(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏

文字の大きさ
14 / 34

楽しい未来を語る王とアダム(アダム視点)

ーー カルロス王国の謁見の大広間ーー(アダム視点)


「このたびは、お目通りが許されて恐悦至極に存じます。私はアダムと申します」

 さすが大国だ。謁見の広間はブロンディ王国の3倍ほどの広さがある。大広間から見渡せる庭園や噴水は、よく整備されており、潤沢な財政状況なのが読み取れた。賢政が敷かれた豊かな国、このカルロス王国は敵に回してはいけない国だ。

私は、トリスタン王に会ってその若々しさにまず驚いたのだった。50歳前後と聞いていたが、10歳は若く見える。そして、その後ろには眼光鋭い宰相が控えている。

「寛ぐがよい。して、なにを探りに来られたかな?」

 前置きもなにもない。単刀直入に切り込んでくる王の言葉に思わず苦笑する。この王には、誤魔化しはきかない。

 ありのままの心情を申し上げるしかない。

「・・・・・・・私達、ブルジョワジーはカミラ女王のご恩に報いるためにも、バイオレット王女を女王様に据えたいのです。バイオレット王女様はここにいらっしゃると思いまして確認に参った次第です」

「ほぉーー。なぜ、そう思う?」

「一言でいえば、この爺の勘でございます」

 私の簡潔な言葉に笑いをもらす王の顔は、どこまでもポーカーフェイスだ。侮れない王だ。

「アダムよ。あの庭園の先にいる女性を見よ」

 私は、さきほどまでは誰もいなかった場所に美しい女性がいるのを見つけた。カミラ女王様と同じ銀髪!

「バイオレット王女は王太子妃となり、やがてカルロス王国の王妃となる。さらには、ブロンディ王国の女王としても君臨する。カルロス王国とブロンディ王国は強力な同盟国となろう。ゆくゆくは私達は、バイオレット女王の子供を共にかわいがりその子供はやがてこの二つの国を治めていくことになろう。この楽しい未来はどうかな?」

「最高ですな・・・・・・あの世でカミラ女王に叱られないですみます」

「そうだな、私も泣かれずにすみそうだ」

 王の言葉に、私は大事なことを思い出したのだ。その昔、この王とカミラ女王は婚姻をする予定だったのだ。結ばれることがなかった、この二人の子孫が手を取り合って、両国を繁栄させていく楽しい未来に胸を躍らせた。

「まぁ、ゆっくりしていかれよ。王太子はあの女性がバイオレット王女とは知らないのだ。王女も自分が王女とは知られていないと思っている。王太子は、気難しくてな。私が与えた縁談を拒み自由恋愛に憧れておる。ならば、バイオレット王女と自由恋愛を楽しむ機会を与えるのも一興」

「おもしろいですな。バイオレット王女が幸せになるのなら、こちらとしてもなんの問題もありません」

 私は、貢ぎ物を並べて説明をはじめた。王は目の色を変えるレンズに、いたく興味を持った様子だった。

「実はな、ブロンディ王国のバカ姫が私に結婚式の招待状を出してきた。王太子とバイオレット王女に行かせようと思う。バイオレット王女とはばれないように、なにか工夫がほしいな」

「あぁ、ならば、これで瞳の色を変えて、髪の色も一時だけ変える染料もちょうど持ってきております。ありふれた茶色に変わります。瞳と髪の色を変えれば問題ないかと思います。もともとあのバカ夫婦は、バイオレット王女のことをよく見ておりませんでしたよ。アリッサ王女も自分のことだけです。綺麗な男性の顔には記憶力が働くが、女性の顔は覚えようとしません。それが、例え姉であっても・・・・・・少し似ているなぐらいは思うかもしれませが・・・・・・」


「そうか?バイオレット王女にはアリッサ王女よりも、上品でありながらも贅沢なものをたんと用意しようと思う。あのバカ姫の反応がみたいな。やはり、私も同行するかな。おぉ、妙案が浮かんだ。私は宰相として出向こうぞ」

「いや、それはずるいですな。そんなおもしろいことなら私も見たいですからな。ならば、私は宰相付きの秘書でどうですか?」

 王と宰相が笑い合うなか、私もこの喜劇が見たくてたまらなくなったのだった。

「私も、是非、参加したいものですな」

 私はつい言葉をはさんでしまうと、お二人は悪戯っぽいお顔でおっしゃった。

「では、貴方を大臣に任命しょう。カルロス王国の大臣として出席すればよい。商業担当大臣は必要だからなぁ。最早、我らは同士よ。同行人数が増えたとブロンディ王国に書状をおくろう」














