(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏

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バイオレット女王の出産その1

 それからの私は、なお一層、甘やかされている。

「ディーより重い物を持ってはいけない!」

このノーラン様の言葉を実行するのは大変だった。ディーは、とても軽いから、これだとなにを持っても叱られる。

 ブロンディ王国の商業地域における毎月の売り上げ報告や、政策の検討をするための資料は膨大で、辞書ぐらいの厚さに綴じられていた。それを持って移動していたら、早速ノーラン様がやって来た。

「これは重い! 自分で持っては駄目だ! 全くもう! なぜ、言うことがきけないんだ。この資料は、地区ごとにもっと薄く綴じるようにしよう。だいたい、紙の資料は重いな。もっと、データーをコンパクトにまとめられるものがあればよいのだが・・・・・・」

 ブツブツ言いながら、自分の執務室に戻って行くノーラン様をマディソンが呆れた顔をして見ていた。

「やれ、やれ。あれでは、先が思いやられますね」

 紙のデータは廃れて電子化される時代がきたのは、愛妻家のカルロス王国の王太子の言葉からきているらしいと、まことしやかに伝えられたのは、ずっと後世になってからだった。


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 私のお腹は、日に日に膨らみ、腰がだるかったりすぐに眠くなったりで体調の変化に悩まされた。吐き気も、なかなか治まらないので、スープや果物だけしか食べられない日もあった。

 ノーラン様が、そのたびに、『バイオレットが食べられないのなら、私も食べまい』とおっしゃってなにも召し上げらないのには困った。

「ブロンディ王国の女王とカルロス王国の王太子が、一緒に体を壊したら国が大変なことになるでしょう? もして、私は病気ではありませんよ? ノーラン様は、ちゃんと召し上がってくださいませ」

 私が諭すと、やっと果物を召し上がるだけだ。 

「バイオレットを愛するあまり、体調が連動したと思う。私も気持ち悪いし、食欲がない」

 愛妻家の男性のなかには、想像妊娠のような症状がでるらしいと医師が言っていたがまさかノーラン様も?
侍女達のなかには、賞賛のため息をついている者もいたけれど・・・・・・

 体調が徐々に落ち着き、食欲が戻ってくると季節外れの食べ物ばかり食べたくなった。ノーラン様は諸外国から取り寄せたが、これによって貿易が盛んになったと大臣に褒められ、農業推進部の役人からは温室栽培の発展に寄与したと言われた。

「宝物ようなバイオレット女王様がお産みになるお子様は、まさにこの国の星ですね」

 皆が、そう言って誕生を心待ちにしてくれる。

 そのように、期待されて産まれる子に私はそっと話しかける。

「お星様ですって。素敵よね? 貴方は産まれる前から可愛がられることが決まっているとても幸運な子よ」

  

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 ノーラン様とのお散歩中に、それはおきた。激しい痛みに目眩がして、倒れかかった。

「破水しました! 大変! 早く医師を呼んできて」

 マディソンの声が、遠くから聞こえる。お婆様、私を守ってください!
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