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妊娠15~16週になり、つわりもだいぶおさまったので、私の食欲は暴走していた。愛しの納豆もつわりの時期は食べられず、とても悔しい思いをしていた。だから今日は思う存分満喫するつもり、納豆を!
「さて、納豆解禁といきますか」
私は納豆3パックをどんぶりに入れる。まずは30回ほどかき混ぜて、ネギと鰹節に卵黄を加えて出汁つゆもおもむろに参加させると、まぜまぜ攻撃を30回ほどぶちかます。
これだけで完璧に美味しい納豆ちゃんが完成するのよ。これを炊きたてのほかほかご飯にかければ、最高の朝ご飯でしょう?
あぁ、納豆ラブ!
他のおかずとしては卵焼きと大根おろし、味噌汁、タクアンといったところ。時間に余裕があれば魚の干物も焼くけれど、今日はパス。夫はサラリーマンで私はフリーランス。諸事情で私の年収は103万までに抑えている。
日本って扶養を中途半端に抜けると、自分で健康保険や年金を払わなければならなくてかえって損なのよね。ゆるーーく自分でお小遣い程度を稼ぎ、夫に養ってもらう私。特に不満はない。むしろ幸せだと思っていた。そう、さっきまでは・・・・・・
さっき、それは納豆事件が起こるまでの私よ!
まずは私が納豆を三分の一ほどをご飯の上に盛り、宝石のようにネバッと光る納豆を見つめながら食す。次に夫が残りの半分を白米の上に乗せ、残りはあと一杯分の納豆が残存していた。
『あたちをたべてぇーー』と私に”食べて光線 ”を送ってくる納豆ちゃんなわけですよ。
(こ、これは私が喰らうしかないべ? おっし、任せてケロ。今、食べてあげるからね)
よくわからない方言を心の中で叫びながら白米をおちゃわんに控えめに盛り、さて納豆を、と思いどんぶりを手に取って衝撃を受けた。
「な、なっ、納豆がない・・・・・・?」
「ん? 残っていたから食べてあげたよ」
夫がしれっとそう言った。
「ちょっと待ってよ。私がご飯を盛ったのを見ていたわよね? お代わりしたら、絶対納豆で食べると普通は思うでしょう? 酷い! ひどぉーーい!」
私は号泣し裸足で外に飛び出し、近くの公園でうなだれた。夫が慌てて追って来て、「納豆なんていくらでも買ってあげるから泣かないで。ごめんよ、本当にごめん」と、土下座した。
「デリカシーがないのよ。だいたい、あんたは私に対する思いやりがないもん。納豆は、納豆は私の大好物なんだぁーー」
と叫ぶ私。朝もはよから公園に子連れで遊びに来ているママ達が少なくて良かった。
「う、うん。わかった、わかったから。これから俺は毎日会社帰りに納豆を買って帰るから許してください。一緒に帰ろう、途中のコンビニで納豆を買い占めてあげるから」
「くすん。・・・・・・泣いたら甘い物が食べたくなった。納豆はいらないからハーゲンダッツと大福買って」
「はいはい。ハーゲンダッツね。店にあるだけ買っていいから、家に帰ろう。ほら、靴も持ってきてやった」
私は素直に夫が持って来てくれたサンダルをはき、夫と手を繋いでコンビニに寄る。お買い物は納豆とハーゲンダッツと大福。
それから夫は毎日、会社帰りに納豆を買って来る。いらない、と言っても必ず買って来て、冷凍庫に入れている。
納豆って冷凍してもおいしく食べられるからいいんだけれど・・・・・・二人目を妊娠した時の夫は、食卓に出された納豆は決して食べなかった。
「嫌ねぇーー。あの時はどうかしていたのよ。もうあんなことにはならなわよぉ」
「うん、納豆が原因で離婚なんて怖すぎるから地雷は踏まない」
夫にはしっかりトラウマが残った事件だったけれど、私には楽しい思い出よ。だって、妊婦なんてそんなものでしょう?
おしまい
「さて、納豆解禁といきますか」
私は納豆3パックをどんぶりに入れる。まずは30回ほどかき混ぜて、ネギと鰹節に卵黄を加えて出汁つゆもおもむろに参加させると、まぜまぜ攻撃を30回ほどぶちかます。
これだけで完璧に美味しい納豆ちゃんが完成するのよ。これを炊きたてのほかほかご飯にかければ、最高の朝ご飯でしょう?
あぁ、納豆ラブ!
他のおかずとしては卵焼きと大根おろし、味噌汁、タクアンといったところ。時間に余裕があれば魚の干物も焼くけれど、今日はパス。夫はサラリーマンで私はフリーランス。諸事情で私の年収は103万までに抑えている。
日本って扶養を中途半端に抜けると、自分で健康保険や年金を払わなければならなくてかえって損なのよね。ゆるーーく自分でお小遣い程度を稼ぎ、夫に養ってもらう私。特に不満はない。むしろ幸せだと思っていた。そう、さっきまでは・・・・・・
さっき、それは納豆事件が起こるまでの私よ!