感想 127

あなたにおすすめの小説

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目の人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

婚約する前から、貴方に恋人がいる事は存じておりました

Kouei
恋愛
とある夜会での出来事。 月明りに照らされた庭園で、女性が男性に抱きつき愛を囁いています。 ところが相手の男性は、私リュシュエンヌ・トルディの婚約者オスカー・ノルマンディ伯爵令息でした。 けれど私、お二人が恋人同士という事は婚約する前から存じておりましたの。 ですからオスカー様にその女性を第二夫人として迎えるようにお薦め致しました。 愛する方と過ごすことがオスカー様の幸せ。 オスカー様の幸せが私の幸せですもの。 ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

二度目の人生は離脱を目指します

橋本彩里(Ayari)
恋愛
エレナは一度死に戻り、二度目の人生を生きることになった。 一度目は親友のマリアンヌにあらゆるものを奪われ、はめられた人生。 今回は関わらずにいこうと、マリアンヌとの初めての顔合わせで倒れたのを機に病弱と偽り王都から身を遠ざけることにする。 人生二度目だから自身が快適に過ごすために、マリアンヌと距離を取りながらあちこちに顔を出していたら、なぜかマリアンヌの取り巻き男性、死に戻り前は髪色で呼んでいた五人、特に黒いのがしつこっ、……男たちが懐いてきて。 一度目の人生は何が起っていたのか。 今度こそ平穏にいきたいエレナだがいつの間にか渦中に巻き込まれ――。

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

【完結】私を裏切った最愛の婚約者の幸せを願って身を引く事にしました。

Rohdea
恋愛
和平の為に、長年争いを繰り返していた国の王子と愛のない政略結婚する事になった王女シャロン。 休戦中とはいえ、かつて敵国同士だった王子と王女。 てっきり酷い扱いを受けるとばかり思っていたのに婚約者となった王子、エミリオは予想とは違いシャロンを温かく迎えてくれた。 互いを大切に想いどんどん仲を深めていく二人。 仲睦まじい二人の様子に誰もがこのまま、平和が訪れると信じていた。 しかし、そんなシャロンに待っていたのは祖国の裏切りと、愛する婚約者、エミリオの裏切りだった─── ※初投稿作『私を裏切った前世の婚約者と再会しました。』 の、主人公達の前世の物語となります。 こちらの話の中で語られていた二人の前世を掘り下げた話となります。 ❋注意❋ 二人の迎える結末に変更はありません。ご了承ください。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

毒を飲んだ令嬢は、二度目の人生で誠実な恋を選ぶ

ゆぷしろん
恋愛
幼いころからずっと隣にいて、いつか結ばれるのだと信じていた幼馴染エドガー。 けれど学園へ入ってから彼は少しずつ変わり、創立記念パーティーの夜、レティシアは彼が別の令嬢と口づけを交わす姿を目撃してしまう。やがて告げられたのは、「君が拒んだからだ」という身勝手な別れの言葉だった。結婚前に口づけや身体を許さなかったことさえ責められ、婚約は解消。噂に傷つき、生きる気力を失ったレティシアは、黒い森の魔女から毒を受け取り、自ら命を絶とうとする。 けれど次に目を覚ましたとき、彼女は幼いころへと戻っていた。 もう二度と、幼馴染に人生を預けない。そう決意したレティシアは、将来エドガーと結ばれる流れを少しずつ変えていく。そして二度目の人生で、前世で傷ついた自分に唯一優しい言葉をかけてくれた伯爵令息ルシアンと、今度こそ最初から出会い直す。穏やかで誠実な彼は、決して急かさず、傷ついた彼女の心を静かにほどいていく。 これは、恋に傷つき死を選んだ令嬢が、もう一度与えられた春の中で、自分の気持ちと向き合いながら、本当に大切にしてくれる人を選び直して幸せになるまでのやり直し恋愛譚。 「今度こそ、私は自分で選ぶ」 毒を飲んだ令嬢は、二度目の人生でようやく知る。幸せとは、誰かに選ばれることではなく、自分を大切にしてくれる人を、自分の意志で選び取ることなのだと。