探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルⅧ:二つの事件

#11

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 画面に映し出されたのは、本当に今、目の前にしている、コンビニの店内の様子らしかった。
 手前には、商品棚があり、その奥には飲み物が置いてある、透明な冷蔵庫が見える。
 更に、右の窓際には雑誌や漫画本などが、並べられている。
 「位置からして、レジ横とかですかね?」
 「その様ですね…。もう二か所ある様ですので、そちらも見ましょう。」
 大竹さんが、パソコンのキーボードを力強く押すと、画面が切り替わった。
 今度は、店内を少し見下ろした様な、映像だった。
 位置が、どこなのかは、窓の位置で何となく分かる。これは…。
 「お弁当とか置いてある、壁際の棚ですかね…。」
 「その様ですね。ただ、肝心の当事者たちが、見えませんね…。」
 土屋さんが置いてくれた、二つのカメラは、確かに店全体を、見る事はできるが、当然死角は存在する。
 商品棚の裏の方や、レジカウンターの中、バックヤード…。
 どこに誰が、何があるのかまでは、完全には、把握できない…。
 「これ以外にないんですか?」
 そう訊ねようとした時だった。
 「工藤!何をコソコソとやってる!」
 梅木警部の声が、私の背後から飛んできた。
 犯人や報道陣等を刺激しない様、怒鳴り声では無かったが、中々の声量がある。
 私は思わず、肩を竦ませ、それに上ずった返事をしてしまった。
 「え、えっと~。」
 「既に事件は起きてるんだぞ!いつまでも“三課”のままでは、この先思いやられるぞ!」
 私が返答に困っていると、日下部さんが、私と梅木警部の間を遮った。
 「あんたが、この現場で一番偉い人か?」
 「だったら何だ?上はともかく、俺はあたらの事は信用してないからな。」
 梅木警部は睨みを利かせ、そう答えた。
 「あんたに、話したい人物がいる。」
 彼はそう言うと、スマホをまるで印籠の様に掲げ、ハンズフリーモードにした。
 『皆さん、お疲れ様。』
 電話の向こうからは、物腰の柔らかそうな、男性の声が聞こえた。
 「誰だ?」
 梅木警部が、怪訝そうな声で、問いただした。
 『名乗りが遅れたね、私は“警察庁警視監”、笹野浩一。以後よろしく。』
 それを聞いた瞬間、梅木警部始め、その場に居た刑事たちが、皆一斉にスマホの画面に向かって敬礼した。
 私も、何が何だか分からなかったが、兎に角敬礼した。
 よく刑事物のドラマなどでは、警視庁と警察庁は、犬猿の仲の様な描かれ方をされているが、実際は、そんなことはない…。
 何せ、全警察を纏め上げているのが警察庁なのだから…。
 「さ、笹野次長!お疲れ様です!」
 『あぁ、お疲れ。今回は、時間がないんだ、彼等のやり方に、合わせて欲しい。』
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