(完結)妹に病にかかった婚約者をおしつけられました。

青空一夏

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 私の希望は国王陛下に速やかに伝わり、ジェラルディンと会えることが決まった。

(どんな子なのかしら? ベッツィーも付き添うらしいけれど、まずは子供が懐くことが一番だわ)



 ジェラルディンと初め会う日、サンドリーヌは期待に目をキラキラさせていた。リュシュパン公爵家の応接室で待ちながらも、落ち着かない様子で私に話しかける。

「おかーしゃま、わたしのごえいじじょ(護衛侍女)は、つよくてかっこいいのかしら?」

 最近の子供向き物語では、男性騎士の格好をした麗しい女性騎士が流行っていた。

「さぁ、かっこいいのかは知りません。ただ、とても強いらしいわよ」

「しゅてき(素敵)。わたしも、そのようになりたいでしゅ。たたかえるせいじょさまをめざしましゅ!」

「戦える? えっと、なにと戦うのかしら?」
 私は思わず遠い目になる。わたしの周りには目立った争いはなく、この世界は平和に見える。

「おかーしゃま、このせかいには、わるものがたくさん、はびこっているのでしゅ。わたしはそれをやっつけましゅ」

「あ、うん。そうね。サンドリーヌに、あまり悪者退治のような童話を読ませるべきではないことがわかったわ」

(子供はどうして『悪者退治をするヒーロやヒロイン』に憧れるのかしら? 世界は愛と平和に満ちているのに)

「失礼します。聖女様にご挨拶申し上げます。ベッツィーがジェラルディンをお連れしました。さきほどのサンドリーヌ様のご発言が、こちらに向かう廊下でも聞こえておりまして、あまりの立派さに感動して涙が止まりません」

 驚くほど筋肉の発達したムキムキ身体の女性が、涙を流しながらサンドリーヌを称賛する。

(これは誰? まるでベッツィーじゃないわ。別人よ)

「あなたがベッツィー? あの私の妹だったベッツィー? そのムキムキの体はどうしたの?」

「はい、聖女様の妹だったベッツィーです。この体は筋トレが好きすぎてこうなりました。またお会いできるなんて夢のようです。以前の私はどうかしていました。申し訳ございませんでした」
 深く頭を下げるベッツィーの頭に3人の妖精達が乗っていた。

「ベッツィーはね、性格が変わって中身は戦士になったの」
「そう。ベッツィーはいい人間になったのよ。すっごく強いの」
「でも、筋肉多すぎだけど……」
 最後の言葉を放った妖精が、ベッツィーの上腕二頭筋をツンツンと触って笑う。


「ふわぁーー。あんなに、きんにく(筋肉)もりもりさん、みたことないわ。おかーしゃま、このひとはおかーしゃまのいもうとなの? なら、わたしのごえいじじょ(護衛侍女)は、このひとにしゅる。それで、あっちをごえいきし(護衛騎士)にしゅるわ」

 『あっち』と言われたのは、すらりとした繊細な美貌の男性騎士だ。金髪を後ろで結び上品かつ優美だけれど、体つきはよく訓練された熟練騎士そのもの。

「あなたはジェラルディンよね? まさか男性だったの? 女性だと思っていたけれど……」

「はい、ジェラルディンと申します。性別は女性ですが、男装が得意でして声も変えられます。男性騎士のふりもできますし、侍女の格好もします。格闘技やナイフ投げ等は、ベッツィーお母様とジョバンナ小隊長に特訓されています。ただ、実戦はまだありません……」

「かくとうぎ? ナイフなげ? しゅてき(素敵)! ベッツィーとジェラルディンをすぐにやとって。おかーしゃま」

(私の娘はどこを目指しているのぉおーー?)
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