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私には興味がなさそうな王太子
マディソンの指示で、私の湯あみの準備がされていく。カルロス王国は温泉が地下から湧いているため宮殿の中庭にはいくつもの露天風呂が掘られていた。私と王太子が住まう宮殿にも、もちろんあってそこに衝立がいくつも用意された。
湯の色は乳白色で、薔薇の花が浮かんでいる。私は、侍女達に体を洗われてゆっくりとそのお湯に身を沈めた。
目を閉じて、手をさするとそのお湯の成分は私の荒れた手にピリリときた。ブロンディ王国での私は侍女がいなかったので、この一年で手はすっかり荒れていたのだった。
髪を結い上げて淡い紫のドレスを着せてもらう。薄く化粧をされて、鏡の前に立つとマディソンが『お綺麗ですよ』と言ってくれた。
「夕食は、王太子様がいらっしゃれば一緒にお召し上がりになることに。そうでなければ。お一人で召し上がることになります」
マディソンの言葉に頷いて私は、ずっと王太子様がいらっしゃるのを待っていた。けれど、一向にいらっしゃらない。
「ディダ様。今夜は王太子様はいらっしゃらないようです。お食事の支度をしましょうね」
マディソンに言われてやはり頷くことしかできない。簡単に王太子様の心が手に入るはずもない。侍女が並べていくご馳走を虚しく眺めていると「王太子様がいらっしゃいました」の侍女の声が響いた。
「すまないな。こいつを洗っていたから遅くなった」
小さなふわふわな毛並みの白い子猫を私に手渡すと、王太子様は私の横に腰を下ろした。
「これを、洗っていたのですか?」
「そうだ。こいつは、わりと乱暴者だぞ?二回ほど引っかかれた」
見ると、手に数カ所の引っかき傷があった。私は急いで、消毒薬を持ってこさせる。
「かまわん。こんなものはすぐに治る」
私は王太子様の手をとり消毒薬をたっぷり塗った。
「ふっ、わざとたくさん塗っただろう?」
「いいえ。至って普通ですよ?痛く感じたのなら、ばい菌が死んでいく証拠です」
「面白いことを言う」王太子様が短く笑った。
王太子様がいらっしゃると、途端に私の居室が賑わいはじめる。ご馳走が増やされ、酒も追加され王太子様の側近までが集まってきたのだ。
和やかに、楽しいひとときが過ぎた頃には私は初夜の緊張で肩が震えていた。『愛妾になれ』と言われたのだから、そういうこともするのだろうと覚悟を決めていた。
「ディダ。では、ゆっくりお休み。また、明日の朝、会おう」
思いがけない王太子様の言葉に私は驚いたのだった。
湯の色は乳白色で、薔薇の花が浮かんでいる。私は、侍女達に体を洗われてゆっくりとそのお湯に身を沈めた。
目を閉じて、手をさするとそのお湯の成分は私の荒れた手にピリリときた。ブロンディ王国での私は侍女がいなかったので、この一年で手はすっかり荒れていたのだった。
髪を結い上げて淡い紫のドレスを着せてもらう。薄く化粧をされて、鏡の前に立つとマディソンが『お綺麗ですよ』と言ってくれた。
「夕食は、王太子様がいらっしゃれば一緒にお召し上がりになることに。そうでなければ。お一人で召し上がることになります」
マディソンの言葉に頷いて私は、ずっと王太子様がいらっしゃるのを待っていた。けれど、一向にいらっしゃらない。
「ディダ様。今夜は王太子様はいらっしゃらないようです。お食事の支度をしましょうね」
マディソンに言われてやはり頷くことしかできない。簡単に王太子様の心が手に入るはずもない。侍女が並べていくご馳走を虚しく眺めていると「王太子様がいらっしゃいました」の侍女の声が響いた。
「すまないな。こいつを洗っていたから遅くなった」
小さなふわふわな毛並みの白い子猫を私に手渡すと、王太子様は私の横に腰を下ろした。
「これを、洗っていたのですか?」
「そうだ。こいつは、わりと乱暴者だぞ?二回ほど引っかかれた」
見ると、手に数カ所の引っかき傷があった。私は急いで、消毒薬を持ってこさせる。
「かまわん。こんなものはすぐに治る」
私は王太子様の手をとり消毒薬をたっぷり塗った。
「ふっ、わざとたくさん塗っただろう?」
「いいえ。至って普通ですよ?痛く感じたのなら、ばい菌が死んでいく証拠です」
「面白いことを言う」王太子様が短く笑った。
王太子様がいらっしゃると、途端に私の居室が賑わいはじめる。ご馳走が増やされ、酒も追加され王太子様の側近までが集まってきたのだ。
和やかに、楽しいひとときが過ぎた頃には私は初夜の緊張で肩が震えていた。『愛妾になれ』と言われたのだから、そういうこともするのだろうと覚悟を決めていた。
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思いがけない王太子様の言葉に私は驚いたのだった。
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