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ファイルⅨ:人質事件
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人質を取ることに、意味がある。京子さんの言葉を、思い浮かべ、私なりに考えていた。
たとえ、深い意味があろうと、人質を取ることは、犯罪であることには、変わりない…。
人に危害を加えることが、目的ならば、こんなに大事にする必要はない…。
だが三嶋は、人質事件という、かなり凶悪な事件を起こした。初犯とはいえ、実刑は免れない…。
ますます、三嶋の目的が分からなくなってきた…。
私が悩んでいると、黒色のワンボックスカーが、規制線の中に侵入し、六輪車の後方に駐車した。
「あれ?マキさん?」
運転席から降りてきたのは、白衣を着た、ショートヘアの女性だった。ただ、異様だったのは、手に持っていた、煙管だった。
私が、非喫煙者だから、というわけではなく、ただ単純に、物珍しかった。
実父どころか、祖父が使っている所も、見たことが無い…。
「秋山君が、今手が離せないらしいから、私が代わりに来たの。」
駆け寄って行った、京子さんに、向かってそう言った。
私も彼女に近づこうとした、その時だった。眉間を貫く様な、匂いが鼻に飛び込んできた。
ミントの様なその匂いは、やがて眼にまで届き、瞬きと、涙の量が一段と増えた。
そのお陰か、今まであった、緊張と疲労からくる、眠気が、完全に吹き飛んだ。
「あら、貴女には、ちょっとキツかったかしら?」
煙管の女性が、私の顔を覗き、そう言ってきた。
「あ、あの、何なんですか?この匂い…。」
「これは、エッセンシャルオイルの、“ウィンターグリーン”の匂いよ。」
京子さんが答えた。
「エッセンシャルオイル?」
今度は、煙管の女性が、語りだした。
「いわゆる、アロマオイルよ?ウィンターグリーンっていうのは、湿布の匂いの主成分に使われてる物。どう?眼が覚めたでしょ?」
湿布の匂い…。そう言われると、確かに湿布だ。眼にまで届く、この匂いは、眠気まで、覚ましてくれる。それは良いのだが…。
「その匂い…結構キツいです…。」
私のその発言に、煙管の女性が、クスクスと笑いだした。
「私の作るアロマオイルは、疲れてる人に一番効くようにしてあるからね。ちゃんと、夜は寝た方が、自分の為よ?」
彼女は、そう言うと、持っていた、クリアファイルを、京子さんに手渡した。
「東京都内を中心に、銃火器の密輸を行ってる、組織やマフィア系のグループ、ピックアップしてある。後は、そっちに任せて良い?これから、楓ちゃんの、お守りしに行かなきゃならないから。」
更に、私の方に顔を向けた。
「榎本真紀。後は、ウチの班長から、色々聞いてね?」
そう言い残し、足早に車にもどって行った。
たとえ、深い意味があろうと、人質を取ることは、犯罪であることには、変わりない…。
人に危害を加えることが、目的ならば、こんなに大事にする必要はない…。
だが三嶋は、人質事件という、かなり凶悪な事件を起こした。初犯とはいえ、実刑は免れない…。
ますます、三嶋の目的が分からなくなってきた…。
私が悩んでいると、黒色のワンボックスカーが、規制線の中に侵入し、六輪車の後方に駐車した。
「あれ?マキさん?」
運転席から降りてきたのは、白衣を着た、ショートヘアの女性だった。ただ、異様だったのは、手に持っていた、煙管だった。
私が、非喫煙者だから、というわけではなく、ただ単純に、物珍しかった。
実父どころか、祖父が使っている所も、見たことが無い…。
「秋山君が、今手が離せないらしいから、私が代わりに来たの。」
駆け寄って行った、京子さんに、向かってそう言った。
私も彼女に近づこうとした、その時だった。眉間を貫く様な、匂いが鼻に飛び込んできた。
ミントの様なその匂いは、やがて眼にまで届き、瞬きと、涙の量が一段と増えた。
そのお陰か、今まであった、緊張と疲労からくる、眠気が、完全に吹き飛んだ。
「あら、貴女には、ちょっとキツかったかしら?」
煙管の女性が、私の顔を覗き、そう言ってきた。
「あ、あの、何なんですか?この匂い…。」
「これは、エッセンシャルオイルの、“ウィンターグリーン”の匂いよ。」
京子さんが答えた。
「エッセンシャルオイル?」
今度は、煙管の女性が、語りだした。
「いわゆる、アロマオイルよ?ウィンターグリーンっていうのは、湿布の匂いの主成分に使われてる物。どう?眼が覚めたでしょ?」
湿布の匂い…。そう言われると、確かに湿布だ。眼にまで届く、この匂いは、眠気まで、覚ましてくれる。それは良いのだが…。
「その匂い…結構キツいです…。」
私のその発言に、煙管の女性が、クスクスと笑いだした。
「私の作るアロマオイルは、疲れてる人に一番効くようにしてあるからね。ちゃんと、夜は寝た方が、自分の為よ?」
彼女は、そう言うと、持っていた、クリアファイルを、京子さんに手渡した。
「東京都内を中心に、銃火器の密輸を行ってる、組織やマフィア系のグループ、ピックアップしてある。後は、そっちに任せて良い?これから、楓ちゃんの、お守りしに行かなきゃならないから。」
更に、私の方に顔を向けた。
「榎本真紀。後は、ウチの班長から、色々聞いてね?」
そう言い残し、足早に車にもどって行った。
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