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2 嘘を吐くゴリオシーナ
それから数日後のこと、ルーカス様に王立図書館で偶然お会いした際に観劇に誘われた。
本来ならば嬉しくてすぐさま『イエス』とお返事をしたいのに、妹のゴリオシーナの顔がちらついて本当の気持ちを言い表すことができない。
「午前の部のチケットですから朝の九時ごろお迎えに伺いますよ。その後、昼食を一緒にとりましょう。とても美味しいレストランを見つけたのですよ。もちろん、夕方までには屋敷に送りますからね」
頷くことしかできない私に優しい眼差しをむけてきたルーカス様は、私がただ恥ずかしがっているだけだと思ったようだ。
そのお誘いはこの世界では一般的なデートコースだった。午前中から観劇をしランチを食べておしゃべり。暗くなる前に自宅に送り届けるのは、大切な恋人に婚姻前の悪評がたてられぬようにとの配慮だった。
嬉しくて頬を染めながら屋敷に着くと、妹がにこにこと笑いながら近づいてきた。
「うふふ、私の侍女が王立図書館でルーカス様に誘われているお姉様を見かけましたのよ。もちろん、私の為に協力してくださるでしょう? そのデートは私に譲ってくださいませ」
「え? なぜ、ゴリオシーナの侍女が王立図書館に来ていたの? そんな偶然ってあるの?」
「ゴホン、ケホン! 失礼ねぇ。私だって本が読みたくなることもありますわ! 私の代わりに本を借りに行っただけですわ! 別にお姉様を尾行させたわけではありませんわよ!」
そう言い訳をするゴリオシーナは本が嫌いで、挿絵がないと3ページも読み続けられない子だった。
☆彡★彡☆彡
夕食どきになると両親とゴリオシーナは楽しく会話を始めるが、大抵はゴリオシーナがいかに人気があるか友人が多いかの自慢話ばかりだった。
ところが、今日は私の愚痴を話し始めるゴリオシーナ。お母様に私からルーカス様のデートを押しつけられたと言ったのだ。
「お姉様はルーカス様がお嫌いなのにデートのお誘いを受けてしまいましたの。だからね、私に代わりに行ってほしいのですって。お姉様のわがままにはいつも困らされておりますけれど、私はルーカス様が好きですからお姉様の為に頑張りますわ!」
「まぁ、ジャスミンはルーカス様が嫌いなの? あれほど素敵な容姿なのに?」
お母様は驚いて私を見つめて首を傾げた。隣に座っているゴリオシーナはテーブルの下で私の足を蹴った。
「は、はい。そうですね」
気弱な私はここでも妹と争うことはしたくなかった。口のうまいゴリオシーナのことだからヘタなことを言えば私が悪者になることはわかっていたから。
「全く、好きでもない男性からのデートの申し込みを断れずに妹に押しつけるとは! ジャスミンよ! 姉のくせに恥ずかしいとは思わないのかい?」
お父様はすっかりゴリオシーナの説明を信じ込み、私にお説教を始めるのだった。
本来ならば嬉しくてすぐさま『イエス』とお返事をしたいのに、妹のゴリオシーナの顔がちらついて本当の気持ちを言い表すことができない。
「午前の部のチケットですから朝の九時ごろお迎えに伺いますよ。その後、昼食を一緒にとりましょう。とても美味しいレストランを見つけたのですよ。もちろん、夕方までには屋敷に送りますからね」
頷くことしかできない私に優しい眼差しをむけてきたルーカス様は、私がただ恥ずかしがっているだけだと思ったようだ。
そのお誘いはこの世界では一般的なデートコースだった。午前中から観劇をしランチを食べておしゃべり。暗くなる前に自宅に送り届けるのは、大切な恋人に婚姻前の悪評がたてられぬようにとの配慮だった。
嬉しくて頬を染めながら屋敷に着くと、妹がにこにこと笑いながら近づいてきた。
「うふふ、私の侍女が王立図書館でルーカス様に誘われているお姉様を見かけましたのよ。もちろん、私の為に協力してくださるでしょう? そのデートは私に譲ってくださいませ」
「え? なぜ、ゴリオシーナの侍女が王立図書館に来ていたの? そんな偶然ってあるの?」
「ゴホン、ケホン! 失礼ねぇ。私だって本が読みたくなることもありますわ! 私の代わりに本を借りに行っただけですわ! 別にお姉様を尾行させたわけではありませんわよ!」
そう言い訳をするゴリオシーナは本が嫌いで、挿絵がないと3ページも読み続けられない子だった。
☆彡★彡☆彡
夕食どきになると両親とゴリオシーナは楽しく会話を始めるが、大抵はゴリオシーナがいかに人気があるか友人が多いかの自慢話ばかりだった。
ところが、今日は私の愚痴を話し始めるゴリオシーナ。お母様に私からルーカス様のデートを押しつけられたと言ったのだ。
「お姉様はルーカス様がお嫌いなのにデートのお誘いを受けてしまいましたの。だからね、私に代わりに行ってほしいのですって。お姉様のわがままにはいつも困らされておりますけれど、私はルーカス様が好きですからお姉様の為に頑張りますわ!」
「まぁ、ジャスミンはルーカス様が嫌いなの? あれほど素敵な容姿なのに?」
お母様は驚いて私を見つめて首を傾げた。隣に座っているゴリオシーナはテーブルの下で私の足を蹴った。
「は、はい。そうですね」
気弱な私はここでも妹と争うことはしたくなかった。口のうまいゴリオシーナのことだからヘタなことを言えば私が悪者になることはわかっていたから。
「全く、好きでもない男性からのデートの申し込みを断れずに妹に押しつけるとは! ジャスミンよ! 姉のくせに恥ずかしいとは思わないのかい?」
お父様はすっかりゴリオシーナの説明を信じ込み、私にお説教を始めるのだった。
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