107 / 309
10章 争い
1 組分
しおりを挟む
13時になり、漸くれとろのテントに戻ることが出来た。彩の作った『和プリン』は一躍人気になり、若者の客足が復活した。
れとろの方にも、何人か助っ人として、他の店から応援に来てくれていた。
そのお陰もあって、こちらの客足も回復している様だった。
私と彩も、元の立ち位置に戻り、仕事を再開した。
それから暫く経った頃、今井さんが結構な急ぎ足でテントに戻って来た。何やら、冊子の様な物を持っている。
「決まったよ、四組対抗戦のチーム分け。」
「今年は何組?」
「白だって。」
その様な会話をしている脇で、私含め、初参加の四人は、同時に顔を見合わせた。
「組って何の話?」
四人の沈黙を破ったのは、寧々だった。
「今ここに出店している百店舗を4等分して、運動会するの。」
今井さんや他の客等の話では、それぞれの種目で獲得した点数の合計分をその組に所属する店舗に加算される。
共通のルールとしては、種目数は全部で8つ。
同じ人が複数の種目に出る事は不可。
参加者は組内で話し合って決める事。
得点の振り分けは、1位30点。2位20点。3位10点。4位5点。といった具合で、必ず点数は入るらしい。
「屋台の人たちは、店を空ける訳には行かないから、代表者一人来る感じ。だから、実質、大型店舗に勝敗は委ねられてる。」
「種目は、腕相撲。ビーチバレー。ビーチフラッグ。大きいオセロ。大きい神経衰弱。料理対決。謎解き。全長5キロのトライアスロン。」
「大半の種目は海に関係ないのでは?」と喉の奥まで出かけたが、何とか堪えられた。
私の運動神経は、並み程度なので、残念ながら役に立てそうにないと思ったが、そうでもなさそうだ。
多分、こういった人の為に、運営側が、色々考慮してくれたのだろう…。
「白組って、私たちの他にどこが、振分けられたんですか?」
今井さんが広げたパンフレットを覗き込むと、白組に『公清堂』の文字が書かれている。
どうやら、大型店舗は分かりやすい様に、太文字で記入されているらしい。
「清水さんの所と同じですね。」
「あらほんま。何かと縁があるんやね…。」
「はい、また一緒に…え?」
この数時間で、聞きなれたとは言え、危うくスルーする所だった。
「し、清水さん!まだ何か?」
「琥珀糖のお返しに思いましてな?」
上品にクスクスと笑い、持っていた風呂敷包みを近くのテーブルに置いた。
「甘王と違い、うちらのは生もんさかいに、お早めにな?」
風呂敷を広げると、中には奇麗な箱に入ったどら焼きと栗羊羹だった。
れとろの方にも、何人か助っ人として、他の店から応援に来てくれていた。
そのお陰もあって、こちらの客足も回復している様だった。
私と彩も、元の立ち位置に戻り、仕事を再開した。
それから暫く経った頃、今井さんが結構な急ぎ足でテントに戻って来た。何やら、冊子の様な物を持っている。
「決まったよ、四組対抗戦のチーム分け。」
「今年は何組?」
「白だって。」
その様な会話をしている脇で、私含め、初参加の四人は、同時に顔を見合わせた。
「組って何の話?」
四人の沈黙を破ったのは、寧々だった。
「今ここに出店している百店舗を4等分して、運動会するの。」
今井さんや他の客等の話では、それぞれの種目で獲得した点数の合計分をその組に所属する店舗に加算される。
共通のルールとしては、種目数は全部で8つ。
同じ人が複数の種目に出る事は不可。
参加者は組内で話し合って決める事。
得点の振り分けは、1位30点。2位20点。3位10点。4位5点。といった具合で、必ず点数は入るらしい。
「屋台の人たちは、店を空ける訳には行かないから、代表者一人来る感じ。だから、実質、大型店舗に勝敗は委ねられてる。」
「種目は、腕相撲。ビーチバレー。ビーチフラッグ。大きいオセロ。大きい神経衰弱。料理対決。謎解き。全長5キロのトライアスロン。」
「大半の種目は海に関係ないのでは?」と喉の奥まで出かけたが、何とか堪えられた。
私の運動神経は、並み程度なので、残念ながら役に立てそうにないと思ったが、そうでもなさそうだ。
多分、こういった人の為に、運営側が、色々考慮してくれたのだろう…。
「白組って、私たちの他にどこが、振分けられたんですか?」
今井さんが広げたパンフレットを覗き込むと、白組に『公清堂』の文字が書かれている。
どうやら、大型店舗は分かりやすい様に、太文字で記入されているらしい。
「清水さんの所と同じですね。」
「あらほんま。何かと縁があるんやね…。」
「はい、また一緒に…え?」
この数時間で、聞きなれたとは言え、危うくスルーする所だった。
「し、清水さん!まだ何か?」
「琥珀糖のお返しに思いましてな?」
上品にクスクスと笑い、持っていた風呂敷包みを近くのテーブルに置いた。
「甘王と違い、うちらのは生もんさかいに、お早めにな?」
風呂敷を広げると、中には奇麗な箱に入ったどら焼きと栗羊羹だった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる