レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#1-4

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 特急と言っても、目的地の駅までは、二時間程掛かる。座席を回転させ、ボックス席の様にし、私が窓際、寧々が、その隣に、彩が、
私と向かい合わせで、乗り込んだ。
 「そう言えば、マユミンのママって、どんな人なの?」
 列車が出発して、10分程経ったとき、ベースの専門雑誌を読んでいた、寧々が、そう訊ねてきた。
 「ん~。礼儀作法には、結構厳しいけど、怖い人ではないかな…。滅多なことでは、怒った所見た事ないし、何より、私に、色々助言もしてくれたし、凄く感謝して居る。そんな感じかな…。」
 そう答えると、安堵した様に、ため息を吐いた。
 「良かった…。旅館の女将さんって言えば、かなり、怖いイメージあったから、徹底的にこき使われるんじゃないかなぁって、ちょっと憂鬱だったんだよね…。」
 「自分で提案しておいて…。」
 彩が、呆れた様に、そうツッコんだ。
 「それは、そうだけど、やっぱり不安じゃん…。」
 「あの女将さんに限って、そんな事無いよ。手伝いって言ったって、大体は、清掃か食器洗いとかだから。ただ、宴会場とか、大広間でイベントがあれば、接客に駆り出されるかもしれないけど、二人なら大丈夫でしょ?」
 寧々は、商店街の方にある、中華料理屋で。彩は、甘王でそれぞれ、バイトや手伝いをしているから、接客や仕事に対する、臨機応変さは、心配ないだろう。ただ、私も含めて、自分の店の癖が出ないかが、心配要素だ…。
 「なら良いけど…。」

 再度、雑誌に目を落とし、パラパラと捲り始めた。
 その姿を見て、聞いてみたかったことを、思い出した。
 「そう言えば、二人って、何で、楽器をやる様になったの?」
 何かを、始めるには、何かしら、切っ掛けがある筈だ。例えば、麻由美が、バレーボールをやる様になったのは、新庄さんに憧れたから。の様に、何かしらの理由が存在するはずだ…。私は、過去に、何かに、“真剣”に、打ち込んだことが無いため、それを、一度聞いてみたかった。
 「私の場合は、音楽が好きだったからかな?小学生の時、友だちに誘われて、スクールバンドに入団したのが、切っ掛け。それから、中学に上がって、本格的に吹奏楽部に入って、2年まで、サックスやってたんだけど、ちょっと人数的な影響で、3年になって、コントラバスって、弦楽器やって、それでハマった。
 高校は、軽音楽と吹奏楽兼部してたんだけど、軽音の方の、とある先輩に惚れ込んで、そっちにのめり込むようになった。
 そんなところかな…。」
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