事をするにしても、お金を借りるにしても…。
そんな信頼は、築いていくのは大変だが、失う時は一瞬だ。確定的な証拠があるため、否定すればするほど、黙秘したらしたで、誰も味方にはなってくれなかった。
結局私は、技術職でも事務職でもない閑職、所謂『窓際』に飛ばされた。
事件内容的に、懲戒解雇になるレベルのものだったが、当時の私は、精神的にも相当参っており、クビにならないだけ、有難いと思った。
そこの部署には、私の父親と同じくらいの中年の男性が一人で働いていた。名前は宮城学。一応、私の上司となる人だ。
やることと言えば、文具や消耗品の発注くらい。パソコンも社内共用のデスクトップが一台だけしかなく、職場に居る大半の時間は、『暇』に割り当てられた。
ネットなんかでは、スキル磨きや資格勉強など、『やれることをやってみる』などと謡っているが、この手の業界で必要な資格は、専門学校時代に、粗方取得していた。
つい先日だって、上級資格を取得したばかりだ。つまり、宝の持ち腐れ状態だった。
宮城さんとは、事務的な会話が何度かある程度で、特別何か話すわけでない。そんな彼も、一日中新聞を読んでいるか、競馬中継を聞いているかのどちらかだった。
そのため、私の一日は、読書と時事ニュースを見るだけだった。
それから数か月が経ち、閑職の仕事にも慣れ始めた頃、事件はまた起きた。
日付は十二月十四日。年末と言う事もあり、世間は忙しなく動いていた。そんな最中、私たちも、珍しく忙しく、部屋の掃除や、資料の整理を任されていた。
昼が近づいた頃、異変に気が付いたのは、上司だった。朝来た時に、共有パソコンの更新を掛けていたのだが、一向に終わる気配がない。
大型バージョンアップだと、そんな事もなくはないのだが、今回は、そう言う訳でもない。
不思議に思い、マウスを動かしてみるが、反応がない。再起動コマンドを押してみたが、効果がまるでない…。
こうなると強制終了しかなくなるのだが、これは共有パソコン。それをする前に、一度技術部に連絡しなくてはいけない。
しかし、何度電話を掛けても繋がらない。
仕方なく、暫く時間を置く事にし、引き続き各々の仕事に没頭しようとしたその時、滅多に開かない、扉が勢いよく開き、技術部の元同僚二人がズカズカと入ってきた。
呆然としている私たちを他所に、共有パソコンを弄り始めた。
「いつからこんな状況だった。」
元同僚が、焦った様に訪ねて来たので、私は取り敢えず、状況を説明した。
「朝に更新かけてから、ずっとそんな感じで、何度か貴方たちに電話したんですが…。何かあったんですか?」
「RAMスクレーパーだよ!しかも、時間をかけて、自己増殖する一番質が悪いやつ!」
仕事をするにしても、お金を借りるにしても…。
そんな信頼は、築いていくのは大変だが、失う時は一瞬だ。確定的な証拠があるため、否定すればするほど、黙秘したらしたで、誰も味方にはなってくれなかった。
結局私は、技術職でも事務職でもない閑職、所謂『窓際』に飛ばされた。
事件内容的に、懲戒解雇になるレベルのものだったが、当時の私は、精神的にも相当参っており、クビにならないだけ、有難いと思った。
そこの部署には、私の父親と同じくらいの中年の男性が一人で働いていた。名前は宮城学。一応、私の上司となる人だ。
やることと言えば、文具や消耗品の発注くらい。パソコンも社内共用のデスクトップが一台だけしかなく、職場に居る大半の時間は、『暇』に割り当てられた。
ネットなんかでは、スキル磨きや資格勉強など、『やれることをやってみる』などと謡っているが、この手の業界で必要な資格は、専門学校時代に、粗方取得していた。
つい先日だって、上級資格を取得したばかりだ。つまり、宝の持ち腐れ状態だった。
宮城さんとは、事務的な会話が何度かある程度で、特別何か話すわけでない。そんな彼も、一日中新聞を読んでいるか、競馬中継を聞いているかのどちらかだった。
そのため、私の一日は、読書と時事ニュースを見るだけだった。
それから数か月が経ち、閑職の仕事にも慣れ始めた頃、事件はまた起きた。
日付は十二月十四日。年末と言う事もあり、世間は忙しなく動いていた。そんな最中、私たちも、珍しく忙しく、部屋の掃除や、資料の整理を任されていた。
昼が近づいた頃、異変に気が付いたのは、上司だった。朝来た時に、共有パソコンの更新を掛けていたのだが、一向に終わる気配がない。
大型バージョンアップだと、そんな事もなくはないのだが、今回は、そう言う訳でもない。
不思議に思い、マウスを動かしてみるが、反応がない。再起動コマンドを押してみたが、効果がまるでない…。
こうなると強制終了しかなくなるのだが、これは共有パソコン。それをする前に、一度技術部に連絡しなくてはいけない。
しかし、何度電話を掛けても繋がらない。
仕方なく、暫く時間を置く事にし、引き続き各々の仕事に没頭しようとしたその時、滅多に開かない、扉が勢いよく開き、技術部の元同僚二人がズカズカと入ってきた。
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