2 / 8
2 浮気現場に遭遇
しおりを挟む
(私は今帰ってきてはいけなかったのだ。いいえ、帰ってくるべきだったとも言える。バッグにいれたはずの書類がなくて少し早めに帰宅したからこそ、この場面にも出くわすことができたのは幸運だったのかもしれないわ)
「え? ベス? なんでこんなに早く帰って来るんだよ!」
ハーマンはいきなり怒り出してエリザベスを責めたのである。ちなみにこのロセ伯爵家の屋敷は先代からエリザベスが引き継ぎ名義はもちろんエリザベスである。
エリザベスが屑な人間ほど逆ギレして誤魔化そうとする傾向があることを学べたこの日は、人生最大の大失恋の記念すべき日となった。少女の頃から大事に育ててきた結婚への憧れが無残に砕け散った瞬間である。
婚約者ハーマン・テッテレー伯爵子息が背後から義理の妹マギーに抱きついて……していたのである。
(……なんと破廉恥なことか!……)
けれど、愚かなことにこの瞬間まではハーマンを信用していたエリザベスだ。条件反射の如く流れた絶望の涙はマスカラと共に流れ落ち、ほっぺに黒い涙の筋を作った。
「お義姉様! 急に帰ってくるなんて酷いですわ」
「そうだ、そうだ! 今日は仕事で夜まで屋敷に戻らないと言っていたよな? まだ夕方だよ!」
婚約者と義妹がぎゃぁぎゃぁと騒ぎ立てることに、流石のエリザベスもセンチメンタルな気分は吹っ飛び、怒りがふつふつとこみ上げてきた。
「ここは私の屋敷ですよ? いつ帰ってこようと自由なはずです」
「でもいきなり入ってくるなんて酷いですわ!」
「そうだよ。鍵は閉まっていたはずだよ。だってここは……プライバシーの侵害だよ! なんて無作法な女なんだよっ!」
「プライバシーの侵害……ここは私の屋敷ですよ……そしてここは? さぁ、答えていただきましょうか? ここは何をする場所でしょうか? ほらハーマン様、お答えくださいな」
「ここは……何をって……ここは……いわゆる……排泄する場所?」
「そうですとも! ここはそういった場所ですわ! あなた方の頭は壊れているようですけれど目はまだ見えているのね。ここは私の屋敷の庭園に設置されたトイレです。プライベートルームに備え付けられた化粧室でもありませんから、プライバシーの侵害にはならないでしょう? ここは純粋にトイレという目的で使用するべき場所です。それ以外の行為をする場所ではありません!」
「え? ベス? なんでこんなに早く帰って来るんだよ!」
ハーマンはいきなり怒り出してエリザベスを責めたのである。ちなみにこのロセ伯爵家の屋敷は先代からエリザベスが引き継ぎ名義はもちろんエリザベスである。
エリザベスが屑な人間ほど逆ギレして誤魔化そうとする傾向があることを学べたこの日は、人生最大の大失恋の記念すべき日となった。少女の頃から大事に育ててきた結婚への憧れが無残に砕け散った瞬間である。
婚約者ハーマン・テッテレー伯爵子息が背後から義理の妹マギーに抱きついて……していたのである。
(……なんと破廉恥なことか!……)
けれど、愚かなことにこの瞬間まではハーマンを信用していたエリザベスだ。条件反射の如く流れた絶望の涙はマスカラと共に流れ落ち、ほっぺに黒い涙の筋を作った。
「お義姉様! 急に帰ってくるなんて酷いですわ」
「そうだ、そうだ! 今日は仕事で夜まで屋敷に戻らないと言っていたよな? まだ夕方だよ!」
婚約者と義妹がぎゃぁぎゃぁと騒ぎ立てることに、流石のエリザベスもセンチメンタルな気分は吹っ飛び、怒りがふつふつとこみ上げてきた。
「ここは私の屋敷ですよ? いつ帰ってこようと自由なはずです」
「でもいきなり入ってくるなんて酷いですわ!」
「そうだよ。鍵は閉まっていたはずだよ。だってここは……プライバシーの侵害だよ! なんて無作法な女なんだよっ!」
「プライバシーの侵害……ここは私の屋敷ですよ……そしてここは? さぁ、答えていただきましょうか? ここは何をする場所でしょうか? ほらハーマン様、お答えくださいな」
「ここは……何をって……ここは……いわゆる……排泄する場所?」
「そうですとも! ここはそういった場所ですわ! あなた方の頭は壊れているようですけれど目はまだ見えているのね。ここは私の屋敷の庭園に設置されたトイレです。プライベートルームに備え付けられた化粧室でもありませんから、プライバシーの侵害にはならないでしょう? ここは純粋にトイレという目的で使用するべき場所です。それ以外の行為をする場所ではありません!」
35
あなたにおすすめの小説
姉のものを欲しがる性悪な妹に、墓穴を掘らせてみることにした
柚木ゆず
恋愛
僕の婚約者であるロゼの家族は、困った人ばかりだった。
異母妹のアメリはロゼの物を欲しがって平然と奪い取り、継母ベルは実子だけを甘やかす。父親であるトムはベルに夢中で、そのためアメリの味方ばかりする。
――そんな人達でも、家族ですので――。
それでもロゼは我慢していたのだけれど、その日、アメリ達は一線を越えてしまった。
「マエル様を欲しくなったの。お姉様の婚約者を頂戴」
「邪魔をすれば、ここにあるユリのアクセサリーを壊すわよ?」
アメリとベルは自分達の都合でこの婚約を解消させようとして、ロゼが拒否をしたら亡き母の形見を使って脅迫を始めたらしいのだ。
僕に迷惑をかけようとしたことと、形見を取り上げられたこと。それによってロゼはついに怒り、僕が我慢している理由もなくなった。
だからこれから、君達にこれまでのお礼をすることにしたんだ。アメリ、ベル、そしてトム。どうぞお楽しみに。
お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?
柚木ゆず
恋愛
「すでに気付いているんですのよ。わたくしやお父様やお母様に隠れて、交際を行っていることに」
「ダーファルズ伯爵家のエドモン様は、雄々しく素敵な御方。お顔も財力も最上級な方で、興味を持ちましたの。好きに、なってしまいましたの」
私のものを何でも欲しがる、妹のニネット。今度は物ではなく人を欲しがり始め、エドモン様をもらうと言い出しました。
確かに私は、家族に隠れて交際を行っているのですが――。その方は、私にしつこく言い寄ってきていた人。恋人はエドモン様ではなく、エズラル侯爵家のフレデリク様なのです。
どうやらニネットは大きな勘違いをしているらしく、自身を溺愛するお父様とお母様の力を借りて、そんなエドモン様にアプローチをしてゆくみたいです。
〖完結〗妹は病弱を理由に私のものを全て欲しがります。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢のアイシャは、第一王子のリアムと婚約をしていた。
妹のローレンは幼い頃から病弱で、両親はそんな妹ばかりを可愛がり、ローレンの欲しがるものはなんでも与えていた。それは、アイシャのものでも例外はなかった。
「アイシャは健康でなんでも出来るのだから、ローレンが欲しがるものはあげなさい。」
そう言われ、ローレンが欲しがるものはなんでも奪われて来た。そして、ローレンはアイシャの婚約者であるリアム王子をも欲しがった。
「お願い、お姉様。リアム王子が好きなの。だから、私にちょうだい。」
ローレンが欲しがる事は分かっていた、そして両親も、
「ローレンは身体が弱いのだから、婚約者を譲りなさい。」
と、いつもどおりの反応。
ローレンは病弱でも何でもありません。演技が上手いだけです。
設定ゆるゆるの架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
姉の物をなんでも欲しがる妹、妹の物をなんでも取り上げる姉、それぞれの末路は
真理亜
恋愛
伯爵令嬢のサブリナには一つ下に妹が一人居る。両親に甘やかされて育った妹は、サブリナの物をなんでも欲しがる我が儘放題な娘になってしまった。一方、サブリナのクラスメートで隣の席のミシェルには、一つ上に姉が一人居る。常にミシェルに対してマウントを取りたがる姉は、ミシェル自身のこともミシェルの持ち物も支配下に置こうとする。
「あなたが妹だったら...」
「あなたが姉だったら...」
二人はお互いにそう思っていた。やがてそれぞれの妹と姉は二人の「物」だけじゃ飽き足らず「者」まで奪おうとするに至る。これにはさすがに堪忍袋の緒が切れた二人は、協力して復讐を果たそうと立ち上がるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる