(完)婚約者が義理の妹と浮気していましたーーロセ伯爵家の守り神はガマ様(全8話)

青空一夏

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2 浮気現場に遭遇

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(私は今帰ってきてはいけなかったのだ。いいえ、帰ってくるべきだったとも言える。バッグにいれたはずの書類がなくて少し早めに帰宅したからこそ、この場面にも出くわすことができたのは幸運だったのかもしれないわ)

「え? ベス? なんでこんなに早く帰って来るんだよ!」
ハーマンはいきなり怒り出してエリザベスを責めたのである。ちなみにこのロセ伯爵家の屋敷は先代からエリザベスが引き継ぎ名義はもちろんエリザベスである。

エリザベスが屑な人間ほど逆ギレして誤魔化そうとする傾向があることを学べたこの日は、人生最大の大失恋の記念すべき日となった。少女の頃から大事に育ててきた結婚への憧れが無残に砕け散った瞬間である。

婚約者ハーマン・テッテレー伯爵子息が背後から義理の妹マギーに抱きついて……していたのである。

(……なんと破廉恥なことか!……)


けれど、愚かなことにこの瞬間まではハーマンを信用していたエリザベスだ。条件反射の如く流れた絶望の涙はマスカラと共に流れ落ち、ほっぺに黒い涙の筋を作った。





「お義姉様! 急に帰ってくるなんて酷いですわ」
「そうだ、そうだ! 今日は仕事で夜まで屋敷に戻らないと言っていたよな? まだ夕方だよ!」
婚約者と義妹がぎゃぁぎゃぁと騒ぎ立てることに、流石のエリザベスもセンチメンタルな気分は吹っ飛び、怒りがふつふつとこみ上げてきた。

「ここは私の屋敷ですよ? いつ帰ってこようと自由なはずです」

「でもいきなり入ってくるなんて酷いですわ!」
「そうだよ。鍵は閉まっていたはずだよ。だってここは……プライバシーの侵害だよ! なんて無作法な女なんだよっ!」


「プライバシーの侵害……ここは私の屋敷ですよ……そしてここは? さぁ、答えていただきましょうか? ここは何をする場所でしょうか? ほらハーマン様、お答えくださいな」

「ここは……何をって……ここは……いわゆる……排泄する場所?」

「そうですとも! ここはそういった場所ですわ! あなた方の頭は壊れているようですけれど目はまだ見えているのね。ここは私の屋敷の庭園に設置されたトイレです。プライベートルームに備え付けられた化粧室でもありませんから、プライバシーの侵害にはならないでしょう? ここは純粋にトイレという目的で使用するべき場所です。それ以外の行為をする場所ではありません!」

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