探偵注文所

八雲 銀次郎

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番外編:裏

#1

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 これは、立て籠もり事件が、発生する、少し前の話…。


夜中だというのに、昼に熱せられた、都会の空気は、なかなか冷えず、寝苦しい夜になってしまった。
 流石の私も、この暑さでは、寝ている場合ではなくなり、汗だく状態で、身体を起こした。
 何とも気持ちが悪い目覚めだ…。私は、水か麦茶でもと思い、冷蔵庫を開けた。だが、入っている物は、少量の天然水が入った、ペットボトルと、卵くらいだった。
 「私って、こんなに貧乏なの…。」
 部屋の中には、私一人だというのに、思わず、そう嘆いてしまった。実際、給料自体は、悪くはない。寧ろ、同年代の人達に比べれば、多めに貰っているほうだと思う。だが、私の“ズボラ”という、貧乏神の所為で、ひもじい状況に、陥る事が、何度かある…。
 天然水を、喉を鳴らし、飲み切り、空になったペットボトルを、ごみ箱に、放り投げた。
 全然足りない…。眠っている間に流してしまった、汗の分を、全然補充できていない…。水道水だと、体質的に、お腹を壊してしまうから、なるべく、避けている。
 「コンビニ、行ってくるか…。」
 声には出していないがな、そう呟いた…。
 
 パーカーを羽織り、外に出た。熱帯夜とは言え、吹き付ける夜風は、流石に肌寒かった。
 幾ら都会といえで、夜中の3時を回る頃には、人通りなんてものは、無かった。私は、パーカーのポケットから、愛用のカプセルが搭載されている、紙煙草とライターを取り出し、火を着けた。
 
 “また、そんなもの吸って…。未成年なんだから、止めなって。”
 
 最近は、煙管が殆どになってしまったが、今でもこうして、市販されている紙煙草も、吸っている。
 何が良いのかと言われれば、答えに困るが、私にとっては、煙草や煙管が無いという、選択肢は、吸い始めたときから、無かった。
 
 二度目の煙を、吐いた時、路地の方から、人影が、飛び出てきた。
 街灯の灯りが、その人影の顔を照らした時、見覚えがあった。
 「あら?相沢君?」
 「ん?なんだ、榎本か…。」
 眠そうな、表情と声で、彼は、そう、応えた。
 住んでいる場所が、かなり近所の為、彼とは、こうして、たま~に、コンビニに出かけると、鉢合わせることがある。だが、夜にばったり出会うなど、かなり珍しい…。といっても、私自身、夜中にコンビニに行くことなど、まずないのだが…。
 「何?あんたも、眠れないの?」
 「俺は、仕事だ…。この間、日下部の奴に、システム半壊させられたからな…。それの普及で、大変なんだよ…。お前は……ズボラが祟ったか…。」
 少し嘲笑ったように、そう言った。
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