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14章:四人の約束
#7-1 才能と努力
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厨房の隣には、小さな従業員用の休憩スペースがある。小さいと言っても、大広間や宴会場と比べての話だ。私たち5人程度入った所で、狭くはならない。
厨房の方には、中の様子が見える様な窓が付いている。バイト時代は、ここで何度休憩したことか…。
そんな事を懐かしく思っていると、丁度食材庫から、食材をかき集めて、立花さんが厨房の方に入ってきた。
「何作るんですか?」
「ん~。取り敢えず和食かな。夏だし、さっぱり魚介系で行こうかなと。」
和食で魚介系は、定番中の定番。とはいえ、料理となると、お刺身か焼き物系しか思いつかない…。
「和食で魚介って言うと、他に何の料理がある?」
隣に居た彩に聞いてみた。
「“他”に何が含まれるか知らないけど、お刺身か焼き物、煮物、揚げ物。すり身にすれば、蒸し物とかもできるね…。まぁ、さっぱりって言ってたから、素焼きとか、お刺身かな?」
私の考えは、彩の考えとは、概ね差異はなさそうだ…。だが、寧々だけは、異論を唱えた。
「いや、おそらく違うと思う。っていう物、あそこに並べられている材料見れば、何となく作る者は決まって来るんじゃない?」
立花さんが持ってきた食材は、卵に夏野菜、烏賊や貝、海老と言った、魚介系。それから、小麦粉や塩などの調味料くらいだ…。
正直、この段階では、何にでも転向できそうな感じだ…。だが、寧々には答えが分かったらしい…。私たち4人の中で、一番料理が美味い彼女には、プロの料理人に近い感覚を持っているのだろうか…。
「ま、出来るまで、待ってましょう。」
そう麻由美がそう言い、近くにあった椅子に座った。
「出てくる料理を待つのも、一興ってやつですね?お嬢。」
「そう言う事。」
三枝さんも椅子に腰かけ、スマホを弄り始めた。
彩もそれに釣られる様に、麻由美の隣の席に座った。
「私は、もう少し見てます。ちょっと気になるんで。」
寧々は、そう言い、カウンターの窓の淵に手を着き、身を乗り出す様に、厨房の中を見回した。
「入ってみるかい?」
流しの淵に凭れ掛かっていた、広瀬さんがそう言った。
「良いんですか?」
「普段ならダメって言うが、今なら誰も居ねぇし、香織やお嬢のダチだからな。断る理由がねぇ。」
「じゃぁ、お邪魔します!」
寧々はそう言いよりも早く、厨房に入った。私もそれに続いた。
立花さんは、食材をそれぞれ、水で洗った後、自前の包丁を取り出した。その美しさは、何とも形容しがたい刀身だった。
「キレイ…。」
寧々がそう呟いた。
厨房の方には、中の様子が見える様な窓が付いている。バイト時代は、ここで何度休憩したことか…。
そんな事を懐かしく思っていると、丁度食材庫から、食材をかき集めて、立花さんが厨房の方に入ってきた。
「何作るんですか?」
「ん~。取り敢えず和食かな。夏だし、さっぱり魚介系で行こうかなと。」
和食で魚介系は、定番中の定番。とはいえ、料理となると、お刺身か焼き物系しか思いつかない…。
「和食で魚介って言うと、他に何の料理がある?」
隣に居た彩に聞いてみた。
「“他”に何が含まれるか知らないけど、お刺身か焼き物、煮物、揚げ物。すり身にすれば、蒸し物とかもできるね…。まぁ、さっぱりって言ってたから、素焼きとか、お刺身かな?」
私の考えは、彩の考えとは、概ね差異はなさそうだ…。だが、寧々だけは、異論を唱えた。
「いや、おそらく違うと思う。っていう物、あそこに並べられている材料見れば、何となく作る者は決まって来るんじゃない?」
立花さんが持ってきた食材は、卵に夏野菜、烏賊や貝、海老と言った、魚介系。それから、小麦粉や塩などの調味料くらいだ…。
正直、この段階では、何にでも転向できそうな感じだ…。だが、寧々には答えが分かったらしい…。私たち4人の中で、一番料理が美味い彼女には、プロの料理人に近い感覚を持っているのだろうか…。
「ま、出来るまで、待ってましょう。」
そう麻由美がそう言い、近くにあった椅子に座った。
「出てくる料理を待つのも、一興ってやつですね?お嬢。」
「そう言う事。」
三枝さんも椅子に腰かけ、スマホを弄り始めた。
彩もそれに釣られる様に、麻由美の隣の席に座った。
「私は、もう少し見てます。ちょっと気になるんで。」
寧々は、そう言い、カウンターの窓の淵に手を着き、身を乗り出す様に、厨房の中を見回した。
「入ってみるかい?」
流しの淵に凭れ掛かっていた、広瀬さんがそう言った。
「良いんですか?」
「普段ならダメって言うが、今なら誰も居ねぇし、香織やお嬢のダチだからな。断る理由がねぇ。」
「じゃぁ、お邪魔します!」
寧々はそう言いよりも早く、厨房に入った。私もそれに続いた。
立花さんは、食材をそれぞれ、水で洗った後、自前の包丁を取り出した。その美しさは、何とも形容しがたい刀身だった。
「キレイ…。」
寧々がそう呟いた。
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