209 / 309
14章:四人の約束
#1-1 出発
しおりを挟む
現在の時刻は、10時半。寧々たちと待ち合わせたのは、11時。時間までは、たっぷりとあるのだが、一足先に、駅ビル内をぶらぶらすることにした。
待つのは、嫌いではない。のんびりと、誰にも邪魔されない、こういう時間は、寧ろ、好きだったりする。書店で、面白そうな、小説を探したり、普段あまり行かない、チェーン店の喫茶店に行ったりするのも、悪くはない。
今回も、特に何か目当ての物がるわけでもなかったが、雑貨屋に立ち寄った。
最近の流行の物や、日用的にも使えそうなグッズなど、様々な小物が、商品棚に並んでいる。
その中でも、キャラクター物の、雑貨もあった。その中の一つを手に取り、眺めた。猫のぬいぐるみの様な、パスケースだ。こういうの、今井さんが、好きそうだと、思い、棚に戻した、時だった。
「あれ?」
聞き慣れた男性の声が、聞こえた。私は、その声の方に、視線を送った。
「あ、やっぱりそうだ。」
そこには、この雑貨屋さんの、風景には、余りにも似つかわしくない、和装を身にまとった、彰さんだった。
「彰さん!どうして、こんな所に?」
「フツーのマグカップが欲しくてね…。」
華宵園には、勿論マグカップも置いてあるだろう。だが、それは、全てアンティーク品で、かなりの値段が付けられていたりする。
だから、私のような、学生には、簡単に、“買おう”とは、ならない。
その点、雑貨屋に置いてある、食器類は、大体、千円前後。マグカップくらいなら、数百円で買えるだろう…。
「日用的に使うなら、安い方が良いだろうし、“飲み物”以外の使い方もできそうだから、ちょっと、見に来たんだよ。」
そう言うと、彼は、さっき私が、戻したばかりの、猫のパスケースを、手に取った。
「こういうの、好きなの?」
「私じゃ無くて、今井さんが、好きそうだなぁ、と思いまして。」
「嗚呼、確かに、好きそうだな…。」
納得した様に、そう答えると、猫の前足を指先で握ったり、尻尾の部分を、指で、振らせた。真剣な面持ちで…。そして。
「……可愛いな、これ……。」
そう呟いた瞬間、流石に私も、吹き出しそうになった。
「彰さんも、そう言うの、好きなんですか?」
「嫌いではないよ。と言うよりは、昔から、動物が、好きでね?昔、近所に住んでいた、お姉さん家の猫と、よく遊んだものだよ…。」
懐かしそうに、そう答えると、パスケースを棚に戻し、私が方に掛けていた、ボストンバッグを指さした。
「これから、何処か、行くのかい?」
待つのは、嫌いではない。のんびりと、誰にも邪魔されない、こういう時間は、寧ろ、好きだったりする。書店で、面白そうな、小説を探したり、普段あまり行かない、チェーン店の喫茶店に行ったりするのも、悪くはない。
今回も、特に何か目当ての物がるわけでもなかったが、雑貨屋に立ち寄った。
最近の流行の物や、日用的にも使えそうなグッズなど、様々な小物が、商品棚に並んでいる。
その中でも、キャラクター物の、雑貨もあった。その中の一つを手に取り、眺めた。猫のぬいぐるみの様な、パスケースだ。こういうの、今井さんが、好きそうだと、思い、棚に戻した、時だった。
「あれ?」
聞き慣れた男性の声が、聞こえた。私は、その声の方に、視線を送った。
「あ、やっぱりそうだ。」
そこには、この雑貨屋さんの、風景には、余りにも似つかわしくない、和装を身にまとった、彰さんだった。
「彰さん!どうして、こんな所に?」
「フツーのマグカップが欲しくてね…。」
華宵園には、勿論マグカップも置いてあるだろう。だが、それは、全てアンティーク品で、かなりの値段が付けられていたりする。
だから、私のような、学生には、簡単に、“買おう”とは、ならない。
その点、雑貨屋に置いてある、食器類は、大体、千円前後。マグカップくらいなら、数百円で買えるだろう…。
「日用的に使うなら、安い方が良いだろうし、“飲み物”以外の使い方もできそうだから、ちょっと、見に来たんだよ。」
そう言うと、彼は、さっき私が、戻したばかりの、猫のパスケースを、手に取った。
「こういうの、好きなの?」
「私じゃ無くて、今井さんが、好きそうだなぁ、と思いまして。」
「嗚呼、確かに、好きそうだな…。」
納得した様に、そう答えると、猫の前足を指先で握ったり、尻尾の部分を、指で、振らせた。真剣な面持ちで…。そして。
「……可愛いな、これ……。」
そう呟いた瞬間、流石に私も、吹き出しそうになった。
「彰さんも、そう言うの、好きなんですか?」
「嫌いではないよ。と言うよりは、昔から、動物が、好きでね?昔、近所に住んでいた、お姉さん家の猫と、よく遊んだものだよ…。」
懐かしそうに、そう答えると、パスケースを棚に戻し、私が方に掛けていた、ボストンバッグを指さした。
「これから、何処か、行くのかい?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
(完結保証)大好きなお兄様の親友は、大嫌いな幼馴染なので罠に嵌めようとしたら逆にハマった話
のま
恋愛
大好きなお兄様が好きになった令嬢の意中の相手は、お兄様の親友である幼馴染だった。
お兄様の恋を成就させる為と、お兄様の前からにっくき親友を排除する為にある罠に嵌めようと頑張るのだが、、、
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる