(完結)妹に病にかかった婚約者をおしつけられました。

青空一夏

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5 (マクシミリアン視点)

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(マクシミリアン視点)

 寝室で寝ていると扉がそっと開き、見知らぬ女の子が入って来た。初めて見た水色の髪と瞳。水の精? オンディーヌがきっとわたしを迎えに来たんだ。死ぬときは悪魔か天使が迎えに来ると思っていたら、わたしの場合は妖精だった。思わずびっくりしてその美しすぎる姿に見とれた。

「初めまして、あのぉ・・・・・・妹のベッツィーから婚約者が私に変わりました、姉のフランソワーズです。どうぞ、よろしくお願いします」

 良かった。妖精じゃなくて人間だった。ベッツィーの姉だという彼女は、全然ベッツィーには似ていない。あの子はうるさくて正直苦手だったが、この子は口調も優しいし穏やかだ。

「婚約者が変わった? そう・・・・・・君はいいの?」
 婚約者がこの子に変わったことは嬉しいけれど、わたしはこんな身体だ。妖精にミイラなんて可哀想だな、と思うと声が沈んだ。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 「・・・・・・君は良いの?」は、「君はこんな病気になったわたしが婚約者でもいいの?」と、いう意味だ。彼女は目を伏せて泣きそうな表情を浮かべた。噛みしめた唇が震えている。やっぱり嫌だったのかな? わたしが健康な時なら、こんな顔はさせなかったのに。そうしたらこの子にもきっと好かれたはずなのに。

「よろしく頼む」恥ずかしくてそれ以上は言えなかった。この子はきっと両親に言われてここに来たんだ。病気になった男の婚約者になるなんて嫌だったに違いない。ベッツィーの代わりに来てくれたフランソワーズの為にも、なるべく優しく労るような声が出ていれば良いな、と思う。



 それからは毎日がとても楽しい。フランソワーズは食事や着替えを持って来てくれるばかりか、話し相手になってくれ一緒に本を読みカードゲーム等もする。

 朝起きて一番に見たい顔はあの繊細な美貌のフランソワーズだし、寝る前に声が聞きたいのは穏やかで優しい彼女の声だ。だから、わたしは彼女の姿をみるだけで、つい顔がにやけてしまう。

 フランソワーズはわたしにとって、誰よりも尊い最愛の人になった。
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