まずは私が納豆を三分の一ほどをご飯の上に盛り、宝石のようにネバッと光る納豆を見つめながら食す。次に夫が残りの半分を白米の上に乗せ、残りはあと一杯分の納豆が残存していた。
『あたちをたべてぇーー』と私に”食べて光線 ”を送ってくる納豆ちゃんなわけですよ。
(こ、これは私が喰らうしかないべ? おっし、任せてケロ。今、食べてあげるからね)
よくわからない方言を心の中で叫びながら白米をおちゃわんに控えめに盛り、さて納豆を、と思いどんぶりを手に取って衝撃を受けた。
「な、なっ、納豆がない・・・・・・?」
「ん? 残っていたから食べてあげたよ」
夫がしれっとそう言った。
「ちょっと待ってよ。私がご飯を盛ったのを見ていたわよね? お代わりしたら、絶対納豆で食べると普通は思うでしょう? 酷い! ひどぉーーい!」
私は号泣し裸足で外に飛び出し、近くの公園でうなだれた。夫が慌てて追って来て、「納豆なんていくらでも買ってあげるから泣かないで。ごめんよ、本当にごめん」と、土下座した。
「デリカシーがないのよ。だいたい、あんたは私に対する思いやりがないもん。納豆は、納豆は私の大好物なんだぁーー」
と叫ぶ私。朝もはよから公園に子連れで遊びに来ているママ達が少なくて良かった。
「う、うん。わかった、わかったから。これから俺は毎日会社帰りに納豆を買って帰るから許してください。一緒に帰ろう、途中のコンビニで納豆を買い占めてあげるから」
「くすん。・・・・・・泣いたら甘い物が食べたくなった。納豆はいらないからハーゲンダッツと大福買って」
「はいはい。ハーゲンダッツね。店にあるだけ買っていいから、家に帰ろう。ほら、靴も持ってきてやった」
私は素直に夫が持って来てくれたサンダルをはき、夫と手を繋いでコンビニに寄る。お買い物は納豆とハーゲンダッツと大福。
それから夫は毎日、会社帰りに納豆を買って来る。いらない、と言っても必ず買って来て、冷凍庫に入れている。
納豆って冷凍してもおいしく食べられるからいいんだけれど・・・・・・二人目を妊娠した時の夫は、食卓に出された納豆は決して食べなかった。
「嫌ねぇーー。あの時はどうかしていたのよ。もうあんなことにはならなわよぉ」
「うん、納豆が原因で離婚なんて怖すぎるから地雷は踏まない」
夫にはしっかりトラウマが残った事件だったけれど、私には楽しい思い出よ。だって、妊婦なんてそんなものでしょう?
おしまい
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食べ物の恨みはおそろしい。
普遍的な真実を理解出来てなくておバカしちゃう人が減らないの、なんででしょうね?
ふっしぎー(笑)
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╰◟◞ ͜ ◟◞ ͜ ◟◞╯
そうそう、食べ物の恨みって恐ろしいですよね😆
>普遍的な真実
(๑´∀`๑)
特に子供の頃ってそうですよね?
ヒロインは妊娠中だったので情緒不安定なのもあって
たかが納豆ごときに離婚まで考えたかもしれんデス🙄
.*"♡"*.*"♡"*.
(*⌒.^)^ε⌒* )&
*Have a nice*
"*~ day ~*"
🤣🤣🤣🤣
∧∞∧
。゚゚・。・゚゚,(ᵕ̴̤ ᴗ ᵕ̴̤∗)ββ
゚, 。゚⊂⊂__⊃
゚・。・゚
・ ゚✨。・゚💗。・ お疲れちゃま✨
>🤣🤣🤣🤣
(´>∀<`)ゝ))エヘヘ
納豆、美味しいですよねぇ
キムチ入れるのも美味しい😋
感想ありがとう✿˘︶˘✿ ).。.:* ♬*゜ございます🌈
このスレに納豆妖精さんが納豆を配りにきました!
*`,・*。
口 `*,
・;∩ ,*;
,+ (^△^=) +,
*, ヽ つ*゚*
゙・+,*;゚⊃ +,
☆ ∪~ ,*;
゙;+,*・;
おもしろ半分に。(´∀`*)ウフフ
✧
✧ )ヽ✧
✧ (_ )✧
✧ (_ _)✧
(__ __)
∧∞ヘ##### ]
♥♪ (*^ω^) ____ノ
/ つ__/
∪―∪
l≡l
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ノ 丶
( (,,゚Д゚) <パピコ
│∪ │つ
~(((( )))
U ̄∪
+ ⊂⊃ +
∧〟∧
。*゚゚゚*。(。・ω・。)。*゚゚゚*。
:○○○・ ・ ・○○○:
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🌟・。。*オツカレサマՇ”ਭ˒*。。・🌟
: ∧ .∧ .∧ ∧ :
:(。・ω・。)(。・ω・。):
† (__ )V(__ ) †
納豆の妖精∑(๑º口º๑)!!
なんとなく、妖精さんの手がネバッと糸を引いてる絵面を想像してしまったぁ( ˊᵕˋ ;)💦
-=≡ _ φ⌒) ζυ゚・ ~・。
-=≡ ( ゚∀゚)φξ。・゚・ ζ
-=≡ / つヽフ )) ゚
-=≡ ( ⌒) 納豆!納豆!
-=≡ c し'
納豆食べる時は卵黄を入れて白身は泡立てたのを乗せるのが好き😆
もちろん刻みネギをたっぷり☝
感想ありがとうございます🌷