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続編
10 二人の明るい未来
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※マリアンヌ視点
上級書記官室に拍手が響いた。
「マリアンヌ課長、昇進おめでとうございます!」
同僚たちの声に包まれ、私は少しだけ照れくさそうに笑った。
「ありがとうございます……これからも、よろしくお願いしますね」
そう答えながらも、胸の奥に、じんわりとあたたかさが広がっていた。
ベルトラン課長の人事異動をきっかけに、私は課長職を任されることになった。
まさか自分が――そんな思いもあるけれど、今は背筋を伸ばして、この立場を務めたいと思っている。
書類をまとめ、机の上を整え、定時の鐘が鳴るのを合図に私は席を立った。
今日も、一日をやり切った。
そのささやかな充実感を胸に、私は中央行政局の正面玄関へと向かう。
そして、扉を開けたその先――
目の前には、柔らかな茜色に染まる空が広がっていた。
夕陽は低く、街並みの屋根を橙に照らしている。
雲の輪郭には淡い金色がにじみ、まるで空全体が、静かに微笑んでいるようだった。
日中の喧騒が遠ざかっていく中、夕焼けだけがすべてを包み込んでいく。
そのあたたかさに、思わず胸がふっと軽くなった。
そして、彼が私を待っていた――ユリウス・バートン男爵。
オックスリー商会の副会長であり、かつて夜の庁舎で声をかけてくれた、とびっきり素敵な男性。
「……マリアンヌ」
彼は、手に抱えていた花束を私に差し出した。
それは、白を基調に淡い黄色と優しい緑をあしらった、どこか控えめで、清楚な雰囲気のブーケだった。
「昇進、おめでとう。誠実で、頑張り屋の君には、こういう花がいちばん似合うと思ったんだ」
「ありがとうございます。……こんなに綺麗な花をいただいたのは、人生で初めてです」
彼が柔らかに微笑む。その目が、まっすぐに私を見ていた。
「それじゃあ、行こうか。今日も食事、付き合ってくれるかな? ……これからは、毎晩一緒に食べられるといいなって、思ってる」
私は花束を抱きしめ、小さく頷いた。
完
•───⋅⋆⁺‧₊☽⛦☾₊‧⁺⋆⋅───•
ここまでお読みくださりありがとうございます。
これにて、この小説は完結となります。
ご愛読、ありがとうございました。
楽しかった、面白かった、など
少しでも思っていただけたら、💓をつけていただけると嬉しいです。
タップタップ。ぜひ、指の運動を(*^。^*)
💐宣伝です。
「若き公爵閣下は突然できた妹が愛おしすぎる」
某サイトコンテスト用なので、いつもと違う路線ですが
妹を溺愛するお兄ちゃんのお話です。
少しコメディ寄りかもしれません。最初はシリアス。
是非、お立ち寄りください。
そして、「夫がよそで家族ごっこしていたので、別れようと思います」が
新たなざまぁに突入しております。こちらも、是非!
上級書記官室に拍手が響いた。
「マリアンヌ課長、昇進おめでとうございます!」
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「ありがとうございます……これからも、よろしくお願いしますね」
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ベルトラン課長の人事異動をきっかけに、私は課長職を任されることになった。
まさか自分が――そんな思いもあるけれど、今は背筋を伸ばして、この立場を務めたいと思っている。
書類をまとめ、机の上を整え、定時の鐘が鳴るのを合図に私は席を立った。
今日も、一日をやり切った。
そのささやかな充実感を胸に、私は中央行政局の正面玄関へと向かう。
そして、扉を開けたその先――
目の前には、柔らかな茜色に染まる空が広がっていた。
夕陽は低く、街並みの屋根を橙に照らしている。
雲の輪郭には淡い金色がにじみ、まるで空全体が、静かに微笑んでいるようだった。
日中の喧騒が遠ざかっていく中、夕焼けだけがすべてを包み込んでいく。
そのあたたかさに、思わず胸がふっと軽くなった。
そして、彼が私を待っていた――ユリウス・バートン男爵。
オックスリー商会の副会長であり、かつて夜の庁舎で声をかけてくれた、とびっきり素敵な男性。
「……マリアンヌ」
彼は、手に抱えていた花束を私に差し出した。
それは、白を基調に淡い黄色と優しい緑をあしらった、どこか控えめで、清楚な雰囲気のブーケだった。
「昇進、おめでとう。誠実で、頑張り屋の君には、こういう花がいちばん似合うと思ったんだ」
「ありがとうございます。……こんなに綺麗な花をいただいたのは、人生で初めてです」
彼が柔らかに微笑む。その目が、まっすぐに私を見ていた。
「それじゃあ、行こうか。今日も食事、付き合ってくれるかな? ……これからは、毎晩一緒に食べられるといいなって、思ってる」
私は花束を抱きしめ、小さく頷いた。
完
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ここまでお読みくださりありがとうございます。
これにて、この小説は完結となります。
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「若き公爵閣下は突然できた妹が愛おしすぎる」
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妹を溺愛するお兄ちゃんのお話です。
少しコメディ寄りかもしれません。最初はシリアス。
是非、お立ち寄りください。
そして、「夫がよそで家族ごっこしていたので、別れようと思います」が
新たなざまぁに突入しております。こちらも、是非!
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あんがと☕
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