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楽しい未来を語る王とアダム(アダム視点)
ーー カルロス王国の謁見の大広間ーー(アダム視点)
「このたびは、お目通りが許されて恐悦至極に存じます。私はアダムと申します」
さすが大国だ。謁見の広間はブロンディ王国の3倍ほどの広さがある。大広間から見渡せる庭園や噴水は、よく整備されており、潤沢な財政状況なのが読み取れた。賢政が敷かれた豊かな国、このカルロス王国は敵に回してはいけない国だ。
私は、トリスタン王に会ってその若々しさにまず驚いたのだった。50歳前後と聞いていたが、10歳は若く見える。そして、その後ろには眼光鋭い宰相が控えている。
「寛ぐがよい。して、なにを探りに来られたかな?」
前置きもなにもない。単刀直入に切り込んでくる王の言葉に思わず苦笑する。この王には、誤魔化しはきかない。
ありのままの心情を申し上げるしかない。
「・・・・・・・私達、ブルジョワジーはカミラ女王のご恩に報いるためにも、バイオレット王女を女王様に据えたいのです。バイオレット王女様はここにいらっしゃると思いまして確認に参った次第です」
「ほぉーー。なぜ、そう思う?」
「一言でいえば、この爺の勘でございます」
私の簡潔な言葉に笑いをもらす王の顔は、どこまでもポーカーフェイスだ。侮れない王だ。
「アダムよ。あの庭園の先にいる女性を見よ」
私は、さきほどまでは誰もいなかった場所に美しい女性がいるのを見つけた。カミラ女王様と同じ銀髪!
「バイオレット王女は王太子妃となり、やがてカルロス王国の王妃となる。さらには、ブロンディ王国の女王としても君臨する。カルロス王国とブロンディ王国は強力な同盟国となろう。ゆくゆくは私達は、バイオレット女王の子供を共にかわいがりその子供はやがてこの二つの国を治めていくことになろう。この楽しい未来はどうかな?」
「最高ですな・・・・・・あの世でカミラ女王に叱られないですみます」
「そうだな、私も泣かれずにすみそうだ」
王の言葉に、私は大事なことを思い出したのだ。その昔、この王とカミラ女王は婚姻をする予定だったのだ。結ばれることがなかった、この二人の子孫が手を取り合って、両国を繁栄させていく楽しい未来に胸を躍らせた。
「まぁ、ゆっくりしていかれよ。王太子はあの女性がバイオレット王女とは知らないのだ。王女も自分が王女とは知られていないと思っている。王太子は、気難しくてな。私が与えた縁談を拒み自由恋愛に憧れておる。ならば、バイオレット王女と自由恋愛を楽しむ機会を与えるのも一興」
「おもしろいですな。バイオレット王女が幸せになるのなら、こちらとしてもなんの問題もありません」
私は、貢ぎ物を並べて説明をはじめた。王は目の色を変えるレンズに、いたく興味を持った様子だった。
「実はな、ブロンディ王国のバカ姫が私に結婚式の招待状を出してきた。王太子とバイオレット王女に行かせようと思う。バイオレット王女とはばれないように、なにか工夫がほしいな」
「あぁ、ならば、これで瞳の色を変えて、髪の色も一時だけ変える染料もちょうど持ってきております。ありふれた茶色に変わります。瞳と髪の色を変えれば問題ないかと思います。もともとあのバカ夫婦は、バイオレット王女のことをよく見ておりませんでしたよ。アリッサ王女も自分のことだけです。綺麗な男性の顔には記憶力が働くが、女性の顔は覚えようとしません。それが、例え姉であっても・・・・・・少し似ているなぐらいは思うかもしれませが・・・・・・」
「そうか?バイオレット王女にはアリッサ王女よりも、上品でありながらも贅沢なものをたんと用意しようと思う。あのバカ姫の反応がみたいな。やはり、私も同行するかな。おぉ、妙案が浮かんだ。私は宰相として出向こうぞ」
「いや、それはずるいですな。そんなおもしろいことなら私も見たいですからな。ならば、私は宰相付きの秘書でどうですか?」
王と宰相が笑い合うなか、私もこの喜劇が見たくてたまらなくなったのだった。
「私も、是非、参加したいものですな」
私はつい言葉をはさんでしまうと、お二人は悪戯っぽいお顔でおっしゃった。
