(完結)だって貴方は浮気をしているのでしょう?

青空一夏

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6 化けの皮がはがれた裕太

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 裕太は爽やかな笑顔で、アメリカ行きを口にした。ならば、あの”なおみ”はどうなる?心の中でもやっとした思いがついあふれ出しそうになるのをこらえた。引き際、そう、世の中にはそういう言葉があるのよね。ばかみたいに問い詰めるのも、未練がましく縋るのも、自分を殺して相手に合わせるのも全ては無駄なのよ。悟った私は、すべてを自然のままに、の境地に至る。けれど、それが正解かはわからないままだ。

「そうか。とても悲しいわ。私はまだ裕太を好きだからね。でも、決心したなら良いと思う。今日は、楽しんでお出かけして、いい思い出にしようよ」

 きっぱりと本心を告げると、にかっと笑った。絵画に興味がない私も、これが裕太と見る最後の絵かもしれないと思うと飽きることなく見られた。

 一緒にスーパーに寄るのも、お買い物をするのも久しぶりだった。その日はすき焼きにして、後片付けも分担制にした。

「この鍋、そっちの高い戸棚にいれてよ」

 私が言うと裕太は頷いて鍋を戸棚に納めて、『この鍋もらっていいかな?』と言った。

 いや、この鍋で「なおみ」ともすき焼きをするのだろうかと思うと、かなり複雑な気持ちになった。

「鍋ぐらい買いなさいよ。医者なんだからさぁ」

 私は、少しむっとして言うと裕太は引き気味に尋ねてきた。

「お前さ、デリカシーないの? あの男を呼んで飯作るとするじゃん。他の男と使っていた鍋で、すき焼きを作るのか?」

 それはね、私が貴方に言おうとしていたところです! この言葉はぐっと飲み込んだ。裕太と私は、たまに同じ思考回路をとる。

 私達は、お互いが同居人だからもうキスもエッチもしない。お風呂から出てさっさと自分の部屋に行こうとする私は呼び止められてキスをされた。思わず突き飛ばしたら、裕太がおどけながら茶化してきた。

「なんだよ? 日向は俺に未練があるから出て行かないんだろ? やっぱり俺とのセックスが良くて別れられないんだろ? 安心しろよ。アメリカに行ってもたまにはこっちに帰ってきてしてやるよ」

 え? この鬼畜は誰? 裕太はもっと優しい男だったはずじゃぁーー

「お前に他に男ができてほんと良かったよ。俺さ、結婚するなら若い女がいいんだよね。もう俺も35じゃん。結婚はそろそろと思っていたけどさ。ちょうど、今、いい話があってさ。相手は副病院長の娘なんだよ。ごめんな。お前といると楽だったから。お前、美人だし稼ぐし自立してるしさ。いい思い出にしような」


 一気に化けの皮を脱いだ裕太は、私に実に爽やかな笑顔を見せた。なるほど、テレビドラマであるような展開だわね。こんな時は2時間サスペンスドラマでは殺人劇がくりだされるけれど、ここではそれはない。代わりに・・・・・・

「あらぁ、素敵! 本当ににしましょうねぇ」

私は満面の笑みで答えたのだった。


  
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