「では、貴方を大臣に任命しょう。カルロス王国の大臣として出席すればよい。商業担当大臣は必要だからなぁ。最早、我らは同士よ。同行人数が増えたとブロンディ王国に書状をおくろう」
「このたびは、お目通りが許されて恐悦至極に存じます。私はアダムと申します」
さすが大国だ。謁見の広間はブロンディ王国の3倍ほどの広さがある。大広間から見渡せる庭園や噴水は、よく整備されており、潤沢な財政状況なのが読み取れた。賢政が敷かれた豊かな国、このカルロス王国は敵に回してはいけない国だ。
私は、トリスタン王に会ってその若々しさにまず驚いたのだった。50歳前後と聞いていたが、10歳は若く見える。そして、その後ろには眼光鋭い宰相が控えている。
「寛ぐがよい。して、なにを探りに来られたかな?」
前置きもなにもない。単刀直入に切り込んでくる王の言葉に思わず苦笑する。この王には、誤魔化しはきかない。
ありのままの心情を申し上げるしかない。
「・・・・・・・私達、ブルジョワジーはカミラ女王のご恩に報いるためにも、バイオレット王女を女王様に据えたいのです。バイオレット王女様はここにいらっしゃると思いまして確認に参った次第です」
「ほぉーー。なぜ、そう思う?」
「一言でいえば、この爺の勘でございます」
私の簡潔な言葉に笑いをもらす王の顔は、どこまでもポーカーフェイスだ。侮れない王だ。
「アダムよ。あの庭園の先にいる女性を見よ」
私は、さきほどまでは誰もいなかった場所に美しい女性がいるのを見つけた。カミラ女王様と同じ銀髪!
「バイオレット王女は王太子妃となり、やがてカルロス王国の王妃となる。さらには、ブロンディ王国の女王としても君臨する。カルロス王国とブロンディ王国は強力な同盟国となろう。ゆくゆくは私達は、バイオレット女王の子供を共にかわいがりその子供はやがてこの二つの国を治めていくことになろう。この楽しい未来はどうかな?」
「最高ですな・・・・・・あの世でカミラ女王に叱られないですみます」
「そうだな、私も泣かれずにすみそうだ」
王の言葉に、私は大事なことを思い出したのだ。その昔、この王とカミラ女王は婚姻をする予定だったのだ。結ばれることがなかった、この二人の子孫が手を取り合って、両国を繁栄させていく楽しい未来に胸を躍らせた。
「まぁ、ゆっくりしていかれよ。王太子はあの女性がバイオレット王女とは知らないのだ。王女も自分が王女とは知られていないと思っている。王太子は、気難しくてな。私が与えた縁談を拒み自由恋愛に憧れておる。ならば、バイオレット王女と自由恋愛を楽しむ機会を与えるのも一興」
「おもしろいですな。バイオレット王女が幸せになるのなら、こちらとしてもなんの問題もありません」
私は、貢ぎ物を並べて説明をはじめた。王は目の色を変えるレンズに、いたく興味を持った様子だった。
「実はな、ブロンディ王国のバカ姫が私に結婚式の招待状を出してきた。王太子とバイオレット王女に行かせようと思う。バイオレット王女とはばれないように、なにか工夫がほしいな」
「あぁ、ならば、これで瞳の色を変えて、髪の色も一時だけ変える染料もちょうど持ってきております。ありふれた茶色に変わります。瞳と髪の色を変えれば問題ないかと思います。もともとあのバカ夫婦は、バイオレット王女のことをよく見ておりませんでしたよ。アリッサ王女も自分のことだけです。綺麗な男性の顔には記憶力が働くが、女性の顔は覚えようとしません。それが、例え姉であっても・・・・・・少し似ているなぐらいは思うかもしれませが・・・・・・」
「そうか?バイオレット王女にはアリッサ王女よりも、上品でありながらも贅沢なものをたんと用意しようと思う。あのバカ姫の反応がみたいな。やはり、私も同行するかな。おぉ、妙案が浮かんだ。私は宰相として出向こうぞ」
「いや、それはずるいですな。そんなおもしろいことなら私も見たいですからな。ならば、私は宰相付きの秘書でどうですか?」
王と宰相が笑い合うなか、私もこの喜劇が見たくてたまらなくなったのだった。
「私も、是非、参加したいものですな」